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開催終了テーマ企画『大きなモミノキの下で 〜a Christmas Stories〜』

詳細

2012年11月28日 21:47 更新

ども。
お久しぶりの副管理人、かーるです。
気が付けば、あと一月で年末ですね。
年末と言えば――そう、クリスマスです。
今年のクリスマス、皆さんはどう過ごされますか?
私は――うん、多分家でごろんごろん転がってるんだろうな、きっと(^。^;)

まあ、そんな特に予定のない私でも、やはりクリスマスと聞くとそわそわしてくるもので。
それはきっと、創作を趣味にしている他の皆さんも同じことと思います。

で。
今回の企画なんですが。

――まあとにかく、以下のお話を読んでみて下さい。

§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

Prologue
『サンタの村のモミノキの話』


――ん?どうした?眠れないのか?
さっきも言ったけど、早く寝ないとサンタさんは来ないんだぞ。

――よし、わかった。
お母さんは忙しいから、眠くなるまでお父さんが少しサンタさんのお話をしてあげよう。

     ※

――よし、じゃあ始めるか。
途中で眠くなったら、ちゃんと寝るんだよ。いいね?

サンタさんって、フィンランド、って言う国に住んでいてね。
とても寒いところなんだけど、サンタさんの居る『サンタ村』の周りだけは、いつも春みたいにポカポカと暖かいんだ。

なんでだと思う?
――って、わかんないか。

実はその村には東京タワーみたいにおっきなモミノキがあってね。
あまりにおっきなもんだから、木の下にあるサンタ村には雪も寒い風も来なくてね。
だからサンタ村のみんなは、張り切ってクリスマスの支度ができたんだな。

――え?
おっきなモミノキは、何を食べておっきくなったか、って?

うん、それがね、
モミノキは、人の『夢』や『物語』を食べておっきくなったんだ。

ほら。思い出してごらん。
どんな人もクリスマスに近づくとクリスマスにちなんだお話をするけど、
クリスマスを過ぎた途端にみんな、まるでクリスマスなんて無かったみたいに話をしなくなるだろ?

あれはね、サンタ村のサンタさん達が、プレゼントを配る時に集めて回ってね、あの白いおっきな袋に詰めて村に持って帰って、おっきなモミノキに食べさせちゃうからなんだ。

サンタさんが持ち帰った『夢』や『お話』は、どんなに悲しくても、どんなに暗くても、モミノキに差し出すと、――ほら、あの部屋の隅にあるクリスマスツリーの飾りみたいにキラキラ輝きだしてね。
まるでモミノキがでっかいクリスマスツリーみたいに綺麗になるんだそうだ――

――って、もう寝ちゃったか。
よしよし、いい子で寝てるんだぞ。
あとでまた来るからね。

――あ、サンタさんが、ね。

§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§

……と、いうわけで。
今回の企画は、クリスマス企画となります。

今回皆さんにはサンタ村のサンタさんになっていただき、

『クリスマスをテーマにした物語』

を集めていただいて、サンタ村にある巨大なモミノキに飾っていただきたいのです。

物語については、ご自身の書かれた新作でも旧作でも構いませんし、
他の方が書かれたものでも(ご本人の許可を頂ければ)オッケーです。

ジャンル不問。
明るい話でも、暗い話でも、殺伐とした話でも、なんでも構いません。
形式も、漫画や小説だけではなく、動画や歌、詩、短歌や俳句もウェルカムです。

さあ、みんなで一緒に、
モミノキを、物語でいっぱいに飾り立ててみませんか?

ご参加、お待ちしております。

コメント(178)

  • [139] mixiユーザー

    2012年12月15日 06:43

    アップの際に手直ししたので、こちらもアップし直しときます。

    『ベンチの二人』(『まるで降り注ぐ雪のように その3』)


    (12月24日、PM9時。都内某所)

    公園には、ロクな想い出がない。

    幼稚園の頃にはブランコから落下して大怪我したし。
    小学生の頃にはよくいっしょにキャッチボールをして遊んでいた父親が事故で死んでしまったし。
    中学生の頃にはイジメられないように隠れる場所でしかなかったし。
    高校生の頃には女の子に告白して玉砕する定番の場所だったし。

    そして、今。
    クリスマスイブを最愛の恋人と過ごしていたはずの大学生の僕は、プレゼントを渡すつもりで立ち寄ったこの公園で、

    ――何故か、その最愛の恋人から、別れを切り出されるし。


    「――え、いやごめん、冗談だよね?」
    ベンチに座る僕が何とかそれだけ口にすると、彼女は上がったまま、僕を冷たく見下ろして、
    「本気」
    「うそっ」
    あまりにあっさりした彼女の言い方に、僕は開いた口が塞がらない。
    なんだこれ、訳がわからない。
    「いやマジで……なんで?」
    きゅうっ、と、心臓をわしづかみにされたような苦しみに顔をしかめながら僕が搾り出した問いに、彼女は思案顔で首を捻りながら、
    「うーん、飽きたから、かな」
    と、何故か思い出を語るかのような口調で返してくる。
    「飽きた――ってうそ」
    「ああもう、ワンパターンな反応!」
    まくし立てようとする僕に苛立ったのか、彼女はいきなり小声で叫ぶと、仕方ない、とばかりにため息を漏らす。
    「デートもマニュアル通り、会話もワンパターンだし。個性も何も無いじゃない」
    つまんないのよ、と苦笑いする彼女に、僕は何も返す言葉を思い付かない。
    そんな僕を、彼女は冷ややかな目で見つめてくる。
    ――こんな表情の彼女を、僕は一年付き合ってきて初めて見た。

    「ほら、言葉が出ないんでしょ?そこよ、あなたの限界って」
    容赦無く畳み掛ける彼女の目がまともに見れず、僕はつい、とあさっての方に目を向ける。
    地面から少し低い高さにあるこの公園は、四方を階段状のスロープに囲まれていて、その中ほどに高校生らしき少年が独りで座っているのが見えた。
    彼もまた、僕と同じように誰かにフラレてそこにいるのだろうか――などと勝手に想像し、
    で、勝手にヘコむ僕。

    「どうせここに来たのも、プレゼントでも渡そうと考えたからなんでしょ?プレゼントだって、私が前にツイッターで欲しい、って呟いた――でしょうね、きっと」
    関を切ったように畳み掛ける彼女の言葉に、僕はぴくり、と反応してしまう。
    プレゼントの中身もそうだが、それ以上に、
    ――それ以上に、そこまでまくし立てなくてはいけない程に彼女を追い詰めていたのだ、と気づいてしまったからだ。

    僕は何とも表現できない想いに突き動かされ、思わず彼女を見上げると、
    ――冷たい目のまま勝ち誇った笑みを浮かべた、彼女と目が合い、再び僕は目を伏せる。

    そんな僕の何が可笑しいのだろう、目を伏せた僕の耳に、彼女のくすくす、と笑う声が聞こえてきた。

    「ほらね?だから――」

    ――何故か。
    彼女の言葉が何故かそこでピタリと止まり、僕はゆっくりと顔を上げる。

    彼女は、僕を見てはいなかった。
    何故か訝しげな表情で、右手の方を見つめている。
    彼女の視線につられて目を向けると、その先には街中の公園にしては珍しい、野外ステージが在った。
    「どうかした――」
    思わず声をかけた僕を、彼女はこちらに目もくれずに、口にその美しい指を当てて制止する。
    僕は、立て続けに起きた出来事に混乱しながらも、改めてステージへと目を向けた。

    ――と。
    さっきは暗くてよく判らなかったが、よく見ると、ステージの縁の辺りで5人の女性が立ち上がって何かをやっている。
    背格好からして、女子高生のようだった。
    「女子高生が、どう――」
    僕が改めて問い掛けた、

    まさしく、その直後だったのだ。
    僕の人生を一変させる、『奇跡』をみたのは。


    (『ベンチの二人』終わり。続く)
  • [140] mixiユーザー

    2012年12月16日 18:50

    どもっす。

    続き物を無視して、別のお話を(笑)

    『ママがサンタにキスをした』


    「せんせーおはよー、ねむいー」
    「あらあら、りょうくんたら。クリスマスイブだからって、夜更かししたんでしょ」
    「あのね、きのうおうちにサンタさん来てねえ、ママがサンタにキスしてたんだよ!」
    「ん?サンタさんが?」
    「うん!赤い服に真っ白おひげ〜!」
    「そっかあ、お父さんお母さん、仲良しなんだね」
    「ううん、パパは寝てた〜」
    「……へ?」
    「頭真っ赤にして、寝てた〜」
    「え、――ええ?!」
    「朝はもういなかった〜」
    「あ……ああそ、そっかあ。だから寝るの遅かったんだねえ」
    「ちがうよお」
    「へ?」
    「あのね、ママが寝なさいって言うから寝てたんだけど、うるさくて寝られなかったんだあ」
    「うるさい?お父さんとお母さん、ケンカでもしてたの?」


    「ううん、お風呂場から、ギーコギーコって音がずっとなってたの」


    (12月25日。 AM9時35分。首都圏某所、幼稚園バス内)
  • [141] mixiユーザー

    2012年12月17日 05:07

    『来る』


    来る。
    きっと、来る。

    ボンヤリとテレビのクリスマス特番を眺めながら、俺は朧げな確信を込めて、ちらっと携帯電話に目を向ける。

    間違いない。
    絶対に、電話は来る。

    買って随分経った携帯電話はそんな俺の確信を嘲笑うかのように、朝からぴくりとも動く気配はない。

    だが、間違いない。
    カノジョのいないあいつらが、クリスマスイブなんていう日に家でじっとしてる訳がない。

    俺は苛立ちを紛らそうと携帯電話を手に取りフリップを開け、間違いなく電源が入っていることを確認すると、画面に表示された時刻を見つめる。

    「6時、か――ったく、」
    何やってんだあいつら、という言葉を飲み込み立ち上がると、冷蔵庫からハイネケンを一本取り出し一気に飲み干す。
    本当なら朝から飲みたかったのだが、もしあいつらが唐突にスノボに行く、なんて言い出せば、まず間違いなく運転は俺だから、迂闊にアルコールは摂れなかったのだ。

    「――ま、この時間なら、それはないだろ」
    そう自分に言い聞かせながら冷蔵庫の二本目に手を伸ばしたその時、テーブルに置きっぱなしの携帯電話がけたたましく震えはじめた。
    「ったく、おせーよ」
    俺は取り出した二本目を一口含みながら仕方ないとばかりに携帯電話を開き、開口一番文句を言ってやる。
    『なにがよ。なんも約束してないじゃん』
    電話の向こうから聞こえてくるダチの声に、まあそうだけども、と言い返す。
    『まあいっか。ほら、行くぞ』
    相変わらず唐突なダチの誘いに、俺の頬が思わず緩む。
    「行く、って、どこによ」
    俺のわざとらしいくらいに呆れた声に、決まってるわ、とこれまた呆れ声が電話越しに返ってきた。
    『ナイトスキー。クリスマスイブなんだからよ、行くぞ』
    当たり前のように言うダチの声に、俺は思わず左手のハイネケンを見つめ、
    「……お前、おせーよ」
    と、ため息をついた。


    (12月24日。PM6時15分。愛知県某所)
  • [142] mixiユーザー

    2012年12月18日 05:05

    日記に更新した分を。
    近くて遠いのか、遠いから近いのか。

    『近くて遠い二人』


    「知ってる?サンタクロースってね、本当は赤い服、着てないんだって」
    クリスマスイブの夜。
    少し奮発して予約したフランス料理店の料理を堪能した私たちは、酔い醒ましも兼ねて、六本木のけやき坂イルミネーションに向けてのんびりと歩いていた。
    「へえ、そうなのか」
    私は初めて聞いた、という風に返しながら、しがみつくようにして腕を組むミチルに微笑むと、彼女はへへ、と照れ臭そうに笑って、何故か視線を通り掛かりの洋服店へと向ける。
    「あの赤い服はね、コカコーラが宣伝の為にデザインしたんだって。だから名付けて『コカコーラ・サンタ』」
    そう自慢げに言う彼女に正しい情報を教えたほうが良いかどうか迷いながら目を向けると、彼女の視線が相変わらず他所を向いている事に気づき、思わず苦笑いする。
    自信のない話をするときには必ず目を見ない彼女の癖。
    それが今は何故かとても可愛らしく思えて、気付けば私は彼女の頭を軽く撫でていた。
    「ち、ちょっと。止めてってば」
    撫でられた彼女がむずがるように軽く抵抗するが、その声は決して嫌がっているようには聞こえない。
    「どうして?君が可愛いと思ったから撫でてるだけじゃないか」
    私が含み笑いとともにそう応えると、彼女は顔を真っ赤にして「またそういう」と小さな声で返してくる。
    その、まるで少女のような初々しさが堪らなく愛おしくて、私はしがみつかれている方の手でしがみついている方の彼女の手を握る。
    「やだ、止めてよ。恥ずかしい」
    手を握られた彼女が、下を向いて本気で恥ずかしそうにしているのを見て、私の悪戯心がむくり、と顔を出す。
    「解らないなあ。男の腕に抱き着いている方がもっと恥ずかしいだろうと思うのだが」
    含み笑いで告げる私の意図を理解したのか、彼女はもう、とだけ返すと、頬をふくらませてまたそっぽを向く。
    「ほんとにもう、貴方は昔からそうだった。悪戯好きで、人のことなんて――」

    ――え?

    ふくれっ面でブツブツ呟く彼女の言葉に、私は目を見開く。
    昔、とは、どれくらい昔の話だろう?
    大貴が大学に入学した20年前だろうか。
    それとも、恋人同士だった40年前の事だろうか。
    それとも、――

    「――まさか、記憶が?」
    思わず問いかけた私に、彼女はきょとん、とした表情で「何の話?」と返してくる。
    その彼女の表情がとても――とても幼く見えて、私はそっと生唾を飲み込む。

    ――違う。やはり未散は『彼女』のままなんだ。
    結婚前の『ミチル』のままなんだ。

    「いやその、――何でもないよ」
    私は何とか平静を保ちつつ誤魔化すと、彼女は変なの、と笑って、目の前に見えてきたけやきのイルミネーションにうっとりと目を向け、
    「――何だか、不思議」
    と、呟くように言った。
    「不思議、って、何がだい?」
    何とか誤魔化せたことにホッとしつつ私が問うと、彼女は私の顔を見上げて、
    「だって、私、ここに来たこと有るような気がするの」
    と、やはり照れくさそうに笑う。
    「それは――」
    そうだろう、と言いそうになり、私は慌てて口を閉じる。
    そんな私の様子をどう感じたのか、彼女は視線をイルミネーションに向けながら、すう、と音を立てて軽く息を吸い、何かを確信したように力強く頷いた。。
    「うん、気のせいよね。六本木のけやき坂に似てるな、って思ったんだけど、この街は六本木じゃないもの」
    彼女の確信したような呟きに、私はどう返して良いか解らず、無言になる。

    本当なら『そうじゃない』と返すべきだろう。
    『これが今の六本木なんだ』と。

    しかし、痴呆症によって記憶が40年前まで逆行してしまった『ミチル』に、それをどう納得させられるだろう。

    少なくとも、今の私には不可能だ。
    60年以上生きてきても、――40年以上一緒にいても、大切な人の失われた記憶を取り戻すことはできない。
    ましてや、痴呆が始まるまで彼女のことを気にも留めていなかった私には、彼女を現代に戻すことなどできるはずが無かった。

    「――ミチル、」

    私は胸の奥底にどっしりと溜まる痛みを誤魔化すように、イルミネーションを見上げる。

    「凄いね、このイルミネーションは。まるで夢の世界のようじゃないか」

    ――夢の世界。
    もしそんな世界があるのなら、私達をそこに連れて行ってほしい。

    そこなら、もしかしたら、
    『ミチル』と同じ世界を、私も共有できるかもしれないから。

    「ええ、ほんと。夢の世界に居るみたい」

    私の思いを知ってか知らずか。
    彼女はうっとりとイルミネーションを見上げて呟くと、
    私に顔を向けて、

    そして、少し涙ぐんだ眼で、照れくさそうに微笑んだ。

    (12月24日。PM8時24分。六本木某所)
  • [143] mixiユーザー

    2012年12月18日 21:38

    ああそうそう、忘れてました。
    昨年のクリスマスに書いた長編も、ついでにここにアップしとこう(笑)
    でないと次のお話が理解できないし(笑)

    『サンタクロース☆クライシス』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1806743459&owner_id=33130006
  • [144] mixiユーザー

    2012年12月19日 05:14

    と、いうわけで。

    『星屑の街』


    クリスマスイブに街を見下ろすと、その普段よりも明るい世界に、誰もが感嘆のため息を漏らすという。
    満天の星空にぷかぷかと浮かぶ『彼女』もまた、そんな人々と同じように、うっとりとした表情で眼下の街を見下ろしていた。
    「はあ、平和ねえ」
    まるでそこに見えないソファーでも在るかのようにそのグラマラスな肢体を寝そべらせる『彼女』は、その肉感的な唇から物憂げな声を発すると、ため息をひとつ漏らす。
    『おいおい、やめてくれないか。縁起でもない』
    耳元から唐突に聞こえてきた男の声に、『彼女』はわざとらしい口調であら、と返す。
    「だってほんとに平和なんだもの。去年みたいなドタバタもないし。それに、縁起なんて担ぐものじゃなくて、担がせるものよん」
    『彼女』は楽しそうな口調で切り返すと、仰向けになって脚を組む。
    赤いミニスカートから伸びたその美しい脚はまるで夜の闇に浮かぶ月のように淡い光を放っており、それが『彼女』の神秘さと妖艶さをひときわ際立たせていた。
    『あのなありらんくん、君がそう言う台詞をはくと、大抵何かトラブルが発生するんだから――』
    「あら心外ね」
    『りらんくん』と呼ばれたその女性は、ヘッドセット越しに聞こえる男の声を遮るようにさも心外だと言わんばかりにため息をつくと、真上の星空に向けてそのしなやかな指を掲げ、何やら文字を描くように指を動かす。
    「九州地区、四国、中国地区も異常なし。――名古屋の椿ちゃんがまたサボってるけど、あとはみんな頑張ってるわよん」
    これで満足?と言わんばかりに微笑むりらんに、ヘッドセットからはぐぬう、という声しか聞こえてこない。
    「私のお仕事は情報収集と諜報活動、非常時における各協会員の橋渡し――ほら、ちゃんとお仕事してますわよん」
    りらんはそう得意げに言うと、にっこり笑って身体をくるりと旋回させ、やはり仄かに輝く両手を緩やかに拡げる。
    「それに、去年のドタバタのおかげで、世間さまに私たちの活動、ばれちゃったものん。却ってみんなお仕事しやすくなったから、私のお仕事、グンと減っちゃったのよねん」
    すい、と瞬く星の間を縫うように飛びながら、畳み掛けるように言うりらんに、ヘッドセット越しの男も、
    『う、うむ、それはそうだが――』
    と苦い声を返して、軽く咳ばらいをする。

    昨年、彼女達の所属する組織『サンタクロース協会』は、『ケイオス・シーカー』によるクリスマステロに対抗し、それを見事撃退した。
    しかしその副作用として、隠密裏に進められるべき彼女達の活動――誰にも気付かれることなく人々に『幸福』を配る、という活動が、メディアを通じて全世界に知られることとなってしまった。
    当初はこの、数世紀に及ぶ協会の歴史において初の危機に、協会の解散を求める声も有ったが、支持者の大幅な増加などの予想外の利益もあり、今では『実在するリアルサンタクロース』として活動を続けるようになっていた。

    『しかし、君は活動時間が限られとるんだ。時間は有効にだな――』
    なおもしがみつく男の声を、ああもう、とりらんが遮る。
    「大丈夫ですわん、もう一人の『わたし』は、朝までぐっすり寝てますよん」
    そんなことより――とりらんは両手を拡げたまま、再びくるりと旋回して街に背中を向けると、うっとりとした様子で静かに眼を閉じる。
    「満天の星空と、幸福に瞬く街の星たち。――ほんと、支部長にお見せできないのがざあんねん、ですわん」
    そう言ってクスクスと笑うりらんに、ヘッドセットから『好きにしろ』と、苦笑いに似た声が聞こえてきた。


    (12月25日 AM1時12分。大阪市上空。)
  • [145] mixiユーザー

    2012年12月21日 18:02

    『戦闘服の5人』


    「まったく、クリスマスだってのに、今年もまたこのメンツなわけ?」

    都内の片隅にある小さなバー。
    都内でもトップクラスのバーテンダーと、若いながらもセンスの良い料理を作る料理人が居ることで評判の高いそのバーには、テーブル席が一つだけ存在する。
    今夜はそのテーブル席に、ブランドもので全身を包んだ女性たちが5人座っており、やいのやいのとはしゃぎ声をあげていた。

    「なによその上から目線。マルだって、結局カレシ作れなかったからここに居るんじゃない」
    口を尖らせているマルと呼ばれた女性が、その向かいに座る大柄な女性に向けて更に口を尖らせる。
    「うるっさいなぁ、これでも今年は頑張ったんだからね」
    「はいはい、頑張った頑張った。えらいえらい」
    「なによ、そっちだって上から目線じゃない」
    「だって、立場上だもん。悪い?」
    大柄な女性がその大きな胸を更に大きく張ると、マルと呼ばれた女性がぐうっと声を詰まらせる。
    「まあまあコット、その位で許してあげなさいよ」
    マルの隣に座っていた細身の女性が苦笑いしながら彼女をフォローすると、それに追随して他の二人も楽しそうに口を挟む。
    「そうだよ。無礼講なんだし」
    「そうそう。だいたいさ、カレシを作れなかったのは、ここに居るみんなおんなじなんだからさ」
    三人からツッコミを入れられ、コットと呼ばれた大柄な女性がむすっとした表情でその太い腕を組む。
    「なんで私が悪者にならなきゃ……」
    ぶつぶつ、と文句を言うコットの肩に手を置いたのは、先程の細身の女性だ。
    「まあまあ。それよりさ、久しぶりにみんな集まったんだし、ぱあっと行こうよ」
    優しく声をかける細身の女性にコットが何か言い返そうとするが、その隙を与えないようにマルがびっと右手を上げる。
    「さんせーい!マスター、カミカゼ一つ!」
    「あ、私はハリケーン!」
    「こっちはいつもの。ボトルごとちょうだいね」
    「お腹すいたよー、料理まだー?」
    それぞれの女性の好き勝手な注文に、しかしバーテンダーはニコニコと微笑みながら頷く。
    「で、で、今年はどうだった?」
    最後に口を挟んでいた二人のうちの、まるで子供のような背格好の女性が、まるで子供のようにはしゃぎながら他の四人に問い掛ける。
    「うーん、普通かな」
    「仕事ばっかりだったなあ。稼がなきゃ食っていけないんだけどさ」
    「私も仕事〜。ほんともう、いい加減引退しようかしら」
    「引退ってコット、あんたから仕事を抜いたら、いったい何が残るんだか」
    「あら、失礼ね。私から仕事を抜いたら、色気しか残らないわよ」
    「色気?凄みじゃなくて?」
    「それひどいわよ」

    きゃあきゃあ。
    おそらくは30代も終わろうか、という年齢の女性たちが、まるで少女のように楽しそうにはしゃいでいるのを、バーテンダーがシェイカーを振りながらにこやかに見つめている。

    (つづく)
  • [146] mixiユーザー

    2012年12月21日 18:02

    (145の続き)


    「――ほんと、今年は散々だったわね」
    ひとしきりはしゃいだあと、少しの静寂をおいて、マルがぽつり、と呟いた。
    「ああ、確かマルって、南米だったっけ」
    「そう。現地のマフィアともめてね、死ぬかと思ったわ」
    マルがそう言って苦笑いすると、他の四人も追従するようにふう、とため息をつく。
    「アフリカも酷かったわよ。原住民と政府軍が激しくやりあってさあ」
    コットが疲れたように呟くと、先程の子供っぽい女性がうんうん、と激しくうなずく。
    「そうそう!私達が居なかったら、ボロ負けだったわよね」
    「こっちも大変だったわよ、スパイと間違えられてさ」
    そう切り出したのは細身の女性だ。
    「スパイ、って……キャスパー、あんた中国だったでしょ?よく無事だったわね」
    驚き呆れたように返すマルに、へへん、と胸を張る細身の女性。
    「蛇の道は蛇、よ」
    「……って、とてもカレシ募集中の女性が言う台詞じゃないわよね」
    先ほどのお返し、とばかりにすかさず切り返すコットに、キャスパーが慌てて立ち上がる。
    「ちょっ、コット!やめてよ!」
    「やだねー。さっきのお返しー」
    「んもうっ!」
    楽しそうに舌を出すコットに頬をふくらませて文句を言うキャスパーを見て、他の三人が思わず噴きだした。

    「さあて、次いこっか」
    ひとしきりはしゃぎ、飲み、食べ終わった頃、コットがよっこいしょ、と声を上げながら立ち上がると、
    コートから財布を抜き取り、「マスター!お勘定!」と叫んだ。
    「あら、もちろんコット、上司のおごりよねー?」
    笑いながら立ち上がったマルが、ニヤニヤしながらコットに声をかける。
    「――ほお、マル、あなた南アに行きたいわけね」
    すかさず切り返したコットに、マルが笑みを浮かべたまま硬直した。
    そんなマルの肩に手をかけながら、キャスパーがさり気なく声をかける。
    「割り勘割り勘、割り勘でいこうよ」
    「そうそう。仕事を離れたらみんな戦友だもん」
    子供っぽい女性が財布を開きながらそう続けると、カウンターに肘をついたコットが、
    「――戦場では敵でも、ね」
    と言って、ニンマリと笑った。

    騒々しい5人がオーク材のドアから出ていったあと。
    奥の厨房に居た若い料理人がひょっこりと顔を出し、バーテンダーの横に立った。
    「マスター、一ついいですか?」
    さり気なく、しかし興味津々といった様子で、料理人がバーテンダーに尋ねる。
    「ん?なんだい?」
    バーテンダーはグラスを拭きながら、それまでと変わらない穏やかな調子で応える。
    その穏やかさに一瞬口を開くのを躊躇う料理人だったが、好奇心には勝てなかったのか、すぐに口を開いた。
    「――なんであの人達、戦闘服着てたんすかね。ブランドものだ、って言ってましたけど」
    料理人の質問に、バーテンダーはふっと笑みを浮かべ、
    「そりゃそうさ、彼女たちは歴戦の傭兵だからね」
    と、入口の扉へと優しげな目を向けた。


    (12月24日、PM9:03。都内某所)
  • [147] mixiユーザー

    2012年12月21日 19:53

    闇の中から、ぬう、と人影が浮かび出た。
    くたびれたフード付きの黒いローブをまとい、フードの下には髑髏……をイメージした仮面。
    苛立ちの混じる溜め息と共に仮面を外すと、その下から冴えない男の顔が現れた。年の頃は二十代を半ば過ぎたあたりだろうか。
    男は乱雑に頭をかき、乱れた短い髪はそのままに、懐から煙草を取り出した。かち、かちと一緒に出したオイルがほとんどないライターを弄り、火がつかないことに気づくと無造作に放り投げた。
    暗く沈んだ瞳がライターが描いた軌跡をたどり、闇に消えるのを見届けると視線を下げた。
    「やってらんねー……」
    半刻前に人の命を奪った男は、煙草を仕舞い仮面をつけ直した。


    「お疲れさん」
    石油ストーブで暖をとる同僚を蹴り飛ばし、男はストーブの前に陣取った。
    「感謝が軽いんだよ。誰のせいで今日休みだったはずの俺が仕事したと思ってんだ」
    「正月代わるからチャラだろ?」
    「そのせいで実家に帰る羽目になったじゃねーか」
    仮面越しの鋭い目付きにたじろぐこともなく、同僚は爽やかに微笑んだ。
    「いいじゃないか、里帰り」
    「遠い親戚のじじいに囲まれて嬉しいわけあるか」
    「残念だったねー」
    暫く微笑を浮かべたままの同僚を睨みつけていたが、ふいと目をストーブに向けた。
    「……そもそもお前」
    「うん?」
    「用事もないクセになんで休んだんだよ」
    ぴく、と眉が動いた。次いでゆっくりと表情が曇っていく。
    「……だって」
    「だって?」
    「クリスマスプレゼントに死を贈るなんて、そんなのできるかい?」
    「お前……」
    男は悲しみに沈んだ同僚の顔を見、
    「うまいこと言って結局休みたかっただけだろ!」
    「ごめんよー」
    男の蹴りをかわし、同僚は笑いながら自分の部屋に入った。
    「ったく……」
    仮面を取り、その本物の髑髏に似せた模様を見つめた。
    「やっぱり、罰なんだろうな。死にたがった俺が、生きたがってる人間の命を運ぶなんて」
    自嘲気味に笑い、男は仮面の表面を撫でた。





    死神のクリスマス。
  • [148] mixiユーザー

    2012年12月21日 22:32

    >>[147]
    死神にクリスマスを感じる機能が備わってるんかいな、
    ――なんて思ってたらそれっすか(笑)
    なんていうか、しんみりしたくてもしんみりしにくい、なんとも不思議なお話でした(^_^;)
    でも、相変わらず完成度は高いんだよなぁ(^_^;)

  • [149] mixiユーザー

    2012年12月21日 22:59

    よいしょっと。
    『篭の中の鳥』の元ネタであるみゆさんが、クリスマス小説を書かれましたので、
    こちらにもリンク貼っておきますねん。
    元ネタを知らなくても楽しめる、キラキラしたお話ですので、ぜひ♪

    【Xmas小説】天使が降りた街
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1885558308&owner_id=5920019
  • [150] mixiユーザー

    2012年12月22日 00:15

    >>[148]

    同僚とのやり取りのせいですかね?
    あれは彼なりに罪悪感を覚えてのことなんですよ…一応(笑)

    クリスマスであっても人は亡くなる。実は彼も…という設定があったりなかったり。
  • [152] mixiユーザー

    2012年12月23日 20:03

    >>[151]
    うむっ、ハードな物語ですな。
    最初『ゴジラ』かと思ったんですが、なんのなんの、『スターシップ・トゥルーパーズ』でしたね。
    このままどう転がっていくのか、楽しみです(^o^)
  • [154] mixiユーザー

    2012年12月24日 15:35

    こんにちは。

    二度目の企画参加です。

    よろしくお願いいたします!
  • [155] mixiユーザー

    2012年12月24日 15:37

    というわけで、投稿させていただきます。

    よろしくお願いします。

    『天使が降りた街』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1885558308&owner_id=5920019

    メリークリスマスクリスマス

    ※電子書籍化の場合、私の作品は除外してください
  • [156] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:05

    >>[155]
    おっし、みずから書き込まれましたね、お待ちしておりましたよd(^o^)

    さあて、あとは私の作品が一つと、コラボしていただいた『お題を元に〜』コミュの数作品を足して、
    結局作品数がどれくらいになったのか!
    このあと、アップしつつ数えてみることにします(^o^)
  • [157] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:16

    さて、以前もお話した『お題に合わせて短編小説を書こう』コミュとの勝手にコラボ企画です(笑)

    今回は、お題『クリスマス』より数点を紹介。

    まずは、ねずみさんの『クリスマスの奇跡』から。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?guid=ON&id=1885227481&owner_id=50748303

    クリスマスの朝に突然降り注いだ不幸。
    その不幸が、奇跡へと変わるとき――。
  • [158] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:26

    続けて、コミュ管理人、シゲルさんの『創作「一人暮らし」』。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=2472523&id=1885477718

    渋いお話っす。
    一人で何とはなしに過ごす老人のもとに、とある女性が訪れる。
    その女性は老人に――。
  • [159] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:30

    さて、何故か私のラスト参加作品が、こんな話に(^_^;)

    『お父さんとサンタクロース』


    テレビのクリスマス特番が終わりに差し掛かろうとしている頃、夫の和明がサンタ服を脱ぎながらリビングに戻ってきた。
    「お疲れさま。どうだった?」
    ワインを注いだグラスを手渡して私が問うと、和明は私の隣によっこいしょ、と腰を下ろして、
    「ああ、幸せそうな寝顔でぐっすり」
    と、苦笑いする。
    「今日は一日あなたと一緒で、テンション上がってたもんね」
    あなたは大変だったでしょうけど、と私が続けると、和明は俺は大丈夫、と力なく笑ってグラスを傾ける。
    「そう言えばさ、ママはサンタクロースって信じてるかい?」
    グラスをテーブルに置いた彼に問われ、私はうーん、と首を傾げる。
    「皆の心のなかに居る、って感じ」
    「そりゃヒーローものの見過ぎだわ」
    こう言う私の放ったボケにすぐ反応してくれる何気ない優しさが好きで、それは昔からも変わってはいない。
    「うん、多分信じてないと思う」
    「多分……ねえ」
    そう、小さく呟く和明がどこか勝ち誇ったかのように聞こえたので、私はつい強い口調で、
    「何よ、その、まるで本物のサンタクロースに会ったみたいな口ぶり」
    と言い返してしまって、すぐにしまった、と後悔する。
    せっかくの二人きりのクリスマスイブなのに、こんな事で喧嘩なんてしたくないからだ。
    私は慌てて和明の顔を見るが、和明は怒るどころか、――何故か悪戯っ子のようにニンマリと笑っている。
    「な、何よ――」
    「そう、会ったんだ」
    私の声を遮るように、和明の楽しげな応えが返ってくる――って、え?
    「会った、って、サンタクロースに?」
    嘘でしょ?と返す私に、和明は苦笑いしながら、
    「冗談か何かだと思ってるだろ?マジな話さ」
    と、ワイングラスを再び口に運ぶ。
    「ほら、俺の実家、マンションの8階だろ?」
    「え?ええ、良いお部屋よね」
    突然の問いに少し慌てて答えると、和明はニヤリと笑って私にグラスを向け、
    「あそこの入口の前で、会ったんだよ」
    と、少し自慢げに言ってくる。
    「またそんな。それってなに、玄関を開けたらサンタクロースが『メリー・クリスマス!』とか、そんな感じ?」
    またテキトーに盛ったんでしょ、ってな感じで返した私に、和明は違う違う、と、やはりドヤ顔のままで笑う。
    「小学生の頃、うちの親って仕事が忙しくてな。クリスマスなんて基本忘れられててな。それが悔しくてさ、火災報知器でも押してクリスマスをめちゃめちゃにしてやろう、って思ってさ」
    私はまさかの展開に、口をあんぐりと開けるだけしかできない。
    彼とは中学校からの知り合いだったのだが、いつも飄々としていて、そんな風にキレるなんて想像もつかなかったからだ。
    「で、発信機を押そうとした時、サンタに呼び止められてさ。廊下の外の空中にちゃんとソリで浮いてたから、ああ、本物だ、って」
    普段と同じように飄々とした話し口調で、またとんでもない話をする和明。
    「え、いやその、空を飛んでたの?」
    「そうだよ?そうじゃなかったら、ただのサンタ服着た爺さんだものよ、本物かどうかなんて判らないじゃないか」
    何を馬鹿なことを、と言わんばかりの和明の返答に、なんだか私が馬鹿みたいに思えてきて、思わずスミマセン、と返してしまう。
    「いやまあ、今考えてみるとさ、なんだか夢でも見てたんじゃないか、って気はするんだよな。なんせ、マンションの玄関に居たはずのオヤジとおふくろの声が聴こえてきた位だし」
    「そ、そうなんだ」
    もう呆気にとられるしかない私に、和明はそうなんだよな、と一人呟く。
    「そういや、あの時のこと、オヤジもおふくろも覚えてるはずだな」
    「そうなの?」
    思わず問い返した私に、和明はグラスを見つめたままああ、と応える。
    「よっぽど興奮してたんだろうな、俺。オヤジたちの話じゃ、すっげえ目をキラキラさせて――」

    その時だ。
    (つづく)
  • [160] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:31

    (つづき)


    「おとーさん!おかーさん!ちょっと!」
    突然リビングの扉が開き、息子の洋介が顔を出した。
    ――すっげえ目をキラキラさせて。

    「どうした?プレゼントでも貰ったか?」
    和明がしてやったり、と言わんばかりにニヤニヤと見つめながらたずねるが、しかし洋介は首をブンブンと大きく横に振って、
    「ちがうよ!……あ、でもちがわないけど、でもやっぱりちがう!」
    と、なんだかよく解らない返事をする。
    何だかおかしい。
    単にプレゼントを見つけただけなら、このようなよく解らない返事はしないはずだ。
    「どうしたの?何かあった?」
    私が比較的ゆっくりめに洋介に問い掛けると、洋介はこくり、と頷いて、
    「プレゼントもあったけど、サンタクロースも居たんだ!今!」
    と、興奮した様子で言う。
    その妙な様子に思わず和明を見ると、
    ――何だか和明も様子がおかしい。
    目を大きく見開き、「嘘だろ……」と呟くだけで――。

    ――まさか。
    私は思わず立ち上がると、自分でも信じられないスピードでソファーを飛び越し、まっすぐに子供部屋に向かう。

    ――お父さんと洋介だけ、ずるい。

    子供部屋の前に立ち、ドアノブに手をかける。
    ドアノブを握った手が震えているのを見て、私は苦笑いしながら大きく2回、深呼吸をする。

    ――居るんなら、私も会いたい。

    もう、とっくに居なくなってるだろうとは思う。
    思うけど、もしまだ居たら、挨拶くらいしたいじゃない?

    ――だって、私は洋介の母親なんだもの。

    震えが止まったのを確認してから、ドアノブを回して一気にドアを開く。
    そして、そこに見たものは――。


    (12月24日。PM11時55分。都内某所)
  • [161] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:39

    とまあ、自分の作品をはさみまして。
    続けて、また紹介に戻りまっす(^o^)

    次は、ネギドさんの『世界中で「I Love you」』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=26771661&id=1885600616

    いやもう大好きっすよ、こういう力技でテンション高めなよく解らないお話(笑)
  • [162] mixiユーザー

    2012年12月24日 19:50

    さて、お次は、
    アムロさんの作品、「サンタのおじさん」 です。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1357882105&owner_id=11410351

    優しくて、――とても優しくて、哀しくて、
    ――そして、とても幸せな童話です。
  • [163] mixiユーザー

    2012年12月24日 20:17

    さて、もう一個行っちゃうかな?
    少し前にも紹介しましたotoyaさんの新作、
    「甘い予感」 という作品です。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1885686480&owner_id=35014955

    クリスマスが恋人のものになったのは、山下達郎の曲がヒットした時期からだといいます。
    仕掛け人は確か、『anan』だったかな?

    それがいつの間にかクリスマスの主流に変わったのは、
    それだけ若い人たちが『独りで居ること』に寂しさを感じていたからだろうな、きっと。

    クリスマス・イブの夜。
    ささやかで良いから、全ての人に幸せが訪れんことを。
  • [164] mixiユーザー

    2012年12月24日 23:48

    時間が無い。ここは一つ俳句で勝負だ!

    「もみの木」

    もみの木の

    枝葉の中に

    輝くは

    星より綺麗な

    小話ばかり
  • [165] mixiユーザー

    2012年12月25日 04:19

    >>[164]
    ほんとに勢いで書きましたね?(笑)
    でも、綺麗な俳句で、ほっこりしました(^o^)
    ありがたや、ありがたや……。
  • [166] mixiユーザー

    2012年12月25日 04:37

    おはようでっす、クリスマスの朝でっす(^o^)
    今頃はサンタさんも追い込みで忙しくしてるんだろうなぁ……(^_^;)

    というわけで、『お題に合わせて短編小説を書こう』の方で駆け込みがありましたので、早速紹介を。

    まずは或虎さんの三作品を一気に。

    『さんたぶそく』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=44534045&id=1885975264
    いやもう大好き、こう言う細部まで拘ったパロディヽ(=´▽`=)ノ
    肩の力を抜いて楽しめます。ほんと。

    『憎めないサンタ』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1886013346&owner_id=44534045
    いやまあそういうオチだとは思いましたけどね、やっぱり笑いました(笑)
    サンタクロースはやっぱり、これくらいヌケテて欲しいもんですよね(笑)

    『Heavy Christmas』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1886018007&owner_id=44534045
    主人公が○という、擬人化小説。
    いやもう切なくて切なくて、ケンタッキー食べたくなりました。
    ――あ、チキン大好きです♪
  • [167] mixiユーザー

    2012年12月25日 04:55

    続けて、同じお題からの紹介を。

    再び登場のあきねねさん、駆け込みで間に合ったようですね。

    「サンタクロースにまつわるゆるやかな自問自答」
    http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=2683994&id=1886019266

    クリスマスの朝。
    沢山の家族の元にサンタクロースはやってきて、彼がもたらしたもので家族の目が優しくなる―
    ―そんな、朝。
    穏やかで優しい物語が、クリスマスの幕を閉じていく。
  • [168] mixiユーザー

    2012年12月25日 04:59

    あ、そうそう。

    おかげさまで、皆様のご協力もあり、コミュの企画の方に集まった作品数、
    現在(25日AM4:00)の段階でなんと71作品!
    夏にやった『百物語』には及びませんでしたが、それでもすごい数!
    私の書いた作品数が30なので、41もの作品が集まったことになります!

    いやもうほんと、ご迷惑をお掛けしました(^_^;)
    おかげで私は――少なくとも私は、大満足です(笑)

    本日締め切りの当企画ですが、本日夜まで参加をお待ちしております。
    ……まあ流石にもう無いかな、とは思うんですが、念のため(^_^;)
  • [169] mixiユーザー

    2012年12月25日 13:18

    ぎりぎりかな

    『イブの夜』(6) http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1886032094&owner_id=39982469

    書いてみました
  • [170] mixiユーザー

    2012年12月25日 15:30

      お疲れパーティー


    「おつかれー!」
    「お疲れ様でしたー!」
    「おつー!」
     にぎやかな乾杯の音が、寄せては返す並みのように響き渡る。どこかの会社の忘年会のような光景なのだが、やけに年配者率が高い。OB会のようにも見えるのだが、そう思って見るとそれはそれで若い連中の姿が目立つような気もしてくる。ついでに、その年配者たちがやたら元気がいい。
     だからぱっとみ、何の団体なのだかわかりにくい。予約者の名前は「三田様」となっている。
    「今年も大きな事故もなく、無事に終わって良かったですなぁ」
    「まったくで。ひとり、住所を間違えて風俗街に不時着した以外はね」
    「まあまあ、その程度で良かったじゃないか。一昨年は、居眠り運転で諏訪湖に墜落したのがいたし、どこかの国じゃミサイル攻撃を受けたのもいるらしい」
    「ミサイル!? なにやったら、俺ら見つかるんだですか?」
     若者が驚いて髭の老人にたずねた。
    「わしらは、大人には見つからんが、子どもの目はごまかせん。だから夜が仕事の時間なんだがな
     答える老人は、そこでニヤリと笑った。
    「その国の政府が幼稚だと、見つかることもある」
     老人たちの間から、ゲラゲラと笑いが上がった。若者は、はあ、と言ってなんとなく苦笑いで合わせた。
     若い女性も、その宴会の席にちらほらと混じっている。彼女らはいつのまにか、一人の老婆の所に集まって、彼女の話を聞いていた。老婆の話は、死に別れた旦那とのコイバナだったりする。
     きゃあきゃあとあでやかな女子たちの歓声があがるたび、若い男たちも聞くとはなしに聞き耳を立てていたりもする。老婆の旦那というのは、この業界でもちょっとした伝説の人物らしい。
     だが今日の話題の一番は、まだ五歳ぐらいの女の子が新しく仲間になったこと。その話が出ると、女子たちは声をそろえて「わかーい!」と叫んだ。
     もっとも、この宴会の席に、その女の子は顔を出していなかった。もう家に返して来たと、老婆は言う。もう少し大きくなったら、この打ち上げパーティーにも参加できるだろう。
     そんな話が出ると、他にも家族を持つ者たちが、自分の家のことをあちらこちらで語り始める。たまたま自分の家が配達先で妙な気分だったと言う者、子供がなかなか寝付かなくて出掛けられず遅刻寸前だったという者、家族に素性をまだ明かしていない者、明かしたけど未だに信じてもらえない者、父親と二世代に渡ってこの仕事をしているという若奥さん、などなど。人それぞれの事情が、次々と話題になっていく。
    「ああ、そう言えば」
     一人の参加者が、ふと思い出したように言った。
    「火星に行った奴って、どうなったんだ?」
     すると、一番上座にでんと腰を据えている、恰幅のいい白髭の老人が、タブレットPCを取り出して、その画面をみんなに見せながら答えた。
    「いま、月軌道あたりまで戻って来ておるよ。ここの閉店には間に合わんが、なあに、二次会には顔を出せるだろうて」
     画面には、地球上の世界各国に無数の光の点が集まっている他、月軌道付近に赤い点が点滅している、そんな画像が表示されていた。
  • [171] mixiユーザー

    2012年12月25日 15:36

    なぁー!スマホで書いたら、誤字脱字だらけだorz

    他に書いてるので手一杯だったもので、今回の参加では以上4作で私のは打ち止めです。感想含めてあまり積極参加できず、スミマセンでした。
  • [172] mixiユーザー

    2012年12月25日 20:18

    >>[169]

    おお、ばっちりです間に合いました(^o^)

    夜の公園で、猫と一緒にクリスマス、かぁ。
    それは絵的に良いっすねぇ。そのまま連れて帰りなさい!的な……

    ……ってか、ケーキ、まさか1ホール買って帰ったんちゃいますよね?(笑)
    滑り台の上で……ってんだから、多分違うと思いますけど……(どきどき)
  • [173] mixiユーザー

    2012年12月25日 20:21

    >>[170]
    いえいえいえ、十分ですって(^o^)
    ほんと、今回は『お題に合わせて短編小説を書こう』コミュの方も含め、みなさんのお力に助けられましたです(^o^)

    ほんと、火星係のサンタさんもおつかれ、って感じで(笑)

    あ、来年はしませんからね!(笑)
  • [174] mixiユーザー

    2012年12月25日 22:28

    吐く息の白さを、風がかき消していく。
    学校までの道程は、坂が面倒なだけで長くはない。いつもより人が少ないこと以外は、普段と変わらない風景だ。
    休みなのに学校に行くのは、余裕がないからだ。教室は静かだし、わからないところは先生に教えてもらえる。
    いよいよ、なのだ。
    夢に向かって踏み出す、高校での最後の一歩。
    あらゆるイベントをなかったことにして、夢のために全力で頑張る。それが今できる唯一のことだ。
    「…………あれ?」
    何か白いものが目の前を掠めた気がした。
    信号を待つついでに空を見ると、白がいくつも降り始めていた。
    「雪?」
    はらはらと降るそれを手で受け止めると、手袋にあたってただの水になった。
    そういえば、今日はクリスマスだ。アナウンサーが嬉しそうに言っていた。
    「ホワイトクリスマス、か」
    別にクリスマスが好きなわけじゃないけど、こういうのは嬉しい。このあたりじゃ雪はあまり降らないから尚更。
    教室のみんなも見てるだろうか。勉強に集中して気づいてないかもしれない。
    青に変わった信号にぐっとペダルを漕ぎだした。夢までの距離に焦る頬を、雪が撫でるようにかすめていった。
  • [175] mixiユーザー

    2012年12月25日 23:16

    >>[172]
    もちろん
    1ホールですがな〜
    でも15センチだから
    小さめですよ(o^・^o)
  • [176] mixiユーザー

    2012年12月26日 04:52

    >>[175]
    あ、15インチならそれほど大きくは……ってまさか実話っ?!(笑)
  • [177] mixiユーザー

    2012年12月26日 05:04

    >>[174]
    おお、受験シーズンですもんね。
    そっか、少子化で子供が減ったとはいえ、受験に関しては変わってないですもんねぇ。
    なんかこう、当時を思い出しちゃってしみじみとなりました(^o^)

  • [178] mixiユーザー

    2012年12月26日 05:13

    っと、朝で時間がないので、取り急ぎ例の『お題に合わせて短編小説を書こう』コミュから数点紹介。

    ヨーデルさんの「実録・裏サンタクロース」
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?&id=72600973&comm_id=5743141

    だんぞうさんの「奇跡 − 僕と勇者とクリスマス」
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=72600248&comm_id=5743141&

    同じくだんぞうさんの「ウイスキー・グラス」
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=72701487&comm_id=2652804&

    アまんダ('●く_●`8)さんの『聖夜の奇跡【クリスマス年の差カップル】 』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=46599406&id=1885919932

    Re:さいがさんの「白い扉」
    http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=72707987&comm_id=5743141

    とりあえずこれで79作品。
    うん、突貫工事で始まったこの企画ですが、これだけの物語が集まったことに、
    すんげえ満足しております(^o^)

    だってさあ、クリスマスをネタにした作品が、少なくともmixiの一部だけでも79作品もある、ってことじゃないですか。
    ってことは、ネット上で探せばもっと有る、ってことですよね。

    一体何人の人がクリスマスにクリスマスのことを思いながら小説を書いていたのかな、と思うと、
    何となく、感慨深い思いにとらわれますです。


    っと言うわけで。
    この辺で、この企画、締めたいと思います。
    皆様、ご協力ありがとうございました♪
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