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BDについてもっと知りたい!コミュのBDとマンガ

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 BDとマンガの比較ってのは非常に魅力的なテーマなんですが、僕なんかはどちらに関してもまだまだ読んでる量が少なく、簡単に手をつけられません。つい最近、夏目房之介の『風雲マンガ列伝―いま読むマンガ 116 冊』(小学館、2000 年刊)という本を読んでたら参考になる部分を見つけました。とりあえず、この本で言われていることを枕に、この問題について切り込んでみたいと思います。
 参考になるのは、巻の26「マンガ展と日欧マンガの文法」と巻の27「マンガと世界をつなぐもの」という 2 章です。巻の26 で紹介されているのはエルジェ『タンタンの冒険 14 青い蓮』、ブノワ・ペータース(原作)、フレデリック・ボワレ、谷口ジロー(画)『東京は僕の庭』、林静一『改訂版 Ph 4.5 グッピーは死なない』、坂田靖子『エレファントマン・ライフ』で、巻の 27 で紹介されているのが滝田ゆう『寺島町奇譚(全)』、清谷清一『ル・オタク フランスおたく事情』、スコット・マクラウド『マンガ学』、大友克洋『AKIRA』です。
 ちょっと長くなるので、下に書き込みます。

コメント(20)

巻の26、『タンタン』を紹介した文章の中にこんな件があります。

「フランスを中心に、バンド・デシネ(BD)とよばれる一群の芸術的なマンガがある。私はくわしくないけど、たとえばメビウスは大友に影響を与えたことで日本でも有名になった。必ずしもフランスのマンガだけではなく、イタリア、ベルギー、スペインのアーティストもふくまれる。鑑賞するかぎりでは、これらはホントにすばらしいのである。
 問題は、日本人にとって、これらが必ずしもマンガとして面白くないってことなのだ。(引用者註:1998 年、日本橋三越で開かれた「フランスコミックの世界展」の)出展者の幾人かは、意欲的な日本の雑誌(モーニング)に載ったことがある。私もみたが、読もうという気がおきない。
 あまりにも周囲と異質で、絵の完成度や 1 コマへの美的執着が重すぎて、軽く話を読めない。逆にいうと日本のマンガは、読みの軽さのために絵を記号化し、類型化しているのだろう。」(p.216)

BDとマンガのコマについて考えるのに参考になると思います。コマ内部の問題、コマとコマの接続の問題… いろいろ違いがありそうですよね。
同じく巻の26、『東京は僕の庭』の紹介にはこんな記述が。これは夏目自身の意見ではなく、『僕の庭』にトーンワーク・アーティストとして関わった谷口ジローのコメントです。『僕の庭』解説の孫引き。

「ボワレさんの絵の特徴は、白と黒のコントラストが明確で、そのひとコマごとが、強いタッチの完成された構図で描かれている。そのため読者の目がコマに捕まって、停止してしまうことになり、物語を少し読みにくくしているのではないか気になった。そこで私はスクリーントーンによって画面にハーフトーンが加わり、もう少し絵の柔らかさや立体感が出せるのではないだろうかと思った。」(p.219)

ちなみにこの作品は初めてスクリーントーンを用いたBDだそうです。
BDと漫画。
日本の漫画はともかく、BDの方に関してほぼ無知の状態でして、比較できるほど私は読んでいないのですが、思いついたところを二つほど書かせていただきます。

まず、日本の漫画がBDと顕著に異なる箇所は、「コマのぶち抜き」があるところが、一つ挙げられるかと思います。

日本の漫画、特に少女漫画に顕著なのですが、絵の「枠」であるはずのコマが、コマの役割の十分に果たしていないことがあります。
すなわち、フレームになっているはずのコマの枠を、キャラクターがはみ出していて、それが、作者が見て欲しい箇所を強調するのに役立ったりするんですが、
これをやるのはBDと比較した、日本の漫画の特徴の一つではないかと思います。
BDで、「三段ぶち抜き」で、キャラクターが描かれたりするものは、まずないものと思いますが、いかがでしょうか。

確か、少し聞いたことのあるところでは、外国において、日本の少女漫画を読ませると「何故、このキャラクターは枠をはみ出しているのか?」「このキャラクターは、一体どこにいるのか?」という疑問や、そもそもどういう順番で読んでいいのか分からない、と思われるようです。
…ただ、結構昔に聞き及んだ話ですので、今現在も同じ反応を示されるかは、正直分かりません。


もう一つは、ショードヴァルさんが引用された、

>絵の完成度や 1 コマへの美的執着が重すぎて、軽く話を読めない。逆にいうと日本のマンガは、読みの軽さのために絵を記号化し、類型化しているのだろう

という辺りにも関わるところにもなりますが、絵の記号化・類型化ということ以外にも「視線誘導」がBDは上手くない(というか、BDは、読者の視線を、いかにスムーズに流すかを意識してはいない)、という話を、確か「フランスコミック・アート展 2003」で、説明していたところがあったような記憶があります。
日本の漫画で、特に主要な少年漫画においては、吹き出しの配置等にノウハウがあると思われ、右から左、上から下への視線誘導を意識して、すっと軽く話を読めるように工夫して配置しているようです。
軽く読めるようにわざわざ配置しているので、普段はまず意識しないんですが、日本の漫画でも、あまり上手くない同人誌などを読むと、この妙が顕著に感じられます。

うろ覚えで恐縮ですが、こんなところが、私の知っているところです。
>りんちゃんさん
スコット・マクラウドの『マンガ学』、非常に気になっています。残念ながら新刊本では買えないんですよね。いずれ近い内に古本で買うと思います。とりあえず夏目氏の本で紹介されている『ル・オタク』は買いました。これはもう絶版になってるようですが、アマゾンのユーズドで無事落掌しました。ご紹介いただいた『Reinventing Comics』は『マンガ学』の続編ですかね? 『マンガ学』の原書は『Understanding comics』だと思います。丁度その情報が欲しかったところなので、とても助かりました。「あの岡田斗史夫さん」のご本を僕はまだ読んだことがないんですよ… ぜひ読まにゃならんと思ってるんですが…
>粋狂さん
熱い書き込みありがとうございます! 日本のマンガが発展する上で少女マンガが果たした役割というのは非常に大きかったようですね。僕が知ってる限りでは、夏目房之介、荒俣宏、高山宏なんかがその辺を論じています。少女マンガ以前では石森章太郎が画期的な仕事をしていたというようなことを上掲書および『マンガはなぜ面白いのか』(NHKライブラリー)で知りました。コマという観点からBDを考えた本があるのかどうかわかりませんが、そういう本があれば紹介したいと思います。僕はメビウスの『アルザック』を読んでいて、メビウスはコマよりも1ページを1つの単位として考えているんじゃないかと思ったりしたんですが、確信は持てません。語りの効率性というよりはデザインという印象なんですが… 視線誘導とかコマの切り返しは明らかにマンガの方がうまいと思います。ただ、ここ10年くらいBDの中に新しいタイプのものが出てきているということで、その辺がどういう語りのスタイルを持っているのか興味津々です。例えば、翻訳もある『ブラックサッド』なんかは非常に洗練された語りを持ってると思います。あと僕が読んだ限りでは『トロイのランフスト』や『時の鳥の探求』なんかもかなり洗練されています。具体的にどういう風にコマ構成しているのか考えたいですが、それは今後の課題ということで。
巻の27、『AKIRA』の紹介から。『AKIRA』の国際的な成功の背景にはコマ構成の問題があるという指摘のあとに次のような文章が続きます。

「日本のマンガのコマ構成はかなり複雑で、独特な読みかたを読者に要求する。少女マンガなんか、とくにそうだ。なれてるからみんな気づかないだけだ。コマが重なったり、空白が多用されたり、マクラウドのいう「間」が重要な要素になる。
 (…中略…)
 ところが『AKIRA』では、ほとんどこうした日本的なコマが使われていないのだ。単純明解な箱形のコマの連続である。そのぶん、大がかりなアクション描写の迫力でドライブ感をつくっているので、ぜんぜん気にならない。でも、これは国際基準として見れば、まことにわかりやすいのだ。
 大友は、もともと初期作品からそうなのだが、きっちりと箱形のコマを頁に並列させ、完成度の高い絵をすっきりと見せる。映画的なシャープなカットで出来事の連続、非連続を切りとり、出来事の飛躍の大きさでセンスの良さを表現した作家だった。」(p.228-229)

BDにもスタンダードなコマ構成とかってあるんでしょうか? あるいはそういうスタンダードを逸脱するような実験があったりするんでしょうか? 非常に気になります。
>ショードヴァルさん
「スタンダードなコマ構成」ということについて。
BDの場合、斜めに切ったコマや、いったん下に行ったコマからまた上に行くようなコマ構成が、ほとんど見受けられないような気がしますが、いかがでしょう。
ざっと拝見するに、1頁を3段くらいに切って、まずは横に流して、端まで行ったら次に下の段へ…、というのがBDのスタンダードといえばスタンダードなのではないかと。
…スタンダードというには、大雑把すぎますか?

大友に関するコマ構成についても。
大友が日本の漫画で、一つの流れを作ったということ(高い技術を要求するため、以降の漫画界に、ろくに後継者が出来なかったんですが)、そして、かなり特異な位置にいるのは、周知のことかと思うんですが、
特異なところとして、ショードヴァルさんが引用された「単純明解な箱形のコマの連続を用いていること」に加え、彼の作画が日本の漫画特有の「アップ」をほとんど使用しないで、「ロングショット」で描ききっていること、が挙げられると思います。
ロングで描いて、読者を惹き付けるということは、かなり作画(作画が×な場合、ストーリーがよほど優れているとか)に力がないと出来ないように思います。これができる漫画家って、日本では数えるほどしかいないんじゃないでしょうかね。

また「映画的なシャープなカットで出来事の連続、非連続を切りとり、出来事の飛躍の大きさでセンスの良さを表現した」という辺りに関わるところでは、大友は当初から、映像を強く意識していたことが窺われますね。
1ページにつき、4段の構成が主流だった『タンタン』から、3段構成に移っただけでも、真新しいものと捉えられていたそうです。マルタンも、3段構成を早くから取り入れた作家のうちの一人です。(BD作家JEROME PRESTI にも確認を取りました。)
マルタンのもとで長く『ルフラン』の作画を担当していたジル・シャイエも、そのスタイルで彼自身のシリーズを描いてきました。しかし、マルタンのエキップから外れたあと、ページの構成に変化が現れました。読者のほうは、見慣れないせいか、無理がある、なんて言ってますが、、、。

ジル・シャイエの『VASCO ヴァスコ』
http://www.lelombard.com/Univers.Album.cfm?AlbumID=2090&SerieID=2874
試験的(?)とも思えるコマ構成。
http://www.lelombard.com/Univers.Album.Planche.cfm?Name=2803619024pm1.jpg&IdAlbum=2090

ちなみにジル・シャイエの脚本作品『INTOX アントックス』
こちらの評価も高いです。
http://www.bandedessinee.fr/bd/intox_le_quatrieme_pouvoir.html

改めて、手元にある、竹宮恵子や大和和紀の作品を見ると、漫画独特といわれる、自由なコマ構成ですね。でも慣れているから、それが当たり前で、、、。
反対に、今、5歳半の息子に藤子・F・不二雄の『チンプイ』を読み聞かせていますが、この手の作品を読みなれてない私にとっては、ぎこちなく見えます。
>粋狂さん、アリスさん
 ご指摘ありがとうございます。BDとマンガの語り方の問題ってやっぱり面白いですよね。
 実際、僕が読んだ限りでは、「斜めに切ったコマや、いったん下に行ったコマからまた上に行くようなコマ構成」はほとんどありませんでした。見事なまでに長方形あるいは正方形のコマが並んでいます。四角形以外のコマを使うとしても、そのコマは語りの機能を持っていないような気がします。例えばメビウスは、『アルザック』で例外的な形をしたコマを使用していますが(左の画像です)、装飾的な目的で使っているだけで、日本のマンガのように心理的な時間などを表現しようとしている様子はありません。
 ただ、メビウスは他の作品(『The Long Tomorrow』ネット上で見ることができます。http://www.ultrawet.net/10cent/scan/moebius/ltm/moebius-ltm1.htm なんと5ページ分もあってそれぞれの画像を拡大できます。ただし英語版)でBD一般から見るとかなり大胆なことをしていて、例えば上に掲げたページ(真ん中の画像)では、主人公らしき人物が車(?)を運転している大きなコマが背景にあって、その前面には、時間軸にそって主人公の行動を瞬間的に切り取ったコマでしょうか、3つのコマが配置されています。
 また、次のページでは、右上のコマから人物がはみ出していて、しかもそのコマと下のコマの境界がなくなってしまっています。
 こうした構成がどういう意味を持つのかってことは、別に考えなきゃならないと思いますが、とりあえずこんなものもあるということで。

*画像が小さいと思いますが、サイトで確認してください。
で、上に掲げたメビウス(きっと他にもいろんな作家たちが実験をしてるんだと思うんですが…)のコマ構成は、今のBDにも受け継がれている様子で、例えば『トロイのランフスト』には、大きなコマの中に入った小さなコマ、二つのコマの上にかぶさるコマなどが見うけられます。アリスさんが紹介してくれた作品の構成とも似てますかね。もしかしたら日本のマンガの影響とかもあるのかもしれませんね。でも、こういう問題はBDの全体像がわからないと何とも言えません。こういう問題を扱ったBD関係の本ってあるんでしょうかね?
Wikipediaでバンド・デシネと漫画の比較の表を作ってみました。項目自体は以前からあります。
私の勘違いもあると思いますので、ひとつの情報共有の場として、どうぞご自由に編集してください。

http://tinyurl.com/avoaz
>ゆうじさん
非常に有益な比較、ありがとうございます。比較が多岐に渡っていて、BDとマンガの違いが一目瞭然ですね。オフ会の時にもお話させていただきましたが、キャラが立っているBDを見つけられるかどうかが、今後BDが日本に定着する鍵になりそうですよね。『Lanfeust de Troy(トロイ〈トロワ〉)』(こちらを参照ください→http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=2981172&comm_id=424387)は割とキャラが立ってるような気がしました。とりわけ脇役が魅力です。ただやっぱり感情移入しきれないんだよな… 個人的には「作者・作品同士の相関性」、「記号化」が気になります。マンガにとって引用ってすごく重要ですけど、BDはどうなんでしょう? メビウスなんて結構やりそうですけどね。
あるアイデアを1人がまねただけなら、パクリが問題化するでしょうが、日本では互いにパクリ合うのが常態化しているんですよね。オマージュとパクリが区別できていないのはまずいと思うのですが。

BDではアーティストの誇りがなかなかそうさせないのかもしれません。

また少々追加しました。

http://tinyurl.com/avoaz
今日見ると「BDの歴史」がいきなり増えてます。参考になるかも。

http://tinyurl.com/avoaz
>ゆうじさん
これ、すごいですね! リンクが貼られてるところってこれから文章が書かれていくわけですよね。って言うか、僕らも編集に加わっていいんですか? BDのエンサイクロペディアとして素晴らしいものになりそうですね! 分担してやっていけばかなり早くある程度のところまでいけそうじゃないですか? 作家の経歴とかはユマノイド・アソシエなんかのホームページに掲載されていたりするし。
ショードヴァルさん、

自分で執筆したり、「BDの歴史」のように、他の言語ですでに作成されている項目を翻訳したりなどは自由にできますよ。他のウェブサイトに掲載された文をそのまま翻訳するのはできませんが。

こういう項目も作ってみました。

漫画評論
http://tinyurl.com/7532c
Wikipedia の話題が出ているので、ちょっとだけ紹介を。
Wikipedia フランス語版では2005年1月に「BD ポータル」が作られ、2005年3月からは「プロジェクト・バンドデシネ」が立ち上がり専門性の高い(Wikipedia の)執筆者/編集者たちが活動しているようです。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Portail:Bande_dessin%C3%A9e
http://fr.wikipedia.org/wiki/Wikip%C3%A9dia:Projet/Bande_dessin%C3%A9e
> cu39 さん
情報ありがとうございます。これ凄まじいな… 通読するのにえらい時間がかかりますよ。いや、でもこれでいろいろと調べものはできそうですね。活用させていただきます。日本語版とともにコミュのトップページにリンク貼っときましょう。

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