第８章『追跡中』
「シマウマは？」
寺澤は黒シャツに問い掛けた
「住宅街を適当に走り回ってます
尾行には気付いてますね」
黒シャツは、寺澤の問い掛けに答えながら、運転席へ乗り込む
後部座席のスライドドアが自動で開き、先に猪上が後部へ乗り込む
寺澤は結を中部座席のシートに座らせ、自分はその隣に座った
「そうか」
黒のワンボックスカーは、大型の四列シートサイズのもので、本来の四列目と荷台の部分に、様々な機械が、文字通り所狭しと詰め込まれていた
二列目は正面を向いた椅子になっていて、三列目はシートの代わりに丸椅子が置いてある
二列目は、移動がしやすいように、スライドドア側の座席が、折りたたみできる補助椅子になっている
身体の大きな寺澤が、結と並んで座るには、補助椅子を開く必要があった
「サァ、早くコレに着替えたマえ」
猪上は、折り畳まれた黒い服を結に差し出した
「怪我の治療が先だ」
猪上は寺澤の言葉に、渋々服を下げた
黒シャツの男は自動スライドドアを閉め、車を走らせた
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