ポーランドのノイズとフリー・インプロヴィゼイションの境界線が交わる分野を牽引するRobert Piotrowicz。彼の地で行われるMusica Generaフェスティヴァル(ヨーロッパでもっとも支持されるエクスペリメンタル・ミュージック・フェスティヴァルの一つ)及びそのレーベル部門を運営し、過去10年に渡って活動的な実験主義者として知られてきた。エレクトリック・ギターの演奏をバックグラウンドに持ち、その後アナログ・シンセに転向、さらに現在は、シンセシスによるエレクトロニクスの膨大なポテンシャルを探求し、またそれと同時に、通常の意味合いとは異なる観点からギター等の楽器をサウンド・ソースとして用いることによって、伝統的な楽器とエレクトロニクスを配合したエレクトロアコースティックのスタイルへと発展を遂げている。もともと90年代には自身のノイズ・ロック・バンドStuckoceilingを率いて活動しており、98年にAnna Zaradnyがバンドへ加入することにより、よりエクスペリメンタルで、即興演奏的な方法論へシフトしていった。2000年にはPiotrowiczがフリー・インプロヴィゼイションの巨頭John ButcherやTony Buckとのコラボレーションと始め、それと同じくして、PiotrowiczとZaradnyは共同でフェスティヴァル/レーベルのMusica Generaを運営。以降Musica Generaは二人の強力な活動母体となっている。 2006年にはPiotrowicz初となるソロ作品『Rurokura and the Final Warn』をDaniel MencheやXavier Charlesなどを擁するemd.pl/から発表。また、作品にはZaradny及びBurkhard Stanglとのコラボレート・アルバム『Stuckonceiling; Can't Illumination』や、PolycephalとPhase!からリリースしたCDR作品などがあり、さらにフィルムメーカー/ミュージシャンのMartin Klappeとの活動、映画のサウンドトラック制作等、映像とのコラボレートも意欲的に行う。これまでに多数の即興演奏家とのコラボレートを行っており、特にJohn Butcher、Kevin Drumm、Xavier Charles、Jerome Noetinger、Zbigniew Karkowskiとの演奏はよく知られる。その他大友良英、ErikM, Martin Siewert(Trapist)、Dieb 13、Werner Dafeldecker、Lionel Marchetti、Nikos Veliotisと共演。Audio Art Festival、Jazz en Gatineite、Alt F4、The Strings of Difference Athens、SKIFF、Muzyka z Mozgu、In Between Chicago、Copenhagen Jazz Festival、Jazz in E.、Art Rhythmic Depot等、国際的なフェスティヴァルにも多数出演している。 今回の来日が東京では初となるポーランドのノイズ/フリー・インプロヴィゼイション・シーン体験となる。
■Anna Zaradny
1977年生まれ。サックス奏者/即興演奏家/作曲家。6歳の頃からピアノとヴァイオリンを学ぶ。その後サックスの演奏を開始し、楽器演奏を修了。ポーランド音楽学院にて指揮と音楽理論も修めている。多様な音楽性の文脈はZaradnyにとって非常に重要であり、クラシックの教養を持つ一方、アンダーグラウンド・ミュージックとの関わりを深め、またさらにはビッグバンドにも参加する多面性を持つ。 17歳から自身の音楽をステージで披露し続け、90年代後半にエクスペリメンタル・ノイズ・バンドのStuckoceilingに加入。Robert Piotrowiczと共に実験的なサウンドへと焦点を絞り始め、フリー・インプロヴィゼイションへと辿り着いた。彼女の奏法は、即興演奏とエクスペリメンタル・ミュージックの分野におけるリサーチに基づき、楽器を限定せず、有機的な可能性と新たなアプローチを模索するものである。伝統的な楽器、エレクトロニクス、コンピューターなどを用い、デジタル・ノイズやエレクトロニカ、エレクトロアコースティックのコンポジションなどを軽やかに横断する。 即興演奏家として、Robert Piotrowiczとのデュオを主に行い、またBurkhard Stanglを加えたトリオとしても活動。さらにTony Buck、John Butcher、John Hegre、Jacek Majewski、Joe Williamson、Werner Dafeldeckerとのコラボレートを行っており、ステージでは大友良英、Sophie Agnel、Martin Tetreault、Ingar Zach、Martin Siewertらと共演。これまでにフランス、ドイツ、ノルウェー、デンマーク、オランダ、チェコ、オーストリア、イタリア、スロヴェニア、ギリシャ、クロアチア、アメリカで演奏を行い、Audio Art Festiwal、Muzyka z Mozgu、In Beetwen Chicago、Jazz in E.、Copenhagen Jazz Festiwal、Jazz en Gatineite、OKNO Festival、Art Rhytmic Depotなどのフェスティヴァルにも招聘されている。 また、Zaradnyは現在、自身のアート活動の終着地点として、劇団との作業に尽力しており、劇場のために作曲/プロデュースを行っているほか、写真家・建築家らとのコラボレートによるサウンド・インスタレーションや映画へのサウンドトラック制作などのマルチメディア・プロジェクトも行っている。