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開催終了平成19年度第59回秋季関西学生法律討論会

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2007年09月02日 00:33 更新

論題

分野【憲法】

Bの要求に対するA市議会の対応の是非について論ぜよ。

1.A市の市議会議員であるBは、2003年春、下喉頭ガンと診断され、その摘出手術後発声機能を失った。議員の任期は翌2003年9月に終了したが、Bは、これまでの支持者や障害者団体などの支持を得て再度A市議会議員選挙に立候補した。
 この選挙運動中、Bは交通事故に遭って重傷を負って入院したが、選挙の結果Bは再選された。しかし、Bは、車椅子の使用が不可欠となり、また、Bの発声機能は回復せず、主に筆談による会話を余儀なくされることとなった。

2.再選されたBは、市民によって選出された市議会議員の職責を果たすため、新議会開催後まもなく、市議会議長に次の申し入れを行った:(1)車椅子での市議会会議場へのアクセスを容易にするためのバリア・フリー化を早急に行うこと、(2)発声機能を失っているBの発言権を保障するために、代読による発言を認めること、(3)起立に代えて、挙手による議事の表決方法も認めること。
 この申し入れに対し、議長は、議会運営委員会(以下、議運という)と協議した結果として、(1)予算的にすぐに対応することは困難であるが、漸次バリア・フリー化を推進する、(2)代読による発言は先例もなく、議員でない者が発言することによる弊害も考えられるので認められない、(3)挙手による表決はA市議会会議規則の改正が必要なので時間をかけて検討する、との回答をBに伝えた。Bはこの結論に納得することができず、上記の要求を繰り返したが、議長と議運の対応は変わらなかった。

3.その後もBは上記要求を続け、また、障害者団体などからの申し入れなどがなされてきたところ、議運は、議員任期の半ばも過ぎた2005年秋に、新たに次のような判断を示した:(1)会議場への車椅子の乗り入れや移動を容易にするための改修を直ちに行う、(2)本会議場に限っての「音声機能(会話補助装置)付きパソコン」(入力した文字が機械音による音声に変換される機能をもつパソコン)の持ち込みと、同機による発言を認める。
 (1)の措置は速やかにとられたが、表決については、起立困難なBは、議場隣り席の議員の手助けを得て何とか起立する状態が続いた。また、パソコンの使用が認められたものの、Bにはパソコンの使用経験がなく、上記仕様のパソコンを購入して操作可能になるには、購入費用に加えて相当の時間や努力を要することのほか、議会活動の重要な部分を占める委員会等での使用が認められていないこともあって、Bはあくまでも代読による発言を求め続けた。これに対して議長と議運は、議会側としては当面とりうる措置を講じたのだから、あとはBの自覚と努力を待つほかないとして、それ以上の措置は講じなかった。

4.Bは、一度の発言の機会もなく任期の終了期が迫ってきたため、これまで訓練を続けてきた「食道発声」による発言を議長に通告した。これに対して議運はBの発声録音テープの提出を求めて事前に検討したところ、「聴取不能」で発言は無理と判断し、議長は発言を許可しなかった。
 結果としてBは、4年の任期中一度も発言の機会なく任期を終了することとなった。


【出題】関西学院大学法科大学院教授 松井 幸夫 先生


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