Modernity at Largeへと収斂していくアパデュライの一連の論考が構想された1990年代前半は,文化理論が大きな転回を迎えた時期でもあった。冷戦の終結とともに,「正統派マルクス主義」のパラダイムの影響力が徐々に弱まり,新たなパラダイムが模索されていた時代であった,と大きくはまとめることができるであろう。
参考文献 ホミ・K・バーバ『文化の場所』(法政大学出版局) エドワード・W・ソジャ『第三空間』(青土社) フレドリック・ジェイムソン「認知地図」(『10+1』No.3,Spring 1995) Arjun Appadurai, Fear of Small Numbers (Duke University Press, 2006)