リチャード・トゥーイー / Richard Tuohy 1969年生まれ。オーストラリアで最もアクティブな実験映像作家。大学で哲学を専攻し、その後、自力で家を建て、音楽と植物学を独学で学ぶ。2005年から抽象的で実験的な映像制作に取り掛かる。8mmや16mmフィルム現像の専門家であり、Nanolabという映画用フィルムの現像所を運営する。その膨大な知識と高度な技術を用いて、作品の主題や被写体の特性を純化しフィルムに定着させる。また近年、フィルムを使う作家を支援・育成するための「アーティスト・フィルム・ワークショップ」(artistfilmworkshop.org)という団体を立ち上げた。オーストラリア国際実験映画祭の創設者の一人でもある。数多くの国際映画祭で上映、パフォーマンスを発表している。 http://www.nanolab.com.au/richard_tuohy.htm
///Artistic Statement by Richard Tuohy/// 私の殆どの初期作品は、形式的な物語で小津安二郎へのオマージュであった。それはかなり昔の話で、今は抽象的で実験的な作品を作っている。しかしながら、恐らく今なお形式主義の影響は残っている。2005-2008年に制作された8ミリフィルム作品は、それまで自分でも予期できなかったほどのフィルムの大きな創造性を示すものであった。8ミリフィルムを作品に用いることは、カメラ内部の動きが直接的に即時的に新しい刺激と結果を生み出すのだ。この実りの多い時期は、様々な形で私の創作活動の礎を築いた。2009年以降、私は16mmの密着プリンター(※)を手に入れ、作品は少しずつ16mmプリンターと現像の技術的な可能性にフォーカスしていった。