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科学の知恵袋コミュの科学豆知識 化学篇(15) 量子論-高校化学・大学の化学-

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 高校生用の物理や化学の教科書には悪い近似で得られた結論が書かれています。
 したがって、良い近似のもとではまったく異なった結論になることがいくつかあります。
 三つほど例をあげます。

(a) 同位体の化学的性質は同じである。
(b) 希ガスは化合物をつくらない。
(c) 水素の原子価は1である。

 これらを正しいと認めなければ、現在の大学入学試験に合格することは難しいでしょう。
 実際には、まったく逆のことが知られています。

 (a) 「同位体の化学的性質はまったく異なる。たとえば、クロロホルム(CHCl3)と重水素化クロロホルム(CDCl3)とでは、肝毒性に大きな違いがある」
 ほかにも、僕の研究室では重水と軽水の違いを調べている学生もいます。

 (b) 「希ガスは、不活性ガスではなく、フッ素などと安定な化合物をつくる。キセノンのフッ素化合物XeFn (n =2,4,6)の存在が知られている。」

  (c) 「水素の原子価は古典的な化学結合論では1であるが、これでは水素結合の形成を説明できない。水素結合の形成を正しく説明できない理論では、生体高分子の構造を本格的に取り扱うことができない。水素の原子価が形式上2となる実例としては、二フッ化水素イオンHF2−が知られている。」

 高校のレベルでは化学の学習に量子論の知識を前提としていませんが、大学で学ぶ化学では量子論の理解が不可欠となっています。
 高校で習う物理や化学は、分解能の悪い顕微鏡または性能の低い望遠鏡で眺めた世界であって、真実の一部しかとらえていないといえるでしょう。
 幅広く奥深い真実を知るためには、古典的な結合論を超えた近代的な結合論・原子価論を学ぶ必要があります。
 これは、量子論に裏づけられたものであり、早急に学ぶことが困難で、ゆっくりと時間をかけなければ身につきません。
 しかし、量子論を理解するための長く険しい道のりに挫折して落伍する者は少なくありません。
 その理由としては、量子論で扱う世界が抽象的なものであることから、私たちの身の回りの現象に置き換えてイメージすることが非常に難しいことです。
 私たちの身の回りのほとんどの現象は古典物理学で説明できるのが多いのですが、そのほとんどが量子論の世界では扱えないことがほとんどです。
 数学的な特殊関数を多く使うこともその理解を難しくしていることの要因のひとつでしょう。

 最近の研究では物理系・化学系を問わず、コンピュータ解析などが盛んに利用されています。。
 そのため、量子論なんて知らなくていいや、などと安易に理解するのを諦めてしまっては研究の際に障害になることも多い。
 幅広い知識を持ち、色んな視点からものごとを捕らえるために、量子論にも興味を持ってみてはどうでしょうか。

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