ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

BDについてもっと知りたい!コミュの『Les Terres Creuses(空洞惑星)』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 Luc et François Schuiten(リュック&フランソワ・シュイテン/スクイテン)作「Les Terres Creuses(空洞惑星)」シリーズ第2巻「Zara(ザラ)」(Les Humanoïdes Associées, 1985年)読了しました。これも例によって椿屋さんからお借りしたものです。椿屋さん、ありがとうございます! 先日、BD研究会の際にお借りしたんですが、シリーズものだということを一切考えていなかったため、2巻から読み始めることになってしまいました… と言っても、1巻から話が続いている様子はないので、全然問題なさそうです。あの『Les Cités Obscures(闇の都市)』のフランソワ・シュイテン(スクイテン)が実の兄弟リュックと組んでBDを作っているとなりゃあ、いやがうえにも期待が高まろうというもんです。さて、ストーリーを紹介する前にシリーズのタイトルについて言及しておくと、ネットで調べた限りでは、どうやらこれは、Raymond Bernard(レイモンド・バーナード)博士の『The Hollow Earth(空洞地球)』という本の仏語訳「la terre creuse」を複数形にアレンジしたものっぽいですね(ただ、この作品は地球が舞台になってるわけではないので、上の訳は「空洞惑星」としてみた次第です)。いわゆる地球空洞説! 澁澤、種村、荒俣あたりのファンだと、おお!ということになります(笑)。ちなみに地球空洞説についてはこちら(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%A9%BA%E6%B4%9E%E8%AA%AC)。こりゃあもうワクワクしないわけにはいかん!ということで、梗概は以下のとおり。

 成人を迎える前の少女 Olive(オリーヴ)が住む村では、湖の水の流れに合わせ絶えず村人たちが移動を繰り返している。移動は毎日繰り返され、決して同じところに留まることは許されない。オリーヴにはなぜこのような行軍を続けなければならないのか、その理由がわからない。大人たちに訪ねても、その理由を知っているものは誰一人としていなかった。ある日、オリーヴは好奇心から村人たちのもとを離れ、密かに同じ場所に留まり続けることにした。初めて味わう自由に酔いしれるオリーヴ。だが、やがて環境の異変に気づく。大地が徐々に傾斜していき、木につかまらなければ、立っていることもできなくなる。傾斜はさらに進み、いつの間にかオリーヴがつかまっている木は逆さまになってしまう。オリーヴが住んでいる世界では、重力が働いていないため、人間はもろに自転の影響を被ってしまうのだ(ただ、作品内で展開されるこの辺の説明はよくわかりません…)。ついにオリーヴは木からまっさかさまに落ちてしまう。湖へと墜落したオリーヴは、水底に奇妙な洞穴を見つける。そこをくぐり抜けると、驚くべきことにもうひとつの世界が広がっていた… この惑星ザラはオリーヴの村がある層とその下にも層を持つ、空洞惑星だったのだ… 危うく空中に投げ出されそうになったオリーヴだが、鳥とも人間ともつかぬ不思議な生き物が彼女を救ってくれた。彼女はそのまま彼らの巣へと運ばれる。特に危害を加えるわけではないが、不気味な鳥人間たちに怯えたオリーヴはその場を逃げ出す。彼女が逃げ込んだ先は、ほとんど女しかいない国だった。彼女はそこで、Nelle(ネル)という娘と親しくなり、その国の奇妙な風習を見聞することになる。折りしも、近隣の惑星に住む好戦的な男性民族が、ザラの女性ばかりの国の噂を聞きつけ、侵略を始めようとしていた… 惑星ザラの運命やいかに…!?

 シュイテン(スクイテン)作ということで、当然『闇の都市』シリーズと比較したくなるわけですが、個人的な感想を述べると、物語の面白さとしては『闇の都市』の方が上かなと思いました。ただ、絵的には十分素晴らしく、幻想的な風景や奇妙な建築、装置の魅力は健在です。でも、見せ場はそんなにないかな… 物語は大きく2つの部分にわかれていて(比重としては後半の方が大きいんですが)、前半がオリーヴの手記という形で惑星ザラの表面にある村の暮らしを白黒で、後半がザラの内部にある国の出来事をカラーで描いています。上の紹介では、オリーヴを中心に語っていますが、必ずしも常に彼女に焦点が当てられているわけではなく、いきなり話が変わったりして読者を混乱させます。空洞惑星の説明もかなり後の方にならないとでてきませんし… 興味深いのは、『闇の都市』が論理的な幻想であるのに対して、こちらはもうちょっとどろどろした部分がある点で、どっちかって言うと、動物、植物的なのかなあという気がします。女たちが侵略者の男たちを捕えた後が圧巻で、彼女らは男たちを、カマキリよろしく生殖用の道具として使い果たし、慈悲心など微塵も示しません。こういうヒューマニズムをつき抜けてしまった表現はこの作品の魅力だと思います。ちなみにリュック・シュイテン(スクイテン)についてはウィキペディアに項目が立てられており(http://fr.wikipedia.org/wiki/Luc_Schuiten)、ホームページもあったりします(http://www.sfere.be/2150/)。Archiborescence(アルシボレサンス)という概念が提示されていますが、樹木を生きたまま用いた建築というのが魅力的です。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

BDについてもっと知りたい! 更新情報

BDについてもっと知りたい!のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング