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開催終了石田徹也遺作集

詳細

2010年02月27日 11:55 更新

石田徹也遺作集

何かずーっと描いてて、描くのが僕だって思う。
描かないと僕じゃないような・・・・

この作品集は、驚愕の世界を描き続け、31歳で急逝した彼の創作活動
10年の軌跡である。

解説・寺澤梟木


どのページを開いてもそこには私たちに向かってうつろなな眼差しを

投げかけてくるぼうず頭の男性がいる。

童顔で、色白で他人とのコミュニケーションが苦手そうで、まだちょっぴり

マザコンのの毛が抜けてない感じの、どこでもいそうな青年だ。しかしその

姿を認めたとき、私たちは、驚愕せずにはいられない。なぜならその青年は

ほとんどの作品において、椅子や洗面台やキャッシュディスペンサーや便器

といった日常的な「モノ」との気l妙な融合を果たした姿でそこにいるのだから。



ここでの、驚愕とは、おそらく二重の驚愕であろう。私たちはグロテスクなその

造形に目を釘付けにされると同時に、自分自身の姿をそこに認めて愕然とする。

それはあたかも、生産だとか成績だとかを呈上とする近代資本主義社会の元で

疲れ果て、次第に非人間的な存在へと置き換えられていく私たち自身が神話化

されたもののようでもあるのだ。

しかし、悲しいかな、無産階級に属する私達の多くは、恐怖心などよりも共感の

念を抱かされてしまうのであるが・・・・・。

本書は31歳の若さで踏切事故によって急逝してしまった石田徹也の、おそらく

最初で最後の作品集だ。

石田は否定したが、作品中に描かれている青年は作者自身の「自画像」だ。と

解釈されている。

近代資本主義社会の元でのメタモルフォーシスというモチーフから安部公房の

「箱男」やカフカの「変身」東西の代表的な変身譚との比較が心みられることもあ

るが、なるほど確かに「自画像」であることを否認する石田と描かれている青年

との間には「書いている僕と、書かれている僕との不機嫌な関係」(「箱男」)が

投影されているし、当人の意思の関与しないもっぱら受け身なメタモルフォーシス

は「変身」の主人公グレゴール・ザムザの境遇に重なるだろう。

ところでグレゴール・ザムザの変身について。澁澤龍彦は「硬く冷たい甲羅を持っ

た甲虫への変身願望は下等動物のような感覚の鈍いもの、石のような硬化した

ものに対するすべての嗜好と同じく、明らかに胎生の原記憶につながった一種の

マゾヒスティックな胎内回帰願望と同一視得る」(「メタモルフォーシス考」)と書いてる。

胎内回帰願望、青年の虚ろな眼差しは、あるいは勝手な同情や共感を無視して、

ただその一点にこそ注がれているのかもしれない。

小学校の校舎と一体化し校庭にいる子供達を眺める姿や、団子虫の甲羅に包まれ

て安らかな寝息を立てる姿から読み取れる青年の退行願望が究極的に行き着くと

ころは、やはり母胎しかないのではあるまいか。

そうであれば、この青年の形態の不安定さは、彼が未だに(母胎を追われただけ

の)胎児であることに由来するのかもしれない。

胎児とは、あらゆる形態のへのメタモルフォーシスの可能性を秘めた原型的な存

在でもあるからだ。

石田徹也公式HP↓
http://www.tetsuyaishida.jp/


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