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おとぎ銃士赤ずきん 二次創作コミュのおとぎ銃士赤ずきん・小説:第十一話 vol.3

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「ようこそ、三銃士・・・そしてエルデの鍵を持つ少年よ。」
サンドリヨンはそう言うとわずかに微笑んだ。
「邪魔をしなければ、今夜ここで消えるのはただ一人・・・」
「それはお前だ!」
ジグバートが剣を手に、サンドリヨンへと一気に間合いをつめる。
「ジグバート!」「よせ!危険だ!!」
ハーメルンとヴァルが止めるが、ジグバートは聞こうともしないでジャンプした。
「母さんの・・・母さんの仇だ!!」
そう言ってジグバートは剣を両手で握って振り下ろす・・・・が、その一撃はサンドリヨンの少し手前で止まった。
「け・・・剣があたらない・・・・?」
「愚かな一族の生き残りよ・・・」
その言葉と同時にサンドリヨンの右手を電撃が走る。
「ジグバート、逃げて!」「遅い。」
赤ずきんがそう叫ぶが、サンドリヨンは右手でジグバートをなぎ払った。
それに弾き飛ばされたジグバートは、壁に叩きつけられ―壁にひびが入り―剣を落として床に崩れた。
「ジグバート!!」
いばらが叫ぶが、ジグバートはただ震えているだけだ。
「後で・・・ゆっくりと話をしてやる。」
サンドリヨンはそう言うと、赤ずきんたちのほうへと向きなおる・・・その姿を見て草太は思わず前へ進み出た。
「やっぱり、ここはあの肖像画の・・・」
「あの絵と全く同じ・・・・!!」
白雪がそう言うと、草太は思い出したように言う。
「マレーン・・・?マレーンが・・・サンドリヨン?おとぎ話の中で出会った女の子は・・・サンドリヨン。あなただったのですか?」
草太の言葉にサンドリヨンはあやしく微笑んだ。
「我が名はサンドリヨン・・・それ以外の名などない。」
「違う・・・・」
その言葉に草太は右手を強く握る。
「あなたはマレーンだ。どうして・・・お母さんの話してくれた物語が。二つの世界の物語が・・・サンドリヨンの物語だったなんて・・・・!」
「さぁ、我が下へくるがいい・・・エルデの鍵よ。」
サンドリヨンがそう言って草太に手を差し伸べると、草太はサンドリヨンのほうへと歩いていく。
「草太、ダメ!!」「草太さん!」
赤ずきんと白雪がそう言うとサンドリヨンは目で睨む。
すると赤ずきん、白雪、いばらがジグバートとは反対の壁に叩きつけられた。
「きゃあっ!」「うぅ・・・!」「く・・・・っ。」
「赤ずきん!白雪!いばら!!」「サン・・ドリヨン・・・・!」
りんごの声を聞いてジグバートは再び剣をつかみ、今度はさっき渡されたラルゴの剣も抜いて立とうとした。
だが、先ほどの痛みでうまく立てずにいる。
その様子を見ていたサンドリヨンが、草太と赤ずきんたちに向かって口を開く。
「・・・・一つだけ教えてやろう。こやつと一緒にいたようであるからな。」
その言葉に赤ずきんたちは思わずサンドリヨンを見た。
すると、サンドリヨンはジグバートを指差しながら驚くべきことを告げる。
「私が九年前、こやつと一緒にいた女をトゥルーデに命じて始末させたのは・・・・このジグバート。愛しい我が息子を取り返すためだ。」
その言葉に部屋にいた全員が驚いた。
そして誰よりも・・・・ジグバート自身が驚いている。
「そ、そんな・・・・!」
「嘘・・でしょ?」
「ジグバートの母親が・・・」
「ずっと悲しく感じていたお母様が・・・・」
「・・・・サンドリヨン、だと・・・?」
「・・・・嘘だ。」
ジグバートはフラフラしながら立ち上がった。
その目は悲しみに満ちている。
だが・・・その言葉を聞いても、サンドリヨンは動きもしない。
「嘘だ・・・そんなの・・・嘘に決まってる!!」
「なぜそう言いきれる・・・・?」
「ふざけるな!そんな・・・そんなくだらないことがあってたまるか!!」
ジグバートは剣をなぎ払うように振った。
それを見て、サンドリヨンはジグバートに手をかざす。
「思い出せ・・・記憶をたどるのだ。」
そう言った瞬間、ジグバートの身体が動かなくなる。
「な・・・何だ・・・・!」
「さぁ・・・私のかわいい息子よ。思い出しておくれ・・・・。」
サンドリヨンはそう言ってジグバートへ近づく。
「ジグバート!逃げろ!!」
いばらがそう言うが、ジグバートの身体はビクともしない。
「だ・・・ダメだ。身体が、動かない・・・・!」
その間にサンドリヨンは、どんどんジグバートへと近づいていき・・・ジグバートの一歩手前で足を止めた。
思わずジグバートは目を閉じる。
「やめてください、サンドリヨン!」
草太がそう言うが、サンドリヨンはジグバートへと右手を伸ばし・・・・左頬に触れた。
その行動に驚いたジグバートは、思わずその手を剣を持ったまま握り、顔をあげる・・・そこにはサンドリヨンの顔がある。
そして・・・・・・ジグバートの幼い頃の記憶が・・・・蘇る。


ジグバートは柱の陰に隠れて、奥にいる人のことをコソコソと見ていた。
その人物は椅子には座っているが・・・鏡を見て色々と指示している。
とても忙しそうだ。
再び柱の陰に隠れると、手に持っている物を見つめ直す。
右手にはクッキーの入った包み、左手にはカップに入った紅茶を持っていた。
どうしてそれを作ったのかは分からない・・・が、いつも寂しいときはこうしていた・・・そんな気がする。
深呼吸を二回ほどすると、もう一度だけ部屋の奥にいる人を確認した。
どうやら、ようやく指示し終えたようで、深く椅子に腰掛けている。
すると、不意に顔をあげたのでジグバートと目線が合った。
それに気づいてジグバートは、また柱の陰に隠れた。
しかし、奥にいる人が名前を呼ぶ。
「・・・ハミル?」
その言葉にジグバート―ジーク・ハミルは柱の陰から恐る恐る顔を出した。
「どうしたんだい?そんなところに隠れて・・・こっちにおいで。」
そう手招きするので、ハミルは部屋の奥へと進む。
そして椅子の前まで来て顔をあげると・・・・そこにはサンドリヨンが座っていた。
「・・・これ。」
何かを聞かれる前に手に持っていたクッキーと紅茶を椅子の近くにある小さいテーブルに置いた。
「疲れてると思ったから・・・作って持ってきたんだ。」
「そう・・・ありがとう。」
そう言ってサンドリヨンはクッキーを一枚取って口へと運んだ。
そして、しばらくそれを味わってからハミルの頭に手を置いて撫でる。
「とてもおいしいよ。」
「本当・・・?」
そう聞き返すと、サンドリヨンは微笑んでうなずく。
それを見て、ハミルも少し笑顔になった。
「それよりハミル・・・今日はお友達とあそぶんじゃなかったのかい?」
サンドリヨンが尋ねるとハミルは少し悲しげにうつむいた。
「・・・・・断られちゃった。」
そう言うと、うつむいたまま言葉を続けた。
「僕がお母さんの息子だから・・・普通に遊ぶなんて畏れ多い、って。」
そこまで言うとハミルは顔をあげて・・・・悲しそうな母の顔を見た。
「あ、でもいつものことだから!もう慣れちゃったし・・・・。」
「・・・・・・。」
サンドリヨンは黙ったまま見つめていた。
その視線を辛く感じたのか、ハミルは振り返りながら「じゃあ・・・部屋に戻って・・本、読んでるね。」と言ってその場を去ろうとする。
すると、いきなりその身体をサンドリヨンが持ち上げて自分の膝へ置いた。
「わぁっ!」
驚いてハミルは大きな声をあげるが・・・サンドリヨンはその身体を抱きしめた。
「ごめんね・・・私の子供に生まれたからに・・・・。」
「お母さん・・・・・・。」
ハミルは思わず母の顔を見上げる。
サンドリヨンは・・・少し嬉しそうに髪を撫でていた。
「お母さん?どうしたの?いいことでもあったの?」
「久しぶりに・・・こうしてわが子を抱きしめられたから、だよ。」
ハミルの質問にサンドリヨンはそう答えると魔法で一冊の本を出した。
そしてそれを手にし、パラパラとめくる。
「久しぶりに、本を読んであげる。」
「本当?!」
ハミルが嬉しそうに言うと、サンドリヨンはうなずき、ハミルの前に本の開いているページを見せた。
それを見て、更にハミルは嬉しそうに言った。
「ありがとう、お母さん!」
その言葉を聞くと、サンドリヨンは本を読み始める・・・・・・。


ジグバートは現実に戻された。
サンドリヨンの右手が頬に触れていて、それに自分の剣を握ったままの手で触れている。
遠くでは赤ずきんたちがその様子を驚いて見ていた。
「ジーク・ハミル・・・・。」
サンドリヨンは静かにそう告げるとジグバートから手を離し、自らも距離をとった。
「私はお前をそう名づけた。それを、あの女は記憶を・・・お前の記憶を変えた。自分の子供であるかのように。」
「でたらめだ!」
ハーメルンがサンドリヨンの言葉を聞くなりそう言うと、ジグバートのほうを見る。
「ジグバート!騙されるな!これは、お前を惑わ・・・・」
「“惑わすため”・・・とでも言いたいのか?」
そこまで言うと、サンドリヨンは赤ずきんたちのほうに向きなおった。
「私は・・・本当にこの子を大切に思っている。現にさっきも、私はこの子を護ったではないか。」
「お前が護っただと?なぎ払っただけだろ!!」
「鏡・・・・。」
ヴァルがサンドリヨンに言い返すと、ジグバートが思い出すように言う。
その言葉に赤ずきんたちはジグバートを見つめた。
「鏡って・・・?」
「さきほどジェドがこの子を攻撃しようとした時・・・私はこの子の前に鏡を移動させて護った。」
そう言うとサンドリヨンは一回だけ目を閉じる。
そして再び目を開くと、ジグバートの近くに鏡を一枚だけ近づけた。
「お喋りはここまでとしよう。さぁ、ハミル・・・その鏡の中にお入り。」
その言葉にジグバートは黙ったまま、鏡の奥を見つめる。
「この中に・・・入る?」
「見えるだろう?お前の真の姿が・・・お前の本来、あるべき姿が・・・・。」
その言葉に呼応するかのように鏡の中にジグバートの戦っている姿が見えた。
悪魔の翼のような剣を両手に持ち・・・・闇を自在に使いこなす自分自身の姿が映し出される。
「私と同じ・・・お前はこちら側の住人。それも当然・・・私の息子なのだからな。」
「俺が・・・息子・・・・。」
そう言ってジグバートは剣を鞘に収めた。
「これが、俺のあるべき姿・・・・」
「さぁ、早く。私の下に帰ってきておくれ。」
その言葉にジグバートは手を伸ばし、鏡のほうへと歩き始める。
「ダメ、ジグバート!!」
りんごがキュピを抱きしめながら叫んだ。
キュピも必死でジグバートに呼びかけている。
「キュピピ!」
「お前は間違ってる!記憶に惑わされるな!」
「このままじゃ、お前まで飲み込まれるぞ!」
ハーメルンとヴァルも叫ぶが、ジグバートには聞こえていない。
「元に戻って、ジグバート!」
「アナタは何のためにここまで来たんですの!!」
「ダメだ、ジグバート!!自分の心を・・・あの肖像画の中で言ったことを忘れちゃダメだ!!」
赤ずきん、白雪、草太が同じように叫んだ。
しかし、ジグバートは既に鏡の前に立ち、その中に入ろうとしている。その様子を見てサンドリヨンは笑った。
「さぁ、早く!お前の居場所は私の下だけなのだ!」
「俺の・・・居場所・・・・。」
そう呟くとジグバートは更に一歩、踏み出そうとした・・・そのとき・・・・。
「ジグバート!!」
いばらが一言だけ叫んだ。
すると、今まで他のみんなの言葉が聞こえなかったジグバートだったが、その一言で我に返り、剣を二本同時に抜いて目の前の鏡をたたき切った。
「・・・・・・。」
その様子を残念そうにサンドリヨンは見つめている。
ジグバートは息荒く振り返ると、サンドリヨンへと剣をつきつける。
「こんなの・・・お前が作り出した偽者だ!!」
「まだ、そのように言うか・・・・」
「これ以上、みんなを・・・俺の記憶を傷つけるな!」
ジグバートはそう言うと剣を構え直す。
それを見てサンドリヨンは諦めたように背を向け「・・・いずれ分かるだろう。この真実が、な。」と告げた。
「エルデの鍵よ・・・・。」
サンドリヨンが今度は草太に手を差し伸べる。
それを見て、草太が逆に悲しそうな顔をする。
「我が下に来い。」
「・・・・・・・・・。」
その言葉に草太は黙ったまま前へと進み出た・・・・が、数歩進むと立ち止まり、サンドリヨンを見つめる。
「こんなのって、ないよ・・・・。」
「草太・・・!」
赤ずきんがそう言うが、草太はサンドリヨンを見つめたまま言葉を続けた。
「ジグバートのお母さんが・・・サンドリヨンなんて。僕のお母さんの話してくれた物語が・・・僕の大切な思い出が、サンドリヨンの物語だったなんて・・・!」
その言葉を言い終わるのと同時に草太の身体が輝き、部屋にある鏡を次々と割っていった。
「これが・・・エルデの鍵の力か・・・!!」
ジェドは草太を見つめながらそう言うと、あまりの強さに手で目をかばった。
だが、サンドリヨンは相変わらず手を差し伸べたまま・・・・鏡の中へと入っていく。
「さぁ・・・エルデの鍵よ。こっちへ。」
「エルデの鍵よ!!」
サンドリヨンに負けまいとジェドが草太に手を伸ばす。
「貴様は我が手に!」
それを見て草太は恐ろしくなって後ずさる。
すると・・・・右腕を赤ずきんがつかむ。
「草太――っ!!」
それと同時に草太の身体から発してた輝きがおさまる。
そして赤ずきんはコメットレイドルでジェドを攻撃し、いばらも鞭で応戦した。
その攻撃に、やむなくジェドは草太から離れた。
そんな中、サンドリヨンは鏡の中から草太に手を差し伸べている。
「エルデの鍵よ・・・・・。」
「ブリザード!!」
白雪が魔法を唱えると、サンドリヨンのいる鏡が凍りついた。
「赤ずきん!今ですわ!!」
白雪のその言葉に、赤ずきんはプリンセスモードに変身する。
それを見て、サンドリヨンは笑った。
「フフ・・・鈴風草太。エルデの鍵の力、見せてもらった。」
「・・・・そうか!あの魔方陣は・・・・・・!!」
「・・・?」
急に何かを思い出したように言うハーメルンをりんごは見た。
「ずっきゅ〜〜ん!!」
そして赤ずきんがいつものようにプリンセスソードを思い切り振る・・・・が、サンドリヨンの鏡は突然、消えた。
そして、もっと奇妙なことに、赤ずきんの外れた攻撃は床に当たったのだが・・・・それは、まるで吸い込まれるかのように手ごたえが全くなかった。
「手ごたえが全くない!?」
赤ずきんが驚いてそう言うと、サンドリヨンの声が部屋に響きわたった。
「エルデの鍵を手に入れることは出来なかったが・・・その片鱗は見せてもらった。」
その言葉に赤ずきんたちは部屋を見回すがサンドリヨンの姿はどこにもなかった。
「次に会うときは・・・私のしもべになるときかもしれんな。」
その言葉にランダージョが未だに縄で縛られたまま横歩きで呼びかける。
「サ〜ンドリヨンしゃま〜?我輩は・・・」
「のんびりしているとお前も巻き込まれるぞ、ランダージョ。」
その言葉にランダージョは思い出したように飛び上がる。
「はにゃあ!そうでした!!・・・それでは皆さん、バイにゃら〜〜!」
そう言って素早くそこから立ち去ってしまう。
「ランダージョ、テメェ!!」
ヴァルが怒ってそう言うなか、ジグバートの頭に声が響いた。
“ハミル・・・いつかお前を、また迎えに行く。その時までに考えておくことだ・・・自分がどちら側の人間なのか。”
すると、その言葉が途切れるのと同時に部屋が―まるで色が奪われていくかのように―灰色になっていき、砂となって崩れ始める。
「う、うああぁぁ!!」
ジェドとライカンたちが崩れていく砂に飲み込まれる。
「ジェド!」
草太が名前を呼ぶがもう遅く、その姿は見えなくなってしまった。
その状況を危険だと感じた白雪が「皆さん、かたまって!」と指示する。
その言葉に赤ずきんたちは部屋の入り口があった場所にかたまる・・・・・が、ジグバートだけは壁に寄りかかったままだ。
「ジグバート!早く!」
草太がそう叫ぶが、ジグバートは右手を強く握るだけだ。
「ジグバート!!」
今度はハーメルンが叫ぶ。
すると、ジグバートは自分の足場が崩れ、飲み込まれそうになった。
「う、うわ・・・・!!」
「はぁっ!」
間一髪、いばらが鞭を伸ばしてジグバートの腕をつかんで傍に引き寄せた。
それを確認すると白雪は魔法を唱えて全員を転送させる。
その直後、部屋が砂で飲み込まれた。

偽のサンドリヨン城が砂で崩れ落ちる中、赤ずきんたちは少し離れた場所に着いた。
「皆さん、います?」
白雪が確認するようにそう言うとハーメルンが右手の親指をあげた。
すると、ジグバートは前に進み出て城を見つめる。
「・・・・・母、さん・・・・。」
悲しそうにそう呟くと、草太が声をかける。
「ジグバート・・・。」
その言葉にジグバートは、なぜか驚いて振り返り赤ずきんたちと距離をとった。
「ち、違う!!俺は・・・俺は・・・・!」
「ジグバート・・・?」
「俺は・・・あんな奴の息子じゃない!!そんなの・・あってたまるか・・・・!」
「ジグバート・・・あんなの、お前を惑わす嘘に決まってんだろ?」
ヴァルがそう言うとジグバートは・・・・うつむいたまま、否定しようとしない。
「もう・・・何も分からない。」
そう言って黙り込んでしまう。
その様子を見て顔を見あわせる赤ずきんたち。
すると、赤ずきんが崩れていく城を見ながら口を開いた。
「せっかく・・・フェレナンド様に会えたと思ったのに・・・・。」
「まさか、この城が偽物だったとはな。」
ヴァルがそれに続くように言うと、白雪も口を開く。
「きっと、どこかに本物のサンドリヨン城があるはずですわ。
「でも・・・本物って言ったって、どこにあるの?」
「・・・・封印の地だ。」
ハーメルンがりんごの問いに答えるとみんながハーメルンを見る。
「封印の地・・・?」
赤ずきんが聞き返すと、ハーメルンが一枚のカードを渡した。
それを受け取ってスウィートフォンにかざすと、どこかの景色が映し出される。
「あっ!これって・・・」「お城の鏡に映っていた魔方陣・・・!」
りんごと白雪が驚いてそう言うと、ハーメルンが言葉を続けた。
「サンドリヨンの鏡にも、同じ魔法陣が映っていた。ここはかつて七賢者がサンドリヨンを封印した場所だ。だが・・・サンドリヨンが復活したときに魔法陣は破壊され、今では破片だけが残っている。」
「では、この封印の地にサンドリヨン城が?」
「フェレナンド様は、そこにいる。」
いばらがそう言うと、草太が振り返りながら言う。
「そして・・・二つの世界の物語。それがなぜサンドリヨンの物語になってしまったのか?・・・その答えもきっとそこにある。」
「よしっ!行こう、封印の地へ!!」
赤ずきんがそう言うとヴァルが口を開く。
「だが、一体どうやってそこに行くんだ?とてもじゃないが、検討が・・・・・」
「・・・ここから北北西に真っ直ぐ。そして谷にかかっている橋を渡る。」
今まで黙っていたジグバートが赤ずきんたちのほうを向いてそう告げた。
「・・・そこまで行けば、城への目印がある。俺の記憶では、な。」
「その情報・・・信じていいんだな?」
ハーメルンがそう言うとジグバートは少し悲しそうにうなずく。
「封印の地の前に“一族の谷”と呼ばれる渓谷がある。間違いはないはずだ。」
「一族の・・・谷?」
りんごがそう言うとジグバートは更に詳しく話す。
「俺たち一族は、そこから自分たちのいる国に渡ってた。だからそう呼ばれてる・・・もっとも、一族が滅んだ今はどうなってるか知らないけどな。」
そこまで言うと、ジグバートは再び偽物のサンドリヨン城を見つめた。
「じゃあ、行こう。その場所に。・・・きっとジグバートのことも分かるよ。」
草太の言葉にジグバートはしばらくの間、黙っていたがやがてうなずく。
「急ごう。」
「・・・俺はもう少し、裏をとってみる。別行動だ。」
いばらの後にハーメルンがそう言うとりんごが驚いた。
その様子を見て、白雪が楽しそうに言う。
「あらぁ〜?りんごさん、なんだか寂しそう・・・」
「ちょ・・・ちょっと、どういう意味よ〜!!」
りんごが白雪にそう言っている最中、ハーメルンがジグバートを少し離れた場所に連れて行った。
「・・・なんだよ?」
「お前に一つ、言っておく。」
不満そうに言うジグバートにハーメルンはそう告げる。
「サンドリヨンが言っていたこと・・・それが事実かどうかは、俺には分からない。」
「・・・・・。」
「だが、たとえお前が息子であろうと・・・俺はお前の親友であり、相棒だ。その事実に変わりはない。」
その言葉にジグバートはハーメルンを見た。
すると、ハーメルンは微笑んでいる。
「・・・・ありがとな、相棒。」
「次に会うときまでに開き直ってろよ。」
「努力・・・出来たらな。」
少し悲しそうに言うジグバートに、ハーメルンは手を差し伸べる・・・・だが、それを見てジグバートは首を振る。
「俺が・・・開き直ってからだ。そうじゃないと相応しくない。」
「分かった。・・・・あいつらを頼んだぞ。」

その様子を見ていたヴァルは、今度は赤ずきんと草太を見る。
二人は、まるで何かを決意したかのように強い眼差しで見つめ合っていた。
そして、赤ずきんたちは昇る朝日を見つめる。
封印の地に行き、サンドリヨンを倒すため・・・・フェレナンドを救うことを誓って。

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