ゴスペルハウスコミュの「計算しないと」2025.09.20

ゴスペルハウスメッセージ 2025.09.20
「計算しないと」ルカ14:25-35

25 さて、大勢の群衆がイエスと一緒に歩いていたが、イエスは振り向いて彼らに言われた。
26 「わたしのもとに来て、自分の父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分のいのちまでも憎まないなら、わたしの弟子になることはできません。
27 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることはできません。
28 あなたがたのうちに、塔を建てようとするとき、まず座って、完成させるのに十分な金があるかどうか、費用を計算しない人がいるでしょうか。
29 計算しないと、土台を据えただけで完成できず、見ていた人たちはみなその人を嘲って、
30 『この人は建て始めたのに、完成できなかった』と言うでしょう。
31 また、どんな王でも、ほかの王と戦いを交えようと出て行くときは、二万人を引き連れて向かって来る敵を、一万人で迎え撃つことができるかどうか、まず座ってよく考えないでしょうか。
32 もしできないと思えば、敵がまだ遠くに離れている間に、使者を送って講和の条件を尋ねるでしょう。
33 そういうわけで、自分の財産すべてを捨てなければ、あなたがたはだれも、わたしの弟子になることはできません。
34 塩は良いものです。しかし、もし塩が塩気をなくしたら、何によってそれに味をつけるのでしょうか。
35 土地にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられます。聞く耳のある者は聞きなさい。」

今週の聖書箇所は、「弟子の条件」や「弟子の覚悟」として語られることが多い箇所です。
「わたしの弟子になることはできません。」（２６，２７，３３節）と、３回もイエスさまの厳しい言葉が迫って来るような箇所です。

弟子の条件として、イエスさまは、次のように命じます。
① 父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分のいのちまでも憎め。（２６節）
これは、家族愛や自己愛を放棄して、手放しなさいということです。
② 自分の十字架を負ってわたしについて来なさい。（２７節）
これは、死に至るまで、自己を放棄しなさいということです。
③ 自分の財産すべてを捨てなさい。（３３節）
財産という、この世の価値を手放しなさいということです。
そして、塩気をなくさないで、つまり、この覚悟を死ぬまで貫きなさいというのです。
そうでなければ、「わたしの弟子になることはできません。」なのです。

ただ、そうすると、２８-３２節が何を言っているのかが、曖昧になります。
この部分を「覚悟のたとえ」と解釈する人もいますが、文脈的に無理があるように感じます。

それよりも重要なのは、十二使徒たちはこの条件を満たしていたのでしょうか。
彼らはもちろん、弟子です。
しかし、十字架前夜にゲッセマネでイエスさまが逮捕されたとき、使徒たちはどうしたでしょう。
「皆は、イエスを見捨てて逃げてしまった。」（マルコ１４:５０）
逃げてしまった彼らは、イエスさまの弟子失格でしょうか。
そんなことはありませんね。

今日はこの箇所から「計算しないと」というテーマで、御言葉を開きましょう。

「わたしの弟子になることはできません。」と言われるときの「イエスさまの弟子」とは、どんな人なのでしょう。
一般的には、弟子は師匠に師事し、師匠に服従し、師匠のために尽くす人と考えられます。
しかし、イエスさまと弟子との関係は、そうではないのです。
イエスさまの弟子とは、
① イエスさまに招かれ、イエスさまとともにいる人です。
② 福音（十字架と復活）の証人です。
③ イエスさまから必要な権威や力を与えられ、支えられている人です。
④ イエスさまの足あとをたどって、イエスさまに倣って生きる人です。

この場面で、イエスさまはエルサレムへの道を歩んでいます。
それは十字架への道であり、新しい契約・新しい約束への道であり、救いと赦しへの道です。
とすれば、イエスさまの弟子とは、永遠のいのちの約束を受けて、その約束の中を歩んでいる人たちなのです。
その根拠は、その源は、イエスさまの覚悟の愛、つまり、十字架の覚悟の死なのです。
この箇所を「弟子の覚悟」と考える人もいます。
しかし、弟子は「覚悟する者」ではなく、「イエスさまの覚悟の愛の中を歩む者」なのです。
そうすれば、今日の聖書箇所は、ぐっと理解しやすくなるでしょう。

「わたしのもとに来て、自分の父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分のいのちまでも憎まないなら、わたしの弟子になることはできません。」（２６節）
これは、こう言い換えられます。
「あなたの父や母や家族の努力や覚悟が、あなたを救うわけではありません。
そこにとどまるなら、私の救いはあなたには理解できず、あなたは救われた者として歩むことができません。」

同様に、「自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることはできません。」（２７節）も、こうなります。
「あなたのための十字架の救いを受け入れなさい。
そうしなければ、あなたは救われた者として歩むことができません。」

「自分の財産すべてを捨てなければ、あなたがたはだれも、わたしの弟子になることはできません。」（３３節）も言い換えてみましょう。
「あなたの財産があなたを救うことなど、絶対にないのです。」

２８-３２節は、「そのことをよく計算してみなさい」と言うのです。
あなたや家族の持っている力、善い行い、宗教的な熱心が、あなたの罪を贖えますか？
神様の前に「私は正しい者だ」と、立てますか？
神様があなたを正しい者だと、認めると思いますか？
「あの人たちよりはマシだから」などという言い訳は、何の役にも立ちませんよ。

私たちはみな、ひとり残らず、到底かなわないのです。
ならば、講和の条件を尋ねたらいいのです。
講和の使者は、イエスさまです。
そして講和の条件は、イエスさまの身代わりの十字架の死なのです。

あなたの努力ではなくイエスさまの努力が、あなたの覚悟ではなくイエスさまの覚悟が、あなたの痛みではなくイエスさまの痛みが、あなたの犠牲ではなくイエスさまの犠牲が、あなたを救うのです。
あなたは、その愛の中にあって、イエスさまの弟子として、イエスさまの足あとを歩めばいいのです。

あなたの人生を輝かせる塩気、あなたの人生を清める塩気、あなたの人生を活かす塩気、それがイエスさまの覚悟の愛なのです。

計算してください。
あなたの罪深さと不完全さを。
イエスさまの覚悟の大きさと愛の深さを。
そして、イエスさまの足あとを、希望と喜びを持って歩みましょう。

あなたは、愛された弟子なのですから。