以前 midoroma さんが紹介してくださった『MANDALA(マンダラ)』、読みました。表紙に「MANGA WORLD CUP」、さらに「モーニング SPECIAL EDIT 2007 Vol.1」とありますね。売れ行き次第では「Vol.2」もあるんでしょうか。楽しみですね。さて、内容ですが、「Side A」と「Side B」にわかれていて、「Side A」は普通に右開き、「Side B」は左開きで反対側から読むようにできています。収められている作品は以下のとおり。
Side A 王欣太(日本)「三界のスサ」 ひろき真冬(日本)「Out Of The Blue」 Sera(フランス)「Bar」 和泉雅巳(日本)「TRIBAL GEAR」 Fsc(シンガポール)「FLUSH」 Boichi(韓国)「Stephanos」 鈴木小波(日本)「燐寸少女」 NEMIRI(フランス)「KRA!」 Palumbo(イタリア)「Cut vs. RamaRRo」 福山庸治(日本)「ペットハウス」 永井豪(日本)「悪魔騎士」
Side B 陸明(中国)「記憶」 Tenuta(イタリア)「CARPE DIEM(今日を生きよ!)」 De Luca(イタリア)「PSICOMACHIA(我が内なる獣)」 Igort(イタリア)「baobab」
ごくごく簡単に感想を述べておきますと、個人的に面白かったのは、Igort(「イゴルト」と読むそうです)の「baobab(バオバブ)」と陸明の「記憶」、それから福山庸治の「ペットハウス」と Palumbo(パルンボ)の「Cut vs. RamaRRo(カット対ラマッロ)」で、とりわけ「baobab(バオバブ)」は非常に美しいと思いました。素晴らしいですよ、これ。パルンボの「Cut vs. RamaRRo(カット対ラマッロ)」にはミュータントのような風貌にオネエ言葉を駆使する「スーパー・マゾヒーロー」ラマッロというキャラが登場するんですが、これも悪くありません(笑)。イタリアの漫画事情は全く知りませんが、『MANDALA』に載せられた作品やフランスBD界への進出状況を考えるに、かなり豊かな土壌なんでしょうね。フランスの作家では、Sera(セラ)の「Bar(バー[フランス語的には「バール」。いわゆる「バー」と魚の「スズキ」の掛け言葉だそうです])」と NEMIRI(ネミリ)の「KRA!(ガキィン![衝突を表す擬音語だそうです])」が寄稿しています。「Bar」はいかにもBD的な作品という印象を受けました。好きだという人もいるかもしれませんが、僕的にはちょっとクサいかな…(笑) ネミリはモルヴァン原作の『Je Suis Morte(私は死んでいる)』の作画をしてる人みたいですね。日本の作家だとひろき真冬という人の「Out Of The Blue」がサイレントなんですが、すごくBDっぽい作品になってます。 こういったアンソロジーがどれだけ一般の読者の関心を惹くか興味深いところですね。個人的にはアンソロジーよりもそれほど古くはない古典的な作品の翻訳を単行本で出してほしいという思いがありますが、こういうところから関心が広がるのであればそれはそれでいいことですよね。去年出た日仏の漫画家による合作アンソロジー『JAPON』(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=3613061&comm_id=424387&page=all)ともまた違ったエンターテインメント色の濃い作品集だと思います。ただ、『JAPON』同様、その存在を知らない人がたくさんいそうで心配なところもあります… 本屋で探すのにも手間取ったし… 皆さん、応援しましょう(笑)。
昨日みつけて買いました。
面白かったのは、
Igort(イタリア)「baobab」
絵が可愛くて、淡々とした展開がいいです。ただ、漫画は句読点がないので、このような枠外のモノローグが多い作品だと、文章としての味わいというか余韻が消えてしまうようで残念です。
Palumbo(イタリア)「Cut vs. RamaRRo」
これでおかまの観客が出てきたら、そのまま日本の漫画のようですが(昔の大友とか東京ゴッドファーザーズの二丁目っぽい雰囲気という意味で)、しりあがり寿のすっとぼけた面白さのようなノリもあって、イタリア人でもこういう感覚のBD(というか漫画?)を描く人がいるんだなぁと、新しい発見でした。
フランスの作家に関しては、ショードヴァルさんと同じような感想です。
ひろき真冬(日本)「Out Of The Blue」
BDっぽくて、絵としての完成度が高いので素敵でした。