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ミエルヒトコミュの13、キツネ

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前回の活動から数日後のことだ

その日は団体のみんなで軽く飲み会をしようということになっていた

飲み会の時間帯も夜からとのことで、それまでダラダラ過ごす計画を立てていた

だが、その計画もSの心無いメールによって打ち砕かれた


今から来い!とのこと

おいおい、まだ昼だぞ!!!

と思いながらも、一度言い出したら止まらない彼の性格を考えると拒むだけ無駄かと思い出かけることにした




Sのおばあちゃんのマンションに着くと、美味しそうなカレーの匂いが漂ってきた

S「今、カレーチャーハンを作ってるんだ、だから座ってろ」

ちょうどお腹が減っていた。優しい所もあるんだなと思い私は床に座って待った

しかしテーブルに出てきたのは一食分のカレーチャーハンだった

あれ一人分?私のはないんだ?

S「ないよ。僕の昼飯だ」

お腹が減っている私の前で、それをムシャムシャと食べながら彼は話し始めた

S「今日呼んだのは君にコレを渡したかったからだ」

渡されたのはダイソーに売ってありそうな普通のポーチだった

なんですかね?コレは?

S「中に清酒と御札とその他活動に必要な物が入っている」

私「えっ、要らないよ」

S「ダメだ、活動するときは持っていろ。みんな持ってるんだ」


私はしぶしぶ受け取った

私は荷物が多いのがとても嫌いなタイプなので、こういった不要な物を持ち歩くのがイヤなのだ

私「ってこれ渡すためだけに呼んだの?」

S「違う。今から買い出しに行ってもらおうと思って」


はっ?


S「今日は自宅飲みだからな、買い出しに行って欲しいんだ。俺は料理担当だから、買い物はよろしく」

その時、マンションの扉が開き誰かが入ってきた

S「おっ!きたな。もう一人呼んでおいたから」

現れたのはDだった

D「うっす」

私「久しぶりだね!」

彼はDといって団体のメンバーだ
歳も近い事もあり最近とても仲良くなった

Dも私と同じ片親である
詳しい事は分らないがたぶん離婚だろう

私の父も以前少し書いたと思うがすでに亡くなっている

Dを私はとても尊敬している

なぜなら、彼は学費のほとんどをバイトなどで捻出しているからだ。奨学金も貰っているらしいが、必要最低限しか使わないようにしているらしい

私といったら、自営業をしているおじいちゃんに学費を出してもらっている。Dと比べると情けない限りだ。




今回の買出しのミッションは買い忘れた具材と酒類だ

どうもお酒は今日がセールなので、昨日は買い控えしたらしい

Sは料理を始め、私とDは一緒に近所の酒屋へ向った
Dとはあまり活動を共にしたことはない

なぜなら霊障害が同じだからだ

つまり彼も「みえる」人なのだ

たいてい活動する時は違う霊障害を持ったもの同士で活動する

例えば

S=感情を読む(記憶)
B=触れる
私=見える

こうやってバランスをとるらしい。

だが、それ以外での集会でよく顔をあわせていた
彼は社交的でとても人に好かれるタイプだ


そんな彼とのスーパーまでの道のりは楽しかった
彼には人を和ませる力があるのかもしてないと思うほど一緒にいると、気持ちが暖かくなるのだ。




飲み会が始まったのは夜の七時ごろだった

Sの料理はイラッとするほど美味しかった
皆もSの料理を絶賛していた

この飲み会では普段活動では一緒にならない人や、地方から来る人もいて、いろんな人と交流する事が出来る

話の話題はもっぱら幽霊の話だった
それを面白おかしく話すのだ

幽霊の話なんか普通に居酒屋なんかでは出来ない


他人に聞かれたくはない

特に私たちが話す霊の話は、見えない人たちが想像するものを超えているだろうから・・・・

もし居酒屋でそんな話をしてゲラゲラ笑っている私たちを、他人から見たら異常だろう

そういう所を配慮して自宅で飲む事にしているみたいだ
ここなら気兼ねなく霊障害について話すことができる

その飲み会でDとの仲はさらによくなった。



その飲み会後も個人的な用事でDとよく会うようになった。お互いが好きなアーティストのCDを貸し借りするような事も合った

ある日、Dが映画に誘ってくれた

男の子と二人で遊びに行くのは久しぶりだった

高校では数人に告白された事もあったが、霊障害を知られるのも怖かったし何より相手に迷惑をかけるのが嫌で付き合うことはしなかった
つまり今まで誰とも付き合ったことは無い

だからなのか、同じ境遇の彼に少し心惹かれていった
こんな事は私史上初だった。

その映画を見に行く日に、なんとSの馬鹿タレから活動に行くから来いというメールが入った

すでにDと合流していたためメールをシカトしようと思ったのだが、何故かDにも同じメールが来た

同じ霊障害の私たち同時収集は珍しい事だ

私「せっかくの休みなんだし・・・・行かなくてもいいよね?」
私は映画に行くのを楽しみにしていたため、どうしても今日の活動に参加したくなかった

D「困ってる人が居るかもしれない。俺たちの霊障害が人のためになるんなら、俺は行かなきゃダメだと思う・・・・」

すこし考えた後にDがそう言った
そして映画はまた来週に行こうと約束してくれた

指定された場所に車で向う

Sに支給されたポーチは忘れると、しつこく言われてしまうので、車の中に常に置くようにしている



指定された場所は何故かSのおばあちゃんのマンションだった

マンションに着くと珍しくSのおばあちゃんも居た

おばあちゃんはいろんな地域を転々としており、最近はマンションには帰っていなかったはず・・・・

そして部屋の中に小学生くらいの男の子とその母親らしき人が神妙な顔をして座っていた

その時は特に霊の姿は見えなかった。

親子を中心にして円を描くように団体のメンバー数人が座っていた。ちなみに霊体は一つも無い


Sはその場にいなかった。

私とDは座るように促されてその円の中に加わった

おばあちゃん「皆さん、お忙しい所集まっていただきありがとう。」
優しい口調ではあったものの、顔は常に厳しい顔をしていた

おばあちゃん「キツネが出ましたよ。」

それを聞いて円になった私以外の団員メンバーの顔が険しく変った

私「キツネって?北海道に居る動物ですか?」

おばあちゃんは丁寧に説明してくれた

おばあちゃん曰く、キツネとは・・・・

もともと動物霊はすぐに消えてしまう
だから動物が霊体であること事体がまれなのだ
しかしこのキツネは動物霊でありながら消滅しにくい霊体であり、かつ、人に強く悪影響を及ぼす事がある

また、キツネというのはある条件をみたした時に形成される霊体で狐に限らず動物霊全般をいう。
つまり、犬、ネコ、サルを問わずその霊体をキツネと呼ぶ。

ではどのようにしてキツネは形成されるのか

動物の中でも霊障害があるもの無いモノが居る
その霊障害のある個体の中で著しく重い霊障害の動物が霊体となったときにキツネ形成される

キツネと呼ぶのは、実際の狐が動物の中で著しく重いとされる霊障害を起こすリスクが高い動物だからとか

そのやっかいな霊体がこの男の子に憑いているということらしい
おばあちゃん「そこで、今宵の晩はキツネが現れるのを交代制で監視しようと思っています。現れたら私が霊体を弱めますから」
実はおばあちゃんはすごい人だ、霊体の消滅を早める事が出来らしい

説明しにくいが、例えるなら霊道のようなものを自分の手の中で作り出す(厳密には違うけど)。霊道は霊の消滅を促す効果があるということは前にも書いたとおもう。
さすがに完全消滅させる事はできないらしいが、悪い影響を及ぼす霊の障害を弱めさせ消滅に向わせるためのアシストをすることが出来る。ただ精神的にキツイらしく高齢のおばあちゃんにはリスクが高いようだ

それをおばあちゃんは「マッサージ」と呼んでいるが、いまだに見たことはない

私「夜中じゃないとキツネは現れないんですか?というか、この子に憑いてるって言うけど何も見えませんよ」

おばあちゃん「キツネはこの子の中に居るんだ。この子の魂に寄生するように一体化していて・・・つまり守護霊と同じ形なんだよ」

守護霊は基本的に表に見えるものじゃない
なぜなら魂自体に融合して存在しているからだ


それを聞いて少し怖いと感じた

男の子「ねぇ嫌だ。リュウを殺させないで!」

男の子が急に母親の袖を引っ張りながら言った
今にも泣き出しそうだ

私「リュウって?何?」
私が男の子に訪ねると恥ずかしがり屋なのか母親の後ろに隠れてしまった

母親「○○さん(おばあちゃん)には一度お話させていただいたのですが、私から皆様にお話いたします。」

リュウとは数ヶ月前まで飼っていた雑種の犬の事らしい
男の子に異変が起きたのはリュウが死んですぐの事だった
夜中になると男の子は四つん這いになり走り回ったり、生ゴミをあさったりするのだという

また母親の手には噛み傷が痛々しく残っているのが分った。

それだけならまだいいが、異変が起きた次の日は必ず男の子は体調を崩してしまうのだそうだ。
たまたま相談に行ったお寺がおばあちゃんと親交のあるところだったのが功を奏し、すぐにおばあちゃんに紹介されたのだとか。




男の子は学校で友達ができないそうだ。だからリュウと一緒に居る時間がとても長かったらしい
男の子にとってリュウは掛替えの無い存在だったのだ

その想いがリュウ(霊体)と男の子の魂を強く結び付けているのだと、おばあちゃんは言う
夕方になると、おばあちゃんはすぐに床についた
夜のキツネ退治に向けて体力を補うためだそうだ


その後すぐにSが現れた

これで今宵のメンバーは6人となった

私、D、S、それと社会人女性のUさんとおばあちゃんの付き人の男性であるRさんである

Uさんは霊障害は軽い方だが独特の障害をお持ちだ
霊を光として捕らえるらしい。その光の輝きの強弱で霊体が後どれくらいで消滅するのかわかるらしい。
とても明るくひょうきんな方だ

Rさんはその日初めてお会いした。
いつもニコニコしているのだが、口数が少なく大人な雰囲気だ。おばあちゃんと一緒に遠くの地方にまで出て行くそうだ。

今宵はこのメンバーでローテーションを行う


私は男の子となんとか打ち解けようと、色々話しかけたが、最初はずっと母親の後ろに隠れていた

それから徐々に打ち解ける事ができて、少しずつ話をしてくれるようになった

Dも加わり三人で遊ぶうちに男の子に笑顔がみえるようになった


リュウについての話もしてくれた
いつも姿を見せないけど、寂しい時は来てくれるそうだ
自分が体調を崩して、お母さんが仕事で居ない時、いつも側に居てくれると言っていた。


それは違うと思った。キツネの存在がこの男の子の負担になっているんだ・・・・でも彼の無垢な瞳に向ってそんな事は言えなかった。


R「そろそろ、奥さんには退席願いたいのですが」
付き人のRさんが母親のにマンションから出て行くように促した

どうやら、はじめからそういうことに決まっていたらしく、母親はホテルに泊まる事になっているらしい。
母親が出て行くとき、男の子は少しぐずった。

母親「今晩だけよ、我慢しなさい!」

母親は男の子を突き放すように言った。
少しキツイ口調であったが愛ゆえの言葉だったのだと思う

男の子は少しの間ぐずっていた。



母親が帰った後、私たちは必死に男の子をなだめ、なんとかテンションをあげることに成功した。

その後は、トランプなどして遊んだ


お弁当屋で買ってきた夕食を完食した後で、今日のローテーションの時間割を考える事になった

三時までは私とSとDで見張る事にした

そこでRさんとUさんは速めに、おばあちゃんの眠る部屋で床につくことになった


夜寝るのが大好きな私は今日中にキツネが現れる事を願った


遊びつかれた男の子を寝かしつけるため、ソファーで頭を撫でてあげていた時だ

男の子「ねぇお姉ちゃん、リュウをどうするの?殺しちゃうの?」

私「えっ?」

男の子「リュウはね、いつも僕のこと守ってくれてるから何にもしないで・・・」

私「でもね・・・・。」

私が答えに迷っている間、べそをかきながらも男の子は寝息を立てて寝てしまった



私「ねぇ、S。キツネを消さないで済む方法はないの?」
安易な考えであったのはわかっていたがSに質問した。
リュウだってきっと男の子を苦しめたくて憑いてるんじゃないはずだと勝手に思ったからだ。

テレビを見ていたSはコチラを振り返った

S「・・・・。僕たちはドラえもんやアンパンマンじゃないんだ。皆が納得するハッピーエンドじゃ終われない。現実はそんなもんだ。悪影響を及ぼすから消滅させる。それだけでいいんだ。この子だってすぐに犬の事は忘れるよ」

私「分ってるけど・・・。」


S「死んだ先には天国や地獄は無い。健常者みたいに死んだモノの幸せなど考えるな。僕たちは知っているだろ、死んだモノの姿を。決していいものじゃない。無である事が本来あるべき姿なんだよ」

つまり死んだ後は無である事が原則であり、霊になるということは例外で、無に戻す事が正しい事だと言いたいようだ。

私はなんにも言えなかった


言いたいこといっぱいあるはずなんだけど


Sの言った事は全てが正しくて

全て間違っている私は何も言えなかった。

でも間違っているけど、この子のリュウと居たいって気持ちは本物だ・・・・・。

そういったところで何も変らないのは分っていた。

その時はまだ事の深刻さに私は気づけていなかった


夜も深まり寝ることが大好きな私はウトウトとし始めた

私は床にごろ寝して体を休めた。寝てしまいそうだ

D「子供と遊び疲れたのか?すこし横になったら」

Dの優しさに甘えてしまいたかったが眠い目をこすり必死に耐えた
今日は早起きしてDとのデートのために気合い入れて化粧などの準備をしたのが原因だろう



そんな事を考えていたときだ

私はふっと男の子の方に目をやった

男の子はソファーの上に立っていた

私「あれ?どうしたの・・・・?」


そう話しかけた瞬間に男の子はドアの方に走り出した

男の子の背中にいくつかの霊体が見えた

動物ではなく人の顔だった

私は立ち上がり男の子を追いかけた

後から異変に気づいたDが走り出した

Sはトイレの最中だったので、Dがドア越しに男の子が逃げたとだけ伝えた

男の子は錯乱状態に見えたが冷静に鍵を開け部屋を飛び出した

私は靴を履かずに外へ出た

コンクリートの地面が冷たかった

部屋を出た男の子は近くの階段から上の階へ上がっていく

手を使いながら階段をのぼる男の子の姿は獣そのものだった

後からきたDに反対の階段から上がって挟み撃ちにするように伝えた

この上の階は最上階なので挟み撃ちにするのは簡単だ
階段の踊り場を曲がり更に一段進もうとしたとき、階段の上にコチラに体を向けて静止している男の子が立っているのが分った

その瞬間に嫌な汗がドッと吹き出たような感覚が背中を襲う

男の子の肩に犬の顔が見える

威嚇するようい歯茎を剥き出しにしている
まるで生きてるかのように生々しい姿であった

それと同じように男の子も歯茎を剥き出しにしている

アレが、キツネか・・・・。なぜか冷静に私はキツネを観察していた

キツネにはいたる所に人の顔が浮かび上がっている

他の霊が重なっているのだろうか?

私「大丈夫だから、ね?こっちきて」

なだめるように声を掛け、一歩一歩近づいた

あと少しで手が届く
間近で見るキツネは本当に息をしている動物のようであった

しかし、他の霊と重なっている所を見ると、以前に出会った黒い霊を思い出す

私「もうこれ以上この子を苦しめちゃダメよ・・・」

きっと伝わる、何故かそう思った

そのとき、ずしりと体が重くなった

????

なんだ?

同時にギャンギャンギャン!と犬がほえる声が耳元でした

それは威嚇の時に鳴く鳴き声のようだった


重くなったと思った体はすぐに軽くなった

そう思うと今度は軽くなりすぎた・・・・

私は立っているという感覚すらなくなり・・・・

そのまま階段から転げ落ち頭を打った

気づいたら踊り場に仰向けに倒れていた

その間もずっと耳元で犬の声が聞こえる

そこから記憶が曖昧で・・・・・



それから・・・・それから・・・・え〜っと。



きっと一番重要な部分を私は見逃してしまったのだと思う。

記憶がしっかりしているのは、マンションの部屋に戻ってRさんが入れてくれた暖かいお茶を飲んでいる所からだ。

Dが側に居てくれて・・・・

私「あれ?どうなったの?あれ?あれ?」

D「大丈夫?階段から転げ落ちたの覚えてる?」

私の頭は混乱していた

目の前のソファーでおばあちゃんが男の子の背中をゆっくりと摩っている
あぁこれが例の「マッサージ」か?となんとなくぼんやりとした頭で考えていた。

キツネが見えた。大人しくしているようだ。

U「だいぶん霊体も弱まってきてますね・・・。このまま行けば自然に消滅するかとおもいますが。」
Uさんがキツネを見ながらいった

おばあちゃん「そうだね・・・。」

男の子はすわったまま眠り、背中を摩るおばあちゃんの手の動きにあわせて小さく揺れている

私の想像ではもっとお経を唱えたり、道具を使ったりして、ビシビシ体を叩いたりして霊体を消滅させるアシストをするのかと思っていたのだが、実際は手で霊体に触れることで時間を掛けて消滅に向かわせるという感じのようだ。

かれこれ一時間近く続いているらしい

R「意識はハッキリしてきた?」

私「あ、はい!お茶ありがとうございます」

R「どういたしまして。ところで、君は妙に霊障害を受けやすくないかい?」

私「そうですか?う〜ん確かに最近少し・・・」
そういわれてみれば最近、霊体が近くに来ると妙に体の調子が悪くなった
それにさっきキツネが出たときも、DもSもなんともなかった。

R「ご先祖様には?会いに行ってる?」

私「お墓参りですか?」

R「というか・・・お父さん?」

私「父親は・・・・。」
何故父が死んでいる事を知っているのだろうか?
霊障害でそこまで分るのか?

R「行った方がいいよ。」
いつもニコニコしているRさんが不意に真顔になるとき、私は少し怖いと感じる。


私はその後何も言えず、ただ湯飲みに口をつけて黙っていた。

父には、あまり会いに行きたくなかったから・・・・。

朝になり母親が男の子を引き取りに来た

男の子は母親の顔を見ると嬉しそうな顔をしたが、どこか浮かない顔をしていた。

もうリュウに会えないことを悟っているのかもしれない

玄関先でお別れの挨拶をした
Rさんは母親に色々と説明をしている



私「じゃあまたね」

私は男の子の頭を撫でた

男の子「ねぇ・・・・・。」

何かを言おうとしたが、それ以上男の子は言葉を発しなかった

今にも泣き出しそうなその顔を見れず、私は目をそらした

「きっとリュウは天国に行って、お空の上から君の事見守っててくれるよ!」

なんて、優しい嘘をついてあげれればよかったのかもしれない

でも私には、それが出来なかった。

私は気を失う前にキツネに威嚇されたのを覚えている。あれは男の子を守るタメではなく、ただの生前の防衛本能に基づいて自分を守るために威嚇したように感じた。決してこの子のためにキツネは存在し続けたわけではなかった・・・

この世にハッピーエンドなんてものがないこと、私も知っている。いくら人生が豊でも、その先には無しかない。
それを知っている私は優しい嘘をつけずに、手を引かれ去っていく男の子の後姿を見ていることしかできませんでした。

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14、森さんとの出会い
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