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BDについてもっと知りたい!コミュの『le bandard fou(頭のおかしなおっ勃ち男)』

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 と、仕様もない訳題をつけてしまったんですが、Moebius(メビウス)作『le bandard fou』読了しました。初版は Les Humanoïdes Associés(レ・ユマノイド・アソシエ)から1974年に出版されています。まずそのタイトルからですが、「bandard(バンダール)」という言葉はフランス語辞書には存在せず、メビウスの造語だと思われます。よく似た「bandeur(バンドゥール)」という単語は載っていて、こちらは『ロワイヤル仏和辞典』によると、「(性的に)興奮している人」という意味だそうです。で、「bandard」と「bandeur」の元になっている「bander(バンデ)」が俗語の意味として「勃起する」。というわけでこんな訳語になった次第です。もうちょっと気の利いた言葉があればいいんですがね… 「絶倫男」とか? うーん…
 さて、物語がまた奇妙なんですが、とりあえず梗概は以下のとおり。

一人旅を続ける「おっ勃ち男」(固有名はありません… 旅をしている理由もわかりません…)は、ある町の外壁までやって来て門番の姿を目にすると、歩みを止める。「こんなナリじゃ町へは入れまい…」 一計を案じた彼は花売りの籠を抱えてまんまと入り込む。町へ入った彼に犬‐石(註:原語は「chien-caillou」。犬‐石とは空飛ぶ小石で、おしゃべりもできれば、留守録よろしく他者のメッセージを伝えることもできるのだ)がメッセージを伝える。送り主はコヴァルスキー夫人という人物で、彼に恋焦がれているという。これは何かの罠では?と疑う「おっ勃ち男」。そうこうしている内に町の警察官が彼を尋問しにやって来る。一も二もなく逃げ出した彼を救ってくれたのはザーグという男だった。奇妙な飛行艇に乗って、彼らは結局コヴァルスキー夫人の元に向かうことになる。しかし、コヴァルスキー夫人の動機は「おっ勃ち男」に対する純粋な愛というわけではなかった。どうやら彼はコヴァルスキー夫人とその敵対する勢力との間の係争に巻き込まれてしまったらしい。どうなる「おっ勃ち男」!?

という感じで奇妙にも馬鹿馬鹿しい冒険が展開されていきます。
 物語的には別にどうってことはないんですが、徹底的に性愛(というよりは生殖?)のイメージにこだわったアイディアが素晴らしいです。見開きの右ページで物語が展開していく一方で、左ページでは男の半身像が徐々に卵に変身していく様が描かれていきます。追っ手から逃れるために主人公たちが乗った飛行艇が繰り返す上下運動、それを意識したコマ割、飛行艇が惑星に到着する様、こうなると全てが性愛の比喩として機能してるんじゃないかと思えてきたりします。ただ、性愛といってもネチネチした感は全くなく、なんだかカラッとしているのが不思議な感じ。絵がまた素晴らしい! 犬‐石やら主人公たちが乗る乗り物やら、細部に楽しみがある作品です。それにしてもメビウスのフランス語はむ、むずかしい…

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