主人公の名前はケヴィン。小学生だてらにアメリカン・バイクを乗り回し、いっぱしのバイカー気取りで隠語を振り回したりする。彼の父親シャカールはバリバリのバイカーで、ジーンズにタンクトップか革ジャン、長髪を後ろで結び、サングラスを欠かすことはない。好きな曲は当然「Born to be Wild(ボーン・トゥ・ビー・ワイルド)」。母親のソフィーはショートカットが似合う気の強い美人で、いかにもアメコミから抜け出して来たようなグラマラスなスタイルをしている。物語はケヴィンと彼の家族が日常生活の様々な場面で引き起こす騒動を描いている。3ページから6ページ位の長さの短編が、全部で11編入っていて、その内容はと言うと、ケヴィンが友達と一緒に学校の先生をからかってみたりとか、父親のエロ雑誌を初めて見て興奮したりとか、両親の結婚記念日に3人で高級レストランに行って大暴れするとか、ケヴィンを学校に送った父親のバイカー仲間たちが担任の保健体育の先生に一目惚れして、子どもたちと一緒に授業を受けちゃうとか… 個人的に気に入っているのは、「Les lions sots(お馬鹿なライオン団)」と「Un flux nerveux(イライラの波)」という話。前者では、成績票が家に郵送されてくるのを阻止しようと、ケヴィンとその友人2人が、タンタン、ミルー、ハドック船長の扮装をして、郵便配達夫から成績票を奪うことをたくらみ、後者では生理でイライラした母親にケヴィンと父親のシャカールが家から追い出されてしまう。とりわけ後者はテンポがよくて、掛け値なしに面白い。