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戦史研究室コミュの日本本土決戦

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正式な作戦名は「決号作戦」。文字通り、すべてを「決」する作戦となるはずだったのが、幻と終った日本本土決戦でした。

コメント(8)

太平洋戦争において、日本軍が真剣に本土防衛を検討するきっかけとなったのが、昭和19年7月のサイパン島失陥でした。
大本営のある参謀は、アメリカ軍はサイパン攻略後、ただちに本土に攻撃をかけるのではないか、と狼狽したと言われます。この時、名ばかりの本土防衛部隊はありましたが、実際の防衛態勢はゼロに等しいものでした。

サイパンを始めとするマリアナ諸島の陥落は、日本の政戦略だけでなく作戦・戦術レベルに大きな影響を与えました。
まず、日本の指導者層に「敗戦」の予感を与えました。これは、その後始まるB29の本土空襲で国民にまで広がっていきます。
さらに、南方資源地帯を確保して帝国の自存自衛を図り、長期持久態勢を確立する、という戦争目的が、アメリカ軍を一度撃滅して連合国と有利な条件で講和を結ぶという「一撃講和論」に変わりました。何の裏付けもない手前勝手なものでしたが、1回は敵軍を壊滅させるという方針は、間もなく陸海軍を支配する原則となります。
さらに、マリアナの戦いの後、陸海軍とも、アメリカ軍とどのように戦うかについて自信を持った方法論を見出せなくなっていました。

陸軍は、ガダルカナル戦以来の対米戦の敗北の原因を、島嶼という特殊な戦場における火力発揮の不備にあると考えていました。このため通常、戦線1キロあたり2〜3門の火砲を配備するところを、サイパンでは5門配備しました。そして第1次世界大戦で効力を発揮した水際撃滅作戦を徹底するよう作戦指導を行いました。日本陸軍としては戦理に忠実な部隊配備を行い、理想的な戦術でアメリカ軍を迎え撃ったつもりでした。しかし、サイパン守備隊は、アメリカ軍上陸2日目にして組織的な反撃能力を失う大損害を出します。
一方、海軍は戦前から考えられていたマリアナ付近の艦隊決戦で簡単に敗北してしまいました。源田実軍令部員が自信を持ってすすめた基地航空隊「不沈空母」案は各個撃破され、海軍伝統のアウトレンジ戦法を実施した機動部隊は再建不能となるほど壊滅的なダメージを受けました。

陸海軍とも、マリアナ沖海戦とサイパン戦に自信を持って望み、全力を尽くして戦いました。それゆえ敗北の衝撃は大きかったのです。これに続く台湾沖航空戦、フィリピン決戦で陸海軍とも、ずさんとも言える作戦指導で大敗します。
そして、昭和20年をむかえると、本土決戦は現実味をおびてくるようになります。
>マリアナ沖は全力を尽くしたかって聞かれると
>おい!角田!
>みたいな感想しか出てきません
>航空機の無駄遣いしすぎで決戦するころにはなんも残って
>なかったじゃないですか彼

第1航空艦隊司令長官の角田覚治中将ね。見敵必戦をモットーにしていたようで、南太平洋海戦ではその闘志で戦果を挙げましたが、この時は戦闘機がまだ到着していないのに、淵田参謀の反対を押しきって攻撃機だけで攻撃を命じ、一挙に100機近い航空機を喪失。その後の戦闘に大きく影響してしまう結果になってしまいました。

まあ、あの時点での陸海軍としては、ベストの戦いをした「はず」と考えていたと思いますよ。ただ兵力、戦術ともはなっから米軍の相手ではなかったのですが。

本土決戦もしょせんは結論は明白なのですが、経過を追っていくと何か新しい視点が見えてくるかもしれないので、しばらく続けてみます。
日本軍の決戦兵器を検討するのも面白いですね。
殺人ビームは、電波を利用しようとした「怪力線」=「く号計画」のことでしょうか。他にも、
人工雷雲生成=「う号計画」・・澱粉の微粉に帯電させ、これを大量に空中に散布して帯電雲を生成しようとするもの。
高圧電気=「か号計画」・・高圧電気の殺傷・破壊効果を戦場で武器として応用するための研究。
幻惑光線=「き号作戦」・・夜間、強力な光線を放射、「目つぶし」的効果を狙ったもの。
決戦兵器=「け号計画」・・航空用爆弾に熱源誘導装置を取り付け、投下後、自動的に敵艦に命中させる。

いろいろ出てきますが、陸軍が最後まで期待していたのが「け号計画」で、この誘導装置の開発に期待していたがため、海軍ほど特攻作戦に熱心ではなかったという説もあるほどです。
難しいトピの立ち上げありがとうございます。
僕は「歴史群像」程度の知識しか持ち合わせてないのですが
この本土決戦に際し陸軍は相当頑張って動員かけてますよね。
質は兎も角、なんかの資料を見たときよくぞ此処までと思った記憶があります。大日本帝国が計画した最後にして最大の計画なので途方もなくなるとは思いますが。色々教えていただけると幸いです。
>フロム様
「歴史群像」は私にとっても重要なネタ元なので記述がダブルかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
書き込みが続いても、どんどん割り込んで下さい。

・・昭和20年1月20日、大本営は「帝国陸海軍作戦計画大綱」を天皇に上奏、裁可されました。「帝国陸海軍作戦計画大綱」は陸海軍最初にして最後になった統一作戦計画ですが、マリアナ、フィリピンであらかたの艦艇と航空機を失った海軍は実戦力はなきに等しく、陸軍主体の本土防衛作戦計画でした。
作戦計画では、第一段を南西諸島(沖縄)、小笠原(硫黄島)で持久、そこで時間を稼ぎ、第二段を本土決戦とするものでした。
予想される連合軍の本土上陸は昭和20年秋。それまでに九州、朝鮮南部、関東の防衛準備を優先的に行うとされました。九州と朝鮮南部が優先されたのは、主目標への上陸前にその足掛かりとなる地点を奪取するというアメリカ軍の作戦パターンから導き出されたものでした。
それより前、昭和19年7月頃から日本国内で、本土防衛のための部隊編成と陣地構築が始められていました。
昭和19年7月20日、九州の志布志湾、宮崎海岸、薩摩半島の沿岸築城が開始。
昭和19年7月24日、7月6日に動員された師団の内、第81、93、戦車第4師団を基幹とする第36軍が編成。関東地方の防衛に当たることになりました。

その後、続々と本土防衛部隊が編成されますが、日本国内に野戦部隊が展開するのは西南戦争以来で、作戦計画の上でも日露戦争をひかえた明治36年(1903)の守勢作戦(ロシア軍に対する本土防衛戦計画)以来のことでした。
ここで問題になったのが、国内に展開する野戦軍を規範する法律(軍令)が制定されていなかったことでした。このため、物資の取得、宿営地の設定といった作戦準備を行うにあたり、軍事行政を司る部門や地方自治体との軋轢が生じることになります。

一方、日本陸軍もようやくアメリカ軍の力を正当に評価するようになり、日本は火力・機動力ともにアメリカ軍に劣っているという認識のもとに、いかにしてアメリカ軍と戦うかという対策を模索するようになります。
まず、水際撃滅作戦を基本とした島嶼防衛策の見直しが図られ、昭和19年8月19日に「島嶼守備要領」、10月には「上陸防禦教令(案)」が編纂されました。ここで初めて水際防禦と反撃が不可能と判断され、後退配備と地形を生かした縦深防御で対抗するよう指示されました。
また、作戦のための基礎情報資料として「敵軍戦法早わかり」(大本営陸軍部第2部欧米課員堀栄一少佐が中心となって編纂)という小冊子が作成され、具体的な数値と統計でアメリカ軍の戦術や戦力が解説されました。
例えば、戦艦の艦砲射撃の弾量は5個師団分、海兵師団と日本軍師団の火力差は2.5対1である・・など。さらに上陸作戦の事前空襲パターンの解析や海岸堡設定と内陸への侵攻時間などが記載されていました。

こうしたマニュアルは、ペリリュー、硫黄島、沖縄などの防衛作戦の準備に利用され、その善戦に貢献することになります。そして、本土決戦の防衛作戦にも利用されることになります。
昭和19年10月になると、九十九里浜と相模湾で沿岸築城が開始されます。
沿岸築城は水際より後退した地域の山腹に洞窟を掘る形で構築されました。本来、水際に構築されるべき対上陸陣地でしたが、艦砲射撃を含めたアメリカ軍の激烈な砲爆撃に耐えられる陣地を築く資材が準備できなかったのです。
同時に、防衛を担当する各師団は、作戦地域の兵要地誌調査を始めました。日本陸軍は日露戦争以後、外征軍隊として準備されたため、改めて国内の兵要地誌を調査する必要があったのです。
調査の主眼は敵戦車進撃の阻止と反撃のための交通路調査にありました。このため調査班は、橋梁の耐久度や河川の水深調査の他、地形図に載らないほどの微細な地面の高低をひろいあげ、射撃時に死角になる場所や、観測点、射撃点を細かくチェックする作業を行いました。

こうした実際的な実験と作業の結果、昭和20年3月16日に「国土築城実施要項」が全軍に示達され、国内の陣地構築が本格化していきます。
これ以前に決定された「帝国陸海軍作戦計画大綱」と合わせると、大本営が想定した本土決戦は以下のようになります。
1 洋上および泊地までの間を海軍を主体とする特攻作戦で減殺。
2 沿岸配備師団(拘束兵団)は沿岸の丘陵地に構築した陣地に立て籠り、出来るだけ敵を引きつけ時間稼ぎをする。
  具体的には敵の艦砲射撃と爆撃を避けながら上陸軍の内陸進出を食い止めるとともに、海岸堡へ重砲による砲撃を集中し、これにより海岸堡内の敵を消耗させ、かつ海岸堡の設定を妨害する。
3 この間、強力な砲兵群を伴った機動打撃師団(攻勢兵団)を沿岸部後背地に集結させ、その集中完了を待って、砲兵の支援下、一気に海岸堡に突入する。

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