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ぐだぐだ文章空間コミュの雪桜三話目更新です

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 当時の日本の絶望的な状況を理解するために、この戦争における費用の八割が海外公債によって賄われていた、という尋常でない状況一つを見ても分かるだろう。しかも、当時の世界の常識として日本が勝つことはあり得ないために、日本の公債は全くの不人気であった。その状況下で軍資金得ること自体、絶望的、どうかすれば滑稽であったが、それを多大な苦労のもと成功させたのは高橋是清(二二六事件により絶命)だった。
 また、何とか土俵に立てたのはいいが、日本には戦争を維持する力がなかった。軍資金、銃弾の不足は日々重くなってくるし、兵力の枯渇もまた深刻な事態であった。当時日本の予備軍がゼロであるのに対し、ロシアのそれが優に百万をこえていた。つまり、日本は短期決戦とそれと連動させた講和でしか、日露戦争の勝利はありえなかった。そのために日本海海戦の世界史上の奇跡的大勝利ともされた完璧な勝利を収めた後に、当時の常識から言えば屈辱的であったポーツマス講和条約を終結させざるを得なかったのだ。
 長々と叙述したが(それでも全く足りないのだが)、日露戦争は日本にとって綱渡りであっただけでなく、この戦争に勝利しなければ帝国主義の吹き荒れた当時において日本の独立はありえなかった、ということを理解していただければ十分。
とにかく、旅順艦隊を、バルチック艦隊の到着前に壊滅させることは、日本海軍、また日本の絶対条件であったのだが、その旅順艦隊は要塞化された旅順港から出ようとしなかった。わざわざリスクを犯して日本艦隊と戦闘を行うのではなく、バルチック艦隊の到着まで温存させるというロシア側の方針は、これも絶対なものであった。
 すぐさま艦隊戦を行いたい日本と、艦隊戦を避け兵力の温存を図りたいロシア。すでに両者の対峙は長く続いていた。しかし、その間にも時間は流れ、バルチック艦隊は近づいてくるばかりだ。この国家危機を打開するために、海軍からの要請で、陸軍に対し旅順大要塞を占拠し、そこから旅順港に砲撃を加え、旅順艦隊を日本海へ追い出す、もしくは直接壊滅さえるという作戦が決定された。
 一度、旅順艦隊はその港から出てき、ここぞとばかりに日本艦隊との間で戦闘が起こった。いわゆる黄海海戦。日本海軍の有利に進められたが、日本にとっては敵艦隊の壊滅のみがこの海戦の成功であった。結局、ロシア側は旅順港へ逃げ帰り、以後、徹底した兵力温存の方策を貫いた。
日露海軍双方、兵力は温存されたが、時間は無情にも流れ、日本はバルチック艦隊の足跡に恐怖した。今や、旅順要塞占領は弱小国日本の生き残る唯一の道となってしまっていた。
 旅順包囲完了後の八月十九日、乃木第三軍による第一回旅順総攻撃が敢行された。結果は、日本軍死者五千人、負傷者一万人の大失敗に終わった。第二回総攻撃は続く十月二十六日に行われ、これは前回の失敗の反省を幾分か取り入れたが、不徹底のため死傷者五千の失敗に帰した。



コメント(1)

え〜、二話目に引き続き、歴史背景の説明です。まあ、物事っつうのは点じゃなくて、線でとらるべきだ、つうのが持論でして、はい。そういうわけで、歴史もそれ単品で断片的に読み解くのではなく、当時の背景やら、社会的文脈やらをも同時に知らないと、意味がないと思っています。そゆわけで、くどいようですが、今回も背景の叙述となりました。
文学というのも同様で、例えば、明治の文豪・夏目漱石の作品も、それ単品で読むのではなく(それでも十分すぎるほど面白いですが)、当時の明治という時代を理解して読み、彼の作品の社会的文脈を考慮に入れ読めば、さらに奥行きが出てきます。漱石は、彼の生きた時代の日本が、西洋の物質社会によって侵食されていくことに危機感を感じ、文学という手段を使って、日本独自の価値基準、美意識を西洋から守ろうとしました。当時の(まあ、今もですが)日本は価値基準を西洋から、そのまま引用し、また、その引用も表面しか引用しなかったので、精神は腐敗していきました。まあ、腐敗といっても倫理観やらが地に落ちたというわけではなく、精神的支柱を喪失した、要は歩く抜け殻人間になったという意味です。まあ、バックボーンがなくなっていったわけですね。まあまあ、そういう時代にありましたので、漱石は人間のエゴを描くことによって、日本人一人ひとりの美意識を(あるいは漱石は武士道を見ていたのかもしれません)換気しようと、まあ、こういうわけです。
まあ、現代の日本人のほうがこれよりも悪化していますね。週刊誌から価値基準を引用するなんて、日常茶飯事。型にはまったような人間がうじょうじょしています。はみ出す勇気のない者がうじょうじょです。自分はそこにあるのか?と思わず聞きたくなるばかりです。
まあ、だからといってオレは昔の日本にもどれ、とか、右翼の方みたいに天皇万歳、みたいなことをしろと言っているわけではなく、単にもうちょい各々が美意識を持って、それに縛られたら?と言いたいわけです。
最後はコラムちっくになりましたが、、、あっ。そういや、いちお、この作品完成したんで、途中で消えるということはないので〜是非最後まで雑文ですが、読んでみてくださいね^^

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