ゴスペルハウスコミュの「安息日の主」2025.09.27

ゴスペルハウスメッセージ 2025.09.27
「安息日の主」マタイ12:1-8

1 そのころ、イエスは安息日に麦畑を通られた。弟子たちは空腹だったので、穂を摘んで食べ始めた。
2 するとパリサイ人たちがそれを見て、イエスに言った。「ご覧なさい。あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています。」
3 しかし、イエスは言われた。「ダビデと供の者たちが空腹になったときに、ダビデが何をしたか、
4 どのようにして、神の家に入り、祭司以外は自分も供の者たちも食べてはならない、臨在のパンを食べたか、読んだことがないのですか。
5 また、安息日に宮にいる祭司たちは安息日を汚しても咎を免れる、ということを律法で読んだことがないのですか。
6 あなたがたに言いますが、ここに宮よりも大いなるものがあります。
7 『わたしが喜びとするのは真実の愛。いけにえではない』とはどういう意味かを知っていたら、あなたがたは、咎のない者たちを不義に定めはしなかったでしょう。
8 人の子は安息日の主です。」

今週の聖書箇所は、イエスさまの伝道初期・ガリラヤ伝道でのできごとです。
弟子たちが、麦畑の麦の穂を摘んで食べていることで、パリサイ人たちがイエスさまに指摘し、迫ってきました。
パリサイ人は、空腹の弟子たちが自分の麦畑ではないのに麦を摘んだことを指摘しているのではありません。
安息日なのに、「収穫」「脱穀」「ふるい分け」などの農作業とみなされることをしたからです。
安息日違反を犯したというのです。

もともと、安息日は神様の創造と神様の救い（出エジプト）を覚え、神様に心を向けるために、神様が人間に命じたものです（参照：出エジプト記20:8-11、申命記5:12-15）。
「それは主が六日間で、天と地と海、またそれらの中のすべてのものを造り、七日目に休んだからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものとした。」（出エジプト記20:11）
「あなたは自分がエジプトの地で奴隷であったこと、そして、あなたの神、主が力強い御手と伸ばされた御腕をもって、あなたをそこから導き出したことを覚えていなければならない。それゆえ、あなたの神、主は安息日を守るよう、あなたに命じたのである。」（申命記5:15）

しかし、人間は不完全で自分勝手で、そう、罪人なので、安息日を守るためのルールを自分たちで作り上げなければならなかったのです。
39個の禁止事項（仕事・作業・労働など）を作り、一つひとつの項目について更に細かい規則を作って、守っているかどうかをチェックしていました。
それに照らせば、この日の弟子たちの行為は、明確に違反とされたのです。

本来は、人が神様を想い、感謝し、喜ぶための安息日でした。
それが、規則が人を縛り、指摘し、追求するという、「神様を見ずに人を見る日」になってしまったのです。
神様よりも規則が優先する安息日が誕生してしまったのです。

それは今でも、ユダヤ人やユダヤ教だけでなく、キリスト教会でも起こり得ることです。
いえ、現実に起きていることなのです。
一人ひとりの心からの神様への感謝や喜びが、教会のルールや体裁に合わないという理由で、規制されてしまう姿。
あなたも見たことや体験したことがあるかもしれません。
神様を、救い主イエスさまを想う日が、人の目や教会のルールや牧師のご機嫌をうかがう日になってしまったなら、二千年前のパリサイ人たちと何も違わないのです。

パリサイ人たちに対して、イエスさまは旧約聖書を用いて説明しました。
聖書を熟知しているパリサイ人には、最適の方法だったことでしょう。
「ダビデと供の者たちが空腹になったときに、ダビデが何をしたか・・・」(3-4節)は、サムエル記第一21章のできごとです。
サウル王に追われたダビデが、祭司アヒメレクのところで臨在のパンを受け取り食べました。
「安息日に宮にいる祭司たちは安息日を汚しても咎を免れる」（5節）は、民数記28章9-10節で、祭司は安息日に働きをすることを指しています。
「わたしが喜びとするのは真実の愛。いけにえではない」(7節)は、ホセア書6章6節からの引用です。

パリサイ人たちが、イエスさまの説明を納得したとは思えません。
この箇所の続く場面で、片手の不自由な人を使ってイエスさまを訴えようとしましたし、それが失敗すると、イエスさまを殺す相談を始めているからです。
パリサイ人たちの目には、イエスさまは律法の破壊者・破戒者にしか映らないのです。
それは、自分たちが作ったルールを通して人と神様を見ているからです。
神様が本来与えてくれた契約よりも、人間のルールを優先しているからです。

人間のルールは、
① 人間を、規則通りに裁きます。
② その結果、人間を罪に定めます。
③ 神様の御心にかなわない「罪人」と断じます。
④ そして、「お前はダメだ」「失格」とするのです。
その結果、自分の弱さや罪をうまく隠すことができた者が強者・正義となり、隠せなかった者や暴かれた者を弱者とし支配するのです。

神様のルールは、
① 人間を、規則通りに裁きます。
② その結果、人間を罪に定めます。
③ 神様の御心にかなわない「罪人」と断じます。
ここまでは人間のルールとまったく同じですが、
④ そして、神様に目を向け、恵みと赦しを求めさせるのです。
すべての人が、その恵みと赦しの中で、つまり神様の愛の中で、生きていけるのです。

神様のルールである律法は、あなたを罪人と断言しますが、その先にあるのは失格や失望ではありません。
愛と恵みと赦しと希望なのです。
「じゃあ、人間のルールも神様のルールも守らずに、好き勝手やったらいいのか？」と言う人がいるかもしれません。
しかし、そうではありません。
神様は人間に、自分の罪と向き合うことを求めています。
そして神殿(宮)では、そのための生け贄が捧げ続けられてきました。
羊、牛、山羊、ハトなど、数多くのいのちと血が捧げられてきたのです。

「ここに宮よりも大いなるものがあります」(6節)
これは、イエスさまのことです。
イエスさまが、完全な生け贄になるという、つまり、十字架でいのちと血を捧げて、罪の贖いをするという宣言です。
その約束、犠牲、愛があってこそ、赦しと恵みが実現するのです。
その痛みと覚悟があってこそ、イエスさまは安息日の主なのです。

神様のルール(律法)にかなわないあなたのために、イエスさまは覚悟の愛を持って十字架にかかりました。
すべての律法を、あなたの生涯に成就するためです。
あなたを、神様の宝物として取り戻すためです。
う、人間のルールに縛られて、自分を責める必要はありません。

「安息日の主であり、律法の主であり、救い主であるイエスさまの愛は、あなたのためのものなのです。

【参考聖書箇所】
☆ 安息日の意義
出エジプト記
20:8 安息日を覚えて、これを聖なるものとせよ。
20:9 六日間働いて、あなたのすべての仕事をせよ。
20:10 七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはいかなる仕事もしてはならない。あなたも、あなたの息子や娘も、それにあなたの男奴隷や女奴隷、家畜、またあなたの町囲みの中にいる寄留者も。
20:11 それは主が六日間で、天と地と海、またそれらの中のすべてのものを造り、七日目に休んだからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものとした。

申命記
5:12 安息日を守って、これを聖なるものとせよ。あなたの神、主が命じたとおりに。
5:13 六日間働いて、あなたのすべての仕事をせよ。
5:14 七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはいかなる仕事もしてはならない。あなたも、あなたの息子や娘も、それにあなたの男奴隷や女奴隷、牛、ろば、いかなる家畜も、また、あなたの町囲みの中にいる寄留者も。そうすれば、あなたの男奴隷や女奴隷が、あなたと同じように休むことができる。
5:15 あなたは自分がエジプトの地で奴隷であったこと、そして、あなたの神、主が力強い御手と伸ばされた御腕をもって、あなたをそこから導き出したことを覚えていなければならない。それゆえ、あなたの神、主は安息日を守るよう、あなたに命じたのである。

☆ ダビデと共の者たち（３-４節）
１サムエル
21:1 ダビデはノブの祭司アヒメレクのところに来た。アヒメレクは震えながら、ダビデを迎えて言った。「なぜ、お一人で、だれもお供がいないのですか。」
21:2 ダビデは祭司アヒメレクに言った。「王は、あることを命じて、『おまえを遣わし、おまえに命じたことについては、何も人に知らせてはならない』と私に言われました。若い者たちとは、しかじかの場所で落ち合うことにしています。
21:3 今、お手もとに何かあったら、パン五つでも、ある物を下さい。」
21:4 祭司はダビデに答えて言った。「手もとには、普通のパンはありません。ですが、もし若い者たちが女たちから身を遠ざけているなら、聖別されたパンはあります。」
21:5 ダビデは祭司に答えて言った。「実際、私が以前戦いに出て行ったときと同じように、女たちは私たちから遠ざけられています。若い者たちのからだは聖別されています。普通の旅でもそうですから、まして今日、彼らのからだは聖別されています。」
21:6 祭司は彼に、聖別されたパンを与えた。そこには、温かいパンと置き換えるために、その日主の前から取り下げられた、臨在のパンしかなかったからである。

☆ 安息日に働く祭司（５節）
民数記
28:9 安息日には、傷のない一歳の雄の子羊二匹と、穀物のささげ物として油を混ぜた小麦粉十分の二エパと、それに添える注ぎのささげ物。
28:10 これは、安息日ごとの全焼のささげ物で、常供の全焼のささげ物とそれに添える注ぎのささげ物に加えられる。

☆ 神様が喜びとするもの（７節）
ホセア
6:6 わたしが喜びとするのは真実の愛。いけにえではない。全焼のささげ物よりむしろ、神を知ることである。

☆ この後の展開
マタイ
12:9 イエスはそこを去って、彼らの会堂に入られた。
12:10 すると見よ、片手の萎えた人がいた。そこで彼らはイエスに「安息日に癒やすのは律法にかなっていますか」と質問した。イエスを訴えるためであった。
12:11 イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうちのだれかが羊を一匹持っていて、もしその羊が安息日に穴に落ちたら、それをつかんで引き上げてやらないでしょうか。
12:12 人間は羊よりはるかに価値があります。それなら、安息日に良いことをするのは律法にかなっています。」
12:13 それからイエスはその人に「手を伸ばしなさい」と言われた。彼が手を伸ばすと、手は元どおりになり、もう一方の手のように良くなった。
12:14 パリサイ人たちは出て行って、どうやってイエスを殺そうかと相談し始めた。