V:ダヴィッド・ベーの影響はあなたの語りのスタイルと絵の描き方のどちらにも見てとれますね。 S:とりわけ絵の描き方についてはそうね。というのも、物語の語り方がよく似ていたとしても、私たちは人生の中の全く違った側面を強調しているんですもの。ダヴィッドに会う前も自分のスタイルは持っていたのよ。でもね、告白しちゃうと、私もバンド・デシネ(漫画)を描きたいって初めて思った作品が『L’Ascension du haut mal(大発作)』(日本語版:明石書店刊)だったの。クリフトフ・ブランのガール・フレンドのデルフィーヌが、私がフランスで初めて迎えた誕生日にプレゼントしてくれてね、もう一目で恋しちゃったわ。そして、こう思ったの。もしBDを作るんだったら、絶対このジャンルだって。たしかに私の線とダヴィッドの線は似てるわね。ダヴィッドの作品とわたしの作品を並べて論じてもらえるだけで、もう私、うれしくなっちゃうわ。だって、彼はまるで神さまのように上手に描くけど、私の絵がうまいなんて口が裂けても言えないもの。