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BDについてもっと知りたい!コミュの「Un peu de fumée bleue...(ひとすじの青い煙が・・・)」

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「Un peu de fumée bleue...(ひとすじの青い煙が・・・)」

シナリオ : Denis LAPIERE
絵・着色 : Ruben PELLEJERO
出版社  : Dupuis、Collection : Air libre


この漫画の舞台は、ヨーロッパ。
あちこち旅行しながら写真を撮っているカメラマンが、閉店間際の山の上のホテル・レストランに足を踏み入れる。レストランには、トランプをしている3人の男、酔いつぶれるまで飲んでいる男しかいなく、閑散としている。

ホテル経営者の娘、Laure(ロール)の目の前のテーブルには、言葉が書かれた数本のタバコが並べられている。Laureは、その中の1本のタバコを手取り、火をつける。たばこに書かれているのが、Tristan Corbière (トリスタン コルビエール)の詩の一節である事に気がついたカメラマンは、娘に尋ねる。
「どうして、タバコに、詩が書かれているの?」

この問いをきっかけに、Laureは長い打ち明け話を始める。

このホテル・レストランがある場所は、バスの終着駅。
山の上の刑務所に、政治犯が収容されていた頃は、政治犯の妻や母親たちが、このホテル・レストランに泊まっていた。囚人たちは、3日おきに、刑務所から、近くにある兵舎まで、トラックで運ばれ、拷問を受ける事になっていた。刑務所から出たトラックは、険しい山道にさしかかると自然とスピードを落とす。
運がよければ、その場所で、囚人の母親や妻は、トラックの荷台に乗っている、家族の顔を見、言葉をかけたり、物を渡したりする事が出来るため、囚人の家族は、その場所で、トラックを待つのが習慣になっていた。

この刑務所に収容されていた囚人は、留置されている日数の代わりに、何回トラックに乗ったかを数えるのが慣わしとなっていた。噂によると、37回まで、持ちこたえた囚人がいるとか・・・
家族が会いに来る囚人は、他の囚人より、長く生き延びる事に気づいたLaureは、家族のいない囚人たちの面倒を見る事に決意する。そして、他の女性達に混じって、トラックを待つのがLaureの日課となった。
  
そんなある日、Laureは、トラックに乗っていた、囚人のLudvik(ルードヴィック)に恋してしまうようになる。
彼にタバコを手渡し、心が通い合うようになった頃、 Laureは、毎回渡す1本のタバコに、詩を1行ずつ書く事を思いつく。 「詩が終わるまでは、死なないで」 彼女のメッセージを理解したLudvikは、手渡されたタバコは吸わずに大切にとっておいた。

やがて、クーデターが起こり、政治犯らは釈放された。
LaureとLudvikは、山の上のホテル・レストランを離れ、都会で暮らし始める。
Laureは、ウェイトレスとしての仕事を見つけ、二人は幸せな暮らしのスタートを切ったはずだったのだが・・・


これは、絵で読む文学作品。

版画を思わせる、輪郭の太い絵。 普通の漫画とは、一線を画している、アートっぽい絵が ストーリに力を与えています。
ストーリー、絵、コマワリの仕方、読み心地、何一つ文句をつける事が出来ないくらい完成されている作品だと、私は思いました。

政治的で暗いテーマを扱っているけれど、人間の心理に焦点を置いてストーリーが構成されているので、全然、生々しくないし、難しくなく、快く、感動の渦に身を任せることが出来ます。
恋愛小説が苦手な私をうならせた、人間の心の奥にある琴線を揺さぶる、繊細でかつ力強い作品です。

悲劇的な話しなのですが、ラストがいいので、後味が悪くなく、感動だけが、余韻となって、いつまでも心に残ります。
又、一般的なフランス漫画と比べると、とても読みやすい作品でした。

巻末に、ストーリーを担当した、Denis LAPIERE 氏による、作品及び作中人物に関する解説が載っています。 私は、この解説により、作品及び、著者への理解を深めることが出来ました。

とても魅力的な1冊でした。

コメント(3)

これ、面白そうですね! トリスタン・コルビエールの詩というのが渋い… 表紙もまた雰囲気だなあ。BDの中にはこういう大人の雰囲気を持った一連の作品がありますよね。Loustal(ルースタル)とか Juillard(ジュイヤール)とか、 Baudoin(ボードワン)なんかもそうなのかな… 僕はこの辺の作家をほとんど読んでいないので、これから読んでいきたいと思います。『Un peu de fumée bleue...(ひとすじの青い煙が・・・)』、日仏学院にないか調べてみたんですけど(http://www1.ifjtokyo.or.jp/)、残念ながらなさそう… とりあえず画像を見つけたので貼っておきます。
トリスタン・コルビエールの詩はさっぱり想像出来ませんが、トム・ウェイツの歌なら知っています。「Big Joe And Phantom 309」を思い出しました。

あらすじだけ読んでも面白そうですね。
ロールが、大切なタバコを冒頭から吸ってしまっていることから、後半の展開が何となしに想像出来ます。期待を裏切る展開か、はたまた直球勝負でくるか、、もうストーリーに虜です。

画もいいですね。ショードヴァルさんがアップして下さった画像のなかでは、鏡にうつった女性のお尻にぐっときました。
トピック『実写化されたBD作品』
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=4202424&comm_id=424387
で紹介した『CHARY』と同じ脚本家だよ、と主人に指摘されて、「なるほど、LAPIEREは要チェックかも」と思いました。

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