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BDについてもっと知りたい!コミュの『Ibicus(イビキュス)』

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 Pascal Rabaté(パスカル・ラバテ)作『Ibicus(イビキュス)』第1巻(Vents d’Ouest[ヴァン・ドゥエスト]社、1998年刊、全4巻)、読了しました。久しぶりに日仏学院のメディアテークで借りてきました。改めてチェックしてみるとかなり多くのBDがあることに驚かされます。これからもっと利用せねば。さて、なんでラバテの『イビキュス』かと言うと、前々回のBD研究会の際に takatakata さんが持って来てくださった同著者の『Les petits ruisseaux(小川)』というBDが非常に気になっており、とりあえず同じ作者の有名な作品から読んでみっかということになったわけです。『フナックBDガイド』でも紹介されていて、前から知ってはいたんですが、白黒で淡い感じの幻想的な絵を1コマだけ見る限りでは食指が動きませんでした… が、実際にページを繰ってみると…素晴らしい! 偏見はいけませんな… ここしばらくシュイテンばかり読んでいたので、なんか新鮮です。ちなみに、この作品には原作があって、アレクセイ・ニコライヴィッチ・トルストイという20世紀前半を生きたロシア人作家の『イビキュス、あるいはネヴゾーロフ・Pの冒険』という小説がそれです。おそらく日本語訳はありません(他の短編はいくつか訳があるみたいですね)。ということで、梗概は以下のとおり。

 物語の舞台は1917年2月、ロシア革命直前のロシア。混迷を極める政局に社会の関心が高まっていく中で、しがない会計士のシメオン・ネヴゾーロフも、友人たちが交わす政治談義の輪に加わって日々を過ごしている。ある日、シメオンは政治談義の余興に、故郷での奇妙な体験を披露する。家族の元を訪れにいった彼を1人のジプシー女が呼びとめる。彼女は彼の未来を見てやろうという。冗談半分で手を差し出すシメオン。彼女の予言は次のようなものだった。世界に災いが訪れる時、驚くべき冒険の末に彼は莫大な財産を手に入れるだろう。彼は、予言の言葉を語るしゃれこうべ、イビキュスの庇護を受けているのだ。友人たちはからかうばかりだったが、シメオンは心密かにこの予言を信じていた。革命への気運が着々と高まり、ツァーと軍隊の間に溝が生じるにつれて、市民生活も物騒なものになっていく。ある日、シメオンはロシア人に絡まれている外国人の古物商を偶然助ける。古物商の身の安全を考えて、自宅まで送ってやるシメオン。彼は古物商のコレクションに目を瞠る。男は外国へと亡命していく貴族の財産を買い取り、莫大な儲けを手にしていたのだ… 別の日、今度はシメオン自身が複数の貧しいロシア人に襲われる。追っ手を逃れて路地に入ると、そこは古物商の自宅の目の前だった。夜にもかかわらず扉が開いている。不審に思って中を覗いてみると、部屋が荒らされていた。古物商も何者かに襲われたのか、瀕死の状態で横たわっている。古物商は助けを求めるが、あろうことかシメオンは彼の息の根を止め、隠してあった金を奪って逃げてしまう… ついに大金を手にした彼は、住み慣れたペトログラードを去る。そして、革命が成ったロシアの時局に逆らうかのように、ネヴゾーロフ伯爵と名乗り、退廃的な生活に身を投じていく…

 ということで、『イビキュス』第1巻、紹介してみました。この後、新しい町(何という都市なのかわかりません…)に住みついたシメオンはアラ・グリゴリエヴナという女性画家との情事に溺れていくんですが、その辺りの描写が素晴らしい! 今後どういう風に展開していくのかも気になるところです。『小川』もそうなんですが、ページ辺りのコマ数が一般的なBDと比べるとかなり少なめで、3コマから6コマくらいで構成されています。また、場面と場面をつなぐナレーションがなく、セリフも少なめであるため(セリフがないページが6ページも続くところもあります!)、かなり読み易い印象を受けました。コマ割自体は単調ですが、コマ数が少なく画面が大きいせいか、そういったことはほとんど気になりません。こういうのは日本人にとっても受け入れやすいのではないかと思います。BDの特徴である絵に対するこだわりも十分に活かされるし。こういう作品は他にもあるかもしれませんね。

コメント(1)

 Pascal Rabaté(パスカル・ラバテ)作『Ibicus(イビキュス)』(Vents d’Ouest[ヴァン・ドゥエスト]社)第2巻(1999年刊)、第3巻(2000年刊)読了しました。これも日仏のメディアテークで借りたものです。梗概は以下のとおり。

第2巻
 ペトログラードを去り、新しい町(モスクワだそうです)で貴族としての第一歩を踏み出したシメオン・ネヴゾーロフ。革命の気配をよそに、退廃的な生活を送る日々が続く。アラ・グリゴリエヴナという女性画家と恋に落ち、Rtichtchev(何て読むんでしょう? 検討もつきません…)という怪しげな友人もできるが、革命が進行していく過程で、アラは行方知れずになり、Rtichtchev は豪奢な生活のせいで目を付けられ、革命軍の警察に捕えられてしまう。Rtichtchev が捕まるさまを目にしたシメオンは1人南へと逃亡する。汽車や馬車を乗り継ぎ Kharkov(カルコフ)へ。そこにはかつて彼自身がほんの一瞬だけ味わった貴族文化がまだ残っていた。Rebecca(レベッカ)と Nadia(ナディア)という娘と意気投合した彼は、酒場で Platonovitch(プラトノヴィッチ)伯爵なる人物との知遇を得、彼が所有しているという邸宅を購入することになる。憧れの伝統的な貴族生活に胸躍らせるシメオンだが、実際の生活は彼の想像とはかけ離れたものだった。邸宅の1階を陣取るドイツ兵たち、美しい景観の汚点としか見えない農民たち、さらには2人の娘たちとの破局… ドイツ兵たちの撤退によって安らかな生活を手に入れたのも束の間、革命の余波がカルコフにまで及び、農民たちの蜂起が起きる。着の身着のままで邸宅を飛び出したシメオンは、Odessa(オデッサ)に流れつく。そこで、今度はセミラピッド・ナヴザラキと名乗って羊毛の売買に手を染めるが、見ず知らずの人物に追い回されることになる…

第3巻
 ある日、自宅にいたシメオンは複数の男によって拉致される。車に押し込まれる時にふと見た男たちの顔の中には、彼を負い回していた例の男の顔もあった。彼が連れていかれた先は警察署だった。どうやら体制に反するアナーキストの一団を探しているらしい。彼は容疑者の1人として検挙されたのだ。しばらくすると、モスクワ時代の顔見知り Chamborain(シャンボラン)公爵も連れられてきた。彼も容疑者の1人らしい。旧交を温める間もなく別室に連れていかれるシメオン。そこには彼の他に2人の人物が尋問の順番を待っていた。尋問に口を割ろうとしない2人が拷問の末息絶えると、シメオンの順番が巡ってきた。恐怖に怯え、当てずっぽうにシャンボラン公爵の名前を挙げると、それが警察側が持っていた情報にぴったり一致。シメオンは辛くも一命をとりとめた。が、尋問官たちが拘留されているはずのシャンボラン公爵の元を訪れると、既にその姿はなく、代わりに見張りの警官が縛られていた… ようやく嫌疑が晴れたシメオンに例の謎の男が近づく。Liverovski(リヴェロフスキー)と名乗るその人物は対スパイ活動の調査官だった。リヴェロフスキーは、シメオンの羊毛売買の違法性につけこんで、彼にシャンボラン逮捕に対する協力を強要する。かくしてシメオンは、今度は体制側について活動することになる。シメオンの活躍もあって、やがてシャンボラン一行は捕まり、処刑される。その一部始終を目にしたシメオンは、対スパイ活動にさらに深く関わっていくことになる…

 2巻はいまいちでしたが、3巻は再び面白くなってきました。この要約で面白さが伝わるかどうかは微妙ですが(…)、時代の流れの中で、己の野心の達成を目指しつつも翻弄されていくシメオンの姿が興味をひきます。絵は相変わらず素晴らしいですね。リヴェロフスキーが渋い! 次の第4巻でシメオンの冒険もいよいよ終幕です。

* 画像は第3巻からです。文字が少ないところを選んで吹き出しを翻訳してみました。読めるかな… 禿頭の黒眼鏡がリヴェロフスキーです。渋っ!

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