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BDについてもっと知りたい!コミュの『Orage et Désespoir(オラージュとデゼスポワール)』

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 Lucie Durbiano(リュシー・デュルビアーノ)作『Orage et Désespoir(オラージュとデゼスポワール)』(Gallimard[ガリマール]、2006年刊)読了しましたー。いやあ、読んだBDを紹介するの超久々です。ここしばらくも読んじゃいたんですが、なかなか書く時間が作れずという感じでした。さて、この本、普通のBDのアルバムよりはちょっと小さめでちょうどB5版ぐらい、持ち運びに便利で、僕個人にとっては好ましいサイズです。ページ数も普通よりははるかに多く、124ページ。「Bayou(バユ)」という叢書だそうで(→http://www.gallimard-jeunesse.fr/actu/Bayou.php)、Joan Sfar(ジョアン・スファール)が監修しているとのこと。どっかの記事で、日本のマンガの影響を受けて伝統的なページ数を越えるBDを監修してると言ってましたが、これのことだったんですね。『オラージュとデゼスポワール』を含めて、現時点で14点の作品が刊行されているもようです。近い内に紹介する予定ですが、この叢書の中のFlorence Dupré la Tour(フロランス・デュプレ・ラ・トゥール)作『Capucin(カピュサン)』という作品は読んでいて、どちらも中学生ぐらいの読者を想定しているのかなという印象を受けました。こういう若年層向けのボリュームがあるBDの登場は、BDが変わりつつあることを示しているような気がします。未入手ですが、やはり同叢書の Gipi(ジビ)作『Le Local(なんて訳せばいいんでしょう…?)』が非常に気になります(→http://www.gallimard.fr/bayou/l1.php)。さて、『オラージュとデゼスポワール』に話を戻しますと、同叢書の『カピュサン』と共に今年のアングレーム国際BDフェスティヴァルに受賞予定作品としてノミネートされました(→http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=14133620&comm_id=424387&page=all)。タイトルの『Orage et Désespoir』は文字通り読めば『嵐と絶望』なんですが、ここでは主人公である2人の少女の名前を示しています(上記「アングレーム」トピでは『嵐と絶望』と訳してしまっています…)。上の画像一番左が表紙ですが、その表紙の左が妹のオラージュちゃん、右が姉のデゼスポワールちゃん。当然ながらそれぞれの名前は2人の性格をなんとなく方向づけていたりします。さて、物語は以下のとおり。

 オラージュとデゼスポワールは父親に連れられてとある避暑地の別荘に着いたところ。2人には母親がいず、父は独身同様の気ままな生活を送っている。この別荘にも遅れてガール・フレンドが到着する様子で、その準備に余念がなく、2人の娘にかまけている時間はない。2人は2人で既にこの別荘を訪れたこともあり、気心の知れたボーイ・フレンドがいたりする。到着した当日、昼食を終えると、2人は早速ボーイ・フレンドのマルタンとピエールを連れてビーチに出かける。姉のデゼスポワールとピエールはお互いに好意を抱いている様子。2人がいい雰囲気で寝そべっていると、物売りの老人がやってくる。その奇異な姿に目を奪われる一同。と、突然老人はその場に倒れてしまう。触れると既に彼は事切れていた… 俄かに降り出す大雨。見ればオラージュの姿がない。デゼスポワールが不安に駆られオラージュの声をしきりに呼ぶと、どこからともなく1人の紳士がオラージュを抱きかかえて近づいてくる。どうやら「l’île aux mortes(死者の島)」まで泳いで行こうとして溺れかけたらしい。その島は、かつて1世紀以上前に学者とその妻、双子の娘とその弟、妹から構成されるある家族が住み、悲惨な事件をきっかけに一家が潰えたという伝説がある島だった… 老人のことは任せ、一同に帰宅を勧める紳士。デゼスポワールは一目でその紳士に恋をしてしまった… 翌日、町中で一同は紳士と再会する。彼を不審に思う一同をよそに、デゼスポワールは次第にその紳士と親密な関係になっていく。ある日、オラージュが目を覚ますと、ベッドにデゼスポワールの姿が見当たらない。不安に思ってマルタンとピエールを伴って捜索をはじめると、ある漁師がデゼスポワールらしき人物が例の紳士と思しい男と共にボートで「死者の島」に向かうのを見たという。何のために2人は死者の島へ向かったのか…? 3人はデゼスポワールの姿を追って島に向かう。彼らの運命やいかに…? そしてデゼスポワールに近づいた紳士の正体とは…?

 という感じで紹介してみましたー。傑作とまで言うつもりはありませんが、切なさと爽やかさが入り混じった読後感で、なかなか素敵な作品だと思います。ひと夏の冒険という感じで、なんつーか、小中高の頃に課題図書として夏休みに読まされる小説に似た雰囲気かなあ…(笑) これは全然悪口ではなく(笑)。会話も若者らしい活き活きとした表現が使われていて、読んでて楽しいです。おそらくは中学生ぐらいの女の子をターゲットにしているはずで、今まであまりなかったと思われるこういう作品が増えていくことは、BDの幅を広げる上でいいことのような気がします。版型と言い、テーマと言い、新しい挑戦という感じで、こういう作品がこれからも増えていくと楽しいですね。

コメント(4)

おおー良い感じですね!
思春期物は好物なので、気になります。
『Le Local』もいいですね。絵柄が魅力的です。
いい本を紹介して下さってありがとうございます。
絵が可愛いですね。こういうイラスト好きだなぁ。
それにしても主人公達のネーミングが凄くチャーミング。
二人が死の島に乗り込むっていうのが、なんかアルセーヌ・ルパンみたいで面白いですね。
こんど読ませてください。
かわいくて、会話の雰囲気も好みです。
とても面白そうです。

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