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BDについてもっと知りたい!コミュの『Le Lama Blanc(白いラマ)』

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 Jodorowsky(ホドロフスキー)原作、Bess(ベス)作画『Le Lama Blanc(白いラマ)』全6巻(Les Humanoïdes Associés[レ・ユマノイド・アソシエ]社、1988〜1993年)読了しました。原作者のホドロフスキーについては何度も言及してますが、作画家のベスは『Juan Solo(フアン・ソロ)』(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=5315145&comm_id=424387)の作画を担当している方とたぶん同じなんじゃないでしょうか。どこかでホドロフスキーが言ってましたが、彼の物語を活かすにはそれに見合った作画家が必要だそうで、それがメビウスでありブックであり…ということでした。おそらくベスもそういう作画家の1人なんでしょう。着色は他の人がやってるのかもしれませんが、けばけばしい色彩が強烈です。ややアメコミよりかも。でも、スピード感があってなかなかよいです。さて、梗概は以下のとおり。

 チベット仏教の高僧 Mipam(ミパム)は、ある時夢を見る。凧に乗り大空を意気揚々と飛び回る1人の若い仏教僧の前に戦闘機が現われ、僧を銃で撃ち殺す。僧は墜落し、大地はその血で真っ赤に染まってしまう… 折りしもチベットのすぐ近くには、アジアの富を簒奪せんとするヨーロッパ人たちがその姿を見せ始めていた。長い間予言に語り継がれてきた凶事の到来を察したミパムは、祖国の危機を救うため、年老いた今の体を捨て再び生まれ変わることを決意する。自ら命を絶つにあたって弟子の Tzu(ツー?)と Dondup(ドンデュップ)に新しく生まれてくる聖人の教育を委ね、寺院の運営を Migmar(ミグマル)に託した… 
ミパムの死後まもなく、寺院からほど近いさる町に3人の白人が到着する。その内の1人はキリスト教の宣教師 William(ウィリアム)で、残る2人は Gabriel(ガブリエル)と Susan(スーザン)というまだ若い夫婦であった。アジアの風俗に関心を持つ2人は、スーザンが懐胎したことを知ると、憧れのチベットの地で子ども産みたいと考え、ウィリアムがそれに同伴したのである。2人がもうけたこの子どもこそは、偉大なる高僧ミパムの生まれ代わりだった。3人はチベット人たちの反感を買ってしまうが、事情を知ったある修行者が仲介し、ガブリエル夫妻と住民たちの間を取り持ってくれる。が、キリスト教の優位を信じて疑わないウィリアムだけは強制的に村を退去させられてしまう。修行者のとりなしによって Kuten(クタン)と Atma(アトマ)というやはりこれから子どもをもうける予定のチベット人の夫婦が2人の面倒を見ることになった。
一方、ミパムに代わって寺院を取り仕きることになったミグマルは権力欲に取りつかれてしまっていた。やがて生まれてくるであろうミパムの生まれ変わりに自分の地位を脅かされることを恐れた彼は、呪術師に相談し、生まれた子どもを殺してしまう算段を立てていた… やがてクタンとアトマの間に先に子どもが生まれる。一同が誕生の祝いをしている場へ、死の神々を名乗る仮面をかぶった男たちが乱入する。彼らはアトマの子を奪い、剣の一突きで殺してしまう。ガブリエル夫妻と同じ場所にいたために、標的を見誤ってしまったのだ。恩人の子どもが殺されたことに激昂して、スーザンとガブリエルが男たちに飛びかかるが、彼らも男たちの犠牲になってしまう。臨終に際して、スーザンはお腹の中の子どもをクタンとアトマに託す。その場でスーザンのお腹から赤ん坊が取り出された。クタンとアトマは約束通りその赤ん坊を引き取ることにする。2人は父親の名を取って、彼を Gabriel Marpa(ガブリエル・マルパ)と名づけた。かくしてここに、高僧ミパムの生まれ変わりにしてチベットの救世主、白いラマ僧のガブリエルが誕生することになった。まだ己を待ち受ける運命を知らぬガブリエルは、心優しき養父母に囲まれてすくすくと育っていく。だが、そうした幸せな時代もやがて終わり、彼は自らの運命に対峙していくことになる…

 ということで、『白いラマ』紹介してみました。上は物語の発端を紹介しただけで、内容的には第1巻の三分の二くらい、これからいろんなことが起こります。武道の修行をしたり、寺院に入ったり、西洋風の教育を施されたり、イエティが登場したり、幽体離脱したり…(笑) 個人的には幽体離脱のシーン、好きです。師の1人ドンデュップに導かれて寺院の外の世界へと出かけていくんですが、現実のレベルと幽体のレベル(アストラル体とかなんとか言ってたような…)で外界を体験していくところがなかなかに美しい。注目すべきは主人公が子どもから大人へと成長するということで、これってBDの中ではかなり珍しいんじゃないでしょうか? ただいかんせんマンガと比べるとページ数が少ないので、エピソードがやや薄味かなという印象を受けてしまいます。もう1つ残念なのが、物語的にちょっと真面目過ぎるところで、メビウスと組んだ『アンカル』のようなユーモアが見られません。だいたい幼なじみの女の子とか登場させておいて、ドキドキするシーンを入れないなんて、ちょっと… ねえ? あ、でも、チベット人の生活に慣れきったガブリエルにウィリアム師が西洋風の教育を施そうと頑張るところとかは悪くないです。ダメ僧侶ミグマルがニセの救世主として擁立する Petit Jésus(プチ・ジェジュ[小イエス? すごい名前…])ってのがいるんですが、これがキャラ的に素晴らしいです。いつも鼻水垂らしながら、舌出しちゃったりして。そんなこんなで物語がもちっと膨らんでいたら、さらに面白かっただろうに…という感じでした。マンガみたいに主人公が成長するBDって他にもあるんですかね? 『ムッシュー・ジャン』の登場人物たちは年をとったりしますけどね…

* 画像は子ども時代のガブリエルと大人になったガブリエル。一番左は第1巻の表紙です。

コメント(2)

お疲れさまです。
なんだか相変わらず両親が殺されて生を受けるという、凄惨なスタートなんですね。
この人の話は、やはり親を殺されるというトラウマがモチーフなのでしょうか。
右の写真のコマの外まで紫色っていうページはちょっと斬新ですね。
abeille さん、ありがとうございます! ホドロフスキーはほとんど常に親を殺しますよね(笑)。うろ覚えですが、映画『エル・トポ』にもそんなシーンがあったような… 衝撃的な体験ということもあるでしょうし、象徴的な意味合いもかなり込めていそうです。でも、『白いラマ』のそれよりも、『フアン・ソロ』と『バウンサー』のそれの方が読んでて衝撃ですね。ページの作りについてはかなりマンガ的だと思いました。裁ち切りなんて普通に出てくるし。

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