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BDについてもっと知りたい!コミュの『Kabbale(カバラ)』

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 Grégory Charlet(グレゴリー・シャルレ)作、『Kabbale(カバラ)』、第1巻「Gaël(ガエル)」読み終りましたー。梗概については、フランス大使館のフランス語図書案内「Livres Français」にて、海田めぐみさんという方が紹介していますので、そちらをご参照ください。
http://livre.ambafrance-jp.org/article.php3?id_article=308
楽だな、人の紹介に頼るのって(笑)。
 ただ、これだけだとなんで『カバラ』なんていうタイトルなのかさっぱりわからないと思うので、その辺についてちょっと触れておきたいと思います。
 アルバムの裏表紙にこんなやりとりが記されています。

- Tu le trouves cruel ton monde ?
 (君は君のいる世界が残酷だと思う?)
- Oui ...
 (うん…)
- Tu voudrais le changer ?
 (変えたいと思うかい?)
- Si je pouvais ...
 (そんなことができるなら…)
- Tu le peux. Mais pour cela, tu dois croire en moi.
 (できるさ。でも、そのためには僕を信頼しなきゃ。)

あ、なんかカバラっぽいですよね、完全な世界の探求みたいなところが(とか言ってよくわかってませんがw)。表紙でガエルが抱いている球体もボルヘスの「エル・アレフ」とか連想させるし。なんつーか、おそらくこの物語は一人の青年の精神的な変容とそれに伴う試練を描いてると思われます。ただし、その変容が吉と出るか凶と出るかはわかりません…
 主人公ガエルは漫画家(BD作家?)を志望する青年ですが、自分の夢の中では少年として登場します。物語は彼の見た夢から始まります(たぶん…)。道路に落書きをしていた彼は、唐突な街の炎上に気づき、広がりゆく闇に脅え逃げようとするが、その闇に捕えられるというところで目覚めます。
 また、抗議デモに参加した彼は、治安維持部隊に襲われ、意識を失うんですが、その時も夢の中で少年の姿をして現われる。夢の中の少年ガエルは、世界を覆い尽くす暴力に絶望しきっているんですが、その時、彼に話しかけるものが現われます。それは巨大な蛇状のもので、ガエルに世界の変革を説きます。「君たちあらゆる人間は、人生が与えてくれるはかりしれない贈物を忘れてしまって、社会という首枷をはめられた囚人になってしまっている。金と見た目以外にはなんの価値もない、君がいる世界はそんなところさ。君はそんな世界を変えることができる」(説教くさいな…)。上の引用もガエルと蛇のやりとりですね。
 「カバラ」というタイトルで夢に蛇(ウロボロス? そして主人公の分身?)とくれば、ああ、なるほどって感じになるんですが、ガエルはこの暴力に満ちた世界を更新するする存在として、徐々に特殊な力を示し始めます。
 怪我を負って病院に収容されたガエルは三度夢を見ます。どうやって世界を変えるのかと問う彼に、蛇が答えます。「手段を選ぶのは君だ… 君はこの世界が残酷だと思う?/だったら君も残酷になればいい。彼らの目を開き、社会という首枷から自由にしてやるんだ」。なんかやばいですねー。
 やはりというべきか、善であるはずの世界変革の夢が、ここで過剰な暴力へと転じてしまいます。退院し、恋人(?)キャロルと連れだって家路についたところに絡んできたチンピラたちを、ガエルは必要以上に痛めつけてしまう。自分自身の力に混乱した彼は、キャロルに対してもつれなくしてしまいます。そして四度目に夢を見た時、現われたのは少年ガエルではなく、今現在のガエルであり、歯止めが効かなくなった暴力に泥んでいくのでした。現実と夢の間のバランスが壊れていくところがなかなか魅力的です。
 12月のオフ会の時に実物を見た方もいるかもしれませんが、かなりマンガ的なテイストを持った作品です。そもそも登場人物を一貫して大人として描くのではなく、子どもとしても描いているところなど、BDには珍しい気がするんですけど、どうなんでしょう? 登場人物の統一性が崩れてるみたいな… また、物語の内容的にもそうですが、スピード感あふれるコマ割が特にマンガを想起させます。現在3巻まで出ている模様です。話が完結したところで、一気に通読したいですね。1年に1冊ペースは罪つくりです…

コメント(6)

ショードヴァルさん、
細かい紹介書を書いてくれてありがとう。
実はKabbaleは3巻で完結です。3巻目はやっと先月フランスで発売され、宅急便で家に届きました。今度3巻目を渡します。
「なるほど、カエルだから蛇の夢を見るのか。フランスでも蛙と蛇とナメクジは……」などとあらぬ事を考えてしまいました。
>Freddo さん
あ、3巻で終わりなんですか。それはよかった。気をもまなくてすみそうです。

>有さん
あはは。面白すぎです。ガエル―カエルって連想は思いつきませんでした。でも、ガエルで変換すると蛙って出てくるんですよね。
12月の機会に見せてもらいましたが、
「かなりマンガ的なテイストを持った作品です」というのはまったく同感でした。
圧縮・解放を使うコマ割りや、登場人物の視線を描いた構図が
印象的で、作品名をメモした覚えが(その後なにもしてませんが)。
主人公はBD作家を目指してる人だったんですね。
フランスの「まんが道」だと思っておきます。
 『Kabbale(カバラ)』、第2巻「Carole(キャロル)」読了しましたー。例によって Freddo さんにお借りしました。Freddo さん、ありがとうございます!
 さて、物語はこちらの紹介(http://livre.ambafrance-jp.org/article.php3?id_article=308)にあるように、何をやってもうまくいかないガエルの日常を描きます。恋人キャロルとの関係がうまくいかないために他のあらゆることもうまくいかないって感じですね。第1巻で前面に出ていた暴力的な世界に対する憤りというよりは、個人的な恨み辛みの方が先行している感があります…
 興味深いのは、1巻でガエルの夢の中のもう一人のペルソナとして現われていた少年が、2巻では客観的にガエルを眺める存在として描かれていることで、彼は一人受難に耐えるガエルの姿を見て涙を流します。すると、常に少年と一緒にいる蛇(?)が「彼を助けてあげたくないの? 今がその時だ」、「世界を変える時が来たんだ」と言って、第2巻は終わります。博愛家ガエルの希望を満たすべくすごいことが起きちゃいそうな予感がしますねー。というか、実際にはもうすごいことが起きちゃっている様子で、以前ガエルとキャロルを襲ったチンピラは病院に入院していたりします。ただ、この辺の経緯については詳しい説明がなく、想像するしかありません。ガエルが彼を襲う夢とも現実ともつかぬシーンが描かれていたりはするんですが… ガエルの中に潜む暴力的な人格がチンピラを襲ったんでしょうか? 主人公をハッピーにするべく世界を変えるというのがかなり危険な感じですが、この辺をどう評価したらいいのかは3巻を読まないとまだちょっとわかりません。
 まあ、それはともかくとして、コマ割とか顔の表情とかはかなり日本人受けしそうな感じです。基本的にアンニュイな(?)雰囲気の中で物語は展開していくんですが、そんな中にもユーモアがあって、ガエルと彼の親友ダヴィッドのやりとりは読んでて楽しかったりします。さりげなく『らんま 1/2』のPちゃんが描かれてあったりするのも楽しい。一方で、本巻副題の「キャロル」というのはあまり合点がいきません… たしかに冒頭はキャロルの回想から始まるんですけど、その後特に視点人物になっている様子もないし… 1巻がガエルだったから2巻はキャロルでくらいな感じなんでしょうか?
 『Kabbale(カバラ)』、第3巻「Automne(オトン)」(2006年)読了しました。「Automne」とは「秋」のことですが、固有名詞として使われているので、そのまま「オトン」と読むことにします。物語の概要は以下の通り。

 放心した状態で街に佇むガエルに蛇(?)が力を貸します。一種の超能力を獲得したガエルは無意識の内に街を破壊してしまう。燃え上がる街から彼を救い出したのはキャロルによく似た少女オトンでした。彼女から事件の一部始終を聞いたガエルですが、自分が大惨事を引き起こしたということに納得ができません。が、少しずつ記憶を取り戻すとともにいたたまれなくなって外に飛び出します。再び街に出て、警官と一悶着起こし、怯えた群集から迫害を受けるガエル。再び無意識の内に超能力を使い、自分の部屋に戻りますが、全てが嫌になり、自分の商売道具である手をガラスの破片で傷つけます。その場に駆けつけた友人たちが彼を病院に運び、事態は沈静化していきます。ただ、全てが元通りというわけではなく、退院したガエルにキャロルは別れをつげます。一方で、以前ガエルが傷つけたチンピラ、カリムが病院から逃げ出し、何やら不穏な動きを見せ、彼を救ったオトンが再び彼の前に姿を現わします。

 という感じで要約してみましたが、この作品3巻で完結してるんでしょうか? なんか最後のページにガエルの力は悪にもなれば善にもなる、どう使うか自分で選ばなければならないというようなナレーションがあって、終わってんのかなという気もしますが、いくつかの複線を張ったままにしてあるところを見るとまだ続くんじゃないかと思います。それにしても、ちょっと急に物語の統一性が失われてしまったような印象を受けました。オトンは以前ガエルから生きるための力をもらった少女というような設定になってるんですが、経緯が描かれているものの、寓意的でなんだか要領を得ませんし、キャロルも今までいい娘だったのが、急にやな女になっちゃったし… 今まで重要な位置を占めてきたガエルが描いている漫画作品もどこかいっちゃって… いきなり超能力戦争(?)になっちゃってんのもびっくりで、『アキラ』と『ARMS』を混ぜたみたいな感じになってます。これで終わりだったら微妙だなあ… 絵はほんと馴染み易いんですけどねー。絵に力を注ぎすぎてシナリオまで力が回らなかったんですかね… 思うにやっぱりBDってページ数が短すぎるんですよね。マンガなら軽く10巻とかいっちゃいそうな内容ですよ。

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