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自作小説公開場兼イラスト公開場コミュの自作小説「ハッピーハロウィン」

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勝手ながらトピックを作成してしまいました……。
よんで是非感想を教えてください m(_ _)m

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「なんだよ、こんな暗い部屋に呼び出して」
「もう、わかってるくせに」
 暗がりの中でもわかる彼女の笑顔。
たとえ見えなくても何度も見ていれるのだから頭にはその顔が浮かぶだろう。
「まあな。それよりソレまだもってるのか?」
 俺は呆れながらも尋ねた。
「そうよ、可愛いでしょ? わたしが好きなんだからいいじゃない」
 こっちが恥ずかしいからぜひともやめてもらいたいが彼女の性格上そうもいかない。
以前の二の舞になるだけだ。
「うふふ、照れてる照れてる」
 彼女の悪戯に満ちた笑い声が静かな部屋にこだまする。
「で、パーティー行かないのか?」
「はいはい、ごまかさないの」
 手に取るように心の中を読まれている俺は気分がよくなるわけもなく。
「先に行ってるぞ」
 そう言って部屋を出て行こうとした。
「待って、待って」
 彼女の慌てる声が聞こえた。
「はぁ……」
 慌てるくらいならはじめから手短に用件を言えばいいというのに。
だいたい何を言おうとしているのかだってわかっているのだから。
「そんな顔しないでよ、いくら素直なわたしだって、こればっかりは勇気がいるんだから」
「素直ね……素直すぎるのもどうかと思うけどな」
「し、仕方ないでしょ! そういう血筋なんだから!!」
「はいはい」
 沈黙がおとずれる。意味も俺も緊張しはじめる。まったく、この空気はすきじゃないな……。
 雲が流れ、だんだんと暗がりにうっすらした光が差し込んでくる。雲に隠れてわからなかったが、月が赤い。
赤みを帯びた光を背にブロンドの長髪、そして黒いローブと三角帽子がとても幻想的だった。手に持ったソレさえ見なければ。
「あのときのお礼をいいたいの」
「何度も聞いてる」
「何度言ったっていいじゃない」
「そうだけどよ……」
 いい加減聞き飽きているこっちの身にもなってくれよ。
「…………」
 彼女は口をパクパクさせているのだろう。おそらくいつものように始めの一言が出てこないのだろう。
 そういえば、昔からそんなことがあったけな? 
口をパクパクさせて、言いたいことがなかなか言えないコイツの一面が……。
 すると何を思ったか、一度思いっきり後ろに振り返り天井を見上げた。
 なびく髪に赤みを帯びた光が反射するのは相変わらず幻想的な光景だった。
 そういえば、あのときもこんな幻想的だったけな……?

 僕は今日を楽しみにしていたんだ。待ちに待ったお小遣いの日。
数枚の百円玉を握って、友達と一緒におもちゃ屋に走った。
「おじさん! はいっ!」
 元気よく右手を突き出した。
「おや、そんなに目を輝かしてどうしたんだい?」
「くじ! くじをしたいの! 早く、早く」
「こらこら、そんなにせかすんじゃないよ。出るものも出なくなるよ?」
「うー……」
 そのおじさんのゆっくりとした動作にすこしイライラしたけど、ワクワクに比べればたいしたことがなかった。
「ほら、引きなさい」
 おじさんは優しそうに笑ってそう言った。
「じゃ、オレがさきひくー!」
「あ、僕が先にお金払ったんだよ!!」
「わ、わ、わ、わ、み、みんなず、ずるい〜」
「こらこら、順番に引きなさい」
 おじさんがそういったので、順番をじゃんけんで決めた。みんな一回ずつ交代で、僕が一番最後だ。
「ふっふ〜ん、オレが一番最初に一等をひいてやる」
「だめだよ! 一等は一つしかないんだから!!」
 どうしても一等が欲しかった。みんなより少ないお小遣いだから、どうしても高いおもちゃが買えなかった。
 お願いだから一等を僕に当てて、みんなに当てないでください。
「はやくー」
「待てって、こういうのはよくまぜて……」
「かわらないってば!!」
 そんなやり取りが続いてようやく僕の番。まだだれにも一等は当てられていない。
「よし!」
 僕はのどを鳴らして唾を飲み込み、中が見えない箱の中へと手を入れる。
 ガサッ
 紙が手に触れる……これかな? いや、違うなきっとこれじゃない。
 じゃあ、これ? いやいや、もっと奥、端、違う違う……
「人に早くって言っておいてずいぶん長いな」
「う、うるさいな!!」
 すこし、強く言っちゃった、でも今はそんなことよりくじを、当たりを!!
「これだっ!!」
 僕は右手を天井に向かって思いっ切り突き上げた。
「どれ、見せてごらん?」
 おじさんにくじを渡し、ドキドキしながら結果を待つ……。
「残念。そこの箱から飴を一つ持って行きなさい」
「ははは、格好悪っ!」
 後ろからそんな馬鹿にする声や、早くという声が聞こえた。
「やった、2等だ!」
「うわー、いいなー」
「ぼ、ぼくは、はずれ……」
 そしてまた、僕の番が回ってくる。先に引いた友達があたったので、期待と焦りを感じながらくじをひく。
「また、はずれだ……」
 三回、四回、五回、とくじをひく。引いても引いてもはずれしか出ない。
「おじさん、当たりなんて入ってないんじゃないの?」
「そんなことはないよ、ちゃんと当たりも入ってるよ」
 おじさんは笑いながらそう言った。
 そして僕は最後の一回に期待した。箱に手を入れたらあとは目をつぶって一つをつかみ、おじさんに突きつけた。
「これ!」
 おじさんはそれを手に取り、ゆっくりとこう言った。
「おめでとう、当たりだよ」
「えっ! おじさん本当!?」
「あぁ、本当だとも」
「やったー!!」
「ただし、五等だけどね」
 おじさんはそう言って縦長の箱を取り出して僕に渡してきた。
「何これ?」
「五等の商品だよ」
「そんなこと……僕だってみればわかるよ……」
「わははは、お前なんだこれ! おっかしー」
 友達はそれを見て大笑いしていた。それはそうだ。だけど、僕は泣きそうだった。
「せっかく当てたのに……」
「だ、大丈夫だよ、ぼ、僕なんか、は、はずれしか当たってないんだから……」
「慰めなくてもいいよ……」
 胸に抱える大きな箱は男の子向けではなくあきらかに女の子向けの可愛らしいピンクと赤が目立つ箱だった。
「こんなのいらないよ……」
「ははは、大事に持って帰ってそれで遊びな。オレはこれで遊ぶもんな」
 そう言って二等の賞品を見せびらかしてきた。
「こんなの恥ずかしくて持って帰れないよ……」
 はずれでもらった飴をなめながら友達と公園に行った。
「はぁ……」
 ブランコに座って、地面を見る。
「そう落ち込むなって……飴でもなめて元気出せよ、な?」
「もうなめてるって……」
 キィキィとブランコが小さく揺れる音がする。
落ち込んでいる僕をおいてみんなはシーソーや滑り台で遊び始めた。
赤い日が差し、僕の影が僕の気も知らずに勝手に大きくなった頃にみんなは帰り始めた。
「ば、ばいばい……」
「お前も早くかえれよ」
「うん、ばいばい……」
 僕は力無く手を振った。

 辺りはもうすでに暗かった。
 公園に置かれた古い街灯の明かりと月の光だけが僕を照らしていた。
 すこし寒かったけど、まだ帰りたくなかった。どうせ家に帰ったって誰もいないんだから……。
 寒いので街灯による虫はいなくて静かだった。いつもより静かだった。
街灯がチカチカと音を立てながら点滅していた。
 どうしてだろう、なんだか悲しくなってきた。視界が少しぼやけたけど、鼻をすすってごまかした。
「……えっく……う……ぐすっ……」
 誰かの泣く声が聞こえてきた僕じゃない。
「……誰かいるの?」
 僕は泣き声が聞こえた暗がりに向かって話しかけた。
「……ふぇ?」
 間の抜けた声に僕は笑いそうになったが、次の瞬間チカチカいっていた街灯の電気が消えて驚いたし、怖くなった。
 スタスタスタ……
 小さな足音をたてながら声の主はこちらに歩いてくるのがわかった。相手が見えないから怖かった。すぐに走ってでも逃げたかった。
 スタスタスタ……
 わずかな月の光を頼りに目をこらした。
 そして、声の主は月の明かりが当たりそうで当たらない場所で立ち止まった。
「とりっく……おあ……とりーと?」
「よくわからないけど……聞かれても……」
 声から女の子だとわかると僕は安心した。
 それに明かりが消えてから少し時間がたったのでだんだん見えるようになってきた。
「あのね……とりっく……おあ……とりー…と…………くっ……えっ……」
 女の子はまた泣き始めてしまった。
「あ、え、な、泣かないでよ……」
 僕は困った。
「と、とりあえずこっちにおいで」
 女の子はしばらく動かなかったけど、静かに月の光の下へ歩いてきた。
「えっ!?」
 初めて見た。そういえば誰が言ってたんだっけな? この近所に外人の家族が引っ越してきたって……。
 その女の子は足の先から頭の上まで真っ黒だった。うんと、マントとっていうのかな? 
黒いマントに黒い帽子。
 だけど暗がりでもわかるような金色の長い髪の毛だった。背中ぐらいまであるのかな? 
すごく目を引いた。
 なんていうか、絵本に出てくる魔女みたいだった。
「な、なんでそんな変な格好してるの?」
 僕は女の子にそう聞いた。
「へんなんかじゃ……ないよ……じゃあどうして君は……そんな格好してるの?」
「へ?」
 質問の意味がよくわからなかった。
「どうして……どうしてハロウィンなのに……みんな……ハロウィンしてないの?」
 はろうぃん?
「ハロウィン! ……今日は、ハロウィンなんだよ!」
「ハロウィンって……なに?」
 僕は知らなかった。聞いたことはあったかもしれないけど、ハロウィンってなに?
「……日本じゃハロウィンやらないの?」
「……うん」
 よくわからなかったけど、知らないっていうことはそういうことなんだと思った。
「そう……なんだ……」
 女の子はうつむいた。
「えっく……えっ……うっ……」
 そしてまた鳴き始めてしまった。
「な、泣かないでよ、ほら、飴あげるから!」
 僕はそう言ってポケットからはずれでもらった飴をとりだして女の子に渡した。
「えっ……でも……ハロウィンはないって……」
「そんなのどうでもいいよ、ほらなめて、泣かないで!」
 誰でも泣いてる顔なんて見たくない。飴をなめて泣かないでいてくれるならそれでいい。
「じゃ……一つだけお願い……聞いて?」
「うん、言ってごらん」
 できるだけかなえてあげようと思った。理由なんてない。
ただ今は女の子の笑った顔が見たかったから。
「わたしが、トリック・オア・トリートって言ったら……ハッピーハロウィンって……」
「うん、わかった……」

 彼女が手に力をいれるのが後ろ姿からでもよくわかった。
 そしてまた勢いよく振り返り、赤い月の光を浴びながら力強くこう言った。
「ありがとう」
 いつもと変わらないその笑顔に、いつも以上の感謝の気持ちをのせてそう言った。
 こう言われたらなんて返したらいいものか、毎回悩むな。まぁ、いつも言っていることは同じなのだが。
 ハーフの彼女には日本人的などういたしましてよりふさわしい言葉を返すべきだろう。
「……ハッピーハロウィン」
「うふっ、照れてる照れてる」
 そしていつもと同じ雰囲気に戻り、いつもと変わらず俺を茶化してくる。
「それにしてもだいぶん経つよな……」
「そうだね、十年だったけ?」
「あぁ、そういえばそのくらい経つな」
 彼女と俺が知り合ったのが小学校低学年のときだからそうだよな、だいたい十年くらい前だ。
 あの頃は同い年だと思ってよく遊んでいたが、しばらく経ってから彼女が三つも年下で驚いたことを覚えている。
 いやはや、欧米の人って日本人より大人顔なんだよな……。
 そう思って彼女を見る。
 年不相応の大人の顔立ち、ハーフでもあるので純日本人である俺から見ても十分美人だ。
 気がついた頃には背がぐんと伸び、俺の立場がない時期だってあった。嫌なこと思い出した……。
 それにでるとこだって出てるし……って何を考えているんだ。
「……?」
 彼女は不思議そうに俺を見てきた。
「「ハッピーハロウィンーー!!」」
 パン! パン!
 居間の方からパーティー参加者の掛け声とクラッカーのにぎやかな声が聞こえた。
 知り合ってからは子供たちの交流から地域的な交流が盛んになり、
今では近所の人や俺や彼女の友人とともに盛大なパーティーを開くほどになっている。
「さて、パーティー行くか……」
 そう言ってドアノブに手をかける。
「待って!」
 そう言って俺の服をつかんできた。
「もう少し、もう少しだけ……どうしても……話したいことがあるから……」
 振り返ったとき彼女はうつむいていて、どこかもじもじした態度をとっていた。

――キィキィ
 すっかり元気になった女の子は僕と一緒にブランコで遊んでいた。
「ねぇ、まだ遊べるの?」
 女の子は不安そうな顔で僕に聞いてきた。
「うん、家に帰っても誰もいないからここで遊んでいっても怒られないんだ」
 僕は少しだけ自慢げに答えた。
「そうなの! わたしと一緒だね!」
 ずっと見てしまいそうな笑顔でそう言った。
「そうなの?」
「うん、パパもママもお仕事でいないの……だから、だからわたし一人でハロウィンをしてたの……」
 僕は黙って女の子の話を聞いた。
「だけどね、隣の家もその隣の家もわたしに『何を言ってるの?』って……」
 なんとなくわかるかも。
「でもね、家に帰っても誰もいないの。だからずっと歩いてたの……」
「そうなんだ……」
 寂しかったんだ。家に誰もいないのが。だから帰りたくなかった。僕にもよくわかる。
暗いのは、音がないのは、人がいないのはとてもとても寂しいことだから。
「じゃあさ……」
 僕は勇気を出した。
「明日もここで遊ばない?」
「えっ! いいの!?」
 女の子はすごい笑っていた。嬉しそうだった。
「明日もこの公園で、一緒にブランコに乗って」
「一緒に滑り台もしたい」
「うん、あとジャングルジム」
「シーソー!」
「うん!」

 幻想的な世界で彼女は二,三歩しかない距離を近づいてきた。
「あなたに会って、わたしは本当に救われたの……」
 えっ?
 何が起こったか一瞬わからなかった。鼓動の音が早くなるのが自分でもわかる。
「えへへ、ドキドキしてる?」
 彼女のいたずらな笑みが俺の胸の上に見える。
「ずっとずっと寂しくて、あなたといない日はあれからほとんどなかったよね?」
 そう言って俺の胸に顔を横にして埋め、体重を預けてきた。
「お、おい」
 彼女を離そうと肩に手を掛け力を入れたときこう言われた。
「お願い……しばらくこのままにさせて……」
 それと同時に胸にじわりと湿った暖かさが広がった。
「あのときはホントにホントにホントに嬉しかったんだから……」
 胸の暖かさはどんどん広がっていた。
「こうしていられるのも本当に嬉しいんだからね、本当だよ?」
 俺はたしかにずっと彼女と一緒にいた。あの時から……。
 言いたいことはズバッと言って、でもときにはどもりもして……。
明るく活発で、でも内心は寂しがりやの甘えん坊で……。
年下だけど大人っぽくて、でも頭は良くて……。そんな彼女の色々な一面を見てきた。
「ねぇ……あなたは私のことをどう思っているの?」
 こんな前振りでわからないほど俺も鈍感ではない。そんなもの決まっていた。実を言うとあの時から。

 本当のことを言うと女の子とずっと遊んでいたかった。でももう暗かったし寒かった。
「帰ろうか……」
 僕はそう言った。
「…………」
 女の子はむくれた顔で黙っていた。
「帰りたくないの僕も同じだけど、もう帰らないと……」
 僕は困った。
「ほ、ほら、また明日も遊べるから。明日は朝から遊ぼうよ!」
「ほんとに?」
「うん、朝から遊ぼう!」
「うん!」
 女の子は元気にそう言った。
「じゃあ、ゆびきりしようか」
「ゆび……きり?」
 女の子は手を押さえて泣きそうな顔をした。
「えっ!?」
 僕は焦った。今にも泣き出しそうだったから。
「ゆび……切っちゃうの?」
「ぷっ……」
 思わず笑ってしまった。
「あはは、違う違う。ゆびきりっていうのはね……」
 そう言って女の子の右手を取った。
「小指立てて?」
「う、うん」
 女の子はおそるおそる小指を立てた。
 その小指に自分の指を絡ませる。
「ゆびきりげんまん……――」
 女の子はゆびきりしている間ずっと不思議な顔をしていたが、気にしなかった。
「――ゆびきった!」
「??」
 女の子は不思議そうな顔をしていた。
「えっとー……これはね、約束を破らないための約束なんだよ?」
「約束を破らない約束?」
「そう、絶対に守るっていうこと」
「絶対?」
「うん、絶対」
「ほんと?」
「うん」
「ほんとにほんと?」
 女の子は何回もそう聞いてきた。僕は女の子が聞かなくなるまでうんと答え続けた。
少しでも女の子と一緒にいたかったから。
「じゃあ、帰ろうか?」
「うん……」
 僕も女の子も帰るときには元気はなかった。
 あれ? そういえば何か持ってきたんじゃなかったけ?
「あ!!」
 女の子は僕の出した大声にビクッと驚いた。
「そうだそうだ!」
 近くに置いていた大きいな箱を取ってきて、女の子にプレゼントした。
「はい、これあげる。プレゼント」
「え?」
「あげる!」
 僕は笑ってそう言った。そのとき初めて数百円のくじをして良かったと思えた。
「ありがとう!」
 少し時間が経ってから女の子は幸せいっぱいの笑顔でそう言った。すごく可愛かった。

 彼女の家のホームパーティーってやつに参加するようになったのはそれからなんだよな。
 それがなければ今ここでこうしていることもなかったかもしれないと思うと不思議なもんだな……。
「ねぇ、答えて? あなたはわたしことをどう思ってるの?」
 呼吸を整え、勇気を振り絞った。
「……好きだ」
 はっきりとそう口にして気持ちを伝えた、そして肩にのせていた手を背中に回し、強く抱きしめた。
「はぅ……」
 彼女の甘い息が聞こえる。
「わたしも……あなたのことが好きです……」
 彼女が俺を見つめてきた。俺も彼女を見つめ返した。
 そしてどちらからともなく唇を重ねた……。そこに欧米の挨拶的な意味は微塵もなかった。

「えへへ〜……」
「おい、恥ずかしいからそのデレデレ状態をなんとかしてくれ……」
 俺は顔に手を当てうつむいていた。
「だって嬉しいんだもん」
 そう言って彼女は部屋に置いてある、大きめのカボチャのクッションに腰を下ろしこっちを向いた。
「はぁ……」
「えへへ〜……」
 内心ドキドキで今でもよくあんな大胆な行動がとれたもんだと自分に感心しつつ、平静を装って彼女を見た。
「それにしても何度見ても違和感バリバリだなソレ」
「いいじゃない、可愛いんだから。それにあなたのくれた物だし」
 彼女は嬉しそうにソレを肩の高さに持ち上げ軽くポーズをとった。
 魔女っ子なんとかちゃんとかそんな感じのアニメに出てきそうな小道具だよな……ステッキっていうのかあれは?
 とにかくピンク色で先にピンクと赤で作られたハートが付いたソレは、明らかに彼女に不釣り合いだった。
 ソレはあの時俺が引いたくじの景品で、とてもじゃないが今ならあげられないなあんな物。
子供の頃だからこそできる芸当だな。
 そんなことを考え軽く自分を嘲笑した。
「じゃあ、そろそろパーティー行こうか?」
 彼女はそう言って立ち上がった。
「なあ、なにげに時間経ってない?」
 俺は根掘り葉掘りあれやこれやと尋問を受ける覚悟をした。口を滑らせないように気をつけないと。
「あははー……ほんとだ……」
 そう言ってペロッと下を出す仕草にちょっとドキッとした。
「ほら、突っ立ってないでいくよ?」
 彼女は俺の手を握りしめドアを開けた。
「えっ、ちょっと!?」
「いいの、いいの、どうせ隠したってばれるんだから」
「ほらほら!」
 彼女は満面の笑みだった。この笑顔を見たらなんかもう隠すのも馬鹿らしくなった。
「ま……いっか……」 
 俺と彼女は手を繋いで歩き出した。
 居間で行われているパーティーに参加するとき、俺と彼女は手を繋いだままみんなに向かって大声でこう言った。
「ハッピーハロウィーン!」



コメント(5)

おおーw
気にせずどんどん立ててくだいw

ハローウィンですか〜。
今にまさにですねw
ハローウィンて日本でやらないよね〜。
なんでだろ?

とても、素晴らしかったですw

これからも期待してますw
うお、こ、コメントがっ!?
いや、わざわざ読んでくれてどうもです。

いやー……なんか人に読んでもらえるとやっぱり嬉しいですねw

まぁ、あまり期待はせずにいてくださいなww
コメントありがとうございます m(_ _)m

『……』が多いですか、自覚は一応あったのですが(苦笑
たぶんあれなんですよ、セリフが多いのかな? 
あ、でも、どうなだろう?
どう思います??(聞くなよ

続きの展開といっても結局はただの恋愛小説だったから、
もう一ひねりできればよかったなーと今更ながら思いましたw

では、がんばりますので応援よろしくお願いします。

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