2011年最後の音盤夜行は新メンバーも迎えて、「今年も一年ありがとう！来年もよろしく！」
【DJs】
MUZIK SERVANT / 天音 / 白月らび /和泉幸奇 / haLRu

…and 此糸ウルヱ（←NEW!!!）

【infomation】
12/21(Wed)2011
open 18：00 & start 18:30 – close 23：00
場所：渋谷 club axxcis
http://www.axxcis.net/
入場費：2drink / 1500yen

【NOTICE】
＊コスプレ大歓迎です！（東方キャラのみとさせていただきます）
-女性は３Fのパウダールーム、男性は開催フロアの更衣スペースをお使いください。
-撮影は本人の許可を得る等、トラブルの無いようにお願いします。
-専用のSTAFF証をつけた人間の撮った写真は後日UPLOADしたりすることがあるかもしれません。

＊貴重品について
大事なお荷物はお手元で管理するか、コインロッカーをご利用ください。
大きな荷物は右手奥のラウンジスペースに専用の場所を設けてありますので整頓して置いてください。
最近、小荷物（メガネ、カギ等）の、紛失＆忘れ物が多いので、特にご注意ください。

音盤夜行の会場は原則として、飲食物の持ち込みは禁止となっています。
お土産のお菓子を配ったり、ある程度は会場側に許容してもらってますが、
主食となるようなもの及び、飲料の持ち込みはご遠慮ください。
ソフトドリンクもございますので、バーカウンターをご利用ください。

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【STORY】

ワンダーランドに行くのはそう難しいことじゃない。
ほんの少しのアルコールと、でかいスピーカーに囲まれた暗い空間があれば、もう扉は開いているも同然なんだ。

俺は街のどこから異界に行けるのか熟知しているが、それに飽き足らず、さらなる快楽を求めて何処へでも行った。
どんな刺激も慣れれば退屈になる。俺は少しずつ深く、階段を下っていくように異界を求めていって――。

そして、とうとうとんでもないところへ来てしまった。
階段を踏み外して底なし沼に突っ込んだような違和感。
サタニストの黒ミサに迷い込んだという方が、まだ話がわかるような――とても理解できない光景。
獣とガキどもしかいないレイヴに、まともな人間は俺と相棒の二人きりだった。
塔のようなスピーカーは、まるで地球の裏側にも届きそうな轟音を放ち続けているが、耳は全く痛くならない。
まるで直接心臓に届いているかのように、ひたすら強く俺の内側を揺さぶるのだ。
俺は屋台の方に寄っていってビールを買った。人間の金が使えるのか……なんて馬鹿な不安がよぎるが、問題なく酒と交換できた。
やけに大きく、明るく見える満月を見上げながら一口飲む。
それは俺の知らない味のビールで、やけにうまい。細やかな泡が舌を刺激して、あらゆる感覚を覚醒させながら喉に染み渡っていく。
雰囲気だけで飲むような安酒とは全く違う、あまりにも上等なその一杯に……俺はまたしても不安を感じてしまう。
これは夢なのか？ むしろ夢であって欲しいと思う。
もう帰れないのかもしれない。そんな不安を払拭するために、俺はただ踊ることに没頭しようとした。

そこへ、一人の女の子がやってくる。
その瞳は、箱で囲って育てたお嬢様のように綺麗な輝きを放っている。それと同時に、スラムを牛耳る少年ギャングのボスすら及ばない凄みと底知れなさに満ちてもいた。
小さな口が開いて、澄んだ歌声が流れ出した。人間の声帯はこんなに綺麗な音を発するようにはできていないと俺は思う。しかし、それは紛れもなく少女の歌声だった。
そしてそれは、やはり耳で聞く音ではなかった。ビールを飲み下す音は、この轟音の中では蚊の鳴くように小さいはずだが――俺の鼓膜にはそれだけが唯一、この世界で音と呼べる音であるかのように響いたのだった。
見上げれば空には、無数の怪鳥が舞っていた。踊っているのだ。地上にうねる轟音と、煙のように立ち上っていく少女の歌声に突き動かされて。
全く理解できない光景の中で、俺はただ見るだけの装置だった。目を凝らせば宇宙の果てまで届きそうなほど澄んだ夜空に、ぎらぎらと輝く満月……。
それは唐突に、蓋を落とされたかのように暗黒に包まれた。
俺は驚かない。驚く心さえ失って、ただ、最後に煙草を一本吸いたかったと思うだけだ。

「月なんか見てないで、さあ」
後にはただ轟音と歌声が鳴り響き続けるだけだ。

（おわり。次回は1/18です！ 来年もよろしく！！）