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小説を書いて読んで楽しもうッ!コミュの時の町、『 forget me not 』へようこそ!

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これでアノ古文書にあった過去…現世…未来の全てが集まった。

過去は『タカ』 現世は僕『かへおれ』 未来は『イヴ』。

しかし集まったは良いが、肝心な時の女神『レイア』の居場所が僕には解っていない。
闇雲に動いたところで辿りつける訳が無い、ここは一つ地元民のサラ選手に頑張ってもらうか。


「なぁサラ、お前の母ちゃんは何処に居るんだ?」


「うに?ママはいっつも、次元回廊の向こうにある『時の神殿』に居るなりよ〜☆」


ってゆ〜か、又してもそ〜ゆ〜系統なのね…。
何となく予想はしてたけども、最早お約束の域に達してるな。
すると真剣な目をしたタカが先の行動を促す。


「ほう…そこに行けば謎は解けるのでござるな?」


「多分そうなり。」


三人で話していると今まで沈黙を守っていたイヴが、進行方向を指さした。
その方向に一体何があるのだろう?


「今 調ベマシタ処、アチラノ方角カラ多量ノ熱量及ビ生命反応ヲ感知シマシタ。」


「あぁ、あっちなりか?向こうには町があるなり。」


「こんな場所にも町はあるんだなぁ〜。」


「こんな場所で悪かったなりね…。
 まぁ、かへは放っておいて早く『forget me not』に急ぐなり。」


「ふぉうげっとみ……何でござる?」


「forget me not…直訳スルト『忘レナ草』デス。」


「それが町の名前なのかサラ?」


「うに、そーなりよ☆
 ん〜で、その町を越えてもっと行くと『次元回廊』に着くなり。」


ん?待てよ…何で町なんかが存在するんだ?
僕達の他に人が居るって事じゃないか?


「なぁサラ、何で町があるんだ?」


するとサラは呆れ返った顔で僕を見ると、如何にも面倒臭そうに説明を始めた。


「うに?ほんっっとぅに頭悪いなりねぇ〜何も かへ達だけがこの世に存在している訳ぢゃ無いなりよ?」


「と、言うと?」


「精霊界、妖精界、神界、魔界、色々あるなり。」


なるほど…確かにそう言われれば納得もいくな。


「距離ニシテ約1km程デ町ニハ着キソウデスネ。」


「今夜もちゃんとした宿で眠れそうでござるなぁ。」


「うに☆あそこのご飯は美味しいから好きなり〜♪」


時の街『forget me not』か…良しッ!行ってみようッ!
僕達4人と+1匹は、意気揚々と街に急いだ。


…これから起こる事も知らずに…。


山道を歩く事一時間程、漸く街並みが見えてきた。
小さな門を潜り『forget me not』に入ると、
岩を用いた作りが多く目立ち、人も余り頻繁には往来しておらず、
どことなくノンビリした雰囲気が特徴として感じられる。


「うに☆やっと来たなり〜。」


「ほぅ…これが『ふぉぅげっとみぃのっと』でござるか。」


「比較的ニ落チ着イタ街並ミデスネ、中世ヨーロッパスタイルヲ思ワセマス。」


やっぱり街に着くと、様々な反応を見せるなぁ。
そう思うながら僕もつい周りを見渡してしまう。
程なく辺りを見ていると少し先の方に、この世の者とは思えない美女を発見した。
失礼と言う言葉など何処かに捨て去った勢いで凝視…いやガン見してしまう。
それ程までにその女性は、身体中から魅力が溢れ出ていた。

肩まで伸びた髪は流れる様に美しく、
豊満な胸は漢を魅了して離さない程、豊かに実り、
腰から足にかけてのラインは正に芸術品その物。
彼女が動く度にダブルスリットの間から、雪の様な白い足がチラチラと見え隠れしてる。
気がつくと僕は吸い寄せられる様に彼女に向かって歩いていた…。

久しぶりの街に少し懐かしんでいたサラだったが、
ふと かへおれが居ない事に気づき、キョロキョロと辺りを見回す。


「うに?あのスットコドッコイはどうしたなりか?」


「アソコニ見エル女性ニ、オイデオイデ サレテマスガ?」


「うむ…誠にベッピンだのぅ…。」


後ろで何か言ってるようだけど、最早 僕の耳には届かない…。
あぁ…美女までもう少し…とろける様な微笑みを浮かべ、両手を広げて待っている…。

と、その時ッ!


「止めるなりッ『プリティー』ッ!ソイツは人間なりッ!」


サラは走るや否や、叫ぶと同時に僕の腰目掛けてダイビングヘッドを敢行した。


ズッドムッッ!!


うをぉぉ…久々の『のあッチヘッド(中段)』かよ…一瞬呼吸が止まったぞ…。
硬過ぎる頭が見事な迄に脊髄にキマり、僕は漸くの事で我に還った。
すると着地を華麗にキメたサラが、物凄い剣幕で言葉を浴びせてくる。
どうやら僕はあの美女に魔法を掛けられていたみたいだ。


「あ、あれ?僕は…一体何を…?」


「全くッ!本当〜〜〜に情けないなりねッこの馬鹿チンッ!
 サラが止めなかったら大変な事になってたなりよッ!!
 それとプリティーッ!『チャーム』の魔法はココでは御法度なりッ!」


「アハハハハッゴメンね〜♪
 その坊や見てたら、ついカラカイたくなっちゃってさぁ♪」


プリティーと呼ばれた女性は、真っ赤なルージュの間からペロッと可愛く舌を出し、
まるで悪戯がバレタ子供の様にケラケラと笑っている。
やがて追いついてきたタカとイヴが、先程の話を聞いていたのか、
サラに近寄り、何やら尋ねていた。


「サラ殿、もし かへおれ殿が捕まっていたら、一体どうなったのでござるか?」


「ソレハ私モ興味ガアリマス。」


「…30年位は年とった顔にされてたなり…。」


タカは答えてもらったはイイが、どうリアクションして良いのか判らず首を傾げ、
美女と僕の事を交互に見比べている。
一方イヴは何かを掴んだらしく分析を始め、
答を叩き出すと僕に教えてくれた。


「ふむ…謎でござるな…。」


「分析…会話ヨリ照合…男性ノ精ヲ吸ウ種族…神話ノ中カラ検索…『サキュバス』ト判明シマシタ。」


なッ!?サキュバスってアノ!?
惜しい事をした様な、助かった様な…。


「何、複雑な顔してるなりか?サッサと行くなりよ、まったね〜プリティー♪」


「ハァ〜イ♪まったねぇ〜♪」


美女は僕達に手を振ると身を翻し、投げキッスを一つ放って近くの店に入っていった。


「…なぁ かへおれ殿、彼女に捕まると何故30年も歳をとった顔にされるのでござるか?」


ん?黙ってると思ったらまだ考えていたのか。
なんて行って教えてやれば良いのかな…?
まさか本当の事は僕も恥ずかしくて言いたくないし…。


「そうだなぁ…ん…『吉原』に凄い勢いで通い続けたと思ってくれればいかな?」


「んなッ!?」


流石のテツも理解したらしく、絶句した様だ。
ソコに少々顔に影を差したイヴが僕に向かって冷ややかに言い捨てた。


「…ヘェ…良ク知ッテマスネ…。」


…頼む…その鋭い突っ込みは勘弁してくれ… 精神衛生上、非常に宜しく無い…。
そうこうしている内にサラが一軒の店を指差す。


「あそこに行くなりよ〜♪」


そこには『神の槌亭』と書かれており、丸太を組み上げた大きな一軒家で、
木製のドアにはカウベルが備え付けられており、開けた瞬間に鳴る仕組みになっている。
するとサラは手馴れた感じで颯爽【さっそう】と扉を開け、我先に店へと入っていった。


カランコロ〜ン♪


小気味良いカウベルの乾いた音が響くと、店の中から雷の様なデカイ声が聞こえ、
店主らしき大男が僕達御一行様を出迎えてくれた。


「ヘイッ!ラッシャイッ!」


「おっちゃーんっ!久しぶりなり〜♪」


「おおぉーッ!サラじゃねぇかッ!なんだ珍しい連中と一緒だな?
 お前のコレか?ガーハッハハハハッ!」


マスターは親指を立てサラをからかうと、下品に大声で笑い飛ばす。


「うにッ!?サラの理想はもっと高いなりッ!」


悪かったな…ボーダーライン下で…。
ってゆ〜か、お子ちゃまチックなサラには言われたくないぞ…。
そんなやりとりをしていると、店の奥から金髪のエルフが姿を現した。


「おや?『ガアッシー』客かい?」


「バカヤロウッ!客の前ではマスターって呼べって何百回 言やぁ解るんだッ!」


「あ!ゴメンゴメンつい…いらっしゃいませ旅の御方、当『神の槌亭』にようこそッ!」


燐として、まるで歌でも歌っているかの様な声で僕達を招き入れるエルフ。
長い前髪で顔の全貌は良く判らないが、かなりの男前だって事が僕には察知出来た。


「ヤケイッ!そのウザッたい前髪をなんとかしろって前々から言ってるだろぅがッ!?」


「フッ…この前髪は僕のトレードマークさ!そう簡単には切れないね♪」


確かに『ヤケイ』と呼ばれたエルフの前髪はかなり長く、飲食店には向いていない。
そんな怒鳴るマスターを前髪を掻き上げながら軽くいなし、彼は気さくに僕達をテーブルに案内する。


「さぁそんな所に立ってないで座って座って♪今 何か飲物を出すからね。」


「サラはホットミルクがいいなり♪イヴは?」


「私ハ、アイスミルクヲ ガムシロップ入リデオ願イシマス。」


「拙者は熱い梅昆布茶を所望しよう。」


「僕は…何かお勧めはあるかい?」


こんな所には滅多に来れないからな、どうせなら珍しい飲物でも頂くとしよう。
僕の質問にヤケイは少し考えると、カウンターの中に居るガアッシーに『あるモノ』の在庫を確かめた。


「あぁそれなら…マスター!蜂蜜酒ってまだあったかい?」


「ん…後2〜3杯だな。」


「良し決まりだッ!それにしなよ滅多に飲めないよ?」


「だったらその蜂蜜酒を頼むよ。」


それぞれのオーダーも決まり復唱する声を聞く内に、何故かその中の一品が多い事に気が付いた。


「OKッ!マスター!ホットミルク&アイスミルクガム入り&梅昆布茶激熱&蜂蜜酒2つネ?」


「なぁヤケイ、何で蜂蜜酒が二つなんだい?」


「フフッ…今に解るって、足音が聞こえるだろう?…ホラッ。」


僕には何の事だかサッパリ判らなかったが、不意に店の扉が開くと誰かが入ってくる。


カランコロ〜ン♪


その女性は肩に大きな樽を軽々と担ぎ、スタスタと店の奥に歩いて行くと、
勢い良く樽を下ろし、額に浮かべた汗を拭いながら深呼吸をした。


ドガッ!


「ふぅ〜〜〜〜!重かったわぁ〜。」


「やぁ♪みみっぺ、お疲れ様☆」


コトン…


ヤケイは先程頼んでおいた蜂蜜酒を女性の前に差し出すと、
如何にも手馴れた感じで機嫌取りを始めた。
コイツ相当女の扱いに長けた奴と見たな…。


「あら?気がきくじゃない有り難う♪
 でもねヤケイ…その『みみっぺ』って言うの止めてくれない?
 私には『ミミィ』って由緒正しき名前があるんだからッ!」


ヤケイは何やら羽飾りのついた帽子を被り、中世の戦闘服に身を包んだ女性と話し込み、
時折プロレス技みたいなのを掛けられたいた…あ、今『ポキッ』って音が聞こえたような…。


「…か、彼女は?」


『ミミィ』と名のった女性が持ってきた樽を、鼻歌混じりに検品しているガアッシーに何気なく尋ねと、


「あぁ見た事ねぇか、アイツは『ヴァルキリー』さ。
 この『蜂蜜酒』ってーのは、『ヴァルハラ』じゃねぇと作れねぇんだ。
 ソイツをわざわざここまで樽に入れて持ってきてくれてるのさ。」


ほ〜今 僕が飲んでいるのが噂に名高い、
ヴァルハラの戦士しか飲めないと言われている『蜂蜜酒』だったのか。


…コクッ…


滑らかな喉越し、甘過ぎない濃厚な味わいが口の中にふんわり広がる。
アルコールはちょっと強めだが、まるで気にならない程の旨さだな。
今まで味わった事の無い酒に舌鼓を打ち、余韻を噛み締めながら煙草に火をつける。

…そして何杯目を空けた頃だろう…何時しか僕はついつい飲み過ぎ、そのまま酔い潰れてしまった。

皆が飲み荒れる中、眠ってしまった かへおれ…やれやれといった顔つきでタカが彼を抱える。


「しょうがないでござるなぁ…どれ、部屋まで運んでやるか。」


立ち上がった時、カウンター越しにガアッシーと目が合い、
すると彼も察したのか、軽く溜息を洩らすと顎で2階を示した。


「ったくしょうがねぇなぁ…適当に二階の空いてる部屋を使いな。」


「かたじけない、ご主人。」


会釈をし、かへおれを運ぼうとするところにイヴが現われ、
一緒にその肩を担ぐが、少々出来上がったサラに制されてしまう。


「手伝イマス。」


「そんな馬鹿、放っておけばイイなりよ〜。」


「そうも言っておれんのでな、ちと失礼する。」


「デハ参リマショウカ。」


サラが呆れる中、タカとイヴに抱えられ、かへおれは空き部屋へと移動させられた。
軋む階段を上がり、扉を開けると手探りで灯りを探し照明をつける。
手入れの行き届いた部屋は清潔感に溢れ、床には埃一つ見えない。
タカは眠りコケる かへおれをベッドにソッと横たわらせると、静かに布団を掛け、
安堵の息を漏らした。


「ふぅこれで良し…っと。」


「デハ戻リマショウカ、ホットケーキガ冷メテシマイマス。」


「ハハッそうでござるな。」


ギィ…バタン…


静かな部屋の中、かへおれの寝息だけが暫く聞こえていた。
しかし前触れも無く空間が割れ、沈黙を破る者が現れる。
そして部屋の中をグルッ見回すと、眠る彼の傍らに立った。


「あらら〜簡単に入り込めちゃったわね〜♪」


「まぁ私達にかかればこんなもんでしょ。」


「んぢゃサッサと持っていきましょうかぁ〜♪」


「えぇアノ方もお待ちかねの様だしね…。」


二人は手早く密談を済ますと二手に別れ、交互に呪文を唱える。
するとベッドの上にユラユラと蠢く【うごめく】小さな空間の歪みが出現した。
それは彼女達の声に呼応して徐々に大きくなり、三人を包み込める位の大きさにまで膨れ上がると、
ゆっくりと下降を始め、音も無く人影だけを飲み込むと何事も無かった様にソノ姿を消す。
そして後には静寂だけが取り残され、ベッドを静かにゆっくりと冷やしていった…。

…ソノ頃キッチン内で料理を作っていたガアッシーだが、
器用に動く手を ふと止めると目を細めて一点を見つめる。


「…ん?」


すると料理を取りに来たヤケイが彼の異常に気き、眉を顰めた【ひそめた】。
何時もはあまり見せない彼の表情に、少し妙なモノを自分でも感じ取ったのだ。


「どうしたんだいマスター?何かあったのかい?」


「いや、気のせいかな?今、魔法を感じたんだが…?」


そう言われ神経を集中させて魔法探知を勤めるが、ヤケイの結界内には痕跡すら残ってはいない。


「そうかい?今、僕が調べてみたけど何も感じなかったよ?」


思案したところで判る筈も無く、すぐさま考えるのを止めるとガアッシーは頭を振る。
元来の性格故か、長く熟考するのが苦手なのだ。
彼はそんな考えを払拭するように店内を見回し、仕事が一段落した事を確認すると、
忙しなく走り回っていたヤケイを業務から開放した。


「フッ…気のせいだな…俺も年かな?まぁいいか…。
 おいヤケイ、今日はもう上がってアイツラと飲んできてもいいぞ。」


「え?マスターは?」


「バカヤロウ、俺が居なかったら誰が料理を作るんだ…。
 いいから早く行ってこい、グズグズしてっとミミィが帰っちまうぞ?」


「おっといけない!それじゃマスターお先!」


「あぁ…お疲れさん…。」


上がりの挨拶もソコソコに、ヤケイは素早くエプロンを外すと自慢の髪形をチェックする。
そして急いで彼女達が待つテーブルに行くと、既にソコは宴もたけなわ状態であった。
すると少々酔いが回ったのか、赤い顔をしたミミィがヤケイにしな垂れかかってくる。


「遅いじゃないのヤケイッ!もう帰ろうかと思ったわよッ!…ヒック!」


軽い溜息をつき酔ったミミィを引き剥がすと、彼は杯を手に取り、
音頭を取るべく、皆の顔を見回す。


「ゴメンゴメン、さぁ仕切り直して今日はみんなで飲みまくろうッ!」


「「「「オーッ!!」」」」

そんな明るい活気は夜の帳【とばり】に飲み込まれていった…。


そう…何事もなかったかの様に…。

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