テーマは今回も先月に引き続いて映画から選ばせてもらいます。それもぼくが多感な少年期に見てその鈍く輝くような光に魅せられてしまったジャン・コクトーの映画『美女と野獣』(1946年フランス)にしましょう。 原作は18世紀にボーモン夫人が子ども向けに書いたいわば教訓話「La Belle et la Bete」で、『子どものためのお話(雑誌)』という素っ気ないほどのタイトルでまとめられた本の中にあります。もともとは民間伝承説話らしく別の夫人によって採話されたものが起源。異類婚姻譚、変身譚に類する説話だった。