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日本家屋コミュの浦安市郷土資料館(千葉・浦安)

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<浦安市郷土資料館>http://www.shinurayasu-navi.com/navi/kyodoshiryokan/

浦安市郷土博物館は昨年(2001年)4月に開館したばかりの新しい公立博物館です。館内はそれほど広くはありませんが、屋内展示だけでなく屋外の展示もあり、共に充実しています。
屋外スペースでは、数棟の商店・民家によって、かつての漁師町浦安が活気を呈していた1952年頃の様子が再現されています。ここの展示のユニークさは、自由に触れられること。見学者はどの家でも(うち4軒の市指定文化財の住宅も含め)自由に上がれるだけでなく、調度品などを触ったり開けたりできるのです。古い二階家の急な階段、時代がついた箪笥の引手のきしみ、どっしりした木の雨戸の重みなどを体で触れて感じることができます。ボランティアの方があちこちにいて、質問を受けたり、まるでそこの住人であるかのように室内で海苔簀を黙々と作っていたりしていて、雰囲気を出しているのも面白く感じます。
一方、屋内のスペースは、かつての浦安の自然の姿、漁師の道具や仕事、そして浦安が漁師町から東京のベッドタウンへと変貌していった様子を、資料、パネル、映像で説明するものとなっています。屋外が触れて感じる展示であるのに対し、屋内スペースは知ることを重視した展示となっているのです。両者が揃うことで、浦安という町の歩みが身近に感じられるように工夫されていて、とてもすぐれた展示となっているように思います。
この博物館にはボランティア組織「もやいの会」があり、その会員数は約三百名。博物館の開館以前から活動を開始し、積極的に係わってきたとのこと。館内の一角に紹介されているのが50人ほどだったので、これが実動数なのかもしれません。内容を見ると、外国のお話の読み聞かせを行うといったものもありますが、多くは海苔作り、投網、貝むき、ベカ舟(海苔や貝を採取する一人乗りの船)づくりなど、かつての漁師町時代の技術を使ってボランティアを行うというもので、当然年配の人がほとんどとなっています。
浦安は江戸川河口の三角州上に発展した町であり、漁師町として栄える一方、交通の不便さ、水不足、水害などで苦しんできました。戦災と戦後のキティ台風の大打撃があって、そこから立ち直った1950年代前半が漁師の町として最も栄えた時期。ところがその後の高度成長期に入ると、上流に作られた工場の排水などのために漁業は打撃を受けます。屋内展示の最後の部分で描かれていた漁業権放棄までの道のりは、打ち捨てられたベカ舟の前で呆然とした表情で煙草を吸う元漁師の映像からも、どれほど大変なものであったか想像することができます。おそらく、漁でのみ生きてきた人にとって、その技術が意味を失った時、自分自身までも失ったような気持ちにさえなったのではないでしょうか。
それから数十年がたって、この博物館が生まれました。かつての技術は、もはやそのまま役に立つことはありません。しかし、ボランティアとして実演し、若者の心に伝えるという新しい役割が博物館という場で生み出されることになったのです。こうした活動は、彼らの生き甲斐となっていると同時に、来場者にとっては展示をいっそう生かすサポートとなっているのです。
屋内展示の一角に、ベカ舟づくりの作業場があります。ここでは造りかけの舟が展示されていて、船造りの技術をもつボランティアが少しずつ作業を進めています。従って、何日か後にまたここを訪れれば、もう少し完成に近づいた舟の姿を(運がよければ実際に作業をしている様子も)見ることができます。ベカ舟が活躍したのは過去のことです。しかし、かつてこういうものがあったと説明が付されてただ置かれているのでなく、現在も人が伝えている技術として、それも今日段階の作成途中の姿として展示しているのです。
一般に郷土博物館の展示は、一度作られるとなかなか変えられることがありません。来場者は、一度見ればもう行く必要はないと感じるので、リピーターが育ちにくいということも言えるのではないでしょうか。しかし、この博物館は、こうした「陳腐化」を防ぐ展示に努めているのです。ボランティアが活躍し、触れる体験を大切にし、自分とは関係ない昔の話でなく現在進行形として展示するという姿勢があるのです。
夏休み中の日曜日などにこの博物館を訪れると、親子連れを多く見ます。子どもたちは日本中でここだけで動態保存されているという漁船の焼き玉エンジンがボランティアの手によって動くと歓声をあげ、また屋外スペースの堀に浮かぶベカ舟に乗せてもらって顔を輝かせています。この博物館に似合うのは混雑していない静かな鑑賞でなく、子どもたちによる活気・歓声です。また、そんな日はボランティアさんも多く博物館に詰めています。ぜひ、学校の休みの日など、混んでいそうな日を選んで訪れてください。 (K,S)

*浦安市郷土博物館は、営団地下鉄東西線浦安駅またはJR京葉線新浦安駅からバス(ワンコインバスも運行)。入館無料。電話は047-305-4300

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