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BDについてもっと知りたい!コミュの『目かくし鬼』(邦訳)

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 マックス・カバンヌ『目かくし鬼』(小澤 晃訳、講談社、1994年刊)読了しました。原作は Max Cabanes『Colin Maillard(コラン・マイヤール)』Casterman, 1989年刊です。これ読んでる方、どれくらいいるんでしょうか? せっかく日本語になっているのに今や古本でしか買えないというのが残念でなりません。何回か前のBD研究会の時に拝見して、絵が素晴らしかったので、それ以来気になっていたんですが、実際読んでみると内容もなかなか素晴らしいです。マンガと比べるとナレーションのせいで字が多いという印象はありますが、それでも決して読みにくいということはありません。
 物語は全6話からなっていて、いずれも作者の少年時代の姿をモデルにしたと思しい少年が主人公になっています。6話の間にそれほど密接な関係はなく(あるものもある…)、年齢も小学生くらいから高校生か大学生くらいまでの間で、作品によって幅があります。多くの場合、舞台は南仏でしょうか。海辺の風景と空の青が美しい! 一貫しているのが異性に対する関心で、同年代の女の子、あるいは年上の女性に対する興味や嫌悪や恥ずかしさ…といったものがノスタルジックに描かれています。ミサで出会う年上のポッチャリした女性に男の子たちが夢中になる話があるんですが、これなんてフェリーニっぽくて、個人的には大好きです(第4話「お姉さま」)。第5話の「レッスン」という話もいいですね。高校生か大学生の音大に通っている主人公が突然年上の女性に誘惑される話です。訳者の解説によると、この話は仏語版には収められておらず、日本の雑誌『ミスター・マガジン』に書き下ろされたものだとか。ちなみに同解説には『ベルボトムジーンズの頃』という『Colin Maillard』の続編がある旨も記されています。調べてみると『Colin Maillard 2 - Maxou contre l’athlète(マクスー対運動選手?)』というタイトルで1997年に出ているようですが、これでしょうか? どこからベルボトムが… それはさておき、訳者が解説の中で「目かくし鬼」というタイトルの由来について解釈を下しているので、引用しておきます。「『目かくし鬼』というタイトルはなかなか逆説的である。なにしろ、マー坊(引用者註:主人公のこと)は目かくしなどされていないどころか、かえって逆に、何ひとつ見逃さないように目を大きく見開いているのである。その実、彼には自分の見ているものの正体がわからない。目を見開きつつ盲目的に手探りで進む、という逆説…」。
 巻末にはこの訳者解説の他に、マックス・カバンヌ本人の「町内が世界だった」という自伝的な小文と大友克洋の「ヨーロッパコミックと私」という解説めいた文章が載っています。冒頭の1ページを解説しているんですが、さすが…!

* 画像は仏語版です。ちなみに真ん中の画像が第1ページです。

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