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NYAKATAの部屋コミュの【チョコレート】

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411さんより お題をいただきました☆

さぁ皆さんダッシュ(走り出す様)物語に挑戦ですw  

妄想の世界を共に+。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。+



ポイントは 411さんの冒頭。この雰囲気を保ちつつ...
一行でも良いようですよ♪

では....

ゆるやかに スタート。ヽ(。・ω・。)

****************************************

少しずつ、で構いません。

この物語(?)の続きをどなたか書いてくれません?その続きをまたどなたか…
(ボクもその続きに参加、してもいい?)


方向性、ボクの意図あたりはあまり気にしなくてかまいません。



ごく、自由にお気楽に。



どなたか、たったこれだけの文に、他のどなたかが継ぎたくなるような続きを是非。

****************************************

タイトル【チョコレート】



『塗ったばかりのマニキュアが少し剥がれた程度のことでも、彼女はひどく癇癪をおこしました』



サトシは少し大袈裟な身振りで話すと、しまいに肩をすくめて見せた



鈴鹿サトシ。22歳。病的に色白で胸板は薄い。



さっきから休むことなく動いている手、及び指先は父親、母親どちらに似たのかスベスベして華奢で産毛の一本ないように見える


(by411)
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電球【チョコレート】雑談コーナー作りましたw(質問・訂正とかもいーんじゃない?)
こちらも どうぞご利用下さいm(uu)m
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=36930403&comm_id=3771270

コメント(39)

指先は親の資質がハッキリと表われる箇所

父のように気高く
母のように優しい

彼女はそんな事に意味を見出だすつもりもなく

その白く長い指先で、直接アイス・ココアチョコレートの氷をかき混ぜ、
こうつぶやいた‥
「それで.....サトシくん。君がさっきから弄っているその指輪なんだけど。」

サトシの華奢な手が 一瞬ぎくりと止まった。

彼女は そんなサトシの様子を見て面白そうに笑った。
そして、指に滴るアイス・ココアチョコレートを舐めながら続けた。

「あなたの そのスベスベした指に似合いそうね。それとも何か 曰く付きの指輪なのかしら?」
「うん‥、外せない指輪なんだ。今、訳は言えないけどいずれ解ってくれる時がくるよ。」

「ずるいわね。でもあなたを深く知るには、その指輪の事を教えてもらわなきゃ‥。指輪見せて、見られるくらいいいでしょ。」

彼女は指輪のしてある手をグイと引っ張って、おもて裏を見た。そして尋問するようにこう言った。

『あなたのじゃないわね』

やや攻撃的に始めた言葉を一旦そこで区切り、全て見透かす目で真っ直ぐにサトシを見つめる

『あなたの指にはどうみても大きいし、そういうデザインはまず男性は選ばない。13?』

最後言葉と同時に彼女の左の眉が上がる。サトシはオドオドと聞き返した

『じゅ、13?』

いつもは17号をつけるサトシは
13号を小指につけるようにしていた。

以前、ペンダントトップとして使っていた指輪だったが
ここしばらく
「何か」
を変えたいと思い、小指に付けていた‥

(まさか、こんな時に引き合いに出されるなんて‥)

彼女は最後のタバコを吸う為にマッチを探していた。
(せっかくマッチをつけてもタバコの箱はからっぽなんだよ)

辿り着いたらいつも雨降り
そんな女だった

指輪にかかった容疑は、間もなく晴れるだろう

サトシは次の責め言葉を冷静に、いや冷淡に待った。

野良猫のよな彼女の疑い深い目

「いいよ、思い通りの事を隠さずに言いなよ」
『いいわ。この際だからハッキリ言っておくわね』

高圧的にそう言うと彼女は、見つかったマッチを傍らに置き、蛇柄のシガーケースをペコっと開ける。

カラだ。

彼女はその美しい顔を瞬間歪め、小さく舌打ちした。そして腹立たしげにシガーケースを閉めると、低い抑えた声で話し出した

『あの子を乗りこなすかどうかはあなた次第。引き合わせてあげただけでも有り難いと思いなさいよ。それに…』

一瞬、二人の視線が絡まる

『今の生活が誰のおかげかもう一度よく考えてみるのね。あたしから離れようなんて思わないほうが賢明よ』

紅い唇が滴るようにつやめいた

紅い唇は、薄暗い部屋を泳ぐようにたゆたい、浮遊した。

普段なら「それ」を追ったりはしない‥

しかし、いまの私には自制が効かない、いや、その動きはほぼオートマチックに


その紅唇をふさいだ‥


「なぜ?」「どうして?」の答えも脳裏に期待した

ただ

それは本能以前にあらかじめプログラムされていたような行動だった

彼女は

シガーケースを思い切り彼の側頭部に打ちつけた‥

ひたいから流れるほの温かいものは、まず血で間違いないだろう


「憎いか?」「恩をきせて思い通りにうごかしたいか?」

彼女の両肩を持って、問いただした‥

その声にもならない声で、目一杯絞り出すよに

こう言った
「....言えるんじゃない。従順な子犬ちゃん。」

震える声だったが 口元は笑っていた。
何事もなかったかのように 乱れた髪に少し手をやり、サトシから離れ平静を装う彼女の目は潤んでいるようにも見えた。
 
「でも。あなたは私からは離れられない。」

サトシは何度と聞いたその言葉に 彼女の「傷」を重ね合わせた。
動けない。
ボクはもう動けないんだ。
怒りと絶望とやるせなさ。そして後悔とほんの少しの愛情と同情。

そんなものが渦巻き 色白で華奢なサトシの体はガクガクと震えた。
*****************************

《 7月11日 PM17:47 》



駅前コンビニはいつも忙しそうだな・・・こんなところじゃバイトするのはゴメンだわ・・・

そう思いながら学生たちが騒々しい店内をうろついた。


(んん・・・ もう少し寝られた・・・・ )

待ち合わせ時間までにはまだ13分あった。





「早いじゃん!珍しい!」

雑誌コーナーの前
軽い欠伸の途中、腕をいきなり掴まれ引っ張られサトシは思わずふらつく。

子供のようにまとわりつきながら
彼女はこれ以上ないというくらいの笑みでサトシを見つめ立て続けに喋りかけた。

「なにか買っていくの?」
 その微笑みを直視するのにサトシは激しい抵抗を感じた

 いつもと変わらぬ風景、変わらぬ彼女
 なのに背筋を走る嫌悪感

「何が…何が真っすぐ彼女を見させないのだろう…」

 原因は分からないのに確かに、そして急激に心の中を支配するその感情

 激しい戸惑いに弄ばれながらも…
 感情のままに目を空に向けて逸らしたサトシの目に、空を真っ二つに切り裂くように横切る大きな火の玉が入ってきた…

※不適切なら削除して…m(_ _)m

 

「ねえ!なにか買っていくのか って聞いてるじゃ〜〜〜ん!」


その声で、サトシはハッと我に返った。

火の玉・・・・? ・・・なぜあんな物が見えたのだろう。


「どこ見てんのよ〜〜〜。へんなの〜〜。 最近ちょっとおかしーよねぇーーー」


彼女はいつも語尾を甘ったるく伸ばす。そんな癖もやっと慣れてきた。




「映画館・・・って持ち込みありだっけ?」

サトシはコカコーラライトを手に取りながら聞いた。
「当然!」

ジャスミン茶を買い物かごに入れながら 彼女は得意そうに言った。

「ジャーン!このバッグ。いいでしょ?ペットボトルくらい余裕で入っちゃうんだから♪あ、それと..ガーナチョコね。映画館はチョコだって高いんだから。ん〜..ポップコーンくらいはあっちで買おうか〜〜♪」

コンビニを後にして 映画館へ向かう間 彼女はキャッキャとはしゃぎながらサトシの腕にまとわりついた。

いつもと変わらない。
何一つ違わない。

なのにサトシは からからと笑う彼女にも、変わらぬ街の風景にも違和感を感じていた。

さっきの.....空。なんだったんだろう。

「ほらほらぁ〜。またぼーっとしてる〜〜。」

膨れっ面の彼女が 腕を引っ張った。

それに従って歩けば歩く程、自分が行ってはならない世界に足を進めている気分だった…
「予感」とは、これまでの経験の積み重ねから一瞬で弾き出された結果の一種だと思う。
いい予感は往々にして当たらない。大いに期待しすぎるから。
一方で、悪い予感は当たる。
(なんだかやだな、困るな)と思っているから、ちょっとしたアンラッキーをも悪い予感が的中したと思ってしまうからだろう。

目の前を横切る黒猫は・・・悪い予感ではないはず、きっと。
少しだけ開いた扉は、かなり昔に時間を止めた小さなお店のガラスの引き戸。
真っ黒で艶やかな毛並みをした緑の瞳がサトシに一瞥をくれてからその暗闇に溶けた。

黒猫を目で追っていたら、ふとポツンと取り残されたような気がした。
今、何してるんだっけ。そうだ、映画を見に行く途中だ。
何の映画を?どこまで?誰と?

そうだ、彼女だ。彼女は・・・

彼女のバッグにはいつも余計なものがたくさん入っている。
今日はそこにお菓子やジュースが詰め込まれ、さらに巨大化している。
いつの間にか彼女は立ち止まり、それに気付かず独りで歩いていたらしい。
彼女が自分の腕から離れたことにも気付かずにいた。

彼女の背後には夕暮れの赤くた爛れた空が痛々しく傷口を晒している。
大きなバッグをだらりと提げた彼女のシルエットが、取り除き損ねた異物のように黒く、禍々しく見えた。
「もっと楽しまなくちゃダメよ。サトシくん。」


そのシルエットはくすくす笑っていた。ように見えた。


「? ・・・美雪? ・・・サ サトシくん・・・?」


美雪はサトシくんなんて呼ばない。
決まってサートーシー だ。


サトシはそこにいた彼女 美雪から発せられた声、
前方に居るのに 背中越しから掛けられたかのような声。首筋に冷たい物を感じた。


「なに驚いているのよ・・・サトシくん。ふふふ」



違う。あきらかに違う。サトシはシルエットの中に美雪を探す。



「今日はもう がまんできなかったのよ・・・・」
その手には さっき買ったチョコレートが握られている。

「....誰だ。」

サトシの胸は恐怖で激しく上下した。

チョコレート。

そうだ。美雪はチョコレートを食べない。
ガーナチョコを買うなんて おかしいじゃないか。

「誰なんだ。...美雪は? 美雪はどこにいる?」

美雪…最早、美雪らしき人物は目を見開いた物凄い笑顔で笑い出した…

「フッフッフッフッフッ…」

 ガーナチョコを握りつぶしながら…
握りつぶしたガーナチョコから
銀紙を取り出すと‥

それをサトーシーの奥歯にはさみ、思いっきり噛ませた

一瞬、歯から脳へ流れた電流は
新しいひらめきを与えた‥

それは
(こ・・・・この・・・話し方・・・・)


(2年前バイトで・・・・一緒だったあの子にそっくり・・・・じゃないか・・・・)







・・・20歳の誕生日の日。

サトシはその夜もバイトだった。



(ったく・・・・なんで今日!)

(オレがバイトで店長はデートなんだよ!!!!しかも!!!)

(ここで一番かわいい亜沙世と!!!!!)



次から次へとくる客にも機嫌の悪さはきっと伝わっていただろう。

レジ袋に入れるポテトチップスも中で粉々になっているに違いない。
そう思うや否や…

目の前にいた客が文句を言い出した

「おい!オマエに俺の…俺のコイケヤの海苔塩味を粉々にする権利は無いはずだ!」

そう大きな甲高い声で震えながら言った客がいきなりサトシに殴り掛かってきた
「・・・大丈夫?ふふふ。」


事務所の壁の鏡で殴られた左頬を見ていたサトシに 背後から声がかかる。


4日前からここで働き始めた女の子が立っていた。

彼女は先月まで2年間、国々を一人旅してまわっていたらしい。
らしい、というのは、サトシは同じバイト仲間のヨウスケから聞いたから。



「あ・・・、だいじょぶっす。」


「ふふふ。その頬の色はダメよサトシくん。冷やさないと」



あれ?なぜ下の名前知ってるんだ?  ああ、タイムカード


最後まで考えるより先に彼女の冷たく白い手が
サトシの左頬を包んだ。
まっすぐに見つめる薄茶色の彼女の瞳は、サトシの思考をいっぺんに止めた


吸い込まれそうな錯覚。欲望に身を任せたいという衝動。


サトシの心臓は激しく打ち始める。


透けるほど美しい白い肌、形のいい唇。それらに触れたい…



『つッ…』


突然サトシは体を折り、胸を押さえてその場に倒れ込んだ



苦しみながら仰ぎ見た彼女が一瞬笑ったように見えた


それきり意識は途切れた




街には‥

X'mas ソングが流れ
街路樹にもイルミネーションが点き始めていた

視界がぼやけ、イルミネーションが、雪の結晶のようにも見える‥

「あぁ、この恍惚感。こんな不幸な状態なのに、なぜ?」

かろうじて左手に力をこめ、立ち上がろうとした。

その時だった

足下におびただしい量の血痕が…

「…!?」
・・・血だ。
真っ赤な血が足下に広がっている。

赤い。赤い。赤い。赤い。赤い。赤い。赤い。



その鮮やかすぎる赤は

サトシの足下から

近くのイルミネーションに飾られた並木、
駐車していた車、街を歩いている人々、
ショーウインドウ、信号機、
雪が降ってきそうだった分厚い雲、頭上まで伸びるビルディングまでもを

一瞬で広がり
一瞬で染めた。


さっきまで騒がしかった駅前のような喧噪もまるで聞こえない。

静寂。 いや 無音。



「・・・な なんだ」

上も下も。地平線も。なにもかも赤。 影すらない。



手を見る。


「?!」

そこにあるはずの手が見えない。足も見えない。

手で目を遮ってみる。

遮られない。

赤。赤しか見えないのだ。



サトシは 赤 の中にいた。   そして 血 の匂い。





「う   う うああああああああああああああああああ!」












「ふふふふ。」


ビクッ  


・・・笑い声?・・・サトシは少しずつ・・・目を開けてみた。

いつもの見慣れた事務所の中。ONになってるPCのモニターと壁に貼られた出勤表が見える。




「あ 起きた。どうしたの急に倒れたりして。大丈夫?サトシくん。ふふふ。」




サトシは立ったまま、

彼女の腕の中にいた。



なんだろう・・・・ 甘い。 香水? でも悪くない。


また目をつむってしまいそうになる。
ダメだ。
自分の意志とは関係なく閉じてくる瞼…

「駄目だ…駄目だ…」

悪夢の様なサイクルにハマってる事が証拠は無いが感じられた

一体どれが現実でどれが幻想なのか?

混乱の中、サトシは両方のこめかみを全ての指で押さえ意識を集中させた

そして思いも寄らぬ言葉が口から出てきた…
「おかあさん‥?」

いや、違う。
これは夢のはず、

幾度となく見る夢‥

「お母さんと思って飛び込んだら、その顔は彼女‥」

結局、男はそうなのか。。
赤い幕の向こうに
薄ぼんやり見えたその顔は‥
優しく微笑んでいた。




まるでサトシが倒れることを期待していたかのように。 満足げに。






なぜか忘れていた、客に殴られた頬の痛みが
またジンジン襲ってきた。

サトシはその痛みで
ぼーっとしてしまっていた頭が徐々にすっきりしていくことがわかった。





「あ・・・ ごめん。 ありがとう」




サトシは
あまり知らない女性の胸に顔を埋めてしまっていたことに
急に恥ずかしくなり
弾けるように離れた。





彼女と抱き合ってしまった。 顔をまっすぐ見れない。




「あー いってぇ・・・・」



殴られた跡を気にする振りをしながら鏡越しに彼女を探す。




(・・・うわ ちょ でかかったな・・・この娘・・・・ ラッキー)




サトシは頬をさすりながら
残るあたたかくやわらかな感触を思い返していた。






・・・・・・・。  ?


さっきまでそこにいた彼女がいない。
鏡越しに見つからない。



え・・・・?


今 離れたばかりだぜ?



こんな狭い事務所
隠れるところなんてどこにもない・・・・・。










「その顔じゃもうレジ立てないわね。ふふふ。」


振り返ろうとしたそのとき
不意に
鏡の中のサトシの顔の横にうれしそうな彼女の顔があらわれた。




邪なことを考えている男というのはその状況下を襲撃されるとまったく動けなくなるものだ。
サトシは例に漏れず
何も考えられなくなり固まってしまった。



背後からぎゅうぎゅうと密着してくる彼女の胸の感触。




(やば・・・・。 てゆか、おかしいて これ・・・・)


度重なる幸運をうかつに認めることは
なにかに陥ることだという余計な哲学が

サトシをさらに硬直させた。






「ねえ。もうあがっちゃおうか」
囁くような甘い声が サトシの背中から響いて来る。

空気を伝わって耳に届いたというよりは 
サトシの背中から..脊髄を通って 直接脳内に鳴り響いたといったような感覚だった。

現実から遠く、遠くへ誘うような 甘い香りとともに
彼女の言葉もまた どこかへ連れて行ってくれるような甘美な響きを持ち合わせていた。
「駄目だ…」

あまりにも惹かれざるを得ない甘美さに本能的に危機感を抱いた
「こんなことがあるわけがない…」

不確かな事態なのだけが確かなのだ

ただ…
自分が何所に本当に存在しているのかが分からない以上、何所にも行けない事も確かだった
(・・・ま いっか 今日誕生日だし)


忙しそうにレジを打っているヨウスケに声をかける

「わりい・・・ ちょっとオレ あがるよ」



「・・・りがとしたー! 

 お そっか、 ありゃ痛そうだったもんな いいよおつかれー。  ・・・っしゃいませー」




「ふふふ。じゃ おつかれさまヨウスケくん。」




え?  え? 彼女もあがるの?!  

と 戸惑いながらもレジを離れることが出来ないヨウスケを一人置き


走るようにコンビニを出る二人。




(わるいなヨウスケ。 あと15分もしたら22時出の内藤さんたちがくるよ。それまで1人でがんば!)



ガラス越しに睨んでいたヨウスケの顔、、、、

見なかったことにしようw とサトシは思った。
ピンク色の制服を脱いだ彼女は胸のふくよかさが一見しただけでよくわかる

ピーコートのボタンがキツキツだ

ヨウスケに一抹後ろめたさを感じる反面二人で秘密の悪事を働くようでワクワクもする

なにしろ街はクリスマス、そしてなんたって今日はオレの誕生日なんだ。


無意識にズンズンと大股で歩いていた。気づくと彼女の声が後ろから聞こえる。

『ちょっとサトシくん待ってよ…サぁトシ!』


サトシは弾かれたように振り向いた。今の…今の声…










夕暮れの坂道。残照を背に浴びシルエットだけの美雪


そうだ、この美雪はあの日の彼女と同じ声だ。


そして、その声はあの日消えた母親の声…



求める心がそうきかせるのか、実際に似ているのか…サトシは封印、いや自分でも忘れたと思っていた何かを思い出し始めていた


ただ、今はそこに触れる心の余裕はない。またいつか、もっと、大人になったら…

サトシは開きかけた心の扉をパタンと閉じ直した


『はーやく!なにしてんのー』


美雪が両手を高く上げ振って見せている

そうだ。小さな行き違いや矛盾にこだわるのはよそう。そんなの自分らしくない

『うぃー、サーセン』


サトシはいつもの調子でそう言うと、美雪まで歩幅を広げて歩き出した


美雪に追いついたサトシは彼女の手を取り、手をつないだまま自分のコートのポケットに入れた。

可愛らしさや愛おしさなんて微塵も感じさせないほどの、ぞっとするような冷たさに、サトシはちょっと後悔した。
(こんなに冷えるなら、手袋すればいいのに・・・)
「ヒィィィィィィィィィィィィィィーッ」

突然背後から聞こえてきた甲高くそしておぞましい戦慄の悲鳴にサトシは振り向いた

…正確には振り向かざるを得なかった
 
「美雪!振り向かずに走れ!!」

ポケットで温める間もなく
冷たい手を振りほどいた


「先に駅で待っててくれ!3番ホームの端で!!」

昔どこかで聞いた事のある叫び声

サトシはゆっくりと振り返って

その声の主に言った‥

混ぜる/混ぜる/混ぜる

混ざる/混ざる/混ざる/混ざる

グルグルグルグルグルグルグルグル・・・・・・

あぁ、オレの頭には、誰が、誰かが、誰かと・・・
そして俺は誰かで誰かが俺で…

誰だ!
俺の中に入り込みやがったのは!

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