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BDについてもっと知りたい!コミュの『La ville qui n'existait pas(存在しない町)』

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 Pierre Christin(ピエール・クリスタン)原作、Enki Bilal(エンキ・ビラル)作画の『La ville qui n'existait pas(存在しない町)』(Dargaud, 1977年刊)読了しましたー。と言っても、僕が読んだのは英語版で、『The town that didn't exist』というタイトルで catalan communications(キャタラン・コミュニケーションズ)というところから1989年に出版されたものです。これもまた Freddo さんにいただきましたー。Freddo さん、ありがとうございます! 梗概は以下のとおり。ちなみに英語で読んだため、固有名詞の発音は全く自信がありません…

 物語の舞台は、不況下の都市 Jadencourt(ジャダンクール?)。Hannard(アナール?)グループの鋳造工場で働く労働者たちが労働争議に備えて話し合っているところへ、経営者の訃報が届く。時期が時期だけに、経営陣も労働者も今後の見通しについて不安の色を隠しきれない。アナール・グループの再建を期すべく新しくトップの座に選ばれたのは、前経営者の孫娘マドレーヌ・アナールだった。彼女は子どもの頃の落馬が原因で足が不自由だったが、周囲の人々に助けられながら、改革を進めていく。アナール社の末期的状況を目前にして彼女が立てた案は、労働者たちの生活環境の改善、そしてユートピア都市としてのジャダンクールの再生であった。マドレーヌは、天地創造よろしくきっかり1週間で計画をまとめあげる。そして1年後、ジャダンクールはかつてアナール家が事業を始めた始原の地に場所を移して、半透明の3つのドームに覆われた、いかにもユートピア的な都市として生まれ変わる… それまで生活苦に喘いでいた多くの労働者たちは、もはや厳しい生活に追われることもなく安穏とした生活を送り、子どもたちも快適な環境の中で勉強に励んでいる。しかし、小学生ポールの父親のように、与えられた安楽になずむことを潔しとせず、かつての土地に留まる人々もいた。ポール自身も、この夢のような町での生活に何か物足りないものを感じて、ついに町を去る決心をする…

 ビラル作品を読むのは、『モンスターの眠り』、「ニコポル3部作」に続いて、これで3つ目ですが、この中では最もわかりやすい作品です。個人的には『モンスターの眠り』も大好きなんですが、この『存在しない町』も地味ながらいい味出してます。主人公は一応ポール少年ということになるんでしょうか… 要約ではうまく紹介できなかったんですが、重要な人物として、マドレーヌ、マドレーヌを助ける恋人(?)の男、ポール、ポールの父、その友人ルーがいて、彼らそれぞれの新旧ジャダンクールに対する距離感が問題になってます。で、ポール君が作品の中で2度夢を見るシーンがあるんですが、旧ジャダンクールにおける彼の明るい未来への希望と、新ジャダンクールにおける現状に対する幻滅、過去へのノスタルジーがそれぞれ描かれていて、彼を中心に作品が作られているのかなという気がします。ポール他、何人かの人間がジャダンクールを出ていくところで物語は終わりますが、ある種の希望があって、素敵な終わり方だと思いました。当然のことながら、絵は非常に魅力的です。旧ジャダンクールの寂れた通りの描写が素晴らしい! 閑散とした通りを一匹の猫が横切ってるコマがあるんですが、まるでタルコフスキーの映画『ストーカー』のワン・シーンみたいです。

* 画像は表紙のみフランス語版です。

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