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人と自然コミュの時代を駆ける?有機農家

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時代を駆ける?有機農家

毎日新聞朝刊には連載コラム「時代を駆ける」が続いていて、色々な業界などでユニークな仕事、活動をしている人を取り上げ、人ごとに5,6回続きの記事です。7段分のスペースが数回続いて書かれますので、ある程度詳しいルポになります。
 数ヶ月前には、有機農家としては著書もある金子美登(かねこ・よしのり)氏が登場しました。埼玉県比企郡で「霜里農場」の代表です。検索でも「カリスマ」と書かれているくらいなので、調べるといくらでも情報がわかります。

 そして、一昨日から「時代を駆ける」に登場したのは星寛治(ほし・かんじ)氏です。山形県高畠町で有機農業を実践された先駆者です。71年に日本有機農業研究会の発足に関わり、高畑町内で研究会も結成。以後、高畑町は有機農業のメッカとも呼ばれています。この方も著書があります。

 それにしても、ひとつのコラムに有機農家が2回も登場するのは、どういうことなのでしょうか。有機農業が注目されているのでしょうか。この話題はいつもメディア先行で実態が弱いのです。「有機農業ブーム」だと勘違いして有機農業へ若い人たちが新規参入するのは、ちょっと待ってください。


 2006年12月に「有機農業の推進に関する法律」略して「有機農業推進法」が制定されました。国や地方自治体が有機農業を推進する体制を作らなければならないという内容のものです。

 それで、少しずつですが、国の出先機関である農政局や県農業部、町農水課に動きが出てきました。
例えば、7月5日に、30年前から有機農業を実践されている先駆者Mさんの報告・見学会が役場で開催されます。今年になって、農場が「環境保全型農業者」の認定を受けて、役場からこのような通知が来たわけです。

 それはともかく、同じ町内でもあり、Mさんが有機農産物を供給しておられる流通団体のことも私は詳しく知っていますし、生産者としての営農作業も見ていますから、大体のことは解るんですが・・・。

 町の南の方の丘陵を切り開いて広大な国営開発農地・パイロットファームの建設が進んだのも30年前です。愛知用水の元栓が畑ごとに作られて、農業用水も便利です。そして暖地です。広大な農地・農業用水・暖地そして、同じ頃に立ち上がった有機農産物流通団体。このような好条件が揃ったことでMさんは有機農業を実践して来れました。ある程度の量の農産物供給先が確保できているので、持続できたのです。他に2軒の有機農家があり、同じように名古屋などの流通団体に供給できているようです。

 しかし、若手の新規参入者になると、供給の事情は非常に厳しいものがあります。名古屋市の中心部・栄のオアシス21広場で、毎週土曜日に朝市ファーマーズマーケットが開かれています。有機農産物朝市です。当農場は月2回玉子を中心に出品していて、時に野菜も持って行きます。消費者に有機農産物の供給の場を作って定着した、この朝市は非常に高い評価を受けていますし、有機農家にとっても供給先としてとても貴重な存在です。
 若い農業者の出店が多いのが特徴。岐阜県白川町や中津川市から、三重県から、また三河の岡崎市、渥美半島から、そして知多半島からも毎週参加する農家が多い。ずいぶん遠くからやってきます。前夜か早朝から農産物を用意して、(経費節約のため)高速道路を通らないで下の道を使って来るのは普通のことのようです。各農業者が独自の供給ルートをある程度確保できているのなら、「朝市に毎週参加」しないで済むはずですから、自前の供給先を確保できていないか少ないというのが実状だと思います。
 有機農業による農地使用率は0.1%程度であり、有機農産物の消費量(JAS有機)は0・2%程度。消費量が増えたという話は聞けません。これが有機農産物需要の実態であり、現状です。私は最初から、まず有機農産物の消費者の拡大が必須であるとの認識でしたので、生産者同士の情報交換や糾合よりも、共同購入グループや流通団体の成長に関与・協力してきました。それなくしてはいくら若い人たちが有機農業に新規参入して、技術を高めても販売先が無いとか乏しいという事態にぶつかりますし、上に書いたような現状が起こっています。

 「有機農業推進法」は有機農業の生産現場での拡大・便宜を図ることが狙いなのですが、それだけでは足りない。有機農産物の需要の拡大のための施策が必要です。有機農業は化学肥料や農薬を使わないことが大前提ですから、なかなか大規模化できないし、面積に見合う堆肥の確保も散布も大変です。雑草処理や害虫の被害防止など、なかなか完璧にはできませんので、生産が安定しない面もあります。
 それでも、客観的に環境や生物とは共生関係にににありますし、安心できる農産物を供給できます。ですから、有機農業が広がってほしいのはもちろんなのですが、相変わらずのマスコミ・メディアの情宣が先行していて、需要がついていっていないのです。

 もしも、回りに新規に有機農業へ参入したいという若い人たちがいたら、供給先はあるのかどうかをまず確認されることをお願いします。生産のための技術指導や助言くらいしか直接には応援できないのはつらいものがありますが、ある程度供給先の目途がなければ、有機農業に参入してはいけないのです。

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