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歌詞から妄想コミュのMr.Children/Tomorrow never knows

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夢のついでに




俺の母は俺が幼い頃交通事故で死んでしまった。

親父はそのショックから、心が壊れてしまった。

親父はある考えにとらわれたまま答えを見つけられなくなっていた。

母はある男性に想いを寄せていて、俺はその男性との子供ではないかと不安になり、疑い、妄信し、怒りの矛先を俺に向けた。

そして俺を捨て出て行った。

俺は親父の親戚の家に預けられたが、どこの家庭も金銭的にも心にも余裕がなかったようで、厄介払いされるように親戚中たらいまわしにされた、いくつもの移り行く町並みを眺めていた。

そんな生活が中学を卒業するまで続いた。

いろんなバイトを掛け持ちしながら一人暮らしをはじめ、バンド活動をしていた。

生活は厳しかったけど、誰の世話にもならず、誰の目も気にせずに生きていける事が嬉しかった。

バンド関係の知り合いからカラオケ店をスタジオ代わりに使って金を浮かしていると言う話を聞きカラオケ店でのバイトを始めた。


バイト先のカラオケ店で一人の男と出会った。

彼は俺より一個上で俺とは似ても似つかないような大らかな人物だった。

俺が生きる為に、欲しいものの為に必死に生きている横で、「どうでもいいよ」とか「どっちでもいいよ」とか「俺がやるからいいよ」って余裕がある生き方をしていた。

彼は俺の決断力とか、何が何でも手に入れようとする強い意志なんかを気に入ってくれてたけど、俺から言わせればそんなふうになりたくてなったんじゃない。

俺だって彼みたいになりたかった。

誰も教えてくれる人なんていなかったから、自分で全てを決めなきゃいけなかったし、誰も与えてくれなかったから、欲しいものは主張し、奪って手に入れた。

俺だって彼のようになりたかった。

俺が夢見ていた「普通の少年」を彼の少年時代に重ねてしまう。


俺は彼に心を許し夢を語った。

「歌手になって有名になって金持ちになって欲しいもの全部手に入れる」

彼は「金持ちになるために有名になりたいの?」って聞いてきた

「それもあるけど、有名になって俺の存在を幼い頃俺を捨てた親に分からせて、後悔させる」って話していた。

「ずいぶん屈折した理由だけど応援する」って励まされた。



俺はいつものようにバイト先で標的を決めた。

二個上のリーダー格のバイトの女だ。

俺は昔からある種の女をかぎ分けられ、そしてものに出来る。

ある種の女とは「依存する女」だ。
男に尽くすことでしか自分の価値が分からない女。

そういう女の紐になって生活し、自分で稼いだ金は全部バンド活動に使う。


バイト先で探りを入れたら思ったとおりバンドマンに尽くして捨てられたばかりだった。

さっそく飯に誘い夢を語ったら一発で成功した。
いつものパターンだ。

正直に言えば俺は知っていた。探りを入れたときに彼女と彼は親密な関係である事を。

しばらくして彼と彼女は離れたらしい。

そのことを彼女からも彼からも聞いた。

心は痛んだけど、人を傷つけてでも欲しいものは取る。




俺は真紀の家に転がり込むために荷物の整理をしていて、親父の日記を見つけた。

親父は意外にもマメに日記をつける人物だったらしい。

親父は女性にモテ、特定の彼女をつくらない人だったらしく、いろんな女性の名前が記してあった。

俺の両親は大学のサークルの先輩と後輩だったらしい。

日記を読む限り親父は母にさほど惹かれていなかったようだ。

親父はある後輩を嫌っていた。

その後輩は口数が少なく、冷めた目をして親父を見下してるように感じた。

子供の頃から何でも出来て、みんなに頼られて、どこでもリーダーだったプライドの高い親父には自分を慕わない彼が気にいらなかった。

そして、そんな思いをするのは初めてだった。


卒業し、入社すると母から就職の相談を受けた。

母の就職相談にのってあげて色々話すうちに、母と彼が親しくしているのを知った。

そして母が自分に憧れているのを知って彼へのあてつけに付き合おうと決めた。

親父と母はそのようにして付き合い始めた。

きっかけは親父の歪んだ気持ちだったけど、親父は次第に母に本気になって行った。

母は親父にとって初めてのタイプだった。

それまで親父の周りに居た女性は親父のルックスとかリーダーシップに惹かれてのぼせて、親父に言いなりの「都合の良い女」だった。

母も同じように惹かれていたけど、のぼせてはいないし、親父の思い通りにならない「自分」をしっかり持っている女性だった。

今までのようにいかない母に親父は初めて恋をした。


彼女の全てを自分のものにしたいと思っていても、彼女の心はどうしても手に入らず、苛立ちを覚えた。



”彼女の心には彼の領域がある”



親父はそれに気が付くと、積極的に彼と接触するようになった。

『彼女は俺のものだ』そうアピールする為に3人で会う様になった。

結婚が決まり、勝利の美酒をより味わう為に彼に結婚パーティーの司会を頼んだ。


直前になり彼は司会を断ってきた。

目の前で勝利の味を楽しめなくなったが、司会を断った事が、完全な勝利へと昇華させた。

結婚して数年、信二(俺)が生まれ幸せの中に包まれていた。



寝室で赤ん坊の僕と母は寝ていた。

リビングに書きかけの手紙が置いてあった。

親父はその手紙を盗み読んで呆然とした。

彼が母を好きなのは知っていたが、母が彼を好きだったとは知らなかったからだ。

親父は、母の全てを手に入れたと思っていたが、彼女の大切な部分は彼のものだと知り、母と彼を憎んだ。

親父は手紙を破り捨てようとしたが、母がその手紙を出すか最後のチャンスに賭ける事にした。

買い物に行く母を親父は送り出した。
バッグに手紙が入っている事は知っていた・・・

母が帰ってきたら手紙の事を問いただそうとしていた。



しかし帰ってきた母は何も語らなかった。




遺品のバックの中には手紙はなかった。

母がその手紙を出したのか、捨てたのか親父には分からなかった。



日記をしまおうとすると、一枚の紙が落ちてきた。

母の手紙のコピーだった。

俺は手紙が届けられたか知りたかった。

俺は手紙の続きを知りたかった。

俺は誰の子なのか知りたかった。

俺は好きでもない親父との間の子なのか知りたかった。

俺は半ば諦めながらその住所に尋ねた。

驚いた事に彼はまだそこに住んでいた。





彼は今でも大事にその手紙を持っていた。






俺は親父を許した。けれど親父から受けた虐待の痛みは決して消えない。

俺の傷が癒えない事を考えると、俺がいままで手にするものの為に傷つけてしまった・犠牲にした人たちに、償う事さえできない。

それもまた俺にとって癒えることない傷み

それならばその十字架を抱き、傷みを引き連れて日々を暮らす。

果てしない闇の向こうに夢がある。


誰かに執着したり、依存したり、誰かの為に生きてみたってそれは自分の人生じゃない。

俺は俺の為に生きる。誰も知る事のない明日へ心のまま俺は行く




俺の夢は
「歌手になって有名になって金持ちになって欲しいもの全部手に入れること」

夢のついでに
「有名になって俺の存在を幼い頃俺を捨てた親父に分からせて、ある事を伝える」



手紙の続きにはこう書いてあったと。

「私は彼と結婚した事を後悔していません。そして今、とても幸せです。」


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