第１章『ターゲット：七瀬 結』
「こらぁあぁあぁあ！！！
男子ぃいぃいぃい！！！」
桂台中学校校庭に、今日も元気に響き渡る少女の声。
校内の者のみならず、近隣の団地まで響き渡るその声に、地域住民も、一日の始まりの合図にするほど、この半年で馴染んでいた。
「逃げろ！！」
「七瀬から逃げきったら日本記録だぜ！！」
まだ、夏休みが終わったばかりだというのに、七瀬 結の記録樹立が、すでに校内で知れわたり始めていた。
元々、明るく元気でお転婆な結は、いろんな意味で周囲の気を引いて止まないが、また最近、彼女にちょっかいを出す男子生徒が増えていた。
小柄な幼児体型とはいえ、それなりに可愛い領域に入る七瀬 結
隠れファンも多くいたが、小柄な結に気があるとバレると、ロリコン扱いされるため、彼らの多くは、いたずらやちょっかいをだすのが精一杯だった。
もちろん、日本記録樹立という偉業を成し遂げた結に、いろんな意味で興味を持つ者は多い。
「このあたしから逃げられると思うなョ」
不敵な笑みを浮かべる結も、またこの状況を楽しんでいた。
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