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小説を書いて読んで楽しもうッ!コミュのライムジェットコースター!『一分間』!

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ガァーーーーーーーーーッ!ガシィィィィッッ!


予想通り物凄い勢いで迫る壁を、飛び出したイヴが渾身のパワーで受け止める。


「クゥッッ!…サァ早ク行ッテ下サイッ!思…ッタヨリ…ス…ゴイ…重圧デ…スッ!」


ギ…ギギギ…ギギ……


「うにッ!速攻で見つけるなりから我慢しててなりッ!」


「暫くの辛抱でござるッ!」


イヴの横を素早く抜け、二人が解除装置を探していると正面の台座に、
如何にも『押して♪』と言わんばかりの、三つのボタンがある。


「サラ殿ッ!コッチでござるッ!」


「うにッ!今行くなりッ!」


残る時間は45秒……


「ウッ……ウウッ………」


ギシシィ…ギシ…ギギッ……


「どれを押せば良いのでござるかッ!?」


「サ、サラにも解らないなりよ〜。」


残る時間は30秒……


「オ、落チ着イテ……クッ!最悪ノ場…合、私ハ置…イテ行ッ…テ下サイ……アァッ!」


「そ、そんな事は出来ないなりッ!」


「イヴ殿ッ!二度とその様な事は申されるなッ!
 仲間を見捨てて行くなど武士には出来んッ!
 そなたも辛いとは思うが頑張ってくれッ!」


残る時間は15秒……


「ス、スイマ…セ…ンデシ…タ…デ…スガモウ……。」


序々に腕が狭まっていき壁との距離が近づいてくる。
遂にはイヴの体ピッタリの所まで狭まってきた…。


ギィ…ギギギシィ……ギギィシィ……


残る時間は5秒……


「えーーーーいッ!こうなったら全部押してやるなりッ!」


バシィッ!!


頭から煙が出るほど考えたサラは、最後の賭けに出るべく、
ヤケっぱち気味に全部のボタンを引っ張叩いた。

すると…………


「ウゥ………ウウウッッッ!!!………アラッ?」


まるで今迄の事が嘘みたいに壁の重圧が無くなり、
しかもゆっくりと壁が端の方に引いていくではないか。


ガガガガガガガガガ…ガッシャーン…


やがて壁が完全に外側へ収まり、何事もない側面を見せる。
サラはイヴの無事を確認すると、
安心からかヘナヘナとその場に座りこんでしまった。


「ふぃ〜〜〜…心臓に悪いなりよ〜……ホ〜ッ。」


「うーむ…正しく危機一髪でござったなぁ…。」


「二人共、オ疲レ様デシタ…ヤッパリ何トカシテクレマシタネ。」


安堵の溜息を漏らすサラとタカ、しかし自力で這い上がってきたイヴの方を見ると、
二人の顔はみるみる内に青くなった
やはり先程の衝撃でか、彼女の腕はボロボロになってしまい、
所々ショートして今にも取れそうになっているのだ。
一難去って又一難、サラとタカの安心感を、その光景が根こそぎ奪い去る。


「にゅッ!今修理するなりッ!」


「ソレデシタラゴ心配無ク、エネルギーヲ補給スレバ後ハ自己回復機能ガ作動シ、
 自動的ニ直リマスカラ。」


「そーとくれば速攻でホットケーキを焼くなりッ!かもーーんッ!プレリッ!」


パチンッ!シュッポーーーーーーンッ!


サラが指を鳴らすと、久々の登場で嬉しいのか、プレリが勢い良くポシェットから飛び出してきた。


「キュッピッピピ〜ッ!」


「ホレッ!コンセントを咥えるなり。」


「キュピッ!」


何時もは難しい顔して口に入れていたが、今日に限っては何故か嬉しそうに咥えている。


「イヴ殿、お疲れ様でござった、少し横になって休まれると良い…。
『ほっとけーき』が出来次第、直ちに起こすのでな。」


「ハイ…ソウサセテ頂キマス…流石ニモウ立ッテイルダ…ケノパワーモアリ…マセン…。」


そう言うとイヴはその場に『Mの字』に座り込み、眠る様にセイフティーモードへと入った。


「一時間経って起きたらホットケーキが鬼の様に出来てるから、それまでゆっくり休んでるなり。」


「…………………………」


「はは…もう休まれた様でござるよ…どれ…拙者も手伝おう。」


「うに?それならソコの『メイプル・シロップ』を作ってこの瓶に入れておいて欲しいなり♪」


「めいぷる・しろっぷ?」


「メイプル・シロップって言うのはなりねぇ――」


タカとサラの共同制作が行われている中、イヴは聖女の様な安らか寝顔で眠っていた
安心感と充実感に満ちた誇らしい寝顔で………。


……そして一時間後。


「ふぅ〜…さぁ焼けたなりッ!」


見渡す限りホットケーキの山々……。
凡そ100枚以上のホットケーキが、至る所に高々と積み上げられてた。
サラは額に球のような汗を掻き、築き上げた山を満足げに見るとタカに声をかける。


「ホレッ、イブを起こすなり。」


「心得た…イヴ殿起き――おや?」


するとタカが起こすよりも先にイヴは起きており、何やら虚ろな表情で中空を見ていた。


「にゅ?どうしたなり?」


「………夢ヲ…見マシタ…。」


「ほぅ…未来のからくり人形は夢をみるのか?」


「イエ、ソウイウ訳デハ無イト思イマス。
 何ト言イマショウカ…記憶ノ断片ノ様ナ…ソンナ夢デシタカラ…。」


これには好奇心旺盛のサラが素早く食いつき、会話の先を促す。


「ねぇねぇ、どんな夢を見てたなり?」


「ハイ…私ガ人間ノ姿デ高校ニ通イ、友達ト帰リ道ヲ歩イテイル…ソンナ夢デシタ……。」


しかしこの会話に矛盾を感じたタカが珍しく口を挟み、イヴに彼女の有体【ありてい】を確認した。


「ふむ…イヴ殿はその…確か、あんどろいどと申す者でしたな?」


「ハイ、アンドロイドハ全テ無機物カラ作ラレ、コンピューター管理ノ元、動ク様ニナッテマス。
 …モット解リヤスク言エバ記憶ナド無ク、植エ付ケラレタ情報シカ無イ筈デス。
 コノ様ナ夢ヲ見ル事、事態アリエナイノデス。」


「…………もっと解らん…。」


だがやはりと言った処か、タカにはイヴの説明が理解できず、腕を組んでしまう。
その仕草に話の腰を折られたサラが食って掛かり、暴力とも言える言葉を並べ立てた。


「あぁ〜もうッ!ご飯や味噌汁は夢を見る訳ないなりッ!ここまで言えば解るなりかッ!?ん???」

「ア、アノサラさん、ソノ辺デ…タカさんガ可哀想デスヨ…。」


「にょお!ゴメンなり…ちょっと言い過ぎたなりよぉ。」


「……ハァ…タカサン?今私達ガシテイタ会話ハ未来ノ話デス。
 タカさんガ知ラナクテ当然ナノデスヨ?
 私ノ説明ガ配慮不足ダッタミタイデスネ…大変申シ訳アリマセンデシタ…。」


ペコッ…
そう言うとイヴは深々と頭を下げ、彼に謝罪する。
それを見て慌てたのはタカの方だった。


「な、何を申されるッイヴ殿は全然悪く無いでござるッ!
 ささ、頭を上げて下されッ!これでは拙者の立つ瀬が無いでござる。」


「…ソウデスカ?…ソレデハ…。」


ニコッ♪


彼女はアンドロイドとは思えない百万ドルの微笑みをタカに返すと、漸く頭を上げる。
そんな微笑ましいやり取りを、サラは遠目で見ていた。


「ひょっとしてイヴは……ま、考えても解んないから止〜めっぴ♪
 ホレ、タカ救助活動は終わったなりか?これ以上ホットケーキが冷めると不味くなるなりよ?」


「ソレハ一大事デスッ!急イデ頂キマスネ。」


「うに♪た〜んと召し上がれ♪」


「イタダキマスッ!」


そう言うとイヴは両手を合わせ、ギネスに乗りそうな勢いで食べ始めた。


「ハムハムアムハム…モシャモシャ…ゴックン…ウ〜ン♪凄ク美味シイデスッ!」


「にふふ♪まだまだあるなりよ〜全部イヴのなり♪」


「ハイッ!大変嬉シイデス♪」


余程エネルギーがエンプティーに近かったのか、彼女は次々とホットケーキを激破していく。


「いい食べっぷりだのぅ〜惚れ々するでござる。」


「うにうに♪本当にそうなりね〜作り甲斐があるなりよ♪」


一番の好物に囲まれるイヴ…何物にも代え難い、幸せ一杯の表情で食べていた。


「私、幸セデス♪」


一方、かへおれが幽閉されている塔の上部では…。


「フム…珍しい生き物が来たものですね…ココは一つ遊んであげましょうか…。
 さぁ早く来給え…汝達が求む者はこの奥ですよ…。」


一体何者が待ち受けるのか?
そして、サラ・タカ・イヴの運命は?
酔い潰れて寝ている主人公の今後の所存は?
全ては時のみぞ知る事だった…。

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