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日記ロワイアルコミュの死神の休日。

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死神勤続200年を表彰され、長期休暇と恩赦をもらうことにした。


とはいっても突然の休暇なのでとくに何がしたいとかも思いつかない。
そこで私は、地上へと赴くことにした。
行き先は地上界の本・聖☆お○いさんを参考にして、日本にしよう。イエス様やブッダ様も楽しんでおられるようだし、われらが上司のルシファーさんもよく遊びに地上へとむかってらっしゃる。

しかし、休日に上司とばったりというのはなんだかきまづいし、こちらもゆっくりと羽根を伸ばせない。ここは行き先を地方都市にして、様々な場所を巡ってみよう。

通常私たちが任務の際は行き先を指定され、至近距離まで転送されることがほとんどなので移動手段は徒歩が多いのだが、今回は特別ということで、以前から興味があったバイクという乗り物を選んだ。これなら行動範囲も広くなるし自由に動けるはず。


必要な書類にサインをしたあと、そのまま地上へと走りだす。


光が見える、まぶしさに目をつむるーーーその瞬間、爆音と振動と風の音に全身が震えた。




そうか、私はバイクで走りながら転送されたから、人間界用へと感覚器官がチェンジされたんだな。

そんな考えが頭をよぎるが、バイクの操作に必死になる。細いハンドル一本で操作しなくてはならないし、またがった姿勢で体重移動をしなくてはならない、とても難しい。その上フレームは細いのに、エンジンは圧倒的な質量でその存在をアピールしながら吼えている。

・・・すごい。素直な感想がそれだった。久しぶりに生身に風を受け、全身の鳥肌が立つ。

そうか、前に担当したバイク乗りの男はこれを求めて走っていたのか。魂を削るようにしながら。 おかげで「寿命」の調整が大変だった。


バイクの運転にも慣れたころ、空腹というものを感じた。そういえば人間の体は数時間起きに食物を摂取しなければならないということを忘れていた。
手ごろなところに飲食店を見つけ、そこへ入ることにした。

「いらっしゃいませぇぇぇぇぇ!!」

なんだ、いきなり威圧されたかと思えばただの挨拶だった。声の大きさに驚く。

「すいません、ラーメンというものをひと・・・つ。」

「あいよっ」

一瞬店長の顔にひるんでしまった。部署が違うが上司である、閻魔大王様といい勝負だ。

閻魔大王はその大きな体に似合わず素早く動き、手早くラーメンを作りあげた。

ほう、これが日本人の国民食といわれているラーメンか。一口食べてみる。

その瞬間、動物をよく煮込んであるだろうスープの香りが鼻を通り抜け、とても歯ごたえのある麺が口の中を満たした。

「うまい」

「お客さん素直な感想をいうねえ」

そういった店主は笑った。私は鬼が笑ったと思った。

ずいぶんと生身での食事をしていなかったようで、どれもとても強烈に私の感覚を刺激する。肉のジューシーさ、スープのコク、野菜の新鮮さ、どれをとっても美味い。

あっという間に食べ終わった私は追加を注文すると、「おかわりじゃなくって替え玉っていうんだよ、ホラッ」といいながら麺を追加してくれた。

続けて2、3回替え玉をすると驚いたようだがとても喜んでくれた。


「休憩上がりました〜。あ、いらっしゃいませー!」

どうやら店員が休憩から帰ってきたいたようである。

「表のバイクってあなたが運転してきたんですか?すごいかっこいいですね!ちょっとここの大将、顔は怖いけど腕はたしかだから。」

そういうとカウンターの奥へ引っ込んでいった。

「アイツも軽口をたたかなけりゃかわいいんですがね笑」

そういう大将も悪口を言われたはずなのにどこか嬉しそうである。

すぐにエプロンに着替えた彼女が戻ってきた。



・・・みていて私は言葉を失った。とても生命力にあふれていて美しいのである。

「お客さんどうかしたんですか?」不思議そうな顔で見つめる。

確かに私はどうかしてしまったようだ、さっきから感情がおかしい。

「ちょっと顔も赤いですし、ラーメン食べすぎて暑くなったんですかねえ?」

そうだ、きっとそうだ、久しぶりに人間の体を持って行動するから、少し調子が狂ったのだ。

「おなかいっぱいになると眠くなるし、しばらくのんびり休憩していっていいですよ。あ、いらっしゃいませ〜!!」

そういいながらテキパキと仕事をこなす彼女にしばらく見とれていた。



休憩のあと、バイクで周辺を走ってみる。風は心地よく、太陽は優しい。人間とはなんとも贅沢をしているのだろうと思えた。




夕暮れ時、今夜の宿を探そうと辺りを走っていると死の気配に気がつく。正確には「殺気」と呼ばれるものが人へ向けられていることを感じる。休暇で来ているが、やはり職業病は抜けないようだ。ついその殺気のもとをたどってしまう。

すると、どこかで見覚えがある姿が見えてきた・・・昼間の店員だ。

おかしい、彼女自身からは何も発せられていない。と、いうことは彼女に敵意をもった何者かが近くにいるということである。


しばらく様子を伺っていると、暗がりから男が出てきた。同時に手に光るものをもっていることを確認する。それを振りかぶった瞬間、私は駆けていた。



この距離なら間にあうし、大丈夫、私は死神、バイクごと体当たりをしても死んだりはしないは   ず   




あ   れ ?



犯人が突き出したナイフが腹部に突き刺さると同時に激痛が走る。口の中に生臭い味が広がる。そうだった、私は今人間だったんだ・・・。



そんなことを思いながら犯人に体当たりをしたがいいが、小柄な私はバイクごと吹っ飛んでしまった。犯人はよろめきながら去っていった。

バイクから振り落とされて、全身に衝撃が走る。動けなくなったところへ彼女が駆けよってくる。






「ねえどうして?なんでアナタが倒れているの?女の子がそんな無茶しちゃいけないじゃない!」


彼女は必死になって私に問いかける。理由はいいたくてもいえない。私が死神であること、彼女の寿命がまだ当分残っていること。



私たち死神の仕事とは、人間が寿命で死ぬまでを監視し、予定されている「寿命」までに予定外の事故で死ぬことを防ぐことが使命であること。



そして、彼女に新しい命が宿っているということ。



私はそれらをいえずに、ただ

「あなたがとても美しかったから。」

とだけいった。

彼女は困惑しながら


「あなただってとても美人だし若いじゃない!それなのにあんな大きなバイクに乗ったり、男に飛び掛っていったり、なんでそんな無茶をするのよ!もう、こんな大怪我までしちゃったじゃない!」

死神だからねとはいわず、ただ黙ってうなずく。心から心配させて悪かったなと思う。もっとうまくやれたはずなのに軽率な行動をとってしまった自分が恥ずかしい。


おかしいな、だんだん体温が下がってきているのがわかる。そうか、これが「死」か。


そんな変な納得をしていると救急車のサイレンが近づいてくるのがわかる。それを薄れゆく意識の中で聞いていた。

彼女が私を抱きしめている。その体温をとても温かいと感じた。

















次に地上に出たとき私は、まだ彼女の腕に抱かれていた。

「おめでとうございます、元気な女の子ですよ!」





死ぬ間際、私はもう一つの恩赦、「人間に生まれ変わる」を使ったのだ。


ああ、これで私はまた、怖い顔の大将と彼女の作る「ラーメン」をおなかいっぱい食べられることになるんだろうなと思った。もちろんふたりは、いいや両親は「私」があのときの「私」であることなんてわからないけども。






私は今、とても幸せであるにもかかわらず、泣き声をあげることでしか表現
ができなかった。






コメント(162)

寝る前にとっても素敵な物語が読めて 良い夢みれそう★

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最後の一文が秀逸でした。
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