ピンチャーズの作品を一番多く手掛けたのが、80年代ダンスホールの王者、Jammysである。ジャミーズの青いレーベルに彩られた彼のレコードはことごとくヒットを記録し、島中を熱狂の渦へと巻き込んでいったのである。中でも大きな話題となったのが'Mr. Banderelo Man'という異名にも繋がった'Banderelo'である。メキシカン・スタイルのバッドマンを題材にしたセンスが光るバッドマン・チューンで、スパニッシュを織り交ぜた言葉を巧みに操るコミカルなライミングは高いスキルを感じさせる。その他'Agony'、'Call Upon Mi God'、'Don Is Don'、'Sit Down Pon It'といったレコードによってピンチャーズは大きな成功を手にし、これらのチューンは今尚絶大な人気を誇るダンスホール・クラシックとして君臨し続けている。
90年代に入ってもDigital Bからの'Enemies'や'Send Another One Come'、Penthouseからの'She's Coming Back'等のヒットをチャートに送り込み、コンスタントな活躍を見せる。その後リリースも落ち着き、目立ったヒットからは遠ざかっていたピンチャーズであったが、近年は定期的に新作が届けられ完全復活を予感させる。