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小説を書いて読んで楽しもうッ!コミュのそれぞれの別れ、そして…。

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チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ……ぱちっ


既に宴会騒ぎも終わり、誰もが寝静まった午前4時…。
ある一室で安らかに眠っていた二人が、同時に目を覚ました。


むくっむくっ…


二人は言葉を発する事なく起き上がると黙々と支度を済ませ、
音を立て無い様に寝室の扉を開ける。


スッ…ぎぃ〜……


「し〜〜〜〜〜…!」「シ〜〜〜〜〜…!」


パタン…


唇に人差し指を押し当て、叱る様にドアの軋む音を極最小の音量まで絞り、
まるで泥棒気分で、コソコソと部屋を後にする二人。
互いに目配せで進行方向を決めると、声を押し殺して城の出口へと向かった。


…一方、ファーガルム城の一室…。


………むくっ……スッ…


静寂が支配する広い寝室内で、一人の男が目を覚ました。
隣に寄り添う形で眠るプヨを起こさぬ様、ソッと音を立てずベッドを抜け出すタカ。
薄っすらと明るい空が、まだ夜中で在る事を厳かに【おごそかに】知らせる…。
…昨夜、彼女を抱こうと気合いを入れてベッドまで連れて行き、腕から下ろした迄は良かったが、
初めて見る女体の神秘に右往左往してしまい、何をしてイイか判らず、
挙句の果てには頭が真っ白になってしまい、ソノ侭 硬直…。
すると彼女の身体も極限の緊張状態故か?はた又 日頃の行いか?
モジモジと待っている最中に、突如『女の子の日』が来てしまった。
彼の目の前でまだ手も触れていない女芯から、ゆっくりじわじわと流れ出る血…。
コレには流石のタカも無知からくる焦りを隠せず、
血を見ると同時にアレだけ元気だったヤンチャ坊主も、叱られた子供の様に急激に萎え始め、
プヨの懸命な慰めの言葉も全く効かず、こんな大事な場面で失態を演じてしまう。
そして失意のドン底から来た罪悪感が一晩中彼を苛み【さいなみ】、遂には一睡も出来なかった…。
……そんな余りに痛すぎる事を思い出し、何も知らぬ彼女の無邪気な寝顔を見ていると、
寝ずに考えながら固めた決心が今ココに来て鈍ってしまう…。
しかしタカは神妙な顔つきに変わると、軽く頭を振って迷いを経ち切り、
静かにプヨへ布団を掛け直すと、予め床に置いておいた衣服を着る。


シュ、シュル…ギュッ…チャキ…


そして最後に愛しいプヨの寝顔をもう一度目に焼き付け、
何も言葉を洩らさぬ侭、静かな部屋を後にした。


きぃ〜…パタン…


ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


まだ沈まぬ月明かりを頼りに、窓の外に見える門を目指して城内をゆっくりと進む…、
そして歩きながら何気無く玄関先に視線を落とした時、誰か立っている事に気づく。
漸く闇夜に慣れた目を凝らして良く見ると、ソレはタカが知っている人物だった…。


……ベッドの壁に『正』の文字が6つ程書かれたルシファーとテディの部屋…。
肌を艶々と輝かせて眠るテディとは対照的に、
頬がコケたルシファーの顔色は土色に変わり果て、
しかも疲れきって煙草を吸う彼の姿は、
最早 鼻水も出ない抜け殻 同然な事を雄弁に語っている。


スゥゥゥゥゥ……ハァァァァァ……ギュッ…ジジ…ギシィ…


最後の一口を大きく吸い込み、溜息を吐くように煙を出すと、
徐に煙草を揉み消しながらベッドを抜け出し、
彼もまた予め用意してあった衣服を着て旅支度を整える。
しかしコチラは先の3人とは対照的に何の遠慮も無く、
眠る彼女を気にもせず普通に準備をしていた。
するとやはり、スヤスヤと寝ていたテディもソノ物音で目を覚ます。


「……あら?…もぅイッちゃうのアナタ…?」


「…その言い方はヤメぃ……腰が痛くなってくるで…。」


とんっとんっ…


先程の『XXX指定情事』を思い出したのか、軽く腰を叩きながら支度を進めるルシファー、
そんな彼をテディは優しい瞳で見つめるだけで、何も言葉を掛けない…。


ギュッ、ギュッ、ザッ


しっかりと靴紐を結び、椅子に掛けてあったリュックを背負うと、
ルシファーは彼女と正面から向き合う。
そして頬杖をつきながらうつ伏せで見つめるテディに近寄ると、
力強く抱き締め、囁く様に耳元で呟いた。


「……頼みがある。」


「…なぁにアナタ?武○士ダンスでも踊って欲しいの?」


「……アホ…朝っぱらからそんな脂っこいモン見てどないすんねん…。」


「ふふふ♪冗談よ……それでお願いって?」


「あぁ………必ず帰ってくるから……………待ってろ……それだけだ……。」


「ふふ…イイわよ、待っててあげるわ…でも早く帰ってこないと『損』するわよ?」


「損?何やねんソレは?」


「さぁ…何でしょうネ……ほら、早く行かないと引き止めるわよ?」


「フッ…それはかなわんな…ほな、ちょっくら行ってくらぁ…。」


「いってらっしゃいアナタ…気をつけてね……。」


ギィ〜〜…バダンッ…


後ろを振り返る事なく、扉を潜ったルシファーを最後まで見送ると、
テディは裸の侭ベッドを下りて窓の傍に寄り、朝霧が漂う城下町を眺める。
そしてお腹に手を添え優しく撫でながら、愛しい夫の為にソッと祝福の言葉を捧げた…。


「……アナタの旅に暖かな闇の恩恵が在らん事を……愛してるわ…ルシファー……。」


………数十分後


何とか人目に付かぬ様、門の手前まで来たサラとイヴ。
『スリープ』の魔法を使い、守衛を眠らせると、
周囲を気にしながらコソコソと城の外まで遣ってきた。


「うに…これで大丈夫なりね…後はタカを探しに行くだけなり…。」


「エェソウデスネ……デスガ何モ言ワズニ出テキテ、本当ニ良カッタノデショウカ…?」


夜中にタカが何処か行ってしまった事は、昨夜の騒動で判っている。
何の目的か解からないが、恐らくプヨが彼の事を連れ去ったのだろう。
まぁ厄介と言えば厄介だが、行き先が知れている分だけ幾らかマシである。
そして先に行くにあたって、彼と合流すべく、
こうして人目を憚って【はばかって】、まだ薄暗い明け方に出てきたのだ。
…ゆっくりと明け往く空を静かに眺めていると、
昨日サラが二人っきりの時に、部屋で言った言葉が思い出される…。


「(…コレはサラの予想なりが、
  朝に出て行ったら おっちゃんやら何やらが多分付いて来ると思うなり。
  これから向かう『次元回廊』はあんまり大人数で行くと、
  ちょ〜っと面倒臭い事になるなりよ…。
  ソレを避ける為にも夜中にこっそり出て行ってタカを拉致…じゃ無かった…捕獲…でもないし…、
  ん〜……まぁ要はとっ捕まえてサッサとママの所に行こうと思ってるなりよ。
  かへには後でテレパシーで送っておくから心配は無いなり…。
  ま、起きなかったらブッ飛ばすだけなり…。
  それと作戦決行は朝の4時なりよ?そ〜と決まったら早く寝るなり〜♪
  んぢゃお休みぷ〜☆…)」


………

回想を終えるとその侭イヴは頤【おとがい】に手を宛て、後ろを振り返り、
怪訝な表情で城を見ると、直ぐに視線を落としてしまう…。
幾ら非常時とは言え、自分が執った行動を幾分後悔しているのが伺える。
しかし後ろに手を組んで門に寄り掛かるサラは、彼女の憂鬱すら気にしていない、
ソレばかりか眠たそうに欠伸を噛み殺し、全く別の事を言い出した。


「ふぁぁぁぁ〜…あ、失敗したぁ〜…お弁当を作っておけば良かったなり…。
 ……にゅ?どうしたなりイヴ?そんな難しい顔して…ひょっとしてトイレなりか?」


…朝っぱらから胃モタレしそうなサラの言葉に難色を示すイヴ。
昨日の晩、眠りに就く前までは是からの事を二人で相談していたのに、
いざ、朝になったらこの調子…真面目に考えていた自分が馬鹿みたいに思えてくる…。
呆れたイヴは気分を変えようと町の方へ視線を走らせるが、ふとソコに人らしき影を二つ発見した。


「…アレ?チョット サラさん、アソコヲ見テ下サイッ!
 タカさんト誰カガコチラニヤッテ来マスヨ?」


「にょ?あぁッ!タカなり〜〜ッ!…んでも隣の女は一体誰なり?……何処かで見た気が…?」


朝霧に包まれながらゆっくりとコチラに向かってくるタカと二人が見慣れぬ女性…。


コツコツコツ…ザッザッザッ…


するとタカが漸く二人に気付いたのか、大きく手を振りながら走ってきた。


「お〜〜い〜〜御二方ぁ〜〜。」


タッタッタッタッタッタ…ザッ


「ふぅ…如何なされた御二方、まだ夜も明けぬ内からこんな所で?」


「それはコッチの台詞なりよ〜今からタカの事を迎えに行こうと思ってたのに…。
 良く帰って来れたなりね?」


「あぁ…拙者が人目を避け、一人で適当に帰ろうと思った矢先、
 プヨ殿の城で知合った琥潤殿が案内を買ってくれてなぁ。
 こうしてココまで来る事が出来たのでござる……おや?その琥潤殿は?」


「なぁに坊や、ちゃんと隣に居るわよ?
 …それとレディを置いてきぼりにするのはチョット頂けないわね?」


キョロキョロと辺りを見渡すタカだが、突前 横に現れた琥潤に驚かされる。
ソレばかりか紳士として有るまじき行動に対し、御叱りの言葉まで貰ってしまう。
そんな二人の様子を何気無く眺めていたサラだったが、
何かを思い出したらしく突如 顔つきが変わり、
荒々しく杖を振り翳すと切っ先を琥潤に向けて、神妙な赴きで声を絞り出した。


「……お前…確か聖戦の時、ルシファー親衛隊の最前線に居た奴なりね…。
 …何でタカと一緒に居るなり?」


すると琥潤の方も少し顔つきが変わり、サラを見下ろす様に腕を組むと静かに口を開く。


「……あら誰かと思ったら、『あの時』のおチビちゃんじゃない…元気そうねぇ…。」


「そんな事は如何でもイイなりッ!質問に答えるなりッッ!」


朝靄【あさもや】に響くサラの声…状況がまるで判らないタカとイヴは、
彼女に声すら掛けられない…。
そんな中、一人の男が堂々と正面門を潜って、殺気立つコノ場に現れた。


「…ったく…何、朝っぱらから怒鳴りあってんねんお前等?
 こちとら『一仕事』終えたトコや、騒ぐんなら余所でヤランかい…。
 …腰に響いてかなわん……あぁ〜シンド………ん?」


爺ムサく腰をトントン叩きながら現れたルシファーは、
ふと正面に立つ女性を見た瞬間、表情を変えた。
すると今迄サラと牽制紛いの視戦を繰り広げていた琥潤も、彼の存在に気付く、
しかし片眉を跳ね上げ、首を傾げるソノ仕草から伺える答は、
『アンタ誰?』と、非情に冷たいモノしか読み取れない…。


「………はぁ……まぁしゃ〜ないか…。」


すたすたすたすた…


溜息をつき、頭をボリボリと掻きながら琥潤に近寄るルシファー、
だが迎える彼女は自分の事を知っている彼に対し、依然として湧き上がる疑心感を拭えない。


すたすたすたすた…ぴた…


やがて彼は琥潤の正面に立ち、懐かしむ様に上から下まで眺めると、
いぶかしむ彼女に取り合う様子も無く、何食わぬ表情でソノ口を開いた。


「なぁ〜にボケッとしてんねん『ジュンコ』ッ!…ったく…御主人様を忘れたんかっ!?」


ピクッ!


彼の口から予想すらしなかった言葉を聞いた途端、琥潤の心に雷の様な強い衝撃が走る。
ソレもその筈、この世界でソノ呼び方をするのは只一人…『アノ方』しか居ないからだ。
今、彼女の脳裏には過去に無くしてしまった懐かしき日々が、一瞬にして蘇っていた…。

遥か昔、琥潤を『ジュンコ』と、からかい半分に呼びながら、優しく愛してくれた人…。
当時、正室が居ながらも告白した自分を受け止め、家族同然に深く愛してくれた人…。
身分不相応な自分を側室として居城に迎え入れ、大きな温かい心で愛してくれた人…。

そんな掛替えの無い『彼』の存在を思い出させる『忘れられたキーワード』を耳にした琥潤。


「………る、ルー様……ルー様なのですかッ!?」


声が裏返るのも省みず、昔亡くした愛しい人の名前を大きな声で再び口にする。
そして間髪入れず返ってきた答は、今 彼女が最も欲して止まない感極まるモノだった。


「せやッ!ルシファー様の御帰りやッ!……ん?どないした?そんな暗ぇツラし――うォっとッ!?」


ガバッッ!


茶化す彼の言葉を遮る様に抱き付く琥潤…一秒と置かず、後から後から毀れる涙が頬を濡らす。
熱く胸を焦がす彼の声、暖かい『生』を感じさせる温もり、昔と変わらぬ優しい眼差し…。
…本当は話したい事が山程在るのに思う様に口が動かず、嗚咽混じりの声しか出てこない。


「……ぅうッ…ルー様ルー様ぁ…ック……んぅ…うッ……ッハッ…ルー様…ルー様ッ!
 …御…願い……御願い…夢な…ら……夢なら覚めないで…ンクッ………ルー様ァァッ!!」


ギュゥゥゥ…


ルシファーの胸で子供宛らに泣きじゃくる姿は、今でも彼女の愛が揺るぎ無い事を証明している。
そしてソノ光景を間の辺りに見てしまった三人…流石にリアクションが取れず見事に固まっていた。

……………約10分後

漸く落ち付いたミスティが泣き腫らした目を伏せ、静かに彼から離れてしまう。
感動の再会にも関わらず何故 彼女は背を向けてしまうのか?
この行動を不思議に思ったルシファーが声を掛け様と、琥潤の肩に手を置くが、
指先が彼女に触れた瞬間、怯えた様に肩が跳ね上がった。


「どないしたんやジュンコ?そないにビビる事ないやんけ?」


「…いえ、そうではありません……ただ…。」


「ただ、なんや?」


自分の生前時とは打って代わって歯切れの悪い琥潤に、彼も違和感を覚える。
しかし問い質した【といただした】ソノ口調は決して責めるモノではなく、
寧ろ深い慈悲さえ感じる程だ。
…暫くその侭 無言で待っていると彼女も遂に観念したのか、
背を向けていたルシファーと正面から向き会い、
ポツリポツリと確かめる様にソノ訳を語り出した…。

コメント(2)

じゅんこさん


琥潤はこの時の為に張っていた伏線でした(笑)

プヨがジュンなら、ルシファーは?って指でOK

次回もお楽しみに!(。+・`ω・´)シャキィーン☆

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