〔講師プロフィール〕1977年、同志社女子大学英文学科卒業後、同大学院修士課程修了、英国ヨーク大学大学院修士課程修了。研究課題の出発はイギリス人作家トマス・ハーディ。現在は19世紀のシャーロット・ブロンテや現代女性作家にも関心がある。イギリスのフェミニズム研究の論文多数。 〔講義内容〕 ハーディ(1840-1920)の『帰郷』(The Return of the Native,1878)と言えばまずはエグドン・ヒースでしょう。圧倒的な舞台設定によって、この小説では荘重な悲劇的な世界が創り出されていますが、『帰郷』の中の三一致の法則や五幕へのこだわりは多分に装飾的なものだとも言われています。そこで、私は特に時、空間、人物が相関的、重層的に結びつくことから生じる意図的な構造美に是非とも注目してみたいと思います。ハーディならではの筆致から生まれる造形美をテキストから掘り起こしてみましょう。