沙高楼ごっこコミュのシドニーFC　VS　浦和レッズ

折角なので何か話しましょうか、私はサッカーに全然詳しくないのですがマナブーニさんのページを拝見していてふと思い出したことがあるので書いてみようと思います。


私は今、仕事の関係上シドニーに住んでいます。
先月シドニーでシドニーFC　VS　浦和レッズの試合があったときのことです。取引先の招待でこの試合のチケットを頂いたため、同僚と連れ立ってシドニースタジアムへと出かけました。

レッズのサポーターがとても熱狂的だということは以前から知っていたのですが、スタジアムに到着して正直驚きました。メインゲートに真っ赤なユニフォームに身を包んだサポーターが数百人集まってWe are red'sの大合唱、明らかにシドニーFCを応援しに来た人よりも数が多いのです。
これはレッズ負けられないなという印象を受けました。

恐らくご存知でしょうが、その晩の試合は2-2の同点で引き分けました。前半で大きくリードされ後半で巻き返すと言う流れでしたが、後半の勢いからすると勝てた試合ではなかったかと思う、少しすっきりしない試合でしたが同行者は皆それなりに満足していました。

アウェイでの勝ち点1は悪くない結果だと評価する意見も多く聞かれましたが、選手は納得いかなかったのでしょう。
まったくの偶然ですが試合の後、私はそれを強く実感する出来事に遭遇しました。

試合後、取引先の方々にさそわれて地元のカジノに出かけました。オーストラリアでは公営カジノの設置が認められていてシドニーにも巨大なカジノが存在します。ラスベガスには行った事がありませんが、ラスベガスの話を聞く限りではラスベガスのホテルが一軒だけシドニーハーバーに面して建っていると思っていただければ問題ないかと思います。

レストランや劇場、ホテルを併設した大人のアミューズメントパークと言ったものですね。

その晩、カジノに到着して30分も経たないうちにポーカーで結構な金額を負けてしまい、早めに帰りたいと思ったのですが。同行者はスロットに熱中してなかなか席を立とうとしません。

仕方が無いのでホテルのラウンジでコーヒーでも飲もうと、ひとりでカジノを抜け出しました。

オーストラリアのカジノはモナコやロンドンほど服装に厳しくありません、サンダルやハーフパンツ以外であれば基本的には入れてもらえます。
ですが、ホテルにつながる通路に歩み出たところで、あまりにも不似合いな格好の一団とすれ違いました。
大きなバッグを抱え、揃いの赤いジャージを着た男達。一見すると合宿中の高校生のようにも見える彼らはまさしく先ほどスタジアムでプレーをしていた選手達でした。

小野やトゥーリオが自分の横を通り抜けて行きます、何か声をかけたいと思いましたが全体的にテンションは低く、不機嫌そうに押し黙って通り過ぎていく彼らに何か近寄りがたいものを感じて私は黙ってそれを見送りました。

彼らはカジノに併設されたホテルに泊まっているようで、カジノの入り口を通り過ぎて宿泊者専用のエリアへと消えていったのです。

レッズがとりわけ好きということは無いのですが、自分のテンションを上げるには十分すぎる出来事でした。ラウンジで興奮しながらコーヒーを飲み、しばらくしてカジノに戻ろうとしたときでした、いつもは締め切られているバンケットのドアが開け放たれておりその中でレッズの選手達が食事をしているのが見えたのです。

さすがに立ち止まって中を覗くのははばかられたため、通りすがりにほんの一瞬だけ室内を垣間見ただけでしたが、選手達は一様に押し黙りナイフと皿が触れ合う音だけが響く室内で食事を取っていました。とても沈鬱な空気が冷気のように部屋の外まで流れ出してきているような気がしたものです。

そのとき、私は選手達が今日の試合にどれほどの不満を抱いているのかを初めて強く実感しました。

話はこれで終わりです、引き分けで喜べないのは当然かもしれませんがテレビを見ているだけではわからなかった選手達の人間的な部分を垣間見て、彼らを身近なものに感じたせいか、彼らに勝って欲しいと心から思います。