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万葉集コミュの万葉集巻二(85〜234) 223・224・225・226・227

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223;挽歌,作者:柿本人麻呂,臨死,島根

[題詞]柿本朝臣人麻呂在石見國臨死時自傷作歌一首
(柿本朝臣人麻呂が石見の国で死に臨んだ時、自らを傷んで作った歌一首)

鴨山之  磐根之巻有  吾乎鴨  不知等妹之  待乍将有

鴨山の 岩根しまける 我れをかも 知らにと妹が 待ちつつあるらむ

かもやまの いはねしまける われをかも しらにといもが まちつつあるらむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鴨山の岩を枕に

横たわり死のうとしている私を

何も知らずに妻は待ち続けているのだろうな
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

224;挽歌,作者:妻依羅娘子,柿本人麻呂,臨死,島根

[題詞]柿本朝臣人麻呂死時妻依羅娘子作歌二首
(人麻呂の死の報を受けた妻、依羅娘子(よさみのをとめ)の歌)

<且>今日々々々  吾待君者  石水之  貝尓 [一云 谷尓]  交而  有登不言八方

今日今日と 我が待つ君は 石川の 貝に [一云 谷に]交りて ありといはずやも

けふけふと わがまつきみは いしかはの かひに[たにに]まじりて ありといはずやも
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日か今日かと私が待っているあなたは

石川の貝に(谷に)混じって

倒れているというではありませんか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

225;挽歌,作者:妻依羅娘子,柿本人麻呂,臨死,島根

[題詞](柿本朝臣人麻呂死時妻依羅娘子作歌二首)

直相者  相不勝  石川尓  雲立渡礼  見乍将偲

直の逢ひは 逢ひかつましじ 石川に 雲立ち渡れ 見つつ偲はむ

ただのあひは あひかつましじ いしかはに くもたちわたれ みつつしのはむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
直接お会いする事はもうできないのですね

せめて石川に霧雲のかかるとき

その霊雲を仰ぎながらお慕いしましょう

(雲は霊魂の具像化したものと考えられていた)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

226;作者:丹比真人,柿本人麻呂,追悼,歌語り

[題詞]丹比真人[名闕]擬柿本朝臣人麻呂之意報歌一首
(丹比真人(たぢひのまひと)柿本朝臣人麻呂の意に擬えて応えた歌一首)

荒浪尓  縁来玉乎  枕尓置  吾此間有跡  誰将告

荒波に 寄り来る玉を 枕に置き 我れここにありと 誰れか告げなむ

あらなみに よりくるたまを まくらにおき われここにありと たれかつげなむ
・・・・・・・・・・・・・・・
荒波に打ち寄せられる玉石を枕に

私がここにいると

誰か妻に告げてくれるだろうか
・・・・・・・・・・・・・・・

227;柿本人麻呂,臨死,異伝,歌語り

[題詞]或本歌曰(或る本の歌に曰く)

天離  夷之荒野尓  君乎置而  念乍有者  生刀毛無

天離る 鄙の荒野に 君を置きて 思ひつつあれば 生けるともなし

あまざかる ひなのあらのに きみをおきて おもひつつあれば いけるともなし

[左注]右一首歌作者未詳 但古本以此歌載於此次也
(この歌の作者はいまだに明らかではない、しかし古本ではこの歌をもってここに置く。)
・・・・・・・・・・・・・・・
(都から)遠くはるかな荒野の地に 

あなたを置きざりにしたままで

それはもう生きた心地もなく

こうして想い続けているのです
・・・・・・・・・・・・・・・
<転載記事>[万葉集 柿本人麻呂と高市皇子]より。
http://blogs.yahoo.co.jp/dokatakayo/29087929.html
官人柿本朝臣人麻呂の職務と官位

ここで、大宝から慶雲年間ころの人麻呂の官職について一つの可能性を提示します。それは、人麻呂は死亡時には長門守だったのではないかです。
さて、和銅年間より少し前の大宝二年(702)正月に、従四位上の大神朝臣高市麻呂が長門守に任じられました。このときの歌が万葉集にあります。
大神大夫任長門守時、集三輪河邊宴謌二首
標訓 大神(おほみわ)大夫(まえつきみ)の長門守に任(ま)けらえし時に、三輪川の辺(ほとり)に集ひて宴(うたげ)せる歌二首
集歌1770 三諸乃 神能於婆勢流 泊瀬河 水尾之不断者 吾忘礼米也
訓読 三諸の神の帯ばせる泊瀬川水脈し絶えずはわれ忘れめや
私訳 三諸の神が帯のように美しく流れる泊瀬川の流れが絶えないように、私は貴方を忘れることはありません。
集歌1771 於久礼居而 吾波也將戀 春霞 多奈比久山乎 君之越去者
訓読 後れ居てわれはや恋ひむ春霞たなびく山を君が越えいなば
私訳 こちらに居残っている私はすぐに貴方を恋しく思うでしょう。春霞が棚引く山を貴方が越えて行ってしまうと。
大神大夫任筑紫國時、阿倍大夫作謌一首
標訓 大神大夫の筑紫国に任けらえし時に、阿倍大夫の作れる歌一首
集歌1772 於久礼居而 吾者哉將戀 稲見野乃 秋芽子見都津 去奈武子故尓
訓読 後れ居てわれはや恋ひむ稲見野の秋萩見つつ去なむ子ゆゑ
私訳 こちらに居残っている私はもう恋しく思います。雷丘の稲見野の秋萩を見ながら去っていくだろう貴方のために。
ところが、続日本紀の記事によると、翌年の大宝三年(703)六月に大神朝臣高市麻呂は左京大夫に任じられています。どうも、高市麻呂は長門国に赴かなかったようです。そのときの経緯は、次の懐風藻の高市麻呂の詩から推測できます。
この懐風藻の高市麻呂の詩は、漢詩の内容から左京大夫時代に御幸に従ったときの歌のようです。その一つの可能性は、慶雲二年(705)三月の文武天皇の倉橋の離宮への行幸のときでしょうか。

従駕 応詔 一首
臥病己白髪 病に臥してすでに白髪
意謂入黄塵 意に謂ふ 黄塵に入らんと
不期遂恩詔 期せずして恩詔を遂ひ
従駕上林春 駕に従う 上林の春
松巌鳴泉落 松巌 鳴泉落ち
竹浦笑花新 竹浦 笑花新たなり
臣是先進輩 臣はこれ先進の輩
濫陪後車賓 濫りに陪す 後車の賓

この漢詩の「臥病己白髪」とあるように、高市麻呂は長門守に任じられた後、すぐに病気になったようで、それで赴任が出来なかったのでしょう。本来、高市麻呂が病気で赴任出来ないならば、律令の規定から六ヶ月目以降に後任を任じますが、大宝二年(702)正月の高市麻呂の任官記事以降、和銅元年(708)三月の従五位上 引田朝臣尓閇の長門守任官までの約五年半に渡って後任の任官者の記事が見えません。ここで、この猶予期間を除いた五年間は、ほぼ当時の正規任官期間に相当します。つまり、正史に載らない代理の選任があったと思われるのです。天武天皇の時代から、地方官でも陸奥守と長門守は国防の観点などから職級は、特別職で上級官位の者が任官されることになっています。従って、防衛や財政上の観点から、長期に渡って特別職である長門守の不在はなかったと思われます。
ここで、集歌1772の歌と季節は違いますが、集歌1771の歌に対する応答歌であることから、長門守赴任にかかわる歌と思われます。すると、集歌1772の歌の標に「大神大夫任筑紫國時」とあるように、当時長門守に赴任するときは筑紫国経由だったようです。長門国庁に行くのに豊国の企救で上陸して筑紫(遠賀)経由とすると、国庁は穴門にはありません。国庁は、日本海の韓半島を睨む阿武郡か大津郡にあると思われます。穴門に移るのは、平城京時代に朝鮮半島及び唐との緊張関係が緩み、長門守の変わりに鋳銭司が設置された頃でしょう。国際緊張下での新羅や唐に対する防衛ラインとしては、九州太宰と山陰阿武(大津)の位置が軍事的にふさわしいと思います。ただ、国防の重要性が薄れ、また国営の銅鉱山開発も軌道に乗ってきていれば、長門守の重要性が国防から銅鋳銭に軸足を移したのかもしれません。それで後任の任官者の官位が鋳銭司に相当する従五位上であり、さらには長門守が一時廃止され、鋳銭司が置かれる遠因になったのでしょうか。
さて、人麻呂=佐留とした場合、当時の人麻呂(佐留)の官位は従四位下ですので、長門守の任官位に相当します。和銅元年(708)三月十三日に後任に引田朝臣尓閇が正式に決まったとしますと、老齢な人麻呂は故郷が恋しくて直後の和銅元年三月中旬には上京したのではないでしょうか。少し時代は下りますが、天平五年(733)四月の記事によると、天平三年からの規則では国司の交替時には前任者から後任者に事務を引き継ぎ、後任者は前任者に職務を解く解由状を交付することになっていますが、勝手に前任者は帰京してしまうとあります。つまり、天平三年以前には国司の事務引継ぎは制度にはなっていなかったようです。そこで、そうした引継ぎ慣行がなかったとしますと、もし、和銅元年三月十三日に京で後任が決まるとの事前通告があったとすると、和銅元年三月十四日以降では人麻呂は自由に帰京することが出来ることになります。戸田の柿本神社と阿武の油谷八幡人丸神社の縁起を踏まえると同年三月下旬頃に筑紫経由で人麻呂は上京しようとしたのではないでしょうか。
以上から推測に憶測を重ねると、三神社の縁起などから人麻呂は大宝年間から慶雲年間にかけてのある年に長門国大津に国司として赴任していて、和銅元年(708)三月十八日に任官交代による帰京の途中に海難事故に遭い、石見国美濃郡戸田の沖合で水死したと思われます。

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