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あひるやコミュのThe Catcher in the AHIRUYA 総集編

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※この話はフィクションであり、作中に登場する人物、地名、団体名、潰れたカード屋などは現実に存在するものとの関係はありません。
また、作中のエピソードには隠語や誇張された表現がありますが、難読であることを理解した上での表現の使用です、ご了承ください。

あひるや狩場で捕まえて


第一章

ばばあは小さいけれど町の子供達に愛されているおもちゃ屋の店主をしている。
かれこれ20年にはなるだろうか。
昔はけん玉やメンコなどを売ってやってきた店も、時代の流れには逆らえず新しいおもちゃを置き始めた。
エアガン、バトエン、カード、なるほどよく売れた。
子供達がおもちゃを買って嬉しそうに友達と笑いながら店を出ていく、それが楽しみで慣れないながらも新しい仕入れルートを見つけなんとかやっていた。
店も人がいつもいる、明るい町のおもちゃ屋だった。

「さようなら」
「あいよ、ありがとね」
学校の帰りに皆で来るのだろうか、よく来る学生達が今日も笑いながら帰っていった。
「もう6時だ!今日はもう終わりね!」
ばばあはいつもの時間になるとそう子供達に告げた。
「じゃあ、これだけ下さい」
「いくつ?」
「3パック、はい450円。またねおばちゃん」
「はいよ、ありがとね」
店は閉店の時間になってようやく静寂に包まれた。
「明日の準備してあたしも帰るかね……ん?青のやつはどこいったかな?あ、これかな?いや、さっき開けて5、6パックしか売ってないのにこんな少ないわけないね……開けてどこかに置いちゃったみたいだね」
ばばあは青色の箱に入ったカードをどこに置いたか忘れてしまったが、いつか出てくるだろうと深く考えずに帰る用意をした。
「私はいつもそうだからねぇ」
売れたカードを新しい箱から補充してばばあは帰路についた。

ばばあもカードが売ったと思っている数よりも減っていることには気付いていたが、なにせ老人が適当にやっている商売だ、思い違いなんて日常茶飯事。
そんな考えが改まるのにあまり時間はかからなかった。
そう、この次の日ばばあは淡い不安と疑いを強い疑念へと変える。
世界中の子供達の間で流行っているコンマイのカードゲーム「デュエルモンスター」の在庫が大量に消えたのだ。
疑いたくないが、あの日店に来たのは、とてもそうとは思えない子供達と、あの――学生たちだ。

コメント(8)

「今日もあのばばあ気付かなかったなwww」
クラハはたった今あひってきたカードを開けながらそう言った。
「スイショデナイシー!」
焼き鳥はいつもどおりふざけてそう言った、それにしても本当に出ない。もうどれだけのタクエボをこのクドナルドに捨てたかわからない。俺だけでももう2箱はあひったかな?みんなでなら……考えるだけ無駄か。
「俺たちこんだけ開けて誰一人として引けないなんて相当おかしいだろwww」
「ゾンマスとギフトカードはもう集まったけどなwww」
パッチが答えてきた。いいから六武衆から色々と抜くんだ。
「いいからお前は六武衆から混黒を抜けwww」しんちゃんが俺の心を代弁するかのように言う、ほんとだよなぁ―……
「は?混黒強いだろ?!」
「帰るか」
誰からともなくそう言った
「明日はヴォルカニックのやつやるわwww」
俺は明日の標的をヴォルカニックの箱に決めた
みなはいつも通りタクエボやエキスパをあひるようだ。
俺たちはまだ、ばばあが万引きを疑っているなど知る由もなかった。


次の日、俺たちは予定通りあひるやにカードを拾いに行った。
ばばあはヴォルカニックを出してと言うとすぐに、橙のやつね、と言って出してくれた。
さすがに一箱一気になくなっているとまずいので、抜いた部分に別の箱のカードを詰めて水増しして返すことにした。
結局俺たちは大して買うことなくポケットはパンパン。
いつも通り、そのまま帰る。
「ありがとうばあちゃん」
「………あいよ」
「さてクドいくかwwwwww」
またあの学生達は笑いながら帰っていく。

「おばあさん、どうでしたか?」
カード屋の視察と言って私の後ろに隠れて見ていた小波さんが尋ねてくる。
「わからないね、でも怪しいとは思うよ」
「お悪いですな」
「確かに目がもう少し良ければ何か見えるかもしれないのにねぇ……」
「違います、あなたの頭が悪いと言いたいのです」
「彼らはこれを何パック買ったのですか?」
「?、3つか4つかね」
「これは新品の箱でした、残り少なく見積もっても25パックくらいはあるはずです、では数を確かめてみてください、最も数え切れればの話ですが」
「1、2、3、4、……!」
「よくやくお気付きですか。」
「信じていたのに……」
「そう、彼らは別のカードを下敷きに一箱丸々とっていったんですよ、あなたの目の前で堂々とね」「もう聞きたくないです!」
「いえ、これが現実です。彼らはまだ学生ですがやっていることはさながら悪魔ですな。」
「かぁさん!そんなやつに騙されるな!!」
ばばあの息子の小あひるが店に飛び込んで叫ぶ。
「でも……」
「ほぅ……あなた息子さんですか……お母さん一人に店番を任せているおかげで店はこの有様ですが?」
「黙れ!もうこいつの言葉に耳を貸すな!母さんはそうやってもう12回も騙されてるじゃないか!あの健康食品とわけのわからないガチャガチャはどうするんだよ!うちはこのままやっていければいいんだ!あんたはかえってくれ!」
「もうやめておくれ……」
「俺はもう家族にあんな悲劇がおきるのはごめんだ!」
「家族か…そうだな、家族は大切にしなくてはな。」
「では一つゲームをしましょう。これからおばあさんの見てる前で万引きをします。」
「……どういうことだ?!」
息子は驚嘆している、というより理解ができていないようだ。
「本当にするわけではありません。一人ずつ万引きをして、おばあさんに、より現実を見せた方の勝ちとしましょうか。」
「………、いいだろう…………」
「スタートはもう一人が出ていったら、おばあさんに危害を加えないこと、制限時間は1分、一人がやってる間はもう一人は外に出て何を見ても喋ってはいけないということです。」
「よし……いいだろう!じゃあ俺からやらせてもらう!」
「どうぞ、では私は外に出ています。」
彼は携帯で電話をかけながら外へ出ていった。
ガチャン……


「今のうちだ!かぁさん!盗らせてもらうよ!」
息子は小波が見てないのを確認し、勝つためにカードを詰め込もうとする。
「万引きは犯罪です」
「え……?」
「もう一度くだらない真似をすると通報するよ。それにそんなことを言ってとる万引き犯はいないよ。ちなみに、見えなければ通報なんてことはできないけどね」
「かぁさん……」
「実はもうとっているんだ」
ばばあは戦慄した。
「一体どうなっ」
「時間です。」
小波さんが入ってくる、1分……なんて……短い間に……
「とれましたかな?」
「大量にな!」
「どういうわけですかな?」
「教えてやろう!お前には言ってもわからないだろうが俺は今母さんに臭い芝居を見せていたのさ、意外にも母さんは抵抗してきたけどそんなことは関係ない!台の左、かぁさん……全然見えてないよ……」
「あんたまで私を騙していたなんて……」
「これは勝負だよ!さぁ今度はお前の番だ!もう母さんに教えたから左の台は警戒されてるけどな!俺の勝ちだ!」
「いいから出てもらいましょう。」
息子は行き撒いて出ていった。
ガチャッ
「おばちゃん、外のガチャガチャ詰まったー」
入れ代わりのようにすぐ少年が入ってきた
「またかい、ちょっと行って来るから待ってておくれ。」
ばばあはそう言って出ていった。
1分後、ばばあは戻って来た。
「さて、はじめようかね」
「いえ、もう終わりです」
ガチャ……
「母さん……そいつの言う通りだ……」
「……?!どういうことだい?」
「どういうこともこういうこともありませんな。私の勝ち、それだけです。」
「そんな……子供がガチャを詰まらせてる間くらい待ってくれたっていいじゃないか!」
「暖かいですな……」
「そうだよ!もっと優しい目で……」
「違います、あなたの考えが温いと言っているのです。説明は息子さんがしてくれるでしょう、本日はこれで失礼します、後程連絡いたしますよ」
ガチャ……

あひるやはしばしの間絶望に包まれる……
「……どういうことだったんだい……?」
「まずルールだよ……僕は先攻を取って相手の攻め手を潰したように勘違いしたけどそんなこと関係なかった……彼には母さんなんて最初からいなかったも同じなんだよ……、スタートしたら始まりなんだ……即かぁさんが居なくなれば誰でも盗り放題さ……」
「そんな……でもあの時ガチャが詰まらなければ……」
「本当にそう思う……?なぜ彼が外にいる条件の他に何も言わないって条件を付けたと思うんだい?」
「え……?」
「あの子供は……あの男とグルだったんだ……自分で詰まらせていたよ……」
「だって!まだ子供だったじゃないか!それにそんなのグループじゃない……と……」
「そうだよ……あの学生達は子供で……グループだ……」
「そんな……」
ジリジリジリ
「はいもしもしあひるやです……」
「おばあさんですか、電話に出られるくらいのダメージしかないとは、正直がっかりしましたよ。そして、おわかり頂けましたかな……?」
「お願いします……」
「はい?」
「うちのお店をよろしくお願いします!」
「わかりました、お任せ下さい。今まで彼らは盗り放題だったんだ、明日からは我々が捕り放題ですよ、あと私のことは子供達の前では小波と呼ばないでください、それでは……」

準備はまだ始まったばかりだ……
俺はこの調子で……
「DMプレイヤーの感覚をぶっこわす……これはその礎だ……」
小波はひっそりと笑いながらどこかへ消えていった……
「よし、今日もあひるやにカードを拾いにいくか!」
しんちゃんはさも当然のようにいう、万引きは犯罪です。
しかし、実際あひるフリーなあひるやなわけで俺たちが毎日あひるのは当然な流れになっていた。
「今日もタクエボを刈り取りにいくか。もう補充されただろ」
俺はあひるやのタクエボを刈り尽くした時期を思い出し今日拾うカードをタクエボに決めた
「スイショデナイシー」
「貴様、もう水晶でただろ、もう取る必要はないだろ死ね。」
「とりあえずあひるやに行くか」
俺がそういって話を切り上げようとしたとき。
「俺トレードインほしいわ」
パッチがそんなことを言い始めた。
「いいから巨竜のストラク捕ってこいよwww」
しんちゃんはまた当然のように言う
(帝も散々とったしストラクも余裕なんだよな……ん?)
ストラクって言葉に何かが引っ掛かったがすぐに思い出した。
「あれ?そういえば今日って……」


「準備は終わりましたか?」
まだ開店前か、今日はDMカードの新しいストラク「シンクロスターター」の発売日だ、店としても特に警戒しているだろう。
「今日はお願いしますよ」
ばばあは心配そうに言う、こいつが万引きを見つけられるとは思わないが一応釘をさして置くか……
「いいですか、我々の目的は万引きグループの一掃逮捕です、万引きを見つけてもトカゲの尻尾きりをされては意味がない、私が行けると思うまで何を見つけても黙っていて頂きましょう。」
「そんな……私はそんなことまで望んでは」
「だから温かいと言っているのです」
「……おまかせします」
「お任せください……」
案外簡単に納得したものだな、彼らはまだ捕まえてしまっては困る……
「さぁそろそろ開店でしょう、店の外で万引きの心配が無さそうなぼうやたちが待っていますよ。私は例の学生達がくるまで待っていますよ、彼ら以外の万引きを見つけたら注意して出入り禁止にしておいてもらいましょう、では」
「いらっしゃいませ」
ばばあの声を背に受けて私は店の奥に引っ込んだ、今日からようやく始まる………
「もう少しで環境は一辺する……」
この先のことを考えると楽しくなってくる、私は浮かれた気分のままに少し休んでいた。
「小波さん」
「来たか……」
例の学生達が来た。人数はいつも通り、計画通りだな。
「普通に接客していてください、私は奥から見ています。」
「わかりましたよ」
「いらっしゃい」
ばばあは接客に戻った。
「ばあちゃん、新しいストラクは?」
リーダーらしき少年が言う
「……これだよ」
「じゃあこれください。」
少年は3つと言い金を渡す。
「なるほどな、そうきたか……」
やはりばばあは気付いていない。
ストラクに神経を集中させすぎているせいか全く気付かない。
奥のゴミ箱で見た目幼そうな少年がパックをあけている。当然買っていない。
「中々の思いつきだ……無論、ストラクのおとりなどなくてもこのばばあは気付かないだろうが……」
「またクソカードwww」
しんちゃんは後ろでパックをあけ続ける、俺たちはストラクを物色する。
ばばあは俺たちに気を盗られて気付かない、完璧な作戦だ
「ストラクを盗れないってことを除けばよぉ」
そう耳打ちしてストラクを見るふりを続ける。
と、その時肩が叩かれる、終了の合図だ。
もう一箱空けたのか、さすがしんちゃんだ……俺は感心してばばあに向き直ると……
ばばあは立ち上がりゆっくりとおれたちの後ろに回り込んだ。
全員がばれたか?と思ったが雰囲気が違う……とりあえずこの状況は……
「おい……」
「こんな時になんだ貴様死ね」
「どうみてもチャンスだ。」
俺がくらはにそう言ったわけは、ばばあがいまさらしんちゃんを疑い始めたのか俺たちの後ろに回り込んで俺たち自体が壁になりストラクの位置は見えない。
「やばくね?wwやばくね?ww」
パッチとしんちゃんも静かながら興奮してそう言う。
俺たちのとる行動は決まっていた。
結果俺たちは新しいストラクを3つ×全員分手に入れて店を出た。この時は何事もなしに。


「小波さん……やはり彼らでした」
「わかっています、それに何度もそう申し上げたはずです」
「それはわかってるけど……こんなにはっきりした証拠が出るなんて……もう通報して終わりにしましょう……」
ばばあはさも悲しそうに幕引を申し出る。
これくらいで終わってもらっては困る。
「無理です、さっき捕まえねば現行犯にはなりません。いまさら確定であることの証拠は出せませんし逮捕は不可能です」
「そう……ですか。つぎ来た時は問答無用で通報しましょう……」
「そうですね、私もこれ以上カードで不幸になる人間は見たくありませんから」
つまらない嘘をついてしまった。さっきから嘘だらけの俺にはあまり不思議なことではないか……
数分前……
「あの少年……怪しくありませんか?」
俺はばばあに後ろの少年に注意を向けさせる
「確かに……いつも見せるばかにしたようなはらのたつ笑い方だね……」
もう彼らはおわっているだろう……ここは……
「彼らの後ろに回ってみてはどうです?盗られていなくてもプレッシャーにはなるのではないですかな?」
「そうさせてもらうよ……」
簡単なものだ……ばばあはすぐにどいた。
そして少年達は……
ストラクを……よし十分取った。
あとは無事に帰らせるだけでいい。
そして何事もなしに少年達は帰っていった。
「それにしても……(こんなに簡単な誘導に乗るとはな……)」
結局ストラクを盗られたことにも気付いていない、まぁ俺には関係のないことだ。
「それでは本日はもう失礼します、お婆さんも大概にしたほうがよろしいかと。」
「はいわかったよ……」
ばばあは力なさそうに呟く。
「では……」

店の外に出て一人俺はほくそ笑む。
「これで「王様」の仕事は終わりだ……やつらの何人が「勇者」になれるかな……?やっとゲームの始まりだ……」

小波は薄ら笑いながら夜の町に溶けていった。

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