ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

五つ星の本のみを紹介しあう会コミュのトールモー・ハウゲン『魔法のことばツェッペリン』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
両親は子供を立派に育てようとします。自分たちは“大人”なので、善い事と悪い事の区別が出来ると思っています。何でも知っていると思っています。怖いものなど何もないと思っています。だから子供にこう言います。「やさしいいい子でいなさい。親のいうとおりにしなさい。」そして、親の言うことを聞かない悪い子には罰を与えます。子供にとって親の存在は大きなものです。いつも親の様子を注意して見ています。自分を呼ぶ声に機嫌の悪い響きが込められているのを聞き逃しません。期待に添えるように日々努力しています。たとえその結果として、自分の考えを押し殺す事になっても。

そんな両者の間に横たわる微妙な緊張感は、ある日の夏の事件をキッカケに・・・それは他愛も無い出来事なのですが、少しずつ変わっていくのです。

大人たちは自分たちの問題で頭がいっぱいになり、子供たちの存在を忘れてしまう事があります。自分たちの思うとおりにならないと怒ったりします。言うことを聞かないとイライラしたり、不安になったり、出来の悪い子だとガッカリしたりします。気づかないうちに自分たちの期待した答えだけを求め、自分たちの都合を押し付けていたりするかもしれません。それでも子供たちを大切にしていると思っています。自分たちの眼の届く所に置いておきたいと願います。そういった全てが最善であり、子供の幸せに繋がると信じて疑わないからです。子供たちがそれをどう感じているかは考える事もなく。(相手が自分の親で無いならば、自分の子どもで無いならば、もしかしたら、お互いの感情をもっと簡単に、より素直に伝え合う事が出来るのかもしれませんね。)


トールモー・ハウゲンの作品では、誰もが子供の頃に抱いた恐れや不安、確かに目にしたはずの景色、囁き交わされた取り留めもない話が見事に描き出されています。それらは時として黒い影となって何気ない平和な日常を脅かしもします。容易に現実の生活へ忍び込み、絡み合って混ざり合う事もあります。そして、いつしか夢と現実の境界は溶けてなくなり、美しくも幻想的な世界を構成していくのです。人間の心にひそむ恐れや怯えをたくみに描く事を得意とした作家なので、全体的にやるせない作品も多いのですが、どれも美しい作品ばかりです。



<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=sinnkaigyot05-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4580801792&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

コメント(3)

dashさん、トピ立てありがとうございます!!!
髪を振り乱し馬車馬のように働いていて全然気が付いておりませんでした。
本当に申し訳ありません〜〜m(_ _)m

なんだか子を持つ親としては、読むのが怖いようなお話ですね。
著者は国際アンデルセン賞を受賞されているのですね。それなのにamazonでのレビューもなし、新品の取り扱いもないとは、ものすごく通好みの掘り出し物でしょうか?
是非読んでみます!!
>あまがえるさん

こんにちは。毎日暑い日が続いております。お仕事の方も大変だと思いますが、頑張ってください!!

同じ著者の『夜の鳥』/『ヨアキム』という2作品が、インターネットで”トラウマ児童文学”として紹介されていたのですが・・・その紹介通り、相当痛い作品なのですが・・・今回の作品を読んだのもそれがキッカケでした。前述の2作品に比べると比較的攻撃の手が緩やかなので、この場で紹介しても差し支えないかなぁと思ったのです。

好みは人それぞれあると思います。なので「面白いか面白くないか?」と問われると回答に困るのですが、児童文学なので読み終わるまでに費やす時間はそれ程かかりません。(それだけ無駄にした時間は少ないハズです。)他の作家では味わえないような独自の世界観を持っていますので、試しにどうぞ!!
***
(あとがきより)
──
ハウゲンは恐れやおびえを好んでテーマに取り上げ、それを巧みに書く作家です。人は常に何かを恐れています。どんなに強そうに見える大人にも怖がる気持ちは潜んでいて、それが些細なことで表に現れます。一皮むけば大人も子供も少しも変わりのない「人間」であることを、ハウゲンは淡々と語ります。
──
***

不完全な大人達とその子供たちの物語。
大人も(親も)また不完全な人間の一人にすぎないのだと、知っていたら子供はとても楽になれるのに。
そして大人は知るべきだ。子供は小さな人なのだと。

包括する空気が心の片隅にいつまでも静かに残る物語。
この物語を酒井駒子さんの挿絵で読んでみたいです。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

五つ星の本のみを紹介しあう会 更新情報

五つ星の本のみを紹介しあう会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。