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BDについてもっと知りたい!コミュの『La Fille du Professeur(教授の娘)』

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 Joann Sfar(ジョアン・スファール)原作、Emmanuel Guibert(エマニュエル・ギベール)作画・彩色『La Fille du Professeur(教授の娘)』(Dupuis[デュピュイ]、1997年刊)、読了しました。日仏学院の図書館で借りてきたものです。ちょうど Freddo さんが京都で行なわれている「エマニュエル・ギベール展」(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=19996237&comment_count=4&comm_id=424387)を紹介してくださったので、読んでみることにしました。ギベール作品を読むのは、『JAPON』に載せられていた作品を除くと、これが初めてです。有名なのは、共著ではありますが、今年のアングレームで受賞した『Le Photographe(写真家)』(現在3巻まで出てるのかな…?)でしょうか。『Le Photographe(写真家)』も日仏に置いてあるんですが、この作品は写真が挿入されていたりして、かなり異化効果の高い作品で、なかなか読む気になれずにいます。読み始めてしまえば、おそらく面白いんでしょうけど… それに対してこの作品は、彩色の点で特徴的であるものの、普通のBDなので、まずはこちらから読んでみることにしました。梗概は以下のとおり。

 舞台は19世紀末、大英帝国の首都ロンドン。高名な考古学教授の娘 Liliane(リリアーヌ)は、父親の留守を利用して、彼がエジプトで掘り起こし、ロンドンにある自宅に持ち込んだミイラのImhotep ?(イムホテップ4世)を外に連れ出す。イムホテップはミイラらしく全身を包帯で覆われているものの、生身の人間と同じように動くこともできれば、話をすることもできるらしい。リリアーヌは3,200年ぶりに眠りから覚めた彼を散歩に連れていき、一緒にコンサートを聞き、カフェで紅茶を飲んだりする。が、3,000年以上前の人間にとっては、どうやら紅茶は刺激が強かったらしく、イムホテップは酔っぱらって一騒動起こしてしまう。慌てて彼を連れ帰るリリアーヌ。運良く父親はまだ帰っておらず、一安心しているところへ、カフェでイムホテップが酔った勢いで侮辱した一市民が警官と一緒に殴り込んでくる。リリアーヌが機転をきかせて、2人に出す紅茶に、父親が所有している眠り薬を一滴たらす。これで大丈夫と胸をなでおろしているところへ父親が帰宅。眠り込んでいる2人の男に気づくと、彼はリリアーヌを難詰する。が、何やら様子がおかしい。男たちは眠っているのではなく、既に事切れていた。眠り薬だと信じて紅茶に投じたのは毒薬だったのだ… リリアーヌの危機を察知したイムホテップは教授に拳銃をつきつけ、彼女をさらい、逃避行を始める。国宝級のミイラに逃げられ、あまつさえそのミイラに愛娘をさらわれた教授は、警察に協力を仰いで2人の行方を追う。2人の運命やいかに…!?

 3,200年前のミイラが19世紀末のイギリスに甦り、時空を超えた恋に身を焦がす! ということで、大きく分類すれば、メリメとかテオフィル・ゴーチエを思わせる幻想文学的な作品ということになるでしょう。この手の作品は古代の美女に現代の男性が恋をするというパターンが多いんですが、この作品は逆のパターンで、それだけに主役のリリアーヌの魅力が際立っていると思います。特に前半部分の彼女はコケットな魅力に富んでいます。が、この作品の魅力を形容するとなると、ノンセンスという言葉の方が適切だと思われます。冒頭、何の説明もなくリリアーヌがイムホテップを散歩に連れ出してしまったりするあたり、そしてその後も、イムホテップがミイラであるにもかかわらず、普通に生活している(それどころか、過激なアクション・シーンを展開したりする)ことを全く説明しないあたり、非常にノンセンスで、読んでて楽しくなります。イムホテップが侮辱した紳士と警官が死んじゃうところも、全然深刻さがなく、その後、もう1人重要な登場人物が命を落とすんですが、そこも非常にあっさり描かれます(笑)。途中、イギリス女王が登場するんですが、これもまた途中から登場するイムホテップのお父さん(当然ミイラです)が彼女を引きずり回し、海に突き落とすシーンがあったりして、そのノンセンスぶりといい、仏製「風流夢譚」!?という印象を受けました。上でも少し触れましたが、彩色が独特で、カラーはカラーなんですが、全体的にグレーや茶系が主調になっていて、淡い雰囲気がかもし出されています。ところどころ背景がある種の抽象絵画のような滲んだ描かれ方をしていて、前世紀のロンドンのイメージにマッチしている気がします。ページ数は普通のBDより若干長くて60ページくらい。非常に愛らしい作品です。

* 表紙は古いヴァージョンかもしれません。Fnac で検索するとこれとは違った表紙になっています。

コメント(2)

これ、昔授業で読みました。
モノクロコピーだったので、この画像をみてこんな色だったのかとちょっと感動の再会です。

ストーリーは、おっしゃるとおりかなり脈絡が無くて、「こんないい加減でいいの?」「殺人じゃん?」という感じでどんどん進んでゆくので、そこに深い意味合いを求めようと深読みしていた生徒には「???」の連続でした。
その後、スファーの他の作品を読んだので、同じ人が作者なのか信じられませんでしたが、ナンセンスで人を小馬鹿にしたようなスピードと軽さは、やはりスファーらしいかもしれませんね。
今読み直すと、もうちょっと違う印象になったかもしれませんね。

今度京都で個展をひらく作家が、この絵を描いていた人だったんですね。
原画を観てみたいです。
おお! それは先生もいい作品を選びますね。このノンセンスっぷりと洒脱な雰囲気は他に得難いものがあると思います。白黒コピーで読むとだいぶ印象が異なってしまうかもしれませんが…(笑) こういう佳作は探せば他にもいろいろありそうですよね。ぜひ開拓したいもんです。

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