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ひぐらしのなく頃にコミュの四本目の【エロ】ひぐらしがなく頃に創作小説【注意】

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ここは「ひぐらしのなく頃に」を題材とした創作小説を掲載する場所です。

お話として成り立っていれば、小噺だろうが超長編だろうが構いません。

スレタイにあるように、エロもアリです。薔薇でも百合でも任意で咲かせてください。

また、初代トピに則りグロ等もアリとします。

何でもアリです。

なので、エロやグロの苦手な方、ご注意ください。

トピ主は関知しません。自己責任でお願いします。

それではまた、以後も皆様に一時の娯楽を提供して参りましょう……

てな訳で、フリーダムに盛り上がれ皆の衆!(何様

なお、作品に対するコメントも受け付け…というか募集して?いますw


初代トピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=33469936&comment_count=1000&comm_id=23799&&

二代目トピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?&id=34257007&comm_id=23799

三代目トピ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=36096728&comment_count=994&comm_id=23799

コメント(1000)

>*白猫*さん

いつもありがとうございますm(_ _)m
そんなに期待されてもビビってしまうんですが…(笑)
何とかご期待に沿えるように頑張りますm(_ _)m


>尾田梟さん

珍劇はお約束出来ませんが…今後どんな展開になるのか…程々に期待しながら、お待ちいただければ幸いですm(_ _)m


>とにーさん

レナママが!?というコメントを沢山いただいた事に少しビックリしてます。でも確かに、今までなかったかもしれないですね、そういえば。
楽しみだと言って下さる皆さんの気持ちに応えられるように、精一杯頑張ります!!


>プリニィさん

ヤバ…鳴いてるリーフィア(魅音)萌e(略)
プリニーさん
隠れながらニマニマしながらどうなるか期待していた作品だけに嬉しいです。楽しみにお待ちしとります。

尾田さん
初参加という事で不安かもしれませんが前回は、私も初陣でしたので心配ないかと皆さん優しいので
 高野は黙々とノートを読みふけるとぱたんっと閉じこう言った。
「このノートは大変興味深いものですわ、症候群発症の過程がきちんと記録してありますわね。」
 その口調は今回の出来事を俯瞰で見下ろすような言い方だった。
「高野さん、人が大勢死んでるんですよ、そんなマウスの実験結果を見るような言い方は少々…無慈悲ではありませんか?」
 赤坂が生真面目な顔をして言った。
「あら、申し訳ありませんわ、研究者のサガかしら、物事を第三者からの視点で見てしまう習慣が付いているみたいですわね。」
 高野はあまり気にしない感じでそう言った。
「ところで…高野さん、このノートに出て来る鷹野のスクラップ帳ってのはもしや…あなたの事ではないでしょうね?」
 大石はやや疑り深い感じでそう尋ねた。
「そうですわね…私がもしこの村に住んでいたならば…そんな物も作っていたかも知れませんわね、資料整理は研究者の務めですから、でも私はこの村の事を良く知っていると言ってもそれは伝聞や資料で見聞きしただけ、現地に赴いたのは今回が初めてですのよ。」
 その返答を聞き、大石はそれ以上の追及をせず、質問を変えた。
「わかりました、大方はあなたがおっしゃった病原菌が原因として考えられるとして…なぜ今回あなたはわざわざ現地まで?」
 それを聞いた高野は急に神妙な面持ちになりこう言った。
「実は…戦時中の発症事案の中に一件だけ…雛見沢出身者ではない人物による発症事案が存在ありまして…その人物が陸軍学校で同室だったんです…多数の雛見沢出身者と。」
 それを聞いた大石と赤坂の顔色は真っ青になった。
 その反応を確認するかのように一瞥すると高野はこう続けた。
「この病気…伝染るんですのよ…おそらく感染者はこの村だけではなく…興宮辺りにも存在する筈です、そして…恐らく我々も感染の可能性がありますわ。」
 そう言い放った。


みなさんこんにちわ、よっちです。
長い間のご無沙汰でしたがやっとの続きです。
鉄直しは別の形になりましたがこちらはこのまま続けていきますので期待しないで待っててくださいね!

とりあえず同人誌1号のお知らせを再度

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作品名及び執筆者&イラスト担当者

「雪原除夜」 陽炎&やぎ子
  雪…真っ白な雪、辺り一面に広がる銀世界に舞い降りた一つの雪
  落ちては消え
  落ちては積もる…
  積み重ねたのは自責の念か、はたまた誰かへの謝罪の念か
  今宵は雪原に響く鐘の音もきっと彼には届かない
  彼方は信じられますか?


「入江の健康診断」 こなた&真田すばる
  とある雛見沢の春の昼下がり。健康診断という大義名分を得た入江は、
  次々と大胆な行動を迫っていく。
  だんだんとエスカレートしていく入江。その運命は如何に!


「竿直し編」 高城剣&もりとも  
  沙都子のトラップで、圭一のオットセイに異変が生じてしまった。
  魅音とレナは、オットセイ回復を賭けた淫靡な対決を企む。
  その様子を覗き見る梨花、沙都子、羽入。
  そのとき、入江の目が妖しく光る。


「彼拐し編」 ノブ&真田すばる   
  繰り返す運命に辟易する梨花。
  彼女はひょんな事から、圭一と交わる事を思い付く。
  彼らの行為の行く着く先は…梨花の想いの帰着する場所は…?
  全てがここから始まった…第1編彼拐し。少女は、一陣の風に出会った。


「体火照り編」 フラッシュ&MISA  
  突然雛見沢に起きる不思議な変化
  仲間達との生活が変わってゆく
  梨花にだけ変化は起きず、取り残されてしまう
  残された梨花の決断は?梨花に春はやってくるのか!?


「反逆の羽入」 ユエ&パラボラ
  毎度毎度余計な事を言っては女王梨花にキムチ制裁を喰らう、
  ご存知我らが残念アイドル羽入。
  その羽入が、ついにペッタン小狸へと反旗を翻す!
  思いつきのまま突っ走る羽入を描いた問題作(?)ここに見参。
  合言葉は
  「だからお前はアホなのだ!」


「いとおかし編」 よっち&ナナシの
  いつものように雛見沢に死に戻った梨花。
  不自然に上機嫌な沙都子。
  果てしない違和感の先で梨花を待つアイツとは誰?
  百年のカケラに埋もれたちょっとおかしな物語…。
  あ、エロではないですごめんなさい。


「賽生し編」 KIZUNA&*白猫*
  誰もが望み、誰もが望まなかった純白の世界
  そこに降り立った少女はかつてとは違う世界を選び、
  その世界で幸せをつかみ取ろうともがいた
  彼女にふりかかるのは幸運か、それとも不幸か
  あなたの目に映り、移り、写るその世界で彼女を待っているものは……

A5 188P 頒布価格¥900

「雛見沢観光案内所 購買部」コミュニティhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39263583&comm_id=4010866にて通販の受付も行なっています。

個人的には真田すばるさんの挿絵がエr(ry ※しかも2話w
もちろん私のいとおかしもナナシのさんの挿絵でグレードアップしていただいてます!

(鉄直しが載る予定の)2号もこちらで販売するつもりですので購入しようか迷っている方も一度覗いて見てくださいね!

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さてさて!果たして3人の運命は?
これはほんとうに”ひぐらし”なのか?
小鳥遊編、次回をオタノシミニ!
連投失礼

最初にタイトル入れ忘れたorz

存在ありましてってなんだよorz

脳内変換よろしくお願いします…チクショウ!
〜小鳥遊編〜

「それでは…あなたは…。」
「ええ、感染拡大の防止とと治療のためにお伺いしたんですわ。」
 大石の問いに答える高野。
「とりあえず、どこか拠点となる場所を確保させて頂きたいですわ、私は先行でお伺いいたしましたが明日には研究スタッフがこちらに到着する手はずになっているんです。」
「それならば興宮署はいかがです?鑑識スタッフもいますしここよりは設備も整っているでしょう。」
 大石の提案に高野は。
「それではお言葉に甘えさせていただきますわ、あ、村民の方々の遺体は署内で検査できるようにしていただけますか?…症候群のことは伏せていただけるといいのですが。」
 高野の言葉に赤坂は。
「何故です?そんなに危険な病原体ならばきちんと対処しなければならないのでは?」
 と強い口調で問いただす。
「雛見沢症候群だからこそ…ですわ、この症候群は平素では特段危険なものではありません、でも…そんな病気が蔓延していると知って疑心暗鬼に陥る署員が一人でもいたら…そちらのほうが厄介な事態になりかねませんわ。」
「ふむ…それは確かに…。」
 大石はそう言うとツカツカとパトカーに向かって行き。
「こちら4号車大石、至急鑑識と手の空いた署員を回してください、村人の遺体は全て署に、ええ、それとじさまは?ああ、いらっしゃいますか、お客さんを連れて行くと伝えてください。」
 そう無線で伝えた。

 程なくして村にパトカーの大群がやってきて現場検証、遺体の搬出が始まった、次々と運び出される首を掻き毟った遺体。
 そして全ての搬送が終わる頃、2体の遺体が運ばれていく。
 一体はノートの持ち主の少女、そしてもう一体は緑の髪をした少女だった。
「園崎魅音さん…ですかいやいや、あのまま成長していればさぞかし美女になっていたでしょうに…やりきれませんね。」
 そうもらす大石、しかし赤坂はもう一人の少女、自分の名を呼んだ少女…古手梨花の事が気になって仕方がなかった。
「さて、長い一日でしたね、明日にはあの高野さんのお仲間も来られるという事ですし…今日は署に戻りましょうか。」
 高野は既に遺体搬送の第一陣と共に署に向かっていた、今頃は既に遺体の調べに手をつけているだろう。
「…おやっさん…。」
 その呟きが赤坂の耳に小さく聞こえた。
 カナカナカナカナカナ
 ひぐらしが鳴いている…人の声が聞こえなくなった村に、大石たちを乗せたパトカーを見送るようにいつまでも…いつまでも。

あー…なんっすかね?
めずらしく早いうちに更新したんで面白いコメントまで頭回りませんw
と、とにかく!待て次回!
ぼつさん、最高です。涙出そうになりました。たぶん魅音は
「バカだねえ。あたりまえじゃないの。そうじゃなかったら来世でおじさんが産んであげるよ、あんたを」
とか言いそう。
>ぼつ様
電車の中で泣きそうになったじゃないですかぁー!!orz
めっちゃ必死で涙をこらえましたよー
責任とってお嫁さんにしてください。(←



ごめんなさい石を投げないでwww
>とにーさん
遅ればせながら、名前間違いなぞ気にしないで下さい☆鬼目醒め編…期待保守です♪


さて、かろうじて第4トピ内で終わる事ができました。「新世紀レナンゲリオン」最終話をUPさせていただきます☆
最終話 ひぐらしの、なく頃に



地下祭具殿の最下層…富竹がアカサカと呼んだ巨人の前にいるのは、伊知朗と梨花だった。

「全ての時報は倒れた。今こそ約束の時だ。さぁ、梨花ちゃん。アカサカとの融合を果たし、レナシリーズを消滅させ、我らの理想郷、幼女の、幼女による、幼女のための世界『ロリネタリウム』を完成させるのだ」

梨花は無表情のままアカサカへと歩みより、右手をアカサカの胸の辺りへ向けて掲げた。





地上に出た初号機は弐号機の惨状を目の当たりにし、圭一は咆哮をあげる。

「うおおおぉぉぉぉっ!!!」





梨花の体がピクンと跳ねる。

「…圭一が、呼んでいるのです」

「…何?」

梨花は掲げた手を下ろし、伊知朗へと向き直る。

「圭一が呼んでいるのです。行かなければいけないのですよ」

「…何を言っているんだ梨花ちゃん。梨花ちゃんはアカサカと融合を果たしレナシリーズを消滅させるのだ。そして、ハニューとの契約の儀を行う事で我々の長い戦いは終わる」

梨花は言葉を無視するかの様に伊知朗の脇を摺り抜け出口へ向かおうとするが、その肩を伊知朗に掴まれる。

「…時間はないが、思考プログラムをもう一度入れ直した方がいいか」

その瞬間、アカサカの胸の中心から一筋の光が発せられ、梨花の胸の中心を指した。そして、梨花の胸の前に青く輝くプリズムの様なものが浮かび上がる。

「…!馬鹿な…!ダミーである梨花ちゃんに、マインド・コアが生まれるなど…そんなはずは…!!」

梨花の肩を掴む手に力が入る。

「…やむを得まい。思考のバックアップを別の依り代に載せ直すしかないだろう。この身体はもはや不要だ」

肩にかけていた手ともう一方の手を、首へとかけ直す伊知朗。その両手に力が込められると、梨花の表情が苦悶に満ちる。

「…う、…んぐ」

その時、アカサカの胸から射していた光が太くなり梨花の体全体を包み込むと、梨花の体は伊知朗の手を離れ、ゆっくりとアカサカの体へと吸い寄せられていく。

「いかんっ!」

伊知朗は拳銃を取り出し、梨花の体を狙い撃つ。が、銃弾は光の中に入った瞬間に消失した。遂に、梨花の身体はアカサカの身体と完全に1つになる。



  間に合った…

  あの時言えなかった言葉を言うよ

  梨花ちゃん、 君を…

  助けに来た!!





「地下祭具殿に高エネルギー反応!地上へ向かって急上昇しています!…これは、パターン青!まさか…!いえ、違います!ヒト、人間です!」

大石は別段、驚いた様子も見せない。

「初号機の状態はどうですかねぇ?」

「危険です!パイロットにヒナミザワ・シンドローム、レベル5を観測!このままでは自我境界線を突破します!」





「サトシ君、妹さんの状況は心苦しいとは思いますが、後少しです。後はお願いしますよ」

「わかってますよ、監督。後は僕がレナシリーズを消滅させ、ハニューと接触すれば全ては終わります。今、この世界ではサトコに辛い思いをさせてますが…補完計画が成れば全ての生命は理想の楽園へと身を委ねる事になるでしょう」

「そう…今こそメイドの、メイドによる、メイドのための楽園、メイド・イン・ヘヴンは完成するのです」

「レナンゲリオン四号機、北条・サトシ・カリフラワー、出撃します!」





茫然自失となり動かない圭一と初号機を量産機が押さえ付ける。そして、五寸釘のレプリカを手に空中から一直線に初号機へと向かって来るのは、レナンゲリオン四号機であった。だが、その釘が初号機を貫こうとした瞬間、初号機はまばゆい光を発し、五寸釘を弾き飛ばす。



  圭一君… 目を覚まして…

  約束したよね

  今度は 普通に出会って

  普通に笑いあって

  普通に恋をしようって



「…レナ」

不意に圭一が顔を上げる。

「そうだ…俺はレナを知ってた。もっと小さい頃、ここへ来た。小さな光のカケラを見せられ…それをレナと呼んだ」





「むぅ…五寸釘を弾くとは、一筋縄ではいかない様だね」

四号機が地面に降り立つと同時に、轟音と共に地下から白い巨人が姿を現す。その姿を見た圭一は直感的にそれを感じ取った。

「り…梨花ちゃん…か…?」

四号機はゆっくりと巨人へ近付き、その胸へ右手をあてる。

「別に、無理に初号機を消す必要もない。僕とアカサカが融合すれば約束の子は僕となり、約束の時は訪れるのだから」

だが、その右手は閃光と共に大きく弾かれる。そして巨人の胸に青く光るカケラが浮かび上がった。





入江は薄暗い部屋の中で驚きの声をあげる。

「馬鹿なっ!アカサカにマインド・コアが宿るなど…そんな事は有り得ません!」

作戦指令室では、大石も同じ様に驚愕していた。

「一体…何が起きたと言うんですかねぇ、前原さん…」

巨人はゆっくりと初号機に向かう。圭一に恐怖感はなく、まるでそうするべき事を知っていたかの様に、巨人の胸へと右手を掲げた。

初号機の右手が巨人の胸の中に吸い込まれる様に入り込み、初号機の体もゆっくりと、その体の中に溶けて行った。

巨人はその瞳から光線を放ち、量産機と四号機を一瞬にして消滅させる。

入江と大石は、それぞれの場所で各々の計画の失敗を理解した。

「んっふっふ…神は圭一君を選んだ、という事ですかねぇ…或いは、初号機を選んだという事でしょうか…」





地下祭具殿の最深部、アカサカがいた場所よりも更に地下深く。15年前に目覚めようとしたが、人類によりそれを妨げられし神「ハニュー」が今、再び目覚める。

地下よりゆっくりと姿を現したそれは、アカサカの眼前にて静止した。

アカサカがその手をハニューへと伸ばす。

アカサカの手がハニューに触れたその時。

世界は、消えた。









全ての生命は、一つの海へ。

全ての大地が、一つの海へ。

今、この時にここにあるものは、神たるハニューと、その内に初号機と圭一と梨花を擁するアカサカだけ。


  圭一は、何を求めるのですか?

  圭一君は、何を望むんだい?

  圭一君は、何を願うのかな…かな?





  約束…したよな

  今度は、普通に出会って

  普通に笑い合って

  普通に恋をしようって









「やっべえ!遅刻だ!母さん、なんで起こしてくんないんだよ!」

「あら、圭一。何回も起こしたわよ?」

「転校初日から遅刻なんてシャレんなんねぇだろ!じゃ、行ってきま〜す!」

少年の名は前原圭一。トーストをくわえたまま学校への道を全力疾走する。猛スピードで曲がり角を曲がったその瞬間、小走りで同じく学校へ向かっていた少女と衝突し二人とも尻餅をついた。

「っ…てぇ…!」
「いたたた…!」

圭一が視線を上げたその先には。

(…白か)

少女は圭一の視線に合わせて自分の足元へ目をやると、自分の体勢に気付き慌ててスカートを整える。

「みみみみみ見た!?見たかな!?」

「な…何を…?」

あからさまに取って付けた様な返答をしてしまう圭一。

「あーっ!遅刻しちゃうんだった!ぶつかっちゃってごめんなさ〜い!」

そういうと少女は立ち上がり凄いスピードで圭一の視界から消えていった。

突然の出来事に呆然とその場に座り込んだままの圭一。自分の遅刻が確定した事を理解するまでに、数分を要した。





「魅ぃちゃ〜ん、朝からツイてなかったよ〜!」

「あっはっは!そりゃあ前原さんとこの圭一だね。先日引っ越して来たばっかりだからレナが知らないのも無理ないか」

「レナは朝から男の子にパンツを見られてかぁいそかぁいそなのですよ☆」

「はぅ〜!」


カラーン、カランカラーン

「はいはい皆さん!席について下さいね!ホームルームを始めますよ!」

この学級…とはいえ小さなこの村では学校にはこのクラスしかない訳だが…の担任、知恵が着席を促す。

「今日から皆さんのお友達が1人増えます。前原圭一君です。入ってらっしゃい」

圭一が知恵に言われて教室へと入って来た。


「あーっ!パンツ男!」

圭一はぎょっとしてレナの方を見ると、小さく吹き出した。

「ぷっ…おいおい、恩人に向かってそのパンツ男ってのはやめてくれよ、竜宮レナさん」

「なんでレナの名前を…それに恩人って…?」

「ほら、これ。落ちてたぜ」

圭一がレナへと財布を投げる。

「あっ…!!あ…あ、ありがと…」

「ふぅん、なかなか面白そうな男の子じゃないか」

魅ぃちゃん、と呼ばれた緑髪の少女、園崎魅音は圭一を見てニヤっと笑った。





圭一が転校して来てから約1ヶ月が経った時、魅音が自分の主催する『部活』への参加を打診する。

「で、どう?やってみる?」

「要するに、みんなでゲームをして遊ぶ部活なのですよ☆」

「たかがゲームだと思って甘く見ると痛い目に遭いますわよ!」

「よーし!やってやるぜ!」





結果は圭一の惨敗。種目はジジ抜きだったが、他のメンバーはトランプの折り目や汚れである程度カードに目星がついているのだから無理もない。ただ、最後の最後で魅音に一矢報いた事により素質アリとされ、圭一は晴れて部活メンバーの一員となった。

トップこそ取れないものの、圭一は確実に戦い慣れしていった。勿論最下位になって罰ゲームを受ける日も多いが、持ち前の頭の回転の早さもあってかトータル2位、3位になる日も増えて来ていた。





「さぁ、明日はいよいよ綿流しのお祭りだねぇ!」

「今年もやりますわよ!」

「「「「「綿流祭五凶爆闘!!」」」」」

「なんだそりゃ?」

「明日はね、年に一度のお祭りの日なんだ。屋台もたくさん出るし興宮の方から人もたくさん来る、ここ雛見沢が最も盛り上がる一日と行っても過言じゃあないよ!」

「なるほど、その盛り上がる場所を部活の舞台にしない手はないって事か」

「察しがいいねぇ。ま、そういう事だよ。部員以外もどんどん巻き込んでいくからね。部活メンバーたるもの、まさか一般人に遅れを取る様な失態はおじさんが許さないからね!」




祭の夜。

圭一達は祭の空気を楽しむ。

屋台の射的で、小手先の技を駆使して巨大なぬいぐるみを落とす。

突然の売り子勝負でその口先をもって屋台を大繁盛させて行く。

神社の巫女である梨花の奉納演舞をみんなで見守る。





  私はただ、この日常を取り戻したかっただけ。ただ、それだけなんだよ…だよ。





「今日は完全に圭ちゃんの勝ちだね。心から賛辞を贈るよ。おめでとう」

「圭一君、おめでとうなんだよ、だよ」

「圭一さん、おめでとうございますですわ」

「圭一、おめでとおめでとなのです☆」

次々とメンバーの周りに人がやってきては、圭一に賛辞の言葉を贈る。

魅音の双子の妹、詩音。

「はろろーん☆圭ちゃん、おめでとです☆」

沙都子の兄、悟史。

「圭一、おめでとう」

毎年この時期になるとやってくるフリーカメラマン、富竹ジロウ。

「圭一君、おめでとう」

入江診療所の院長にして、野球部「雛見沢ファイターズ」の監督、入江京介。

「前原さん、おめでとうございます」

入江診療所の看護婦さん、鷹野三四。

「クスクス…おめでとう、前原君」

クラスの後輩、岡村傑と富田大樹。

「「前原さん、おめでとうございます!」」

クラスの担任、知恵留美子。

「前原君、おめでとう」

興宮の刑事、大石蔵人。

「んっふっふ、前原さん、おめでとうございます」

東京から来た大石さんの友人、赤坂衛。

「圭一君、おめでとう」

父親の…前原伊知朗。

「さすが我が息子。よくやったな。おめでとう」

誰だか解らないけど…さっき後ろから一つ聞こえた足音の主。

「圭一、おめでとう…なのですよ☆」





そして、全ての人達に…

「ありがとう」





終劇
>やん提督さま
すばらしい。。
所々にある雛観沢テイストの織り込み方に、キラリと光るセンスを感じていました。

本当に楽しませていただきました。
お疲れ様でした。
>白猫様

感想ありがとうございます☆
パロディを書くにあたって重要視したのは、「出来るだけ名シーンを余すところなく出す」という事でした。そこにひぐらしテイストを合わせる事で、ひぐらしファンの方に笑っていただければ…というのが狙いだったので、楽しんでいただけたなら幸いです♪

>ちびにー様
↑の様な狙いでもやはり話しとしてしっかり完成させたい…という思いからラストはひぐらし側に進む事になりました。皆さんの想像をいい方向で裏切れたのなら思惑通り☆

>ぼつ様
楽しんでいただけたなら何よりです☆「ありがとう」は読んで下さった皆さんへの思いも心から含まれています♪
こんにちは。
レナンゲリオン…終わっちゃいましたね。楽しみが一つ減ってしまいました(´・ω・`)

原作終盤のストーリーを詳しく知らなかったので、前半とはまた違った楽しみ方が出来ました。毎回素敵なパロディをありがとうございます。終盤のひぐらしテイスト、かなり熱かったですね!
次も期待しています!!
唐突に、始まります。

ひぐらしのなく頃に
〜想現し〜
-前編1-

どかーん!!

「ぐわぁ〜……………!」

大きな、何かが爆発したかのような轟音に続いて、少年の声が遠くで木霊する。
4人の少女が、心配そうな…それでいて、期待に満ちた瞳で、教室の出入り口を見つめている。
3分後…

がらがらっ!

「お、おかえり、圭ちゃん!あちゃー、ハデにやられたねぇ!ははははは!」
「圭一君、大丈夫!?一体何をされたらそんな風になるのかな…?」
「おほほほほ、あれだけ大口を叩いていたというのにざまぁないですわね!」
「圭一、誰も心配してくれなくてかわいそ、かわいそなのです。にぱ〜☆」

少女達にそれぞれの言葉で迎えられた少年は、腕を吊り、目の周りに青アザを作り、頭には無数のタンコブをこさえるという、漫画顔負けの格好で現れた。
少女達の労い(?)の言葉を聞いて、少年は

「…お前ら…覚えて…ろ…」

その場に倒れたきり、ぴくりとしか動かなくなった。

「圭ちゃん…失くすには惜しい男だったよ…。皆、前原圭一一等兵…いや、二階級特進だから軍曹か。前原圭一軍曹に敬礼!」
「こら魅音、勝手に殺すなぁ〜!」

少年…前原圭一は、少女のうちの一人、園崎魅音に食って掛かり、

…ぱたんっ

「圭一君、大丈夫!?」

しかし、それで力を使い果たしたらしく、今度こそ本当に動かなくなった。






放課後。

「つつ…あの校長、一体何者なんだ?」
「武道という武道は全て極めているという噂ですのことよ。」

圭一が何事もなかったかのように、4人の少女らと雑談を繰り広げている。
吊っていたはずの腕はぴんぴんしており、目の周りのアザはキレイになくなり、頭のタンコブは見る影もない。

「確かに、あの時は死ぬんじゃないかと思ったけど、後に残るようなケガは一つもしてないんだよな…確かにこれは、武道の達人にしか為し得ない技…校長、漢だ…!」
「圭ちゃん、何とんちんかんな事言ってんの?これだから男の子ってのは!」
「なら女の子、机の上にあぐらで座るのはやめてくれ。」

圭一の指摘を受け、「いけね」と舌を出した少女…魅音は、椅子に腰掛け直す。

「魅ぃ、女の子はおしとやかに、お上品に、なのですよ。ボクもお人形さんのように大人しく座っているのです。」
「り、りりりり、梨花ちゃん!そのまま動かないでね!そしたらレナがお持ち帰りだからっ!」
「レナさん、落ち着いて下さいませ!魅音さん、圭一さん、止めて下さいまし!」

その後、レナのかぁいいモードを解除する為に、圭一が先ほどと同じ程度の負傷を負った事は明記するまでもない…。




「今日の部活は、これ。スピードっていうトランプのゲームだよ。知ってる?」

次の日の放課後、魅音が昨日のメンバー…圭一、レナ、沙都子、梨花を集めて、何やら熱弁している。どうやら、部活に関する話らしい。
魅音の話を聞く皆の眼差しは真剣そのもので、皆が部活に賭ける思いがいかに強烈かを暗に示している。
そんな皆に負けないくらい力強い視線で、魅音が説明を続ける。

「ローカルルールも色々あるんだけど、今回やるゲームでは絵柄は関係なし!単純に、場に出ているカードの数字と前後している数字のカードを手札から出す事が出来る。最初に全員に山札を配って、プレイヤーは山札からカードを取って5枚までの手札を所有出来る。そうやって手札と山札を減らしていって、先にカードがなくなった人に上位の成績をつけていくよ。つまり、早くカードをなくしたら勝ちって事だね。ただ、今回の部活特別ルールとして、カードを出す場は5箇所作るよ。」
「5箇所も!?それではすぐにゲームが終わってしまうのではありませんの?」

魅音の説明に、目を丸くして質問をぶつける沙都子。魅音が、その質問は想定内…とでも言いたげに、指をちっちっと振って答える。

「それくらいの事はちゃーんと考えてあるって。毎回勝負を始める前に、誰かがサイコロを振る。そうだな、最初は梨花ちゃんに振ってもらって、それからは時計回りにしようか。あ、最初に断っておくけど、このサイコロのそれぞれの面が出る確率は同様に確からしいよ。一切細工のしてない、どこにでもあるサイコロ。このサイコロで出た目と同じだけ、場のカードを順番に、一斉に表向きにする。その勝負が流れるまでは、表になってる場にしかカードは出せない事にしよう。」
〜想現し〜
-前編2-

皆が魅音の説明を頭の中で処理しながら聞いている。
そして、当然の疑問が頭に浮かぶ。

「みぃ…だけどそれだと、6の目が出た時はどうするのですか?」
「うん、当然の質問だね。もしサイコロで6が出た時は、サイコロを振った人が一枚好きなカードを、好きな場に出す事が出来る。もし誰もカードを出す事が出来なくなったなら…もしくは、誰も出したくなかった場合は、次にサイコロを振る人が1枚、好きなカードを好きな場に出す事にしよう。勝敗なんだけど、1位から順番に4点、3点、2点、1点と得点をつけていって、累計獲得点数で最終的な勝者を決める。今回の罰ゲームは最下位だけ!それだけに、最下位には恐ろしい責め苦が待ってるよ…。説明は以上!何か質問は?」

誰からも質問はない。当然だ。魅音は過不足なくこのゲームについての説明をした。…そう出来るように、家で何度も説明のリハーサルを行ってきたのだから。
勝負を始める前に、魅音が皆を焚きつける。

「普通のスピードと違って運の要素も強いけど…つまりは、迅速な判断力と、運を持った者が勝利を掴むって事だね。さて…じゃあ梨花ちゃん、サイコロを振ってくれるかな。」
「み…それでは、いくのです…」

梨花が手の中で少しサイコロを弄び、そしてふいにそれを宙に放った。

からからっ

3。
表にされるカードに近い3人…レナ、沙都子、圭一が、カードに手をかける。

「それじゃ始めるよ。梨花ちゃん、号令を。」
「…始め!」

梨花の号令と共に、3人がカードを表に向ける…












「はっはっは!どうした魅音、迅速な判断力が…何だって?よく聞こえなかったなぁ!」
「くそー…まさか私が最下位になるなんて…!」

フタを開けてみれば、運も味方につけて梨花が1位、続いてレナが2位につけ、圭一、沙都子と続き、魅音が最下位という結果だった。

「レナもたまたま、運が良かったんだよ。たくさん6が出てラッキーだったな☆」
「けどしかし、3位ってのもどうも中途半端な順位だな。」
「圭一さん、贅沢を言うものではありませんわ!私なんて、魅音さんがあそこまで酷くなければ間違いなく最下位でしたのよ…」
「沙都子、それ私への嫌味〜?うー…」

部活メンバーがそれぞれの言葉で、互いの健闘を賞賛したり、自分のプレイングを評している。そんな中で、ただ一言も発していない少女がいた。

「梨花?どうしましたの?」

そんな少女…梨花の様子に気付いて、沙都子が声をかける。梨花ははっと気付いたように顔をあげて、沙都子に答える。

「最下位の罰ゲームを考えていたのですよ。魅音、覚えていますか?最下位には地獄の責め苦が待っているって…。」(地獄の…なんて言ったっけ!?)

そう言って梨花は、にっこりと笑った。
その笑顔に、その場にいた誰もが戦慄を覚えた。
梨花は満面の笑みを浮かべたまま、沙都子を呼びつけ耳打ちをする。

「………」
「…なるほど、それは名案ですわね♪」

梨花から何かを囁かれた沙都子は、梨花とひとしきり笑い合うと、魅音へと向き合う。
その笑顔に魅音は、梨花と同質の邪な何かを感じた…気がした。
思わず後退る魅音。

「さ…沙都子?いいのかな?私に一体何をしようって…」

そう、無意味な脅しをかけようとした魅音だったが、沙都子は笑顔でそれを制する。

「あら?敗者は何をされても…文句は言えませんわよね?」

その通り、とにこやかに頷く梨花と二人、手をわきわきさせながら無垢な(?)少女の魔の手が魅音に迫る。

「や…やめ…!」
「沙都子、かかるのです!」


号令の下一気呵成、梨花と沙都子が魅音に飛び掛る。

「圭一君…見ちゃダメ!」

咄嗟にレナが、圭一を後ろ向きにしたうえその目を塞ぐ。

「おい…ちょ、レナ、何するんだよ!?」
「ダメだよ!絶対振り向いちゃダメ!そんな事したらレナ…怒るからね…?」

咄嗟に抵抗しようとした圭一は、背後から感じた氷のような冷気に一瞬で動きを止めた。
その間にも魅音の絶叫と、梨花と沙都子がきゃいきゃいと騒ぐ声が響き続け、レナは真っ赤になりながら…それでもちらちらと後ろを振り向きつつ、圭一の視界を奪っていた。

「レナ、圭一、もう良いのですよ♪」

梨花の言葉に、レナはようやく圭一の目を塞いでいた手を離す。レナから解放された圭一は、ずっと目を抑えられていた為か目がしぱしぱするようで、何度も瞬きを繰り返していた。目の周りはレナの手形に、くっきりと赤くなっていた。

「み…魅ぃちゃん!?」
「何だよレナ、大声出して…なっ!?」
〜想現し〜
-前編3-

元々赤かったレナの顔は更に真っ赤になったが、圭一のそれも決してレナに引けを取る物ではなかった。
無理もない。
真っ赤になった魅音が纏っていたのは、白のカッターシャツただ1枚。シャツの下にはブラジャー以外何もつけていないらしく、シャツの隙間から魅音の豊満な胸の谷間と、ブラジャーが垣間見える。更には魅音が必死で、シャツの前側を下に引っ張っている。当然、下着が見えないように…だ。
魅音は片手で胸を隠し、もう片手でシャツを引っ張り、本人としては精一杯下着が見えないように努力しているのだろう。しかし、魅音は気付いていなかった。あまりに力いっぱいシャツを引っ張るあまりシャツの中ほどにあるボタンが外れて、更には胸を隠そうと必死で腕を押し付けている為に、ボタンが外れたシャツの隙間が広がり、胸が強調されて…言うなれば、普通にシャツ1枚を羽織るよりかなり…その、刺激的な格好になってしまっている事に。

「はぅ!魅ぃちゃん!そんなはしたない格好!でも、恥ずかしそうにしてる魅ぃちゃん…はぅー、か、かか、かぁいいんだよぉ…。お、おおおお、おむっ!?」

そんな魅音の格好を見て、例の如くお持ち帰りモードになろうとしているレナを、圭一が必死に羽交い絞めにしている。しかし、その視線が魅音から外れる事は、一瞬たりともない。圭一の顔の赤さはレナのそれといい勝負だった。今や、とうの本人魅音よりも、レナか圭一の方が真っ赤になってしまっていた。

「圭ちゃん…ちょっと、いつまで見てんのさ!」
「なっ…、べ、別にっ!オレは見てなんかないぞ!その、お前の…あ”〜っ!!梨花ちゃん、沙都子ぉ!」

魅音の言葉に照れ隠し…しようとしたが叶わず、圭一が感情の矛先を元凶である梨花と沙都子に向ける。その転嫁はいたって自然な流れではあったが、この少女達にそのような正当防衛が通用するはずもない。

「み?圭一が呼んでいるのです。沙都子、行ってらっしゃいなのです☆」
「大丈夫ですわ、梨花。きっと圭一さんは寝言を叫んでいるだけなのです。全く、眠っていても騒々しい人ですわね。」

梨花はさらりと沙都子に面倒事を押し付け、沙都子はさらりとトンデモ理論を披露してみせる。一見無秩序に見える二人の行動だが、しかしその実両者の行動の根底に存在するのは確信犯的思考なのだった。こうしてちぐはぐな言動をする事で圭一を軽くあしらい、煙に巻くという事に二人は異常なまでに長けていた。梨花単品、沙都子単品でもそれぞれかなりの破壊力を有するのだが、この二人がタッグを組んだ時の爆発力や、相乗効果という言葉では生温い程の威力を発揮するのだった。

「こんな寝言があるか!」

と至極真っ当なツッコミを披露する圭一は、しかしどこからどう見ても道化にしか見えないのだった。
圭ちゃんのスケベ!と顔を赤くして喚く魅音。
そんな魅音に対して、同じように顔を赤くしながら必死に抗弁し、同時に梨花と沙都子に罵声を浴びせるという器用な芸当を披露する圭一。
そんな圭一など意に介さず、ただただこの男女のやり取りをさも楽しそうに観察する沙都子。
そして、自分が発起人のくせにもはや半ば興味をなくして、むしろ二人を楽しそうに見ている沙都子を見て満面の笑みを浮かべる梨花。

一連の騒動の中でいつの間にか圭一の拘束から解放されていた梨花は、そんな部活メンバーの様子を見て、

「ぷ…ははは、あはははは…!」
「「レナ、笑うなぁ〜!」」

思い切り声をあげて笑い、圭一と魅音に全く同じ非難の声を浴びせられるのだった。
そんな二人を見て梨花と沙都子がまた囃し立てて、今度は圭一と魅音が一丸となって、梨花と沙都子に報復をしてやろうと追い回す。

「はは、ははははは…!」

4人がぎゃいぎゃいと騒ぎながら追いかけ、追い回される騒音と、レナの哄笑が教室に響き渡る。

(本当に、楽しい…。)

こんな幸せな日々がずっと続けばいい…ふとレナはそんな事を、しかしとても強く思った。
〜想現し〜
-前編4-

あの後沙都子は圭一の魔の手に捕まりデコピン(戒)という制裁を受け、そして梨花はいつものようにのらりくらりと追撃を避わし、圭一の制裁を受けて泣いている沙都子をうっとりと眺めながら、さも嬉しそうに慰めていた。
こんな事は日常茶飯事なので取り立てて誰も問題になど思わず、また沙都子もいつの間にやら泣きやみ、その後皆で帰路についた。
帰り道でも会話が絶える事はなく、やれ魅音が可愛かっただの、今度の部活では覚えてろだの、彼女達は歩く騒音と化していた。とは言ってもここは長閑な寒村、そんな子ども達の様子を見て目を細くする人はいても、咎める者など誰一人いなかった。
そうして沙都子と梨花が別れ、圭一とレナと魅音が3人で歩き続ける。そしていつもの集合場所に辿り着いて、圭一とレナに見送られながら、魅音は自宅である園崎本家に到着した。

「ただいまー。」

とは言うものの、この家の中で血の繋がった家族と呼べる婆っちゃ…園崎お魎、園崎家現頭首にして園崎明王とも呼ばれる魅音の実の祖母は、床に臥せっている事が多い。

「あら、おかえり魅音ちゃん。」
「ただいま、沁子さん。」

家に帰った時に出迎えてくれるのは、大抵はお手伝いさんの誰かだった。お魎自らが魅音の帰りを出迎えてくれる事など、滅多に無い。今日も帰宅した魅音を迎えてくれたのは、お手伝いの牧野沁子だった。

「婆っちゃは?」

魅音はいつものように、まず祖母であるお魎の様子を尋ねる。この質問は、体調が芳しくない祖母の様子はどうかと心配する意図と、園崎明王とまで呼ばれ、また魅音自信も機嫌が悪い時の怖さは嫌という程知っている御三家園崎家頭首お魎のご機嫌はどうかという意図が込められた便宜的な物だった。その事をよく心得ている沁子は、魅音の質問「両方」に答える。

「お魎さんは今お休みになってるわ。お薬も飲んだし、特に調子が悪いという事もなさそう。私も時々お茶を淹れる為に呼びつけられるから、魅音ちゃんもただいまを言いに行ったら?」
「そっか。ありがと、沁子さん。」

沁子の返答を聞いて今日は機嫌が良さそうだ…と判断した魅音は、お魎の様子見も兼ねて挨拶に向かった。たとえ家族でも…いや、家族だからこそ、お魎が機嫌を損ねている時は決して自分からは近寄らない方が良いという事を、魅音はよく理解していた。それはお魎が園崎家の頭首だから…という事ではなく、お魎が気分屋の少し気難しい人物だという事を理解しているが故に過ぎなかった。園崎家頭首であるお魎と次期頭首である魅音の関係は、村人が一般的に認識している程殺伐としたものではなかった。もちろん、園崎家という立場がある時は二人ともそのように振舞うのだが、それ以外では祖母と孫娘という関係でしかないのだ。他愛のない雑談もするし、些細な事でケンカをしたりもする。園崎お魎は、園崎明王と呼ばれ畏れられているその実、園崎家という立場がなければごくごくどこにでもいる気難しい人でしかなかった。ただ、そういった「ただの園崎お魎」という姿を、本当に心許した人にしか見せない、というだけだった(今のところお魎のそんな姿を知っているのは、親族である茜や魅音、それに公由村長と、オヤシロ様の生まれ変わりとして村人に可愛がられている梨花くらいであった)。

「婆っちゃ、ただいまー。」
「おおぅ、魅音。帰って来たんね。ちゃんと手ぇ洗ったんかいね?」

やっぱり機嫌は良さそうだ。お魎の言葉に「子どもじゃないんだから」とはにかんで答えた魅音は、いつものように調子を尋ねる。

「ん、なーんともなぁ。入江先生の薬がよーぅ効いとる。」

お魎のその返事を聞いて、魅音はほっと一安心した。毎週決まった日に診療所の所長である入江が回診に来てくれるのだが、ここのところ診断の結果があまり芳しくなかったから、正直少し心配していたのだった。祖母の様子を確認した魅音は、その後しばらく学校であった事や、自分の留守中にあった事など、何でもないような会話をお魎と続けた。そうしてしばらく他愛のない会話を続けていた魅音は、ふと時計を見て随分時間が経った事に気がついた。
〜想現し〜
-前編5-

(明日の部活や罰ゲームの用意しなきゃ…)

ここは「今日の復習や明日に備えて宿題と予習をしなきゃ」が模範解答なのだが、残念な事に魅音は模範的な学生とは程遠い場所にいた。

「ごめん婆っちゃ、私明日の準備があるから、ちょっと自分の部屋に戻るね。何かあったらすぐ呼んで。」

そう言って立ち上がった。魅音の言葉に頷き、見送ろうとしたお魎は、しかし思い出したように魅音を呼び止めた。

「魅音。そういやぁお前が留守の間に電話があったんね。沁子が出よって私ぁよーぅ知らんけどな、レナちゃんの家族から電話があった言うとったよ。」
「レナの…?分かった、ありがと。」

お魎の言葉に首を傾げながら、魅音は部屋を後にした。

(レナのお父さんが電話?一体うちに何の用だろう…?)

魅音はなおも首を傾げながら、話を聞く為に沁子を探した。

「あ、沁子さん、ちょっといい?」
「ん?なぁに?」

台所でテキパキと食器の整理をしている沁子を見つけ(普段は明るいがちょっと抜けている沁子も、家政婦としてこういう所はしっかりしているらしい)、魅音は声をかけた。今さっきのお魎とのやり取りを簡単に伝え、電話の内容を聞くつもりだった。沁子がお魎にしっかりと伝えてないという事は、きっとさして重要な電話ではなかったのだろうが。

「ん?あ、そうそう。あのね、電話があったの、レナちゃんのお母さんから。」
「えっ…お母さん?」

沁子の返答に、魅音は思わず目を瞬いた。レナの家族から電話があったというから、無意識のうちにレナのお父さんから電話があったのだと思い込んでいた。しかし、レナの家族とは当然レナのお父さんと…お母さんなのだった。今は離婚して別居している、レナのお母さん。

「それで、一体何て!?」

沁子の返事を聞いて、魅音が身を乗り出すようにして尋ねた。
そういえば、すっかり忘れていた…レナのお母さんが雛見沢に帰ってくるっていう事は、前々から聞いていたじゃないか!それから一ヶ月以上何の連絡もなかったから魅音の思慮からはすっかり抜け落ちていたのだ。
魅音の不安をそのまま言い当てるように、沁子は言った。

「うん。来週の頭くらいに来てしばらくこっちにいるって言ってたかな?」
「どうして!」
「え…?」

魅音は思わず両の拳を振り下ろして叫んだ。魅音のそんな様子を見て、沁子が不思議そうな表情で魅音を見つめる。無理もない。沁子にとっては、レナのお母さんが雛見沢に戻ってくるという、ただそれだけなのだ。レナと沁子は知り合いではあるが、沁子がレナの家庭環境を詳細に知っているわけではない。レナの母親が雛見沢に来る…それがレナにどのような影響を及ぼすのか、沁子には想像がつかない…いや、想像する事すらしないだろう。

「…あぁ、ごめん、沁子さん。教えてくれてありがとね。それじゃ!」
「あ、うん?じゃあね。」
〜想現し〜
-前編6-


曖昧に手を振る沁子を尻目に、魅音は駆け出した。別に、急いで部屋に戻ったところで何かするアテがあるわけではない。だが、自分の中に激しく湧き上がる不安な気持ちを拭う為に、魅音は駆け出していた。

「魅音!騒々しいんね!家の中を走るとは何事ね!」
「ごめん、婆っちゃ!」

お魎の怒鳴り声も話半分に、魅音は自分の部屋へと駆け込んだ。
扉をしっかりと閉めて、軽く上がった息を一息、二息…と整える。
そうして自分の息が整うにつれて、混乱と動揺に満たされていた思考が徐々に落ち着いていくような気がした。

(レナの…お母さんが…)

段々と思考がクリアになっていく。
肺の中に新鮮な空気が供給されるのと同時に、脳に酸素が行き渡る。

(考えろ、考えろ…!)

冷静に、それでいて迅速に、魅音はこれから自分がすべき事を思考する。
レナのお母さんが帰って来る…それは事実。受け止めなければいけない。
お母さん…浮気して、お父さんと離婚して、幼いレナとお父さんを見捨てたお母さん。そんな人が帰ってきたら…。レナは、普段こそおっとりとしていてどこか危なっかしい所がるけど、実はしっかりとしていて、内にとても激しい感情を秘めている。魅音はそんな、「誰でも持っている対外的な仮面」を外したレナの姿を、親友として何度も見ている。それだけに、魅音は今回の事を重く見ていた。

(レナなら大丈夫だとは思うけど…だけど、もしお母さんが帰ってきたら…ひょっとすると、レナは…)

と、そこまで考えてはっとした魅音は、大きく首を横に振った。

(何考えてるの、園崎魅音!レナなら…そう、レナなら大丈夫だよ!私がレナを信じなくて、誰が本当にレナの事を信じてあげられるの!?)
そう思い直した魅音は、これからやってくるかもしれない苦難に杞憂するのではなく、自分に考え得る事、自分に出来る事をやろうと思い至った。それは一見安直な答えのように見えたが、だがしかし、レナと母親の間に何があったかを、魅音はよく知っていた。当の本人、レナから話を聞いている。レナの親友として…魅音はレナの母の事を決して快くは思っていない。その魅音が、母親との再会によってレナが疑念や怒りに駆られて何か取り返しのつかない異変に見舞われるんじゃないか…と心配するのではなく、たとえどんな困難がやってこようとレナなら毅然と立ち向かうと信じて、自分は必要な時だけサポートしようと決意した。それは、決して安直で楽観的な考えに基づく浅はかな結論ではなかった。
ただレナを信じ、そのうえで自分に出来る範囲で力になる。そう、決めたのだった。
ただ仲間を信じる…それが、この雛見沢においてどれほど難しい事か。魅音のレナに対する信頼と、信念に基づく決意は、一見した以上に強固な意志に支えられていた。

(私が、レナを信じる…!)

そう固く誓った魅音。
…ふと一瞬、どこか遠い世界の出来事のように、頭の中に映像がフラッシュバックする。
教室、縛られた生徒、振り上げられる鉈…

「!」

魅音は慌てて頭を振り、その光景を消し去る。

(今のは何だったの…?だけど、こんな事には、絶対にさせない!)

心が落ち着く、甘く優しい…よく知った香りと、自分の肩を強く抱きしめてくれる温もりを、感じた気がした。

(レナなら、大丈夫。明日、この事をレナに伝えよう。いずれは分かる事だ。事前に知っておいた方が、レナも心の準備が出来ると思うし。そして、レナがどういう判断をしても、私はレナの全てを信じよう。)

そう誓ったのだった。
ありがとうございましたm(_ _)m

なかなか執筆が進められませんが、少しずつでも書き進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
一読いただければ幸いですm(_ _)m
ちょ、今日はトピの進行速度はやい!w

ども、神出鬼没のトピ主です。

よければ次もトピ主やりたいかなー……なんて。今は時間ありませんが、今晩中には立てますんで待ってていただければこれ幸い!

といったところで、四本目これにてお開き。五本目でお会いしましょう。

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