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歌詞から妄想コミュの平井堅/君が笑ったら

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笑顔の写真




僕が彼女を思い続けてどれだけ経つだろう?
僕が彼女の「弟兼恋愛相談役」になってどれだけ経つだろう?

僕には勇気がなかった。
僕はかっこよくないし、人を引っ張るようなリーダーシップもないし、これといって胸を晴れる特技もないし、彼女と釣り合いがとれていない。

自分で自分を好きになれない僕が、彼女に好きになってもらえるはずがない。

僕にとっての誇りは「彼女を想う気持ち」と「彼女に信頼されていること」

これが全てだし、これ以上のことは望まない。

下手に気持ちを伝えて関係が壊れるなんて最悪だ。

彼女の彼氏(元サークルの部長)が、僕らの関係を茶化すように「俺よりこいつと一緒に居る方が楽しそうだな?こいつと結婚すればいいじゃん!こいつだってお前の事好きなんだろうしさ」って言ってきた時も、「結婚はアレなので10股目の彼女にしてもいいかな」
っていつものようにふざけてごまかした。

今回3人で会ったのは訳がある。

彼らの結婚パーティーの司会を頼まれたのである。

僕はプロポーズされた事を彼女から最初に聞いた人間だ。

彼女は終始テンションが上がったまま、弾むような声で受話器に話していた。

僕は受話器から聞こえてくる声を耳に当てる装置になっていた。

受話器から言葉が聞こえているが、その意味を理解することが出来なくなっていた。

そして初めて電話を彼女が切るのを待たずに切っていた。

僕は「いつもの僕」になろうと必死に仕事をした。
何かに夢中になれば嫌な事を忘れていられるからだ。

必死に仕事をこなしたけど、夢中になれず、集中してしまうのは彼女のことだった。

頭の中は彼女のことで一杯だった分、肉体の疲労に気が付かず、いつも以上に働き、家に付いた頃には体がぼろぼろになっていた。

いつもなら、彼女を想えば僕を取り戻せるけれど、今日は違った。

彼女を想うと辛くて、悲しくて、体中を引き裂かれたような痛みに襲われた。

僕が「弟兼恋愛相談役」以上の事を望まなかったのはその関係を大切にしていたからじゃない。

ただ、僕に勇気がなかっただけなのだ。

彼女に本当の想いをぶつける勇気がなくて逃げていただけだ。

彼女は結婚を喜んでいたし、今一番幸せなとき。

そして、僕は彼女にとって「弟兼恋愛相談役」

それでも今伝えなきゃ、一生言えずに後悔する。

「やったことの後悔より、やらなかった後悔の方がずっと辛い」






僕は「結婚前の最後のデートをしよう」と彼女を誘った。

僕は彼女に最初に惹かれた場所。大学のサークルでBBQをした河原に連れて行った。

僕の最近の様子の変化に彼女は気が付いていた。

「最近なにかあった?どうしたの?いつもより静かだね」って聞いてきた。

「僕の方がマリッジブルーみたいだね」っておどけてみた。

「何言ってるの!私が結婚したって、私たちの関係はこれからも何も変わらないでしょ?」
ってびっくりするくらい真剣なまなざしで言ってきた。

そしていつものように素敵な笑顔をくれた。

僕はその笑顔をみて決心し、ゆっくりと語りだした。



「僕のささやかで、密やかな恋はココで始まった。」

彼女は「え?」っと一言だけ驚いて静かに聴いてくれた。

「僕は一人っ子で、周りの友達には兄弟姉妹が居て、争ったり、けんかしたり、かばったり、守ったり、かまったり、そういうの見てすごく羨ましかった。」

「僕の母はとても厳しく、とても忙しく甘えることは出来なかった。そして僕は甘えることもしなかったし、する気もなかった。」

「けれど姉が欲しかった。優しくて、面倒見があって、誰にでも気を遣って、頼れて、素敵で、甘えることが出来る姉が欲しかった。」

「僕はあの日、ココで理想の姉を見つけた。僕の想像より素敵な女性だった。」

「僕は、あの人が僕の姉だったら最高なのにと思ってみていたんだけど、彼女がある男性を見つめている切ない表情を見ているうちに、姉としてではなく一人の女性として惹かれるようになった。」

「僕はその人と仲良くなりデートもするようになった。美化していた彼女を次第に等身大の女性として見れるようになったけど、等身大の彼女の方が魅力的で、ますます僕の気持ちは大きくなってきた。」

「でも、彼女の方はある人に完全に向いていて、僕は彼女にとって「弟」でしかなかった。」

「その分、僕と彼女の距離は縮まって、恋愛相談をされるようになった。そして、彼女は片想いだった彼と付き合うようになった。」

「そして二人は結婚することが決まった。」

「僕は彼女に何度も気持ちをぶつけようとしたけど、彼女の心は完全に彼に向いていたし、僕は「弟」だったし、なにより僕には勇気がなかった。」

「僕にはとても辛い恋だけど、それでもとても幸せだった。」

「僕は、やっと勇気が出た。とても幸せな気持ちにしてくれた君に思いを伝える。」



「知っての通り、僕は頼りない弟だけど、君が笑いたいときには一緒になって笑って喜びを何倍にもする。君が泣きたいときは一緒になって泣いて悲しみの半分を僕が背負う。今までと変わらずそばにいて君の手を離さない。」

「君が迷ったとき、君が逃げ出したいとき、僕は何もしてあげられないかもしれない。でも、僕は今までと変わらずにそばにいて君の事を離さない。」

「僕にはこんなことしかしてあげられない。けれどこれが僕なんだ。君が笑ったら僕は何も怖くない。君がいてくれれば僕は強くなれるんだ。君といるだけで、勇気が出てくるんだ。」

「君が好きなんだ。君が全てなんだ。」


柄にも無くまじめな僕からの贈り物、かたちのない言葉・かたちのない気持ちを、見つけて、その手で、その胸で受け止めて欲しいと僕は心から祈った。









涙を流し走って行ってしまった彼女を見送って数年がたち、僕の家のポストに懐かしい文字で書かれた、新しい苗字の手紙もらった。




「何も言わずにあの場から去ってしまった事と、結婚式に招待しなかった事、そして、長い間何の連絡もしなかった事ををお許し下さい。気持ちの整理が付くまでに時間がかかり、あの日の返事を伝えるのが遅れてしまいました。

あの日、あなたが私にくれた言葉や気持ちを私は今も忘れていません。あれは私にとって一番の宝物だからです。

私はあなたのことが好きでした。BBQをしているときに一人、何かを諦めたような目をしたあなたを見たときから惹かれ初めていました。

太陽のような光を持つ彼に憧れながら、同時に月の様に心に闇を持っているようなあなたにも私は惹かれていたのです。

あなたの事をはっきり意識したのは初めてのデートです。あなたはまだ覚えているでしょうか?

映画を見た帰り道あなたが貸してくれたマフラーを巻いて歩いたときに、あなたのぬくもりを感じて私はドキドキしました。

私はそのドキドキを意識しすぎて緊張しちゃって、帰りの電車で映画の事をベラベラ話してあなたを呆れさせました。

駅から家まで送ってくれるという誘いも平静を装って、お断りしました。これ以上いたら、ドキドキしすぎて死んじゃうと思ったからです。

私はこんなにドキドキするのは、女子校育ちで、男性慣れしてないのに、男性のぬくもりを間接的でも感じちゃったからだと思い、冷静になろうと思いました。

それからはあなたと逢うたびに、必要以上に冷静になろうと努力してしまいました。

あなたを意識しないように、違う人の話をすることが増えました。そう、彼の話です。

彼の事を相談することで、あなたへの意識をそらそうとしました。

正直、あの頃私は彼に憧れていました。しかし「好き」という感情ではありませんでした。

あなたは次第に「恋愛相談役」を買って出る様になりました。それなのに、あなたは時折切ない目で遠くを見つめたり、私の話を一言一句聞き逃さないように聞いてくれるのに、急にタバコを吸ってタイミングを外したりしてました。

あなたはとても魅力的で、女性にモテ、私の恋愛相談に乗るくらいだから、私のことなんて、ただのお姉さんにしか思ってないものだと思い、あなたを諦めるようにしました。

私はあなたの事を意識しないようにしすぎて、あなたの気持ちを考えることをしなかったのです。

そして、彼と付き合うようにって、ますますあなたの事を意識しないようにしてしまったのです。

でも、一度だけ、たった一度だけでも、あなたに抱かれたいと願っていました。

あなたが新宿のバーに誘ってくれた夜、私はあなたに抱かれようと思っていました。

彼からもらった指輪を見つめながら、彼に罪悪感を感じながら、それでもあなたに抱かれたいと思っていました。

このまま私をどこかに連れ去って欲しい、二人だけの時間が続いて欲しいと思っていました。

あなたの事を意識しないように過ごしていたからでしょうか?沈黙が訪れるたびに、気まずくて、私はいつものように彼の話ばかりしてしまいました。

そして、私たちは何事も無く終電で帰りました。

私はあの夜にはっきりと、あなたの事を諦めました。

最初は憧れだった彼ですが、私を強く引っ張ってくれる彼に次第に惹かれるようになり、彼からプロポーズされ、私は結婚を決めました。

あなたと結ばれることは出来なかったけど、「姉弟」という強い絆があることで私は救われました。

そして、誰よりもあなたに、私たちの結婚を祝って欲しいと、結婚パーティーの司会を依頼しました。

そしてあの日。BBQ場であなたから初めて本当に気持ちを打ち明けられました。

私は混乱しきって、自分の感情さえも分からなくなりました。

気が付いたら私は泣いていました。

式の最中、映画[卒業]のようにあなたが後ろの扉を開いて飛び込んできて、私を連れ去ろうとしたら付いて行くつもりでした。

しかしあなたは来ませんでした。

私は彼と結婚した事を後悔していません。そして今、とても幸せです。

あなたがいなくても幸せになれました。だからあなたも、私がいなくても幸せになってください。」






僕は手紙を立て続けに3回読み直した。

手紙ともう一枚子供と一緒に写っている彼女の写真が入っていた。

彼女は母になり生まれてきた小さな命に満面の笑みを浮かべていた。

想い合っている二人がすれ違いでうまくいかなかった事実を知った今、僕は悲しくも、切なくも無く、涙も流れなかった。






なぜなら僕は始めから彼女が笑ってくれさえいれば良かったのだから。


http://www.xanga.com/sammlyu/583751351/215311236431505123871238312425---241792011722533.html

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