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科学の知恵袋コミュの科学豆知識 化学篇(11) カーボン固体酸

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 化学反応において、よく利用されるのが硫酸(H2SO4)です。

 硫酸にはおもに2つの性質を持っています。
 脱水剤としての性質と触媒としての性質です。

 硫酸はこのように脱水剤としての性質と触媒としての性質の両方をもっているために、さかんに利用されているのです。

 しかし、このように優れた触媒である硫酸にも問題がありました。
 それは、硫酸が液体だということです。
 そのため、触媒として使用すると反応生成物(液体)と混ざり合ってしまうという問題があったのです。
 反応生成物に含まれる硫酸は中和して硫酸塩に変え、精製して取り除かなければなりません。
 このため、大変コストがかかったのです。
 しかも硫酸は再利用できません。

 2005年12月、東京工業大学の原亨和教授は、この問題を解決するために、硫酸と同様の活性を備えており、しかも反応生成物と混ざらない「固体触媒」を開発することに成功しました。

 原教授らは、強酸であるスルホン酸基(-SO3H)を芳香環でできているカーボンに結合させれば、高い触媒活性を有する固体を合成できると考えました。

 原料である砂糖やセルロース、でんぷんなどを300℃〜400℃に加熱し、炭化させて微小なカーボンシートの集まりを製造します。
 続いてスルホン化処理により、スルホン酸基が高い密度で結合した触媒(炭の粉末)を合成したのです。

 ここで重要なのは、スルホン酸を結合させる芳香族炭化水素の材料組成でした。
 カーボンシートが小さすぎると、水や有機溶媒に溶けてしまうので、硫酸と同様の問題が起きます。
 一方、カーボンシートが大きな炭や活性炭では、スルホン酸基が高い密度で結合せず、さらに、水分によってスルホン酸基が簡単に分離して硫酸となってしまうのです。

 水や有機溶媒に溶けず、しかも、スルホン酸基が高密度に結合するような適切な大きさのカーボンシートをもった炭を生成しなければならないことを、原教授らのグループは見い出したのです。

 合成した触媒は非常に安定であり、水や有機溶媒などに全く溶けません。
 その一方で既存の固体触媒に比べるとはるかに高い触媒活性を示します。

 今後は石油化学製品の合成や燃料電池材料、バイオディーゼル(植物から作るディーゼル燃料)の合成などに利用できそうだということです。

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