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BDについてもっと知りたい!コミュの『Le Journal d’Henriette(アンリエットの日記)』

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 Dupuy(デュピュイ)& Berberian(ベルベリアン)『Le Journal d’Henriette(アンリエットの日記)』第1巻(Les Humanoïdes Associés[レ・ユマノイド・アソシエ]社、2000年刊)、読了しました。日仏のメディアテークで借りたものです。D & B については、以前こちらのトピでも紹介しました(http://mixi.jp/view_bbs.pl?page=1&comm_id=424387&id=3449850)。D & B と言えば、『ムッシュー・ジャン』ですが、これについては Kigalisoupe さんが全巻読んでいらっしゃるので、ご紹介をお待ちしましょう(笑)。さて、見返しのクレジットによると、『アンリエットの日記』は元々は1988年に Audie(オーディ)という出版社から出ていたようです(『ムッシュー・ジャン』の第1巻が1991年だから、『アンリエットの日記』の方が先に出てるんですね)。おそらく全3巻で、そのあとに続編的な『Henriette(アンリエット)』という作品が描かれていて、現在、第4巻まで出ているようです。

 短編集なので、要約紹介というのが難しいんですが、だいたいの雰囲気を… 主な登場人物はアンリエットと彼女の両親の3人。隣人やクラスメートなんかも登場しますが、1巻を読む限りではまだ固定キャラ化していません。高校生のアンリエットはぽっちゃりした体形に眼鏡をかけていて、自分の容姿にコンプレックスを抱いています。おまけに馬鹿で意地悪な(少なくとも彼女にはそう見える)両親に囲まれて、日常生活の鬱憤はたまるばかり… そんな彼女のストレス解消法は日記を綴ることで、直接口にはできない本音やかくあれかしという妄想をつらつらと書きなぐることでなんとか生きています。冒頭に置かれた「Journal d’Henriette(アンリエットの日記)」という白黒で描かれた短編を始めとして、都合8編の作品が収められています(冒頭以外は全て○月×日の日記という形)。アンリエットが日記に書いたことが漫画として再現されているというのが基本的なコンセプトのようで、しばしば彼女が日記を綴っている絵が描かれていたり、「日記さん」なんていう呼びかけが挿まれていたりします。彼女の妄想の暴走っぷりが楽しく、やせて大スターになることを夢見たり、家出をすることで普段は自分につらく当たる両親を思いっきり心配させようとしてみたり、さらには今の両親はにせもので、本当は高貴な家の出なんだと想像してみたり… まだ第1巻ということで、最近の作品と比べると洗練を欠いた部分は多々あるんですが、そんな中でも素晴らしい作品はいくつかあり、とりわけ最後に収められた日記が抜群です。――洞窟めいた場所でオルガンを弾くアンリエット。なぜか彼女はエレファントマンのような頭巾を被って顔を隠している。少し離れたところにあるベッドには1人の美青年が横たわっている。目を覚ます美青年。どうやら危険な目にあっていた青年をアンリエットが救出したというシチュエーションらしい。どうか素顔を見せてほしいという青年の懇願に、彼女はそれはできないと拒否するばかり。彼が無理やり頭巾をはずすと… ギャーッ! あまりの醜さに青年は震えあがってしまいます。この上にアンリエットという彼女のあまりに平凡な名前を聞いたりしたら…(アンリエットって平凡な名前なんですかね…?) と、ここで目を覚ますアンリエット。実は、今までの出来事は夢なのでした。なんでこんな顔に産み、こんな名前をつけたの…! 意地悪な親がわざとこんな名前をつけたに違いない! あまりの仕打ちに彼女はどこかに本当の親がいるに違いないと夢想したりします。しかし、そうしたところで現実が変わるわけでもありません。ひそかに枕を濡らす彼女を救ってくれたのは大好きなスター、ジャック・ブレルの歌でした。彼の歌を口ずさみ勇気を持った彼女は、再び夢に出てきた美青年に今度は説教してやります。人間は顔じゃなくて心なのよ! 青年は心を入れかえ、アンリエットの心の美しさに惚れこんでしまいます。そして、2人はハッピー・エンド。妄想万歳!

 『ムッシュー・ジャン』も含めて D & B の作品は、一般的に言ってリアリズム志向のBDの中では、かなり異色な気がします。登場人物が妄想したり、分身らしきものが出てきて登場人物に助言を与えたり(詳しく紹介はしませんが、アンリエットがやせた自分を夢想する話の中に、逆に太ったアンリエットも出てきて、彼女を誘惑するシーンがあり、何やら超自我 vs 無意識といった様相を呈しているのが笑えます)… こういう表現は日本のマンガにはかなりたくさん出てくるのにBDの中ではなかなかお目にかかれません。今まで読んできた中では『Litteul Kévin(リトル・ケヴィン)』(http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=8223474&comm_id=424387)には妄想シーンがありました。ギャグ漫画やユーモアものには同様なものがあるのかもしれません。今後開拓の余地ありです。

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